2025年、飲食業・宿泊業小規模事業所に厚生年金加入適用拡大へ、政府方針

政治・行政政策

少しずつ、よくなる社会に・・・

6月5日に共同通信が配信した以下のテーマの記事について、そのポイントを整理し、思うところを簡単にメモしたいと思います。
⇒ 飲食、宿泊業に厚生年金拡大検討 25年法改正目指す、経営反発も(共同通信) – Yahoo!ニュース

2025年改正をめざす厚生年金保険制度のポイント

政府が法改正をめざすのは、現状、すべての法人および非法人であっても従業員数が5名以上の事業所の一部に加入が義務付けられている厚生年金保険制度。
今年10月から、新たに、弁護士・公認会計士・税理士等士業と呼ばれる公的資格に基づき事業を営む従業員5人以上の個人事業所が加入を義務付けられる当制度。
これにより、5人以上の従業員規模であっても加入が義務付けられていない事業は、飲食業・宿泊業、農林漁業、理美容業等のみ。
これらの業種の、法人格を持たない5人以上の従業員を雇用する小規模個人事業所すべてが、2025年から厚生年金保険制度への加入を義務付けることをめざすというものです。

改正の目的・狙い

岸田政権が掲げる政策「勤労者皆保険」の一環、とされているが、急に降って湧いた課題ではありません。
事業規模の差や業種の違いで、保険加入・未加入の違いがあり、将来の受け取り年金額にも差が生じること自体が、社会保障制度運用上、公平性を欠くと指摘されていたものです。
この制度改定で、以下の改善が見込まれます。
・将来の年金不安を抱き、保険加入を希望していた人も多く、希望に沿うことができる
・国民年金だけの受給に厚生年金受給が加算され増額する
・年金制度適用上の事業規模・業種間格差が解消される
・年金保険加入小規模事業所が増えることで、就労者が増える可能性、人手不足改善に多少はつながる可能性はある
・加入者の増加で納付される保険料収入が増え、保険財政の維持等に役立つ

事業所に生じる法定福利費保険料負担:改正めぐる課題

他方、以下懸念される点もあります。
・配偶者の所得において配偶者控除を受けるメリットがあった就労者が、保険料負担が必要になる
・加入事業所となることで、新たに保険料を納付し、法定福利費として費用計上することが義務付けられる
・飲食業・宿泊業・理美容業に小規模事業が多く、コロナ禍で多くが経営で痛手を蒙っている
などが上げられ、こうした場合の懸念は、「小規模事業者にとって新たな負担が強いられ反発が予想される」と定型で表現されます。
ただ、2025年改正をめざすということで、まもなく行われる参議院選への影響はないでしょう。

個人事業所も法人とみなし、法人番号を付与・取得する法改正を

以上、一般的に論じ、報じられるところを記事から整理してみましたが、私は、5人以上と限らず、すべての事業所・事業者は、厚生年金保険に加入すべきと考えています。
すべての事業者は、法人とみなし、法人番号を持つことになります。
事業を行い、賃金・給料を経費としてその売上・収益から受け取っているわけですから、そこから厚生年金保険料を差し引いて納付することを標準とします。
自身のためにも従業員のためにも、それが可能な経営を行う努力をすべきと思うのです。
事業所サイドの法定福利費負担においては、個人の保険料と同額ではなく、例えば半額にするなど、別規定・基準を設ける方式を導入することも検討課題とします。
この場合、保険料は折半という考え方ではなくなり、現行制度でもその考え方は転換し、単に、所得に対して個人は何%、事業主は何%という設定方式にするわけです。
加えて、アルバイト、臨時一時雇用、日雇いを含むすべての賃金所得者が厚生年金保険に加入する制度改定に持ち込むべきと考えています。
実現は2030年頃を目処に。

将来は、ベーシック・ペンション導入で、老齢基礎年金(国民年金)制度廃止、厚生年金保険制度改革へ

但し、この考えは、私が提案している日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金導入時に同時に統合して行う公的年金制度の大改革に伴うものです。
このとき、すべての国民に無条件・無拠出で支給されるこの生活基礎年金は、高齢者は高齢者基礎年金として受給。
第一次段階での支給は月額8万円とし、これにより現状の国民年金は廃止し、厚生年金制度に一本化。
現状の賦課方式から積立方式に移行し、現役世代が高齢者を支える世代間不公平性の構図は解消されるのです。
この第一次段階のベーシック・ペンション導入は、15歳以下への同額月額8万円の生活基礎年金=児童基礎年金の支給と同時期での導入を提案。
第二次段階では、残るすべての年齢・世代への同額支給を。
その後、それまでの導入後の経済状況・社会状況等を踏まえて、支給額の上乗せをおこなっていく構想です。

ただ、このベーシック・ペンション実現を待つことなく、今回報道の改正は行うべきというのが私の意見です。
私自身、独立時株式会社化したのでその義務はありましたが、ただ一人の会社従業員として法人が負担すべき法定福利費を納付していた経験があります。

                     少しずつ、よくなる社会に・・・

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