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子ども庁創設よりも優先すべき、政治・内閣改革:「子ども庁、何を優先すべきか」よりー4(総括)

 日経<経済教室>で6月1日から3回にわたって「子ども庁、何を優先すべきか」というテーマで、3人の研究者に拠る小論が掲載。
 このところ少子化対策に焦点を当てて、継続して投稿してきていることもあり、少子化対策に子ども庁がどう取り組むかという視点から、そのシリーズを一つずつ取り上げ、以下のようにその内容について考察しました。
(本記事の最後に、最近の少子化対策関連での投稿記事リストを掲載しています。)

 (第1回)中室牧子・慶応義塾大学教授による
子ども庁、何を優先すべきか(上) 縦割りの排除、自治体でも」を基にした記事
貧困世帯の子どもたちへの教育投資をどう優先させるか:「こども庁、何を優先すべきか」より-1(2021/6/12)
(第2回)山口慎太郎・東京大学教授による
子ども庁、何を優先すべきか(中) 未就学児への支援、重点的に」を参考にした記事
5歳児幼児義務教育化と0~2歳乳幼児への幼児教育化を:「子ども庁、何を優先すべきか」より-2(2021/6/14)
(3回目)柴田悠・京都大学准教授による
子ども庁、何を優先すべきか(下) 保育の効果 まず現状分析」を参考にしての
就学前保育支出の重要性を示すも命題には応えず:「子ども庁、何を優先すべきか」よりー3(2021/6/16)

 以上の3回の総括を、という目的の今回の本稿ですが、正直、少子化対策を意識した記述は山口氏の小論に若干ある程度で、それ以外の主張も含め、納得度・説得力のあるものがなかった気がしています。

 そこで原点と言ってはなんですが、子ども庁創設に関して自民党がまとめた方針らしきものを、以下の見出しの6月1日付日経記事から拾ってみました。
「子ども庁創設へ自民決議 担当閣僚設置 幼保一元化は明記せず」


子ども庁創設は、大臣ポスト増と利権確保が隠れ優先目的か?:幼保一元化明記せず


 自民党の「こども・若者」輝く未来創造本部が5月31日にまとめた、子育て政策を担う「子ども庁」創設を提言する決議案。
 6月に決める経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に創設の方向性を打ち出し、衆院選の公約にその決議内容を盛り込むというが、どうやら当初の意気込みは薄れ、4月の党内の議論から内容が後退しているという。

 一応、担当閣僚を置き文部科学省や厚生労働省にまたがる子ども関連予算を統合し、貧困や虐待の解決に府省横断であたるよう提案はしている。
 しかし、当初政府内で検討し一致していた、現在幼稚園文科省、保育所厚労省、認定こども園を内閣府が個別に所掌する状態を改める幼保一元化や、小中学校義務教育の子ども庁への移管の議論は当面見送るということだ。
 党内案としても、4月下旬時点で「10年後に施設類型を統合」としていたのが、施設の類型などにより「就学時の学力や育ちの格差を生じさせないための方策を検討する」と記すにとどめたという。
 その他、子育て関係予算の「大幅な拡充」を唱えてはいるが、その財源に関しては、子どもの有無にかかわらず勤労者と企業が保険料を払って捻出する「こども保険」を一案に挙げ、「幅広く検討を行うことは重要だ」ともしている。

 
 さもありなん、という感じです。
 どうということはない、新しい庁を創り、担当大臣ポストが一つ増える。
 必要な財源を、新たに労使で負担する「こども保険」を設けることで確保する。
 極端を言えば、それだけで終わる可能性がある。
(もちろん、そんなことはないはずだが)
 本来の最大の目的は、幼保一元化という保育・教育行政サービスの構造改革にあるはず。
 それを後退させるとは一体何を考えているのか。

 昨年菅内閣の目玉として創設された「デジタル庁」。
 その平井卓也デジタル改革担当相の先日の脅し発言がいみじくも象徴しているように、新庁創設には、必ず利権が絡んでいるわけで、子ども庁創設も、理想通りにはすんなりいきそうにない気がする。

 そういう状況で、「子ども庁、何を優先すべきか」という命題を設定して、学者に小論を注文。
 オーダーした方も受けた方も、創設を言い出した当事者の深謀遠慮、否、浅慮など知るよしもなかったことになってしまいそう。

優先すべき、子ども庁創設前の内閣府における子どもと家族に関する諸課題の全体方針と長期ビジョン設定

 
 優先すべきは、多くの問題を抱える日本の子どもの保育・教育サービスをどのように整備・拡充していくのか、その子どもを持つ、あるいは子どもを持ちたいと願う大人・親の結婚・出産・子育てをどのように支援していくのかという根本認識と長期的なビジョンを明確にすること。
 間違いなく、その中の一つに「少子化対策」が位置づけられることになります。

 それらの実現のために、幼保の一元化や一部の義務教育組み入れ、国と地方自治体との役割分担、財政問題、統括する官庁組織改革などが構成されているわけです。
 人事権を掌握することで、利権の温存と専横政治の道筋を確立することに邁進してきた自民党政治と内閣。
 だれも将来に対する責任のひとかけらも持たず、当然、その能力もないことは自明です。


最優先は、政治、内閣変革。担当大臣は、官僚から


 そうした問題課題の洗い出しと長期ビジョン、長期計画を子ども庁が当然担うことになるのでしょうが、実はそれ以前に、内閣がその下地をしっかり議論検討し、まとめ上げる必要があるわけで、自民党がどうこうというレベルの話ではないはず。
 やはり、政治、内閣を変革することこそ優先すべき課題であることになります。
 子ども庁とかいうものをどうするかは、その後での課題。
 関係各省庁からプロジェクトメンバーを集め、諸課題・諸問題の整理と、改革方針をまとめ上げるのが内閣府の仕事。
 そのガバナンスとマネジメント能力がない内閣には決して期待できない。
 ゆえの「政治・内閣変革から始めよ!」です。
 担当大臣は、その業務の長期継続性を考えれば、政権政党の議員からではなく、マネジメント能力とリーダーシップ能力を備えた官僚から選ぶべきでしょう。

 3回の小論にある個別の諸提案の総括ではなく、以上の総括に替えました。
 意をお組み取り頂ければと思います。


 次回、現状での私の少子化対策と非婚・結婚問題に関するまとめを行うことにします

 

(参考)少子化対策関連の2021年5月下旬~6月上旬投稿記事リスト
 

結婚・子育ての経済的側面タブー化が少子化対策失敗理由:『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』で考える絶対不可欠のBI論-1(2021/5/24)
夫婦・親子をめぐる欧米中心主義的発想が失敗の理由?:『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』で考える絶対不可欠のBI論-2(2021/5/26)
少子化の主因、リスク回避と世間体意識変革は可能か:『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』で考える絶対不可欠のBI論-3(2021/5/27)
山田昌弘氏提案の少子化対策とは?:『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』で考える絶対不可欠のBI論-4(2021/5/28)

コロナ感染拡大・長期化で妊娠届数大幅減少、出生数80万人割れ、少子化・人口減少加速(2021/5/29)
『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』シリーズを終え、結婚・非婚・単身をめぐる検討・考察へ(2021/5/30)
日経提案の少子化対策社説と記事から考える(2021/6/1)
結婚不要社会と結婚困難社会の大きな違い:『結婚不要社会』から考える(2021/6/3)
エマニュエル・トッド氏が見る日本の少子化対策問題(2021/6/5)
少子化対策総動員、全力で支え、あらゆる対策を:少子化対策連呼の日経社説の意識は高いのか低いのか(2021/6/7)

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