体系的課題別「安心安全安定・保有保持確保」の安保政策の長期的政策合意形成と取り組みを:21世紀第2四半期の安保政策シリーズ-1

国政政策

少しずつ、よくなる社会に・・・

安全保障問題の視点・視野の狭さがもたらす政治的取り組みの一過性・遅滞と絶望感

どちらも長引く新型コロナ感染症とロシアのウクライナ侵攻の影響を受けて、「○○安全保障」という表現で種々の問題が語られるようになっている。
そのなかで最も盛んなのが、政治イシューとされやすい、経済安全保障と軍事的防衛上の安全保障だが、根底にあるのは、国民の生活と企業活動の持続性をベースとした安全保障であり、丁寧に考えてみるとその領域と課題は、非常に多岐にわたっていることが分かる。
しかし、予算委員会等での取り組みや、レベルの低い内閣や与野党政党政治等を見る限りでは、目の前のことしか頭にはなく、長期的・戦略的視点での政策を論じる様子など無いに等しい。


安全保障という概念の狭隘性、政治家が持つイマジネーションの乏しさ

そしてまた、この「安全保障」という表現は、しっくりこない。
そもそも「保障」は「保証」と強く連動・連鎖する感じが強く、絶対的なものであるかのように連想させる。
絶対・完全な状態などありうるはずはなく、「保障」「保証」よりも「保持」「保有」「確保」などの多面的・多義的な「保」を示すものと考えている。
また「安全」も実際には、「安心」や「安定」という意味・主旨も含めて用いるべき用語と思う。
言葉の綾を捉えた無用の作業とお思いになる向きもあるかもしれないが、敢えて申し上げ、確認をと思い本稿を書いている。

そして、この「安心・安全・安定」の保有・保持・確保の安保政策の課題は、非常に多岐にわたっており、その実現には、当然だが非常に長期間と費用とを要する。

安保政策課題の多様性と現状強く認識されている個別安保課題

「2050年の望ましい社会の創造・構築」を目標とする当サイトの方針とその視点は一致している。
これまでの運営方針に、コロナ禍とウクライナ侵攻が招いたこうした意味合いからの「安保政策」課題の整理・確認を試みると、以下のような課題が挙げられる。

1.エネルギーの安心安全安定・保持保有確保課題=エネルギー安保
2.食料の安心安全安定・保持保有確保課題=食料安保
3.半導体の安心安全安定・保持保有確保課題=半導体安保
4.国民生活の安心安全安定・保持保有確保課題=生活安保
5.社会構成人口の安心安全安定・保持保有確保課題=人口安保
6.地域社会生活社会資本の安心安全安定・保持保有確保課題=地方行政安保
7.国家防衛の安心安全安定・保持保有確保課題=防衛安保
8.国家財政・地方財政の安心安全安定・保持保有確保課題=財政安保

2023年の当サイトの運営方針は、こうした多様な長期的戦略的政策課題を「安保」の視点で、個別課題内における体系的・総合的考察と提案、そして、個別課題間の関係性をしっかり把握した上での体系的・総合的考察・提案を図ることとしたい。
題して、「21世紀第2四半期の安保政策シリーズ」。
今回がその序論としての第1回。

若い世代、現役世代への呼びかけへ

そして、それらの取り組みにおいて強く意識し、実践していきたいのは、若い世代、現役世代への呼びかけ・提案である。
例示した課題は、すべて10年、20年、30年という時間・期間をかけて取り組むべきものであり、現状の政治と政治家にそれらの営みを委ねることが到底ムリなことは分かりきっているからだ。
私たちのような、2050年にはこの世にいないか、介護生活で寿命を長らえている高齢者が、そうした使命感をもって取り組むことはムリだろうし、実際に使命感も責任感も持たない者の方が圧倒的に多いだろうから。
そうした無責任さをさて置いての戯れ言だが、私たち70代夫婦の40代の息子たちや10代、一桁世代の孫たちが生きる時代の望ましい社会経済システムを考え、その実現を思い願うことは自然なことだろう。

そうした作業を勧めていく上での準備作業としての投稿を、上記安保課題の中のいくつかを選んで、年内数回行なうことができればと考えています。
なお、この思いは、昨日、別サイトに投稿した以下のブログの再確認でもあり、本記事は同ブログの補足でもあります。
閣僚・国会議員・官僚による予算委員会・国会活動が、最も労働生産性が低い業務(2022/12/1)

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