保育士週休3日制導入で潜在保育士の現場復帰に期待:保育大手ポピンズ、業界牽引を!

社会政策

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2022/10/8 付日経に、以下のテーマでの記事が掲載されていました。
ポピンズ、保育士週休3日  1日10時間勤務、給与は維持

流通業界では、週休3日制は、特に珍しいものではありませんが、そういえば、保育業界、保育現場では今まで聞いたことがなかったですね。
保育大手のポピンズが着手するというものですが、夜勤がある介護業界・介護施設では難しいでしょうが、保育サービスでは可能と思います。
こういう取り組みは、ほとんど大手企業が先行して着手するのですが、人材不足業界ゆえに遅れたのか、考える余裕がなかったためなのか・・・。
以下、同記事の概要を整理・紹介し、考えた点も少し加えてみました。


ポピンズ、保育士週休3日制取り組み概要

保育大手のポピンズは保育士を対象に、1日10時間勤務による週休3日制(週4日勤務制)の導入に向けて、一部の施設で、週休3日制選択可能とする試験導入を始めた。
(賃金は、週休2日制・週40時間勤務制と同一。)
シフトの組み方や施設運営上の課題等に取り組み、問題点解消に取り組みつつを運営体制と方法を整備し、2023年1月本格導入を図るとしています。

その主たる目的は、もう常用語になった「働き方改革」にあるとしています。
しかし、働き方改革及び働き方選択の背景には、保育職員自身の子育てや介護等ダブルケア・ニーズへの対応、自己啓発・自己実現・趣味・副業などに時間を充てる等、望む生き方・生活を実現することがあり、表裏をなしているわけです。

1日10時間就労、週休3日制のメリット、デメリット

これ以外に、週休3日制導入で想定されるメリット、デメリットを以下にメモしました。

<メリット>
・サービスの品質の向上への期待:子どもを預かる時間から、夕方のお迎えの時間まで一人の保育士が子どもを見ることが可能に
・子どもや保護者の安心感の高まり
・所定外勤務時間の抑制・減少に有効な勤務シフトを組むことが可能に
・非常勤保育士の採用・活用を多様化し、それぞれが希望する仕事と個人・家族生活のバランス実現が可能に
(例)週2日・3日間、1日10時間勤務者。週3~5日間、1日4~6時間勤務者等の契約でシフト化
・多様な労働契約に基づく働き方が選択可能になり、これを打ち出すことで、潜在的保育士の現業復帰に期待できる

<デメリット>
・現状、自治体の認可保育園補助金対象である「常勤保育士」の条件が「1日6時間以上、月20日以上勤務者」。週休3日導入で補助金の対象から外れてしまう可能性
(この問題については、先ず補助金対象ではない事業所内保育所等で先行して導入し、並行して、補助金対象となるよう自治体と協議を進め、基準改定をめざす)
・元来保育士の採用・定着に問題を抱える小規模保育事業所・事業者には、こうした取り組みは難しい

小規模保育事業所も週休3日制検討・研究を

このように小規模保育施設、小規模保育事業所では、とてもとても現実的ではないように受け止められる週休3日制ですが、働き方・働く場所を選択する上では、勤務地が自宅から近いこと、他の個人・家族事情から、特定の場所・地域にある通勤に便利な立地にあることも重要な要素です。
従い、ポピンズのような取り組みに関心を持ち情報収集したり、自ら週休3日制を導入した場合の勤務体制・シフトを想定し、実験的に取り組むことなどをお奨めします。
実際に可能ではないかと想定できれば、募集エリアを絞り、週休3日制を謳って、潜在保育士の発掘や他施設で働く現役保育士の自地域への転職を呼びかけてみてはと思います。

なお、補助金制度とその適用基準については、今回特段触れません。
その理由は、保育行政における、保育施設の認可・認可外の区分の存在、保育職の賃金の底上げのための政府補助金が全額保育士に配賦されることなく、事業者の裁量に委ねられ、正しく運用されていないことなど、補助金行政の根本的な見直しが不可欠と考えており、ここでの課題ではないと考えるためです。
なお付け加えると、保育無償化の次の政策課題として未就学5歳児・6歳児の義務保育化を2025年頃までには実現すべきと考えています。

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