1. HOME
  2. NOTES
  3. Books
  4. 2050年社会政策ビジョンにおける教育制度改革考察・提案のための参考図書
Books

2050年社会政策ビジョンにおける教育制度改革考察・提案のための参考図書


 当サイトの目的・方針である2050年の望ましい日本の社会の創造のために、今月10月「国土・資源政策」「社会政策」「経済政策」「国政政策」の4つの区分毎に2050年長期ビジョンを設定しました。
 そのうちの一つ「社会政策」は、次の6つの分野でそれぞれ政策化。

<2050年社会政策長期・政治行政重点戦略課題>
1.社会保障・社会福祉制度改革
2.保育・子育て支援政策、少子化・子ども貧困対策
3.教育制度改革
4.ジェンダー課題政策
5.高齢化社会政策・介護政策
6.各種社会問題対策


 それぞれの分野毎に、もう一段細分化した項目を設定し、具体的な政策の提案・提言作業に入っていく予定です。
 その中の<教育制度改革>は、それらの多くの課題の中で、私自身まだまだ情報不足・勉強不足・能力不足の領域のテーマ。
 一応、以下のように具体的項目を整理していますが、個々の提案のほとんどは、これからという状況です。

3.教育制度改革
(基本方針)
 次世代を形成する児童・学生への期待は、教育機会の平等、教育格差の是正、学校や教育システムなどのインフラを経済的な不安なしで利用できる制度など、社会的共通資本としての教育制度・教育政策基盤が整備され、提供されて初めて、積極的な行動を求めることができるものです。
 そのために必要なさまざまな制度の体系と方法を再構築し、自身の希望に挑戦し困難を克服する姿勢・能力・技術の向上や自己実現・社会貢献に結びつく多様な個性・人間性そして人生の実現の支援政策を推進します。
(個別重点政策)
3-1 義務教育改革(幼児教育・小学校教育・中学校教育)
1)5歳児・4歳児義務保育制導入
2)教育格差、いじめ・自死、学童保育等社会問題対策
3)新教育基本法改正、教科・教育方法改訂、Edtec活用システム開発
4)教員支援・教員養成支援
3-2 高等学校・専門専修学校教育改革
1)高等教育改革(受験システム、高校専門教育課程・専門高校多様化拡充)、専門専修学校教育改革
2)起業・経営専門スキル、IT・AIスキル教育課程拡充
3)学生交流・交換留学等教育国際化推進
4)ベーシック・ペンション学生等基礎年金、特別供与奨学金制度による経済的支援
3-3 大学・大学院教育改革、留学・社会人教育、生涯教育基盤拡充
1)大学・大学院教育改革、同受験システム改革、大学・大学院組織改革、研究者支援システム改革
2)学生支援制度拡充、特別奨学金制度、留学生支援制度
3)社会人キャリア開発・高度専門スキル開発教育支援、生涯学習基盤整備拡充
4)大学・大学院組織改革、高度教育技術システム開発


 そこで、これからその個々の政策課題の具体化、問題提起に取り組むに当たって、手元にある教育関連書、主に新書を集めてみました。
 昨年来入手し、斜め読みした教育関連新書等には以下の1)~4)があり、2019年以前に入手したものに5)6)があります。

1)『教育論の新常識 格差・学力・政策・未来 (中公新書ラクレ)』(2021/9/10刊・松岡亮二氏編著)
2)『教員という仕事 なぜ「ブラック化」したのか (朝日新書)』(2020/11/30刊・朝比奈なを氏著)
3)『教育は何を評価してきたのか (岩波新書)』(2020/3/19刊・本田由紀子氏著)
4)『教育格差 ──階層・地域・学歴 (ちくま新書)』 (2019/7/10刊・松岡亮二氏編著)
5)『「学力」の経済学』 (2015/6/18刊・中室牧子氏著)
6)『日本の分断~切り離される非大卒若者(レッグス)たち~ (光文社新書)』(2018/4/30刊・吉川徹氏著)

 
 それらの書の構成を整理確認し、先の政策項目のどれと関連しているか、どの執筆が参考になるか、あるいは政策課題に別途取り込み、設定すべきものはないか。
 こうした目的のために、上記書を順次取り上げ、それぞれの構成(目次)を見える化し、照らし合わせていくことにします。

教育論の新常識 格差・学力・政策・未来 (中公新書ラクレ)』(2021/9/10刊・松岡亮二氏編著)とその構成

 新刊書です。
 入手したばかりで、今読み進めているところで、非常にインパクトを受けた論述が多々あります。
 これからいくつかを取り上げて、上記の個別政策課題について下記の他の書も必要に応じ参考にしながら問題提起・提案を行っていく予定です。

Ⅰ 教育格差
1.社会経済的地位(SES):日本社会が直視してこなかった「教育格差」
2.子どもの貧困:経済や福祉のみならず、なぜ教育の役割が欠かせないか
3.デジタル化:ICT導入で格差拡大 日本の学校がアメリカ化する日
4.ジェンダー:「性別」があふれる学校は変われるか
5.国籍・日本語教育:多民族化・多文化化する社会に公教育はどう対応するか
Ⅱ 「学力」と大学入試改革
6.国語教育:「論理国語」という問題・今何が問われているのか
7.英語入試改革:ぺらぺら信仰がしゃべれない日本人を作る
8.英語教育:「グローバル化で英語ニーズの増加」の虚実
9.共通テスト:大学入試改革は「失敗」から何を学ぶべきか
10.大学教育:「広く浅い」学びから脱却せよ
Ⅲ 教育政策は「凡庸な思いつき」でできている
11.Edtech:GIGAスクールに子どもたちの未来は託せるか
12.九月入学論:推計作業を通して見えた不毛
13.学費:大学無償化法の何が問題か・特異で曖昧な制度設計
14.教員の働き方:教員という「聖職」に潜むリスク
15.教員免許更新制度改革:改革のための改革を止めることこそ改革
Ⅳ 少しでも明るい未来にするために
16.審議会:データと研究に基づかない思いつきの教育政策議論
17.EBPM(エビデンスに基づく政策立案):データと研究に基づかない政策では「教育格差」が変わることはない
18.全国学力テスト:学テは問題点だらけ・目先ではなく10年先を
19.埼玉県学力調査:世界が注目 子どもの成長を「見える化」する調査
20.教育DX:地方と国、教育行政の挑戦・コロナ禍における調査


教員という仕事 なぜ「ブラック化」したのか (朝日新書)』(2021/9/10刊・氏著)とその構成

第1章 問題山積みの教員の世界
 ・全教員数は約99万人
 ・教員は本当に忙しい
 ・非常勤の教員がいなければ学校はまわらない
 ・正規・非正規が教員の分断を生む
 ・さまざまな立場の「先生」たちが増えている
 ・地域によって学校環境の差は大きい
 ・教員の上下関係が作られている
 ・評価が上下関係をさらに強める
第2章 悲鳴をあげる心と身体
 ・精神的ストレスが引き起こす大量の休職
 ・教員の犯罪は多いのか
 ・東須磨小学校教員間暴行等事件から見えるもの
 ・調査報告書から浮かぶ疑問
 ・都立高校男性教諭体罰事件から見えること
第3章 不信が出発点の「教員改革」
 ・教員の資質・能力への提言は時代に直結する
 ・求める学力の変化と教員への批判、そのなかで進められた変革
 ・いじめ自殺や体罰が、教員への批判を加速させる
4章 「求める教員」像とは
 ・「教員改革」の底流にるもの
 ・採用と研修段階の課題
 ・今後の方向性への提言
 ・今後の方向性への提言
 ・求めているのは「聖人君子」
 ・興味深い「優秀教員」の調査研究
 ・「仕事のやりがい」に惹かれて教員になる人が過半数
 ・「優秀な教員との出会い」が一番役に立つ経験
 ・目指す授業は当然ながら「分かる授業」
 ・調査結果への疑問
第5章 教員のリアル ー 5人のインタビュー
 ・取材でわかった教員のリアル
 ・教員を目指す学生の声
 ・教員採用試験合格までの道筋
 ・増加する「先生塾」
 ・相当な受験勉強をしなければ受からない
「ずっと学校が好きだった」
「管理職の仕事ってなんだろう」
「どんどん忙しくなる10年だった」
「自分を越えた教え子をどれだけ作れるか」
「授業は芸術。教壇は舞台」
第6章 傍らにいる人の教員像
 ・現役教員の取材を終えて
 ・養護教諭の立場から見た教員
 ・子どもの困り事をサポートする立場から見た教員
 ・教育相談の立場から見た教員
 ・無神経な言動をする教員
 ・教育や世界・日本の動きを知らない教員
 ・無事に子育てを終えた保護者が見た教員
 ・小学生の保護者としての教員との思い出
 ・現実のモンスターペアレントの存在を知って
 ・私立中高一貫校に入学させて
 ・これまで出会った教員の印象
第7章 教員・学校の将来のために
 ・「教育改革」の点検が必要
 ・新しい働き方のために「チーム学校」を大胆に進めるべき
 ・複数担任制、教科担任制と校務分掌の見直しが急務
 ・改革の最大のキーマンは管理職
 ・教員の同質化を食い止めることも喫緊の課題


教育は何を評価してきたのか (岩波新書)』(2021/9/10刊・本田由紀子氏著) とその構成

 これまでに当サイトで取り上げた唯一の教育をテーマにした新書です。
(参考)
高校教育の多様化を教育の水平的多様性実現の起点に:『教育は何を評価してきたのか』から考える (2020/6/26)
 時代を遡って教育の歴史を辿っており、そちらのボリュームの方が大きいのですが、内容的には非常に重要なものと思います。
 2050年までの教育政策を考える上では、やはり2000年代以降、最近の教育政治・行政の現実を知った上で、筆者は「出口」としていますが、当サイトでは、敢えて「入り口」を考えるための参考に、本書を再度読み返してみたいと考えています。
 

第1章 日本社会の現状 ー 「どんな人」たちが「どんな社会」を作り上げているか
第2章 言葉の磁場 ー 日本の教育の特徴はどのように論じられてきたか
第3章 画一化と序列化の萌芽 ー 明治維新から敗戦まで
第4章 「能力」による支配 ー 戦後から1980年代まで
第5章 ハイパー・メリトクラシーへの道 ー 1980~90年代
第6章 復活する教化 ー 2000年代以降
第7章 出口を探す ー 水平的な多様性を求めて


教育格差 ─ 階層・地域・学歴 (ちくま新書)』 (2019/7/10刊・松岡亮二氏編著) とその構成


 最初に紹介した最新図書『教育論の新常識』の編著者である松岡亮二氏が、2年前に出版した新書の中ではボリュームがある書。
 その構成は以下ですが、その中の一部を、前掲書の中で活用しています。
 幼児・小学校・中学・高校と段階を追って教育格差を取り上げており、体系的に教育政策を検討する上で、参考になります。

第1章 終わらない教育格差 
1.親の学歴と子の学歴
2.出身地域による学歴格差
3.意識格差 ー「大衆教育社会」から「階層化社会」へ
4.階層と「不利な状況」の打破
5.時代を超えて確認される格差構造
第2章 幼児教育 ー 目に見えにくい格差のはじまり
1.これまでにわかっていること
2.異なる子育てロジック
第3章 小学校 ー 不十分な格差縮小機能
1.子育ての階層格差<個人水準の格差>
2.学校・地域の格差<集合水準の格差>
第4章 中学校 ー 「選抜」前夜の教育格差
1.階層格差<個人水準の格差>
2.学校・地域の格差<集合水準の格差>
第5章 高校 ー 間接的に「生まれ」で隔離する制度
1.「能力」による生徒の分離 ー 学校間のSES格差
2.制度的に拡大化された教育「環境」の学校間格差
第6章 凡庸な教育格差社会 ー 国際比較で浮かび上がる日本の特徴
1.すべての社会に格差は存在する
2.「効率」を追求する高校教育制度
第7章 わたしたちはどのような社会を生きたいのか
1.建設的な議論のための4カ条
2.<提案1>分析可能なデータを収集する
3.<提案2>教職課程で「教育格差」を必修に!
4.総括 ー 未踏の領域

「学力」の経済学』(2015/6/18刊・中室牧子氏著) とその構成

 教育に限らず、研究者に限らず、種々の政策を提起する上でエビデンスが不可欠という認識は高まっています。
 中でも教育分野に関してそうした流れを形成し、共通認識かする上で貢献しているのが、本書執筆の中室牧子氏と先の松岡亮二氏、二人と思います。
 特に中室氏の本書は、必ずといってよいほど、教育論・教育政策書では取り上げられています。
 先の『教育論の新常識』の中でも同氏は、対談相手として、あるいは聞き手として登場しています。
 

第1章 他人の”成功体験”はわが子にも活かせるのか? ー データは個人の経験に勝る
第2章 こどもを”ご褒美”で釣ってはいけないのか? ー 科学的根拠エビデンスに基づく子育て
第3章 ”勉強”は本当はそんなに大切なのか? ー 人生の成功に重要な非認知能力
第4章 ”少人数学級”には効果があるのか ー 科学的根拠エビデンスなき日本の教育政策
第5章 ”いい先生”とはどんな先生なのか? ー 日本の教育に欠けている教員の「質」という概念
補 論 なぜ、教育に実験が必要なのか


日本の分断~切り離される非大卒若者(レッグス)たち~ (光文社新書)』(2018/4/30刊・吉川徹氏著) とその構成

 教育書としてよりも学歴格差に軸を置いての現役世代の分断社会をテーマとした良書と思います。
 しかし、サブタイトルに「非大卒者」とあるとおり、また第3章に<学歴分断社会>とあることからも、教育問題とこれを捉え、中学校・高校・専門専修学校の在り方を考える上で、非常に重要な内容を提示しており、再度読み直したいと考えています。

第1章 忍び寄る次の時代
第2章 現役世代の再発見
第3章 学歴分断社会
第4章 人生の分断
第5章 分断される「社会の心」
第6章 共生社会に向かって

 今後の取り組み方としては、冒頭の3つの区分ごとに4つの項目を設定。
 計12個目について、それぞれ順を追って考察・提案するのが理想ですが、関心度が高いもの、最近ニュースなどで話題になっていることなど、特に順を決めずに、取り組んでいこうと思います。

3-1 義務教育改革 1)5歳児・4歳児義務保育制導入>に関する記事リスト

 なお、先に紹介した『教育は何を評価してきたのか』を取り上げた記事もありますし、冒頭掲げた2050年社会政策長期ビジョン中の<3 教育政策>の(3-1)義務教育の1)項、5歳児・4歳児義務保育制 に関しては、当サイトで既に以下の記事で提案しています。
 それぞれ見直しも必要であり、後日再度整理して提案する予定ですが、これらをチェックして頂ければ幸いです。

保育園義務教育化と保育グレード設定による保育システム改革-1(2020/3/23)
幼保無償化後の現実的課題:抜本的な保育行政システム改革への途(2020/5/29)
少子化対策、2025年児童基礎年金月6万円支給と幼稚園義務教育化(2020/9/25)
5歳児幼児義務教育化と0~2歳乳幼児への幼児教育化を:「子ども庁、何を優先すべきか」より-2 (2021/6/14)
高校教育の多様化を教育の水平的多様性実現の起点に:『教育は何を評価してきたのか』から考える (2020/6/26)