2002年から2021年までに発刊され、入手した社会保障関連書を比較・概括する

社会政策

 先行して、今年2021年4月に発刊された宮本太郎氏著『貧困・介護・育児の政治 ベーシックアセットの福祉国家へ』を取り上げて以下の記事を。
1.ベーシックアセット提案の宮本太郎氏のベーシックインカム論-1(2021/8/20)
2.福祉資本主義の3つの政治的対立概念を考える:宮本太郎氏『貧困・介護・育児の政治』序論から(2021/9/3)3.ベーシックアセットとは?:ベーシックアセット提案の宮本太郎氏のベーシックインカム論-2(2021/9/4)
4.増加・拡大する「新しい生活困難層」:宮本太郎氏『貧困・介護・育児の政治』からー2(2021/9/5)
5.貧困政治での生活保護制度と困窮者自立支援制度の取り扱いに疑問:宮本太郎氏『貧困・介護・育児の政治』からー3(2021/9/7)
6.貧困政治とベーシックインカム、ベーシックアセット:ベーシックアセット提案の宮本太郎氏のベーシックインカム論-3 (2021/9/8)
7.利用者視点での介護保険制度評価が欠落した介護政治論:宮本太郎氏『貧困・介護・育児の政治』からー4 (2021/9/9)
8.政治的対立軸を超克した育児・保育政治を:宮本太郎氏『貧困・介護・育児の政治』からー5 (2021/9/11)
9.理念・構想・指針としてのベーシックアセット、現実性・実現性は?:ベーシックアセット提案の宮本太郎氏のベーシックインカム論-4(2021/9/13)

 その後、遡って2020年発刊の小沢修司氏による著 『福祉社会と社会保障改革―ベーシック・インカム構想の新地平』(2002/10/30刊) を取り上げ、その前半部分に関する以下の記事を。
社会保障制度審議会1995年勧告に関係なく悪化を続けてきた社会保障制度(2021/9/25)
25年前に描かれた、国民負担増という社会保障制度改悪へ進む日本 (2021/9/26)

 この両書を比較関連させた以下の記事を前回投稿。
2002年小沢修司氏著から2021年宮本太郎氏著までの間、社会保障・福祉制度はどう変わったか (2021/9/29)

 そしてその中で、最後に、ここ1~2年で手にした社会保障関係の以下の書を紹介し、今回、ざっとこの5冊で、21世紀の日本の社会保障制度のあり方・課題について、既に当サイトで提起している2050年の社会政策長期ビジョンとの整合を図る材料にすべく、それぞれその構成(目次)を転載し、概括することにしました。

・『社会保障亡国論 (講談社現代新書)』(鈴木亘氏著:2014/3/20刊)
・『人口減少と社会保障 – 孤立と縮小を乗り越える (中公新書)』(山崎史郎氏著:2017/9/25刊)
・『社会保障再考 〈地域〉で支える (岩波新書)』(菊池馨実氏著:2019/9/20刊)

福祉社会と社会保障改革―ベーシック・インカム構想の新地平』(2002年)

<小沢修司氏>
1952年生、京都府立大学名誉教授

第1章 いま何故、社会保障改革か
1.家族・労働の変化と社会保障制度の揺らぎ
 1)家族の変化
 2)労働の変化
2.わが国社会保障制度の「企業中心社会 」的特徴
3.「企業中心社会 」 の弊害
 1)個人生活の自由度の制約
 2) 「企業中心社会 」と少子化の進展
 3) 少子化の要因への対応の視点
4.「男女共同参画社会」の戦後税制の転換
 1) 「男女共同参画社会」 を目指して
 2)政府税制調査会「基本方針」における個人所得課税の見直し
 3)配偶者控除、配偶者特別控除の異質性
第2章 国民負担から見た社会保障改革
1.「福祉ビジョン」の描く「社会保障の給付と負担」像
 1)破綻した「日本型福祉社会」論
 2)「福祉重視」型への転換と国民負担増
2. 社会保障 の「国民負担」
 1) 「国民負担」 に隠された国民負担の実像
 2) 「国民負担」論議と「社会保障構造改革」
3.80年代からの「受益者負担」戦略の評価
 1)医療における自己負担金
 2)福祉 における自己負担金
 3)社会福祉「自己負担金」の推計
4.国民負担から見た社会保障と国民生活
 1)国際比較に見る社会保障水準の低さ
 2)個人負担と国民生活
 3)国民負担のあり方と社会保障改革の方向
Ⅱ ベーシック・インカム構想と福祉社会の展望
第1章  ベーシック・インカム構想と福祉社会の展望

1. ベーシック・インカム構想の系譜
2. 戦後「福祉国家」の見直しとベーシック・インカム構想
3.最低限所得保障の類型とベーシック・インカム構想
4.小括
第2章 労働の変容と所得保障
1.ゴルツの「ベーシック・インカム保障+大幅時短セット論」
2.社会的排除と貧困
3.ワークフェアと所得保障
4.ベーシック・インカム保障と労働時間の短縮が切り開く道
5.小括
終章 日本におけるベーシック・インカムの可能性

 小沢氏の本書については、既に以下で紹介し、多少の考察を行ってきました。(冒頭の再掲になります。)
社会保障制度審議会1995年勧告に関係なく悪化を続けてきた社会保障制度(2021/9/25)
25年前に描かれた、国民負担増という社会保障制度改悪へ進む日本(2021/9/26)
2002年小沢修司氏著から2021年宮本太郎氏著までの間、社会保障・福祉制度はどう変わったか (2021/9/29)

 同氏は、基本的には社会民主主義的な立ち位置と思います。
 この書では、ごく一部の領域での論述にとどまりますが、例えば、下記の菊池馨実氏の書も同じ立ち位置と感じさせるものですし、宮本氏とも接点があったことが記述されています。

社会保障亡国論』(2014年)

<鈴木亘氏>
1970年生、学習院大学経済学部教授、日本銀行入行経歴あり

<構成>
第1章 財政から語る社会保障
 ・尻尾に振り回される犬
 ・財政から社会保障を語るな
 ・一般会計の社会保障費は氷山の一角
 ・巨大な社会保障費の弊害
 ・一兆円の社会保障費はウソ
 ・消費税引き上げは「焼け石に水」
 ・広がる「第二のワニの口」
 ・社会保障給付費の将来予測
 ・2050年の国民負担率は70%超
第2章 社会保障の暗黙の債務は1500兆円
 ・少子高齢化と賦課方式が諸悪の根源
 ・世界最速の人口高齢化
 ・少子化対策では手遅れ
 ・社会保障が抱える「暗黙の債務」
 ・社会保障純債務は1500兆円
 ・改革を怠れば政府債務増に
 ・世代間不公平の実態
 ・財政的幼児虐待
第3章 社会保障と税の一体改革、社会保障制度改革国民会議
 ・消費税は社会保障にしか使わない?
 ・消費税増税分は何に使われるのか
 ・社会保障の充実は消費増税のエサ
 ・待機児童対策の財源は半分以下
 ・子ども・子育て会議の落日
 ・年金生活者支援給付金はバラマキ
 ・がんじがらめの社会保障国民会議
 ・Too Little Too Late
 ・節約以上に支出が増える医療・介護
 ・無駄の温床「消費税財源の基金化」
 ・少子化対策、年金改革はゼロ回答
 ・100年安心プランという虚構
 ・2038年に枯渇する年金積立金
第4章 年金支給開始年齢は70歳以上に
 ・社会保障国民会議・会長の乱?
 ・早急に議論すべき支給開始年齢引き上げ
 ・政治的に容易な改革手段とは
 ・支給開始年齢引き上げのシミュレーション
 ・支給開始年齢引き上げは75.5歳まで
 ・改革による損失額はどれくらいか
 ・改革をしないという選択肢は存在しない
 ・世代間不公平は改善しない
第5章 高齢化社会の安定財源は消費税ではなく相続税
 ・安定財源とは言えない消費税
 ・世代間格差を解消しない消費税
 ・低所得者に厳しい消費税
 ・歪んだ再分配を固定化する消費税
 ・消費税引き上げの無限地獄
 ・懸念すべき消費税引き上げ慣れ
 ・新型相続税創設の提案
 ・新型相続税の利点
 ・不動産を流動化するには
 ・高齢者の資産は経済成長のボーナス
第6章 公費投入縮減から進める給付効率化
 ・非効率を生みだす岩盤規制
 ・医療産業の特殊性
 ・医療と酷似している施設介護産業
 ・特養の内部留保は2兆円
 ・供給面の効率化が進まない理由
 ・需要面から考える効率化
 ・町内会の夏祭りの屋台
 ・公費削減で進む供給面の効率化
 ・世代間不公平改善に必要な積立方式
 ・人生に置き換えて考える積立方式
第7章 消費税不要の待機児童対策
 ・ミネラルウォーターと保育園
 ・水企業が高コスト体質になる理由
 ・水待機者対策が進まない理由
 ・水待機者問題の解決策とは
 ・待機児童問題の現状
 ・安すぎる認可保育園の保育料
 ・不適切な所得再分配の実態
 ・認可保育園の高コスト体質
 ・保育料価格自由化と直接補助
 ・自由化しても価格は収斂する
 ・株式会社の「完全」参入自由化
 ・待機児童対策にならない幼保一体化
 ・業界団体中心の子ども・子育て会議
 ・帰ってきた規制改革会議
 ・根拠希薄な保育関係者の反論
 ・アベノミクスの成長戦略
第8章 「貧困の罠」を防ぐ生活保護改革
 ・魚を与えず、釣り方を教えよ
 ・生活保護制度とは
 ・生活保護費急増の原因
 ・激増する「稼働能力層」
 ・貧困の罠とは
 ・生活保護受給者は時給76円
 ・日本の捕捉率が低いわけ
 ・見習うべきイギリスの制度
 ・自立しやすい生活保護制度
 ・最低賃金の減額措置制度
 ・給付付き税額控除の導入
 ・所得把握は自己申告
第9章 改革のインフラ整備と仕組み作り
 ・これまでの提言のまとめ
 ・なぜ、正しい改革論議が行われないのか
 ・トップダウンでしか改革できない
 ・情報インフラの整備
 ・アメリカに学ぶべきチェック機能
 ・改革実行の仕組み作りが重要
 ・共有対策としての公費・借金
 ・社会保障方式の徹底
 ・2200億円削減という成功体験
 ・厚生労働省の政策独占への対処
 ・民営化と地方分権の利点

 一見?一読、新自由主義的立場にある学者かと思うフシもありますが、政権批判や官僚批判も強烈で、疑問点も多いが、賛同できる点も多々ある。
 そう感じさせられた書ではありました。
 当サイトでは、既に本書を取り上げ、以下の記事を投稿しています。
鈴木亘氏の社会保障制度論の限界と社会保障制度改革の必然性(2021/2/5)
鈴木亘教授『社会保障亡国論』にみる正解と誤解 (2021/2/10)

 また、日経の<経済教室>にベーシックインカムについての小論があり、以下投稿もしています。
鈴木亘学習院大学教授による、財源面からの2021年ベーシックインカム試案(2021/2/4)
 最近の複数の政党も提案している、ベーシックインカムではない、負の所得税、給付付き税額控除方式による所得税導入ですが、同氏の影響を少しは受けているのかなと感じています。

 社会保障財源としては、消費税には反対で相続税で充当すること、最低限の保障を必要とする人に限定した制度とし、負担と痛みを受け入れるべき改革を提案する同氏は、やはりどう考えても新自由主義経済学者の範疇に入ることになるのでしょうね。
 過去記事にも書きましたが、是々非々で評価したい学者さんです。

人口減少と社会保障 – 孤立と縮小を乗り越える』(2017年)


<山崎史郎氏>
1954年生、厚生省入省後、官僚として種々歴任
介護保険の立案から施行まで関与ほか社会保障・社会福祉分野での業務を担当

<構成>
序章 社会が変われば社会保障も変わる
 ・社会保障の4分野
 ・社会と社会保障 ー 家族、雇用、地域
 ・本書の構成
第1章 変容する日本社会
1.家族の変化
 ・1995年という「到達点」
 ・21世紀に向けた警告
 ・「日本型福祉社会論」の終焉
 ・高齢単身者、壮年未婚者、ひとり親世帯
2.雇用システムの変化
 ・1997年以降の「経済の変調」
 ・長引く雇用情勢の悪化
 ・非正規雇用の急増
 ・脆弱なセーフティネット
 ・若壮年無業者、ひきこもり、親同居未婚者
3.社会のひずみ ー 孤立と格差
 ・3万人を超える自殺者
 ・社会的孤立 ー 1日3万件の電話
 ・相談事例から見る実態
 ・格差の固定化
 ・リスクの連鎖
 ・CCS調査が明らかにする「連鎖」
 ・世代間の連鎖
4.人口減少の到来
 ・今はジェットコースターの頂点
 ・「人口過剰論」の時代
 ・「静止人口」を目指して
 ・政府や専門家の常識を超えた低下
 ・晩婚化、非婚化、完結出生児数の低下
 ・失われた「第三次ベビーブーム」
 ・出生数100万人われの現実
第2章 日本の社会保障の光と影
1.社会保険方式を中心とする制度体系
 ・社会保険方式か、税方式か
 ・社会保険方式を選んだ日本 ー 自立と社会連帯
 ・負担と給付の結び付き
 ・国民の意識が介護サービスを拡大させた
 ・個々のリスクに個別に対処する制度体系
2.国民皆保険・皆年金 ー 「二元的構造」と国庫負担
 ・二元的構造が持つ危うさ
 ・「縦割り・横並び」の制度体系
 ・「子育て支援分野」の立ち遅れ
 ・費用の「支え合い構造」の限界
 ・年金をめぐる課題
 ・医療保険、介護保険をめぐる課題
 ・「高齢者世代内」の支え合いの強化へ ー 「生涯現役社会」の実現
3.日本の社会保障に生じている課題
第3章 社会的孤立を防ぐ
1.「共生支援」とは何か
 ・基礎的なリスク
 ・取り込む、つなぐ、強める
 ・取り込む ー 非正規雇用のケース
 ・正規化という王道
 ・「取り込む」だけで十分か ー 年金未納問題
2.人を「つなぐ」ことの意義
 ・エンパワーメントの考え方
 ・年越し派遣村の教訓
 ・ワンストップ・サービス
 ・「相談支援」の意義
 ・生活困窮者自立支援法
3.生きる力を強める ー 就労支援と学習支援
 ・雇用と福祉の融合
 ・「農福連携」
 ・学習支援の現場から
 ・「近隣の助け合い」がリスクの連鎖を防ぐ
 ・セーフティネットとしての地域
 ・地域セーフティネットの財源を考える
第4章 「全世代型」へ転換する
1.なぜ出生率回復が必要か
 ・積極戦略と調整戦略
 ・希望出生率は1.8
 ・出生率回復は「究極の高齢化対策」
2.希望の実現を阻むもの
 ・世界各国の出生率
 ・高出生率国と低出生率国は何が違うか
 ・結婚、子育てと年収
 ・共働きと結婚、出産
 ・「仕事か、子育てかの二者択一
 ・夫の家事・育児参加の低さ
 ・子育て費用の実態
3.「全世代型」の社会保障
 ・働き方改革
 ・「全世代型」の社会保障への転換
 ・両立支援の推進
 ・福井県の取り組み
 ・経済的支援
 ・サポート体制の「包括化」
 ・子育て支援の財源をめぐって ー 三つの方策
 ・「全世代型」の支え合い構造
 ・経済界の理解と協力がカギ
第5章 人口減少に対応する
1.社会保障の効率化と多様化
 ・加速、若年先行、地域差
 ・「縦割り・横並び」が作られる過程
 ・効率化と多様化へ
2.サービス改革
 ・人材が支える社会保障
 ・人手不足の深刻化
 ・サービス改革、三つのアプローチ
 ・「二階建て」による資格の統合を
 ・報酬評価方法の改革
 ・高齢者のケア現場への参加
3.すまいの保障システム
 ・住宅行政と社会保障行政の歩み
 ・高齢者と住まい
 ・居住空間の「希薄化」
 ・ICT活用と「小さな拠点」
 ・コンパクトシティ+ネットワーク
 ・空き家や空き地の利活用
 ・人口減少時代の住宅手当
 ・まちづくりと住宅手当
 ・「生涯活躍のまち」構想
4.地域組織の再編
 ・多様化する地域
 ・大都市 ー 広域的な視点を
 ・地方都市 ー 広域化か、地域密着か
 ・人口減少が急激な地域 ー 「地域運営組織」の役割
 ・名張市が築き上げた将来モデル
 ・保障における「地域」の機能の変化
 ・「多様で、重層的な構造」と地域マネジメント
国民的合意の形成を目指して
 ・本書が示す政策体系
 ・国民的な合意形成を目指して


 社会保障・社会政策等の領域で官僚として多くの仕事を担当してきた山崎氏。
 この書を読んだときには、とてもバランスが取れた、社会保障の入門書としては良い本と感じました。
 ただ、書のタイトルに「人口減少」という表現が入っているのですが、決め手となる方策は示せていないことを残念に思いました。
 「ミスター介護保険」とも呼ばれたとのことですが、現状の介護保険の様々な問題を当時予測し得ていたのか。
 これも疑問です。
 多面的・多岐にわたった記述となっているのも特徴で、望ましいこととは思いますが、どれも官僚的な感覚での対策提案にとどまり、当然、人口減少対策書にはなりえず、他人まかせ的なニュアンスが強いのもやむを得ないこととは思います。
 

社会保障再考 〈地域〉で支える』(2019年)

<菊池馨実(よしみ)氏>
1962年生、早稲田大学法学学術院教授

<構成>
第1章 持続がむずかしい社会保障
1.財政と人口
 ・高齢化の中で
 ・新たな法律をつくる
 ・結婚、子育てから人口を考える
 ・国家による推奨にならないように
 ・より本質的な持続可能性の基盤
2.家族、企業、地域が変わっていく
 ・社会保障の法的な定義
 ・「すこやかで安心できる生活」
 ・家族による扶養
 ・企業による福祉
 ・雇用保障の強化
 ・住宅手当からみる問題点
 ・費用負担者としての企業
 ・被用者保険の適用を拡大
 ・地域の脆弱性と希薄化
第2章 何のための社会保障か
1.「自律」支援、「自立」支援
 ・社会保障の目的
 ・「自律」とは
 ・保護から主体へ
 ・認知症の人の生き方
 ・発達障害のある子どもの成長
 ・自律に向けた支援
 ・「自立」とは
 ・プロセスへの着目
2.生存権に限界はあるのか
 ・憲法二五条
 ・給付中心だったが
 ・主体としての人間
 ・「個人の自律の支援」
 ・なぜ相談支援か
3.支える人はいるのか
 ・社会的な共感と連帯
 ・共同体の強調と新たな排除の危険性
 ・互恵性に開かれた人間像
 ・折々にみずからの生き方を修正できること
 ・尊重されるべきこと
 ・多元的な保障手段
第3章 何が変わってきているのか
1.伝統的な社会保障のとらえ方
 ・貧民救済と労働者保険
 ・社会保険から社会保障へ
 ・所得を保障する
 ・その後の発展
2.社会的包摂と、個人のニーズへの対応
 ・経済発展がもたらしたもの
 ・発達や成長に向けた支援
 ・児童手当から子ども個人の手当へ
 ・「孤立」を打開
 ・相談支援の重要性
 ・個別のニーズに合わせた手続き的な保障
 ・犯罪被害者、矯正施設退所者、DV被害者、がん患者などさまざまな人へ
 ・生活困窮者自立支援法
第4章 社会保障は誰のためのものか
1.不信感と不公平感
 ・財政への不安
 ・医療分野での社会への包摂支援
 ・最適水準保障の医療
 ・高額薬剤をどう扱うか
 ・介護保険改革
 ・学生の感覚
 ・思想の欠如
 ・公平とは
 ・世代間の不公平
 ・社会的弱者の側の不公平感
 ・中間層以上の不公平感
 ・後期高齢者支援金の重荷
 ・介護保険にも総報酬割
 ・税制面での扱い
 ・普遍的な子ども・子育て支援を
 ・恩恵を実感できる仕組みを
2.地域共生社会の構想
 ・障害者をめぐる法制度
 ・地域包括ケアシステム
 ・地域力強化に向けて
 ・地域福祉の推進
 ・地域づくりの視点
3.生活困窮者自立支援法がもたらしたもの
 ・「生活困窮者」の定義の広がり
 ・一人ひとりの状況に応じた自立相談支援事業
 ・就労に向けた準備
 ・住まいを提供
 ・家計の管理支援
 ・子どもの学習支援
第5章 相談支援
1.法によるサポート
 ・生活保護制度にはあったが
 ・相談支援の先鞭
 ・支援と自律の緊張関係
 ・支援の給付化
 ・支援を受ける権利
 ・権利と専門性の相克
 ・協働の必要性
 ・支援は押しつけか
 ・支援会議の設置
 ・協同的意思決定
 ・相談支援の法的規整
 ・コストに向き合う
 ・むずかしい政策効果
 ・情報の共有に向けて
2.さまざまな主体のかかわり
 ・社会保障の拡がり
 ・国の役割
 ・地域自治の役割
 ・タテ割り行政の打破
 ・まち・ひと。しごと創生法
 ・自治体間の格差
 ・支援者の専門性
3.事業の位置づけ
 ・従来の「事業」
 ・新たな「事業」の展開
 ・政策理念をとらえにくい
 ・国や地方自治体の責任
第6章 地域再構築
1.地域を再生、再構築することの意義
 ・地域の変遷
 ・我が事、丸ごと
 ・縦割りから「丸ごと」へ
 ・「引きこもり青年」との出会い
 ・寄港地のような存在
 ・浪江町のまちづくり
 ・さまざまな困難を引き受ける
 ・だれもが利用するかもしれない
2.多層性の魅力
 ・社会保障と地域
 ・断らない相談支援
 ・「共にあること」で十分
 ・地縁型コミュニティ
 ・重層型コミュニティへ
 ・新しい地縁型?
 ・住民の責務とは
 ・誘導型の手法で
 ・支援の多層性
3.継続的で多角的な支援
 ・「地域を絶えず耕し続けること」
 ・石巻市の復興団地をとりまとめて
 ・支援と自発性
 ・看護と福祉の協力
 ・首都圏の「地方」での実験
 ・現役世代のかかわり
 ・公的年金の財政は
 ・地域経済への貢献
 ・年金委員と年金事務所
 ・権利擁護と成年後見
4.地域志向型議論の射程
 ・財政的基盤の確保
 ・まちづくりの必要性
 ・都市部と地方部
おわりに 社会保障制度の再構築に向けて
・いままで考えてきたこと
・世代的に融和するためには

 菊池の本書を読んでまず思ったのは、リベラル系の方々の記述を目にするたびに思う共通の念「共同体幻想」や、地域や社会という用語を用いる際の曖昧な響き、定義に対する疑問と同じ類の気持ちです。
 善意の人々と社会で形成される福祉社会、社会保障社会論、とでも言いましょうか。
 それは大切なこととは思いますが、普遍性や平等・公正という観念をベースにした福祉論・社会保障論では、結局、理想とする政治・行政が行われてこなかった、定着しなかったことを念頭に置いて、再考すべきと、つねに考えるのです。
 多数・多様から成り立つ種々の社会の構成員である人間の精神構造は変わることがない。
 良くも悪くも、です。
 リベラルは、人間の能力の限界を原点とする思想と言いますが、どうも現実策を考える上で、その思想の用い方が間違っているのではないか。
 菊池氏や宮本氏の論述を読むと、必ずそんなことを思い起こすのです。

『貧困・介護・育児の政治 ベーシックアセットの福祉国家へ』(2021年)

<宮本太郎氏>
1958年生、中央大学法学部教授。専攻:福祉政治、福祉政策論


・コロナ禍が指し示したもの
・なぜ貧困、介護、育児か
・政治の対立軸はあるのか
・日本における福祉資本主義の「三つの世界」
・「例外状況の社会民主主義」を超えて
・ベーシックインカムよりベーシックアセットを
・本書の目的と構成
第1章 「新しい生活困難層」と福祉政治
1.転換点となった年
 ・1989年の物語
 ・物語の「ツッコミどころ」
 ・自助の神話は消えたか
2.日本型生活保障の構造
 ・日本型生活保障の三重構造
 ・ 日本型生活保障と社会保険
 ・抑制された困窮者向け給付
3.何が起きているのか?
 ・対応されるリスク、されないリスク
 ・「新しい生活困難層」の拡大
 ・日本はどこまで特殊か?
4.政治的対立の構図
 ・基本的な対立構図
 ・個別領域での対立構図
 ・社会民主主義に可能性はあるか?
5.貧困、介護、育児の政治をどう説明するのか
 ・社会的リスクのあり方
 ・先行制度と関係団体
6.三つの政治の相関
第2章 貧困政治 なぜ制度は対応できないか
1.生活保障の揺らぎと分断の構図
 ・トリクルダウンはもう起きない
 ・もはや頼れない家族とコミュニティ
 ・空転する社会保障
 ・分断の構造
 ・分断と不信の相互作用
2.貧困政治の対立軸
 ・貧困政治の選択肢
 ・新自由主義における就労義務化
 ・「第三の道」の就労支援
 ・北欧型福祉と社会的投資
 ・ベーシックインカムの台頭
 ・ ベーシックインカムの機能を決めるもの
 ・4つの選択肢と3つの立場
3.日本の貧困政治と対立軸の形成
 ・福祉政治のパターン
 ・新自由主義の出現
 ・対抗軸の形成
 ・ 中曽根改革・小泉改革と「三重構造」
 ・ ワークフェアの空回り
 ・「磁力としての新自由主義」とは何か
4.「社会保障・税一体改革」と貧困政治
 ・ 民主党政権とベーシックインカム型生活保障
 ・ 「社会保障・税一体改革」 の始まり
 ・ 民主党政権と一体改革
 ・一体改革と貧困政治
 ・一体改革と信頼醸成の困難
 ・ 自民党の生保プロジェクトチーム
 ・生活困窮者自立支援制度
 ・ 社会的投資の新しい可能性
 ・ベーシックアセットの保障へ
第3章 介護政治 その達成と新たな試練
1.介護保険制度という刷新
 ・措置制度からの刷新
 ・準市場という新たな舞台
2.分権多元型・市場志向型・家族主義型
 ・新たな対立構図
 ・市場メカニズムの組み込み方
 ・専門家関与と利用者支援
3.制度の現状をどう評価するか
 ・供給主体の営利企業化
 ・法人格だけで判断できない背景
 ・財源の制約と自己負担の増大
 ・市場化のなかのケアマネジメント
 ・生活困窮層増大のなかの市場志向と家族主義
4.介護保険の形成をめぐる政治
 ・介護保険制度の理念形成
 ・政治の流動化と自社さ福祉プロジェクト
 ・市民運動と介護保険法の成立
5.介護保険の実施をめぐる政治
 ・「磁力としての新自由主義」の圧力
 ・介護予防の理念と実際
 ・地域包括ケアシステム
 ・次のステージへ
第4章 育児政治 待機児童対策を超えて
1.家族問題の三領域
 ・人口問題をめぐるスウェーデンと日本
 ・少子化対策と3つの政治的立場
 ・女性就労の増大と雇用の劣化
 ・経済的自由主義の主導性
 ・「新しい不平等」
 ・子どもの貧困とマタイ効果
2.家族政策の類型
 ・3つの家族政策類型
 ・3類型の中の変化
 ・準市場化の評価
3.児童手当をめぐる政治
 ・日本型生活保障に埋め込まれた児童手当
 ・乳幼児手当をめぐる対抗
 ・児童手当の争点化と民主党
 ・民主党政権と子ども手当
4.保育サービスをめぐる政治
 ・介護と保育の準市場化
 ・市場志向型への接近
 ・民主党政権における制度改革
 ・業界団体の動向と三党合意
 ・こども・子育て支援制度の現在
 ・保育無償化と「マタイ効果」
 ・保育サービスと児童手当の連携
第5章 <ベーシックアセットの保障へ>
1.福祉政治のパターン
 ・三つの政治の相互浸透
 ・3ステップのパターン
2.社会民主主義の変貌とその行方
 ・ポスト「第三の道」の社会民主主義再生
 ・スウェーデンにおける準市場改革
 ・市民民主主義とコ・プロダクション
 ・両性ケアへの関与
 ・地域密着型の社会的投資
3.ベーシックアセットという構想
 ・二つのAI・BI論
 ・ベーシックサービスの提起
 ・ベーシックインカム派からの反論
 ・サービス給付と現金給付の連携
 ・ベーシックアセットと再分配
 ・「普遍性」「複合性」「最適性」
 ・承認とつながりの分配
 ・「選び直し」のためのビジョン


 宮本氏の本書についての記事は、冒頭に提示しましたように、既に投稿済みです。
 ご本人も述べていらっしゃるように社会民主主義的立場からの、新たな福祉政治改革を提起していらっしゃるのですが、その学者研究者生活も相当の長きにわたっており、今回のベーシックアセット論も、先の見通せない理想論になっており、研究対象としての福祉政治専門学者としての存在意義は問うべきではないかと感じています。

 いささか乱暴で、粗雑な扱いでの記事になってしまいました。
 菊池氏のところで社会民主主義的、リベラル的研究者の方々に対する感想を簡単にメモしましたが、今回の5冊の書の著者のうち、鈴木氏を除けば、3人が1950年代生まれで1人が1962年生まれ。
 そろそろ30歳代、40歳代の研究者の社会保障論を読みたいと思うのですが、果たしてどんな社会保障論・福祉論を展開するでしょうか。


 最後に、またまたのことで恐縮ですが、当サイトで既に提起済みの、2050年に向けての社会政策長期ビジョンと各種政策リストを以下に再掲しました。
 上記の各書の構成との違い等確認しつつ、今後の個別政策提起のベースとして、当サイトでは用いていくものです。

Ⅱ 社会政策 長期ビジョン及び短中長期重点戦略課題

<長期ビジョン>
 すべての国民が、憲法に規定する基本的人権及び最低生活保障を受ける権利に基づいて制定され、所属する多様な社会・組織において享受し保障されるすべての社会保障・福祉政策の国家の不断の取り組みにより、安心と安全な暮らし、自由な働き方・生き方が選択できる社会モデルの構築・実現を図る。
<短中長期・政治行政重点政策課題>
1.社会保障・社会福祉制度改革
(基本方針)
 日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金制度の2040年までの導入、2045年までの修正定着をめどに、社会保障・社会福祉制度の総合体系の再構築と関連する法制の整備、関連行政組織及び業務改革を行い、種々の貧困・格差及び世代間不公平性・不満感の是正、平等・公正な社会活動の機会基盤の整備拡充と安全・安心な暮らしが持続できる社会を2050年までに形成します。
(個別重点政策)
1-1 社会保障制度体系改革
1)ベーシック・ペンション導入に伴う社会保障制度・福祉制度体系の再構築
2)社会保障制度改革:健康保険・介護保険制度統合、国民年金制度廃止・厚生年金制度改定、児童福祉・障害者福祉制度改正、生活保護制度対策他
3)労働政策・労働保険関連制度改革:労働基準法解雇規制改正、雇用保険法改正、非正規雇用転換制改正、最低賃金法改正、労災保険改正等
4)社会保険制度改革、世代間負担公平性対策、関連所得税改正、その他社会保障制度体系再構築に伴う関連法律の改定
1-2 ベーシックインカム導入及び関連各種制度・システム包括的改定
1)日本独自のベーシックインカム、専用デジタル通貨JBPCによるベーシック・ペンション生涯基礎年金制度導入
2)ベーシック・ペンション導入に伴う関連諸制度・法律の改正・改革
3)ベーシック・ペンション確立までのベーシックインカム段階的導入
4)ベーシック・ペンション導入のための日本銀行改正、JBPC発行・管理システムの開発・運用化
1-3 社会保障・社会福祉行政改革(公的サービス事業公営化促進、公務員化)
1)ベーシック・ペンション導入、社会保障制度体系改革に伴う行政官庁再編、組織・業務改革
2)国・公営サービス事業再編:利益追求型社会サービス事業の一部国公営事業転換、社会福祉法人等の再編
3)社会保障・福祉資格制度の拡充、キャリアプログラム開発
4)社会保障・福祉関連職公務員制度改革

2.保育政策・子育て支援政策、少子化対策・こども貧困対策
(基本方針)
 長期化し、歯止めがかかっていない出生率低下・出生数減少、少子化対策の抜本的な見直しを、2050年人口1億人への人口減少社会を想定して行い、目標とする社会の実現を図る。
 それと並行して、安心して子どもを産み、育てることが可能な保育政策・子育て支援政策を、社会的共通資本政策として強力に推進し、近年の子どもと家族をめぐる社会問題の改善・解消を2050年までに実現します。
(個別重点政策)
2-1 少子化対策、人口減少社会対策

1)経済的支援ベーシック・ペンション導入による婚姻率・出生率向上(児童手当制度廃止拡充転換を伴う)
2)保育制度・保育行政改革、子育て支援システム拡充による総合的少子化政策推進
3)地域別(都道府県別)少子化対策取り組み策定と国による支援
4)長期人口減少社会計画策定(国家及び地方自治体)と取り組み・進捗評価管理(人口構成、外国人構成等)
2-2 保育制度・保育行政
1)5歳児(~2030年)・4歳児(~2035年)保育の義務化
2)保育施設再編及び同行政組織再編
3)学童保育システム確立、待機児童問題解消
4)保育士職の待遇、労働環境・条件など改善
2-3 子育て支援システム
1)地域包括子育て支援センター組織・業務機能拡充
2)子どもの貧困解消総合政策(ベーシック・ペンション児童基礎年金導入他)
3)孤育、ひとり親世帯、孤立世帯支援行政システム・体制整備拡充
4)関連NGO等民間地域ネットワーク拡充支援

3.教育制度改革
(基本方針)
 次世代を形成する児童・学生への期待は、教育機会の平等、教育格差の是正、学校や教育システムなどのインフラを経済的な不安なしで利用できる制度など、社会的共通資本としての教育制度・教育政策基盤が整備され、提供されて初めて、積極的な行動を求めることができるものです。
 そのために必要なさまざまな制度の体系と方法を再構築し、自身の希望や困難に挑戦し克服する姿勢・能力・技術の向上や自己実現・社会貢献に結びつく多様な個性・人間性そして人生の実現の支援政策を推進します。
(個別重点政策)
3-1 義務教育改革
1)5歳児・4歳児義務保育制導入
2)教育格差改善・解消対策、学童保育問題、いじめ・自死対策
3)新教育基本法改正、教科・教育方法改訂
4)教員支援改革
3-2 高等学校教育改革
1)高等教育改革(高校専門教育課程・専門高校多様化拡充)
2)起業・経営専門スキル、IT、AIスキル教育課程拡充
3)学生交流・交換留学等教育国際化推進
4)ベーシック・ペンション学生等基礎年金、特別供与奨学金制度による経済的支援
3-3 大学・大学院教育改革、留学・社会人教育、生涯教育基盤拡充
1)大学・大学院教育改革、大学・大学院組織改革、研究者支援システム改革
2)(無償供与)特別奨学金制度
3)留学制度拡充支援、グローバル大学育成
4)社会人キャリア開発、高度専門スキル開発教育支援、生涯学習基盤整備拡充

4.ジェンダー問題政策
(基本方針)
 多様性(ダイバーシティ)自体の多様化・複合化が進展するなか、一向に改善されない日本社会、政治・行政領域、企業社会、地域社会におけるジェンダー問題。
 その遅々たる状況は、政治行政政策における転換がなされない限り、グローバル社会における先進国評価とのギャップが拡大する一方であることはこれまでの空白の30年で証明されています。
 スローガン型の「やっている感」政治行政からの脱却・転換を共通認識とし、5年・10年スパンでの望ましい変化を評価確認できる行動計画と関連法制化計画を提示し、推進・実現します。
(個別重点政策)
4-1 ジェンダーギャップ改善政策 
1)総合的ジェンダー政策策定
2)ジェンダー多様性個別政策(LGBTQ、関連分野別)
3)公的個別課題目標値設定及び達成計画立案 、進捗・評価管理
4)民間個別課題目標値設定及び達成計画立案 、進捗・評価管理
4-2 男女雇用・労働格差対策
1)育児・介護支援制度、同休業制度拡充等労働政策改善・拡充
2)男女雇用・賃金処遇差別対策(採用、非正規雇用、正規雇用転換、同一労働同一賃金等)
3)労働基本法関連格差是正対策
4)職場ハラスメント等企業行動規範問題等対策
4-3 家族・夫婦間ジェンダーギャップ社会問題政策
1)夫婦別姓問題、同性婚問題対策・改善
2)共同親権問題、養育義務不履行問題、DV問題対策・改善
3)家庭内性別役割分業問題改善
4)その他ジェンダー問題改善(性行動、性転換他)

5.高齢化社会政策・介護政策
(基本方針)
 団塊の世代を形成するすべての高齢者が100歳を超えている2050年には、現状の高齢化社会は、総人口の減少及び年齢構成の大きな変化を伴って新たな状況を迎えます。
 それに伴って、社会保障制度の体系と実際の制度・法律も、その状況にふさわしいものに整備され、確立されていることが求められます。
 今後進行する、世代継承・世代交代を念頭に、それまで続く高齢者の医療・年金問題、現役世代が抱く高齢世代への不満等の改善・解消に、当区分の<社会政策>で連携して取り組み、現役高齢者が安心・安全な暮らしを送ることができるよう、政治行政政策課題化して取り組みます。
(個別重点政策)
5-1 高齢者年金制度
1)ベーシック・ペンション導入に伴う高齢者年金制度改革:国民年金制度廃止、生活基礎年金支給、厚生年金制度改正
2)厚生年金保険制度の賦課方式から積立方式への転換
3)全給与所得者の厚生年金保険加入制度化
4)遺族年金制度改定
5-2 健康保険制度・介護保険制度改革、介護行政改革
1)後期高齢者医療保険・介護保険制度統合による高齢者医療介護制度改革
2)介護保険制度改正
3)老人施設事業運営改革
4)全給与職者の健康保険加入制へ
5-3 高齢者生活、高齢者就労支援政策
1)地域包括高齢者支援センター拡充(高齢者夫婦世帯支援、単身高齢者世帯支援、高齢者施設等入所支援)
2)高齢者生涯設計支援制度拡充(公的後見人制度、相続問題支援等)
3)健康寿命、認知症対策等支援
4)高齢者就労支援システム拡充

6.各種社会問題克服政策
(基本方針)
 いとも簡単に首相や政権政党から発せられる「自助」。
 まともに自助努力を行う基盤そのものを持ち得ない現状の社会と社会システムを認識しない政治行政の無策の長期化が、少しずつ理不尽な分断行動と認識を増大しつつあります。
 その結果でもあり、原因でもある、いじめその他のハラスメント・自殺・引きこもり、各種人権問題など、根深い要因を持つさまざまな社会問題と生きづらい個々人の人生・生活の改善・解消に、地道に、粘り強く取り組むことを課題とし、継続して、着実に改善・解消に結びつける取り組みを具体的計画化・スケジュール化して共有・公開し、取り組みを推進します。
(個別重点政策)
6-1 貧困・格差対策
1)総合貧困・格差問題対策調査・策定 (ベーシック・ペンションを基盤として追加必要政策検討)
2)個別貧困・格差問題取り組み方針・計画立案、進捗・評価管理 ( 同上 )
3)個別貧困・格差指標及び目標値設定、進捗・評価管理
4)生活保護制度政策、障害者福祉・児童福祉制度政策 (ベーシック・ペンションを基盤として検討)
6-2 いじめ、ハラスメント、孤立問題、自殺問題対策
1)いじめ他各種ハラスメント撲滅対策
2)孤立・引きこもり、孤独社会対策(自殺問題含む)
3)誹謗中傷対策、フェイク情報問題
4)各種人権問題
6-3 刑事・民事犯罪抑止対策
1)特殊詐欺対策
2)サイバー、インターネット犯罪対策
3)個人情報対策
4)緊急時・非常時権利制限政策、凶悪犯罪対策

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