介護の排泄ケアシステムツール、ヘルプパッド、100施設以上に納入:女性CEO宇井吉美さん創業のaba 

介護制度、高齢化社会

少しずつ、よくなる社会に・・・

排泄ケアシステム「Helppad(ヘルプパッド)」開発・納入へ

2022/6/7日経・<テクノロジストの時代>)というコラムで
「排せつ物の臭い、AI検知 介護テックaba宇井吉美CEO」
と題した記事をみました。
⇒ 排せつ物の臭い、AI検知 介護テックaba宇井吉美CEO: 日本経済新聞 (nikkei.com)

「○○テック」という表現が、すべての生活や産業領域で用いられるようになっていますが、「介護テック」もその一つ。
種々の介護現場における作業の生産性を上げるためのIT活用。
しかし、はっきりとスタッフ何人分の作業を合理化・効率化し、省人化できるというDXは現実的にはなかなか困難と思っています。
ただ、介護ロボでは腰などに負担がかかる重労働を軽減でき、センサーを用いての見守りやケアで、無駄な作業を削減するなど直接のケア作業にまつわるIT化は、少しずつ進められてきていますが、何が、どの種類の施設で、どの程度まで導入・利用されているかのデータを見るまでには至っていないと思います。

しかし、この記事タイトルを見たとき、介護の直接ケア作業の中の最も大変な「排泄ケア」のためのシステムとはどういうものか、もしこれが本当に役立つレベルのものならば・・・、と。

宇井吉美さんという女性が、祖母の介護経験をきっかけに、介護現場に役立つモノ作りを志し、それが可能な技術系大学を探して進学。2011年大学生の時に介護テックスートアップ、abaを起業。
学生時代の同級生をCTOに迎え、自ら介護現場にも入り込み、また自ら紙おむつを履いて実験対象となり、なんとか10年がかりで2019年開発・商品化にこぎつけたという「排泄ケア」システム、<介護向けデバイス「Helppad(ヘルプパッド)」。
今は、100施設、100セット以上納入されているといいます。

同記事では、さらっと概要のみの紹介。
調べてみると、https://www.businessinsider.jp/ で以下の4回にわたるかなり詳しいレポートをネットで見ることができました。

(第1回):【aba CEO・宇井吉美1】オムツの中見ずに排泄感知するロボットを開発。介護の負担減らす「ケアテック」で10億円調達 | Business Insider Japan
(第2回):原点は母親代わりだった祖母の「うつ発症」。介護ロボットとの運命的な出合い【aba CEO・宇井吉美2】 | Business Insider Japan
(第3回):「この製品、要らなくない?」と介護現場で苦悩。「巻き込み力」武器に全国100施設に導入【aba CEO宇井吉美3】 | Business Insider Japan
(第4回):「ドラえもんのお医者さんカバン」みたいなケアテックで「人類を温かさで包む」【aba CEO宇井吉美4】 | Business Insider Japan


HelpPad ヘルプパッドはシート状のもの。
見た目はシートの形だが、AIなどのロボット技術により排泄パターンを解析する、いわば介護ロボットの一種。
排泄センシングおよびパターン解析によって、ベッドに敷くだけで、においセンサーで便と尿排泄を検知し、オムツ交換やトイレ誘導を適切なタイミングで報せる機能を搭載
センサーを「さっと敷くだけ」のシート状にしたのは、「ケアされる人の生活を邪魔せず、介護者の負担も減らせるから」。
不快感や便漏れを防ぎ、排泄ケアの負担を和らげることで、介護者・要介護者の精神的・肉体的負担の軽減に役立っている。
要介護者の微妙な感覚や、介護スタッフの今までの経験による、あるいは定時作業化により、多く発生していた「おむつ替えの空振り」というガックリとくる、ムダになる作業を、必要な時、ほぼジャストインタイムの作業に切り替えることが可能になったわけです。

画像は、同社HP 株式会社aba (aba-lab.com)排泄ケアシステム Helppad から引用しました。


開発・商品化にいたるまでのプロセス、困難については、先述の4つの記事をお読み頂ければと思います。

なお、同社の2つのHP 株式会社aba (aba-lab.com)排泄ケアシステム Helppad から、前掲分を含む3つの動画を転載させて頂きました。
併せてご覧頂ければと思います。

https://youtu.be/RQMnf2YxNuM

なお、こうした商品についてはよくあることですが、その販売価格などは、HP上でも明示されていないことが多いですね。
調べつくしているわけではないのですが、現状私もHelppadがいくらで導入可能なのか知りません。
また、パラマウントベッドとの共同開発であることで、納入においてベッドも指定されるのか否かも知りたいところです。

2019年の全国の介護施設数は、有料老人ホーム15,134施設、特別養護老人ホーム8,234施設。
この数を考えると、発売開始からまだ日が浅いとはいえ、100施設は決して多いとはいえません。

介護ロボットを含め、他の介護ケアITの導入費用は、補助金が付くとはいえ、中小・零細規模が多い介護業界においては、やはりそれ相当の負担になります。
ここが、介護事業自体が抱える事業規模・事業体組織及び収益構造など根本的な介護業界の課題であり、当然介護制度、介護行政の課題でもあります。
生産性を上げる必要がある、という声は大きいですが、Helppad 導入に生産性云々を求めるのも本質を外した意見・議論であることは間違いありません。
排泄ケアは、その範疇での課題ではないのです。

                     少しずつ、よくなる社会に・・・

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