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グリーン水素と蓄熱発電:エネルギーをめぐる2022/1/21日経記事から考える長期エネルギー政策ビジョン-1(海外動向編)

 今日2022年1月21日付日経紙で、エネルギー関連記事を拾ってみたのが以下。

1.(真相深層)欧州が狙う「水素覇権」 早期量産へ大型投資 原発回帰で温暖化ガス実質ゼロへ
2.再生エネ電力 熱に変え貯蔵  コスト、電池の5分の1 シーメンス系や米新興が脱炭素促す
3.蓄熱市場、世界で1兆円  26年、出力調整の役割期待
4.関電など3社、料金上限に  3月、燃料費転嫁できず 続く高騰で家計にも負担
5.発電所やガス設備検査、立ち会い・目視の規制を緩和  AIやドローン活用、担い手不足に対応
6.(エコノミスト360°視点)エネルギーコストの上昇抑制を  小山堅 日本エネルギー経済研究所専務理事

 この6記事をそれぞれ概括し、当然それはごく一部ではあるが、現状のエネルギーをめぐる国内外の動向、流れを示すものとして確認してみることにした。
 2回に分けて、今回は、1~3までを技術編として、グローバルな視点でその動向の一端を知っておくことに。

欧州の原発回帰への豹変と一体の水素エネルギー覇権への深謀遠慮

EUのエネルギー政策、手のひら返しの意味・意図

 まず最初の記事
(真相深層)欧州が狙う「水素覇権」 早期量産へ大型投資 原発回帰で温暖化ガス実質ゼロへ」を、多少私見を挟みながら概括してみます。

 先日環境エネルギー政策でリーダーシップを取ることを当然のこととして、強権・脅迫的に情報発信を繰り返してきているEUが(ドイツは腹を立てているらしいが)、手のひらを返したかのように、原子力発電の活用にカジを切った。
 2050年までにゼロ・カーボン実現を謳ってはみたものの、そう簡単には進まないことを理由に、という本音?は隠す。
 長期化するコロナ禍での原油や天然ガス等温暖化ガス、CO2の源、化石燃料の価格高騰の流れに対抗・抵抗する方策としては、太陽光発電等再生可能エネルギーに頼らざるを得ないのだが、原子力発電技術およびコスト、そして予想される電力不足を考えると活用したほうが得策という判断。

原発電力利用で水素をつくる

 だが、もう一つの狙い、原発を使って、ゼロ・カーボン実現の鍵となる水素の生産を拡大し、水素の覇権を手中におさめる野望が透けてみえる。
 2022年が明けてすぐの元旦、EUの欧州委員会は、持続可能な経済活動を分類する「タクソノミー」で原子力を脱炭素に貢献すると位置づける方針を発表。
 水素製造を含む、電気や熱をつくるために2045年までに建設許可を得た原発がその対象ということだ。
 すべての自動車がEV化されても、電池で大型輸送機や大規模製造業においては、電力は必要で、太陽光・風力等再生可能エネの活用を進化させ、それを経て、同様CO2排出ゼロの水素に行き着くことになる。
 2050年時点で水素は最終エネルギー需要の最大22%をまかなうという予想があるという、


「グリーン水素」実現に向けて

 しかし現状では、水素の生産の多くは、化石燃料である天然ガスをエネルギーとしており、プロセスでCO2を排出することから「グレー水素」と言われる。
 一方、CO2ゼロの再生可能エネルギーで水素を作れば、「グリーン水素」と呼ばれる。
 ECの狙いは当然グリーン水素であり、原子力発電もCO2排出ゼロのため、 「ピンク」「パープル」に分類されるとも言われるが、グリーン水素陣の一員となるわけだ。

グリーン水素自給化へ

 グリーン水素覇権実現までのプロセスにおいて、已むなくロシアから天然ガス輸入に頼らざるを得ない状況にある現在のEU。
 EUを完全にグリーン水素社会圏とすることができれば、対ロシアへのエネルギー依存という弱みから完全に解放されることになるわけだ。
 多様な要素・要因・思惑を含んでのエネルギー戦略であり、他地域へのエネルギー依存からの脱却と自立を明確にめざすものと認識する時、どうしても日本の戦略の欠落、曖昧さに行き着いてしまう。

次に、
再生エネ電力 熱に変え貯蔵  コスト、電池の5分の1 シーメンス系や米新興が脱炭素促す」というテーマの記事から。

太陽光発電や風力発電は、天候に左右される。
安定的に需要に応えるために、蓄電・蓄熱が非常に重要な課題となり、各国企業がその技術開発に取り組んでいる。必要な時に必要な電力を確保できるか。
再生可能エネルギーとして発電された電力は、そのまま蓄積することができないために、何かしらの方法で、蓄積できるようにしておくことが、重要な技術課題になる。
ただし、何でもそうだが、そこで開発された技術は、従来のコストを大幅に低減できるものでなければ意味がなく、イノベーションとは呼べない

今注目されているそのための技術は「蓄熱発電」。
この「蓄熱発電」の大規模施設が2024年に稼働するというこの記事で、要点を把握しておきたい。


蓄熱発電とは

蓄熱発電は、基本的には、再生エネルギーでつくった電力を、一旦、熱や化学エネルギーに変え、溶融塩や砕石に蓄える。
それを利用するために、蓄えてあった熱から水蒸気をつくってタービンを回すなどして、必要な電力を再発電する。
天候に左右される太陽光発電や風力発電で、必要以上に発電した電力を熱に換えて数日貯めたのち利用することで、再生エネ出力を平準化することに等しい効果を持つことになる。


主要蓄電池、リチウムイオン電池の5分の1のコスト

とは言っても、一手間も二手間も余計に必要となるわけで、技術的に可能であったとしても、コストが現状の蓄電方法よりも高ければ、無用の長物。
この蓄熱発電による蓄電コストは1kw時約1万円と、リチウムイオン電池の5分の1のコスト化を実現。
大量に蓄積でき、設備の大型化で一層のコストダウンも可能とされている。

蓄電発電をリードする、シーメンス系とアルファベットからスタートアップのマルタ、そして続く面々

 蓄熱発電で先頭を走るのが、アルファベットの研究所から独立した米スタートアップのマルタ。
 2021年10月にカナダのNBパワーと共同での蓄電発電施設建設、2024年稼働へ。
 もう一つは、シーメンス・エナジー子会社で、スペインのシーメンスガメサ・リニューアブル・エナジーで、既に2019年に試験施設を建設済みで、風力発電などの余剰電力を蓄えているという。
 この2社が先行し、米電力研究所(EPRI)と米電力会社サザン・カンパニーとのプロジェクト、スウェーデンのアゼリオなど他が追随する。

2026年蓄熱市場の予測と、日本の蓄熱発電への取り組みの現状

 もう一つ、
蓄熱市場、世界で1兆円  26年、出力調整の役割期待」と題した記事は、先の記事を受けてのレポート。

 市場調査会社インターナショナルマーケットアナリシスリサーチ&コンサルティンググループ(IMARC)によると、世界の蓄熱関連の市場規模は2026年に94億5千万ドル(1兆800億円)で、前年比7割増の見通し。

 蓄熱発電市場開発の加速化は、石炭等使用の火力発電廃止の世界的傾向と関係が深い。
 現状は、蓄えられた熱を取り出して、熱として使うケースが多く、電力としての使用は今後増えていくと想定されている。
 その蓄熱発電の日本における状況は?
 残念ながら、先述の記事中に、愛知製鋼と豊田中央研究所、近江鉱業による、石灰と粘土鉱物の蓄熱材を使う試験設備の2024年ごろの建設計画が添えられていた程度。
 そうした技術開発の遅れは、ゼロ・カーボン社会、水素社会というエネルギー・環境思想や理念への追随にとどまる状況と重なり合うものといえるだろうか。

日本では発電量に占める火力の比率が高いうえ、原子力発電は活用に向けた議論が停滞している。脱炭素の推進に向けては再エネの利用が不可欠だが、高いコストが電気代に跳ね返れば生活を圧迫し、産業競争力を奪う。安い調整弁としての蓄熱発電を活用する余地は大きそうだ。


 この記事の最後に記された日経氏の言葉が、今回の3つの記事を総括する意見とみることができるだろう。
 結局、コストを最重視する姿勢がここに集約されており、それが国内企業の経営判断の軸ともなっていることとも重なる。
 いうならば、「今だけ、カネだけ、自分だけ」主義の表れでもある。
 その残念な日本の現状を、残る3つの記事を参考にして、次回確認することにしたい。

2050年国土・資源政策長期ビジョン構築に向けて

 こうした情報の確認等を通じて、当サイトが提案する以下の<国土・資源政策2050年ビジョン>における関係政策の一層の深化・具体化に結びつける予定です。
 他の3つのジャンル、<社会政策 2050年ビジョン><経済政策 2050年ビジョン><国政政策 2050年ビジョン>と合わせて、宜しくお願いします。

Ⅰ 国土・資源政策 2050年長期ビジョン及び長期重点戦略課題

<2050年国土・資源政策長期ビジョン>

有限の国土及び各種資源の安全保障を守り、持続性を備えた可能な限りの自給自足国家を確立し、国民の命と安全・安心を守る国家政策の2050年の実現・追究を図ります。

<2050年国土・資源政策長期重点政治行政戦略課題>

1.国土安全保障・維持総合管理
2.電力・エネルギー安全保障・維持開発管理
3.食料、農・畜産・水産業安全保障安全保障・維持開発管理
4.自然環境保全・持続可能性管理
5.社会的インフラ安全保障・整備維持管理
6.産業資源安全保障基盤・維持開発管理

2.電力・エネルギー安全保障・維持開発管理

(基本方針)
気候温暖化・自然環境破壊などがもたらす国民生活、各種事業活動上の不安・悪影響を抑止し、将来に向けて持続可能な電力・エネルギー自給自足体制の整備、安心・安全を保障する同システムの構築を推進し、2050年までに100%再生可能エネルギー国家と水素社会を実現する。

(個別重点政策)
2-1 100%再生可能エネルギー及び水素社会の実現
1)各再生エネルギー別現状及び長期問題点・リスクなど調査及び分析( ~2030年 )
2)個人住宅及び事業所建物再生エネ発電・電源利用義務化及び支援法制化・施行(~2030年)
3)長期電源構成ビジョン及び長期計画策定(~2025年)、エネルギー危機管理システム策定 ( ~2030年)
  進捗・評価管理 (2031年~) 、100%エネルギー自給自足国家化(~2050年)
4)水素エネルギー社会化技術開発調査及び長期計画・予算策定( ~2030年)
  プロジェクト進捗・評価管理 (2031年~) 、(100%再生可能エネによる)水素社会実現( ~2050年)
2-2 電力送配電網の国有化と家庭用電力基本料金の無料化
1)現状電力送配電網問題点調査及び方針立案(~2025年)
2)送配電網国有化法制化及び予算化、移行・実行計画立案(~2030年)
3)電力会社等電力事業システム再構築(国・地方自治体・民間企業及び個人・一般企業)
4)家庭用電力料金無料化(2050年~)
2-3 GXグリーン・トランスフォーメーション推進、原子力発電の停廃止と完全安全技術転用
1)産業別・企業別GX推進計画策定 (~2030年) 、進捗・評価管理 (2031年~)
2)国家主導・支援GX推進計画・支援計画策定 (~2030年) 、進捗・評価管理 (2031年~)
(1)2)参考)
3)必要原子力発電関連技術活用政策、長期計画策定 (~2030年)
4)原発停止方針確定、福島原発処理他廃棄物処理長期計画策定・予算化 (~2030年)

4.自然環境保全・持続可能性管理

(基本方針)
有限の国土・自然環境のもと、環境保護・自然保全、観光・文化資源保全と有効活用などの政策を推進し、持続可能な仕組み創りを2050年までに実現する。

(個別重点政策)
4-1 カーボンゼロ政策推進
1)長期カーボンゼロ化計画策定 (~2025年) 、進捗・評価管理 (2031年~)
2)炭素税法制化・運用管理化 (~2025年) 、進捗・評価管理 (2031年~)
3)産業別・企業別カーボンゼロ化促進政策具体化 (~2030年) 、進捗評価管理 (2031年~)
4)環境・エネルギー政策との統整合
4-2 自然環境の保全・保護・持続性確保長期整備
1)自然環境実態調査 (~2025年)
2)モデル自然環境・森林海浜保全保護計画策定 (~2030年)
3)環境政策課題体系化・総合化・個別計画立案、長期取り組み計画策定(~2030年)
4)再生可能エネルギー活用自然等との調整 (~2030年)
4-3 観光・文化資源の維持、有効活用
1)観光・文化資源実態調査と保全方針・計画立案(国家レベル)
2)地域文化・伝統保全方針及び支援計画策定 (~2030年) 、進捗・評価管理 (2031年~)
3)国内観光・文化資源評価と維持・活用方針 (~2030年)
4)インバウンド観光・文化資源評価と維持・活用方針 (~2030年)

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