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グレー水素、ブルー水素がグリーン水素に変わるまで頼りにするイエロー水素、ピンク水素

少しずつ、よくなる社会に・・・


脱炭素、脱原発、脱政策をめぐる動向から

2021年、遅ればせながら、珍しく、高らかに脱炭素宣言を行った前・菅政権。
とはいっても、その実現への工程表が具体的に描いてのことではなく、いわば、ウケを狙ったスタンドプレーのそれ。
岸田政権がこれを受けて、一歩踏み込んで実行計画を示すそぶりは今のところ見られない。

その間隙をぬってということではないが、地球温暖化対策・環境問題対策の盟主ともいうべきEUが、シレっと原発回帰の方針を打ち出した。
理念主義と合理主義を、いとも簡単に両立させるその神経・精神性は、ある意味立派である。
もちろん皮肉のつもりだが、理想は理想、実行・実現が困難とみれば、理想の看板を降ろさずに、現実的な方法・方策に転換するその柔軟性は、参考にはなる。

現実はそんなに簡単ではなく、ロシアの液化天然ガスへの依存度が高いドイツは原発国フランス主導のこの転換は、面白くない。
今、ウクライナへのロシアへの侵攻が取り沙汰され、欧米他ロシアへの批判が強くなる中、ドイツは微妙だ。

中国の新疆・ウィグル人権問題への批判姿勢を明確に示す前のEUは、中国への経済依存度から微妙にその立場をぼかしていたが、今は変わっている。
このあたりも、理念と経済合理性とのバランスのとり方の妙がEUにはある。
決してその内部は一枚岩ではないのだが。


余談になってしまいました。
今回の主題、水素エネルギーに戻ります。

そのEU。
原発回帰は、再生エネルギーへの転換を強力に進めつつ、中長期的に目指している水素社会の実現に早期に目処をつけるための、極めて戦略性の高い取り組みである。

完全再生可能エネルギーとしての水素エネルギー社会実現のためのフェーズ

再生可能エネルギー社会の完成形は、必要なエネルギー源をすべて水素に置き換えるいわゆる「水素社会」の実現である。
再生可能エネルギーで発電した電気で水を分解して製造するCO2排出ゼロの水素。
これが「グリーン水素」。
しかし、現状、再生可能エネルギー自体も低コスト化の課題をクリアできず、安価でグリーン水素を生産する独自の技術も開発・確立されておらず、致し方なく、化石燃料から水素を作る方式に、一時的に頼らざるを得ない。

第1フェーズとしてのグレー水素

ということで、現状市場で流通する水素の大半は、この化石燃料由来のもの。
これが「グレー水素」。
1kg1ドル程度と安価なのはよいが、製造過程でCO2を排出する。
対する再生可能エネルギーで発電した電気で水を電気分解して製造するCO2ゼロの「グリーン水素」は同5ドルコストがかかるとされる。

第2フェーズとしてのブルー水素

このやむを得ない「グレー水素」の製造過程で出るCO2を回収して製造したのが「ブルー水素」である。
すなわちここでCO2排出権の売買という妙な市場もできており、そのための技術開発やそこでのコストダウンの取り組みも行われている。
こうなると、人間は、利口なのかバカなのか、どうも紙一重の感覚になる。

現実から選択された、EUの原発回帰に基づく原発由来の第4の水素、イエロー水素・ピンク水素

理想としてのグリーン水素がめざす最終フェーズでのものとすれば、ここでEUにアメリカ等を加えたグループが原発利用で水素を製造するのが第3フェーズになるはず。
しかし、第4の水素と表現するのは、めざすグリーン水素が第1の水素だから。
風力発電、太陽光発電等再生可能エネルギー政策を推進しつつ、CO2排出ゼロの、既に低コスト化が確立されている原子力発電の余剰分を水素製造のエネルギーとして活用する。
そこから製造される第3フェーズの水素が「イエロー水素」または「ピンク水素」ということだ。
なにやらパレットを想起させるカラー水素のラインアップ。
低コストと脱炭素を両立する技術として期待がかかる、この水素の色の由来はウラン燃料の原料となるイエローケーキや、色の種類のアトミックピンクが語源という。
ウラン燃料のイエローやアトミックピンクからとったというのは、どうにもセンスの悪さ、かえって気味の悪さを感じてしまうのだが・・・。

すべて後追いの日本政府と福島第一原発問題による呪縛から抜け出せない日本の弱み

さて、欧米の原発回帰というか、原発有効活用転換を日本政府と財界はどう見ているだろうか。
しかし、どう思おうが、安全基準を満たすことなく休止状態がほとんどの日本の原発。
しかし、その状態でも、高い料金を負担してはいるが、日常生活や企業活動に問題がある電力不足は生じていない。
これをどう考えるか。
未だ政府は、電源構成の中長期計画に、原発を一定レベル以上組み入れ留めたい考えをもっている。
こういう現実と本音と理想とが交錯して、複雑なギャップが広がるばかりだが、それらを的確に調整し、現実的・具体的な、日本流の水素社会実現のデッサンを早期に描き、適切なグリーン水素社会への途を切り開いて欲しいものだ。
その作業は、当然政府・行政の力、認識、熱意、リーダーシップ、マネジメントに頼れそうにもない。
とすれば産学に傑出したリーダー、あるいは突出したトップ・リーディング企業の登場を期待したところだが、それも難しい。

しっかりと長期ビジョンと方針を再構築し、中長期の工程表を示し、国民の合意形成を

無色透明だが、純粋な水素が、安心・安全な社会を創造する取り組み。
少なくとも、この課題とその取り組みの重要性、そして10年、20年をかけての実現のための方針・方策の合意形成が、政治イシューとして取り上げられ、2025年までになされるように。
そう願っています。

(以下参考)

Ⅰ 国土・資源政策 2050年長期ビジョン及び長期重点戦略課題

<2050年国土・資源政策長期ビジョン>

有限の国土及び各種資源の安全保障を守り、持続性を備えた可能な限りの自給自足国家を確立し、国民の命と安全・安心を守る国家政策の2050年の追究・実現を図ります。

<2050年国土・資源政策長期重点政治行政戦略課題>

1.国土安全保障・維持総合管理
2.電力・エネルギー安全保障・維持開発管理
3.食料、農・畜産・水産業安心安全保障・維持開発管理
4.自然環境保全・持続可能性管理
5.社会的インフラ安全保障・整備維持管理
6.産業資源安全保障基盤・維持開発管理

2.電力・エネルギー安全保障・維持開発管理

(基本方針)
気候温暖化・自然環境破壊などがもたらす国民生活、各種事業活動上の不安・悪影響を抑止し、将来に向けて持続可能な電力・エネルギー自給自足体制の整備、安心・安全を保障する同システムの構築を推進し、2050年までに100%再生可能エネルギー国家と水素社会を実現する。
(個別重点政策)
2-1 100%再生可能エネルギー及び水素社会の実現
1)各再生エネルギー別現状及び長期問題点・リスクなど調査及び分析( ~2030年 )
2)個人住宅及び事業所建物再生エネ発電・電源利用義務化及び支援法制化・施行(~2030年)
3)長期電源構成ビジョン及び長期計画策定(~2025年)、エネルギー危機管理システム策定 ( ~2030年)、進捗・評価管理 (2031年~) 、100%エネルギー自給自足国家化(~2050年)
4)水素エネルギー社会化技術開発調査及び長期計画・予算策定( ~2030年) 、プロジェクト進捗・評価管理 (2031年~) 、(100%再生可能エネによる)水素社会実現( ~2050年)
2-2 電力送配電網の国有化と家庭用電力基本料金の無料化
1)現状電力送配電網問題点調査及び方針立案(~2025年)
2)送配電網国有化法制化及び予算化、移行・実行計画立案(~2030年)
3)電力会社等電力事業システム再構築(国・地方自治体・民間企業及び個人・一般企業)
4)家庭用電力料金無料化(2050年~)
2-3 GXグリーン・トランスフォーメーション推進、原子力発電の停廃止と完全安全技術転用
1)産業別・企業別GX推進計画策定 (~2030年) 、進捗・評価管理 (2031年~)
2)国家主導・支援GX推進計画・支援計画策定 (~2030年) 、進捗・評価管理 (2031年~)
(1)2)参考)
3)必要原子力発電関連技術活用政策、長期計画策定 (~2030年)
4)原発停止方針確定、福島原発処理他廃棄物処理長期計画策定・予算化 (~2030年)


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