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ECONOMIC POLICY

多様な地政学リスクに日本が備えるべき長期自給自足体制構築への取り組み

少しずつ、よくなる社会に・・・

国際商品高騰の状況と背景

2022/2/10付日経1面記事:国際商品1年で5割高 2000年代で最大、供給制約が拍車」

この記事では、新型コロナウイルス禍や、直近ではロシアのウクライナ侵攻リスクなどによる受給不安リスクがもたらす国際商品の高騰を取り上げている。
原油・天然ガスに始まり、金属・レアメタル、そして当然穀物等食糧など、商品の総合指数が、ここ1年間で5割アップ。
(とは言っても、一本調子で上げ続けているわけではなく、その間当然下げることもあった。)

一方、最近の動向の中では、アメリカの鉄鋼関税一部下げや、2月1日RCEP(地域的包括的経済連携)協定発効、少し遡れば、中国・台湾双方がTPP(環太平洋パートナーシップ)協定加盟に名乗り等、自由貿易体制の拡充強化を、先進国にとどまらず、中後進国の多くがめざしていることを確認できる。

自由貿易主義に逆行する資源ナショナリズムのリスク

先述したように、中後進国も輸出資源があれば、方向としては自由貿易主義に与することは自明であり、それがグローバル化を進める象徴的なモデルとされるわけだが、こうした多様なリスクが地政学リスクとして顕在化することも想定内のこととすべきである。
資源を有する国が、自国経済を優先して資源を囲い込む「資源ナショナリズム」が国際価格に影響を及ぼす例も常に表裏をなす可能性があることもいうまでもない。

上記日経記事は、単なるレポートで終わっている。
それを、経済の素人である私なりに基本を確認しながら以上整理してきた。
しかし、本題はこれからである。

日本の保守政権政党の持つ自由主義経済政策の矛盾

こうしたリスクに平時から備えるべきことが、あたかも自由貿易主義とそのシステム拡充の先頭に立ち、リーダーシップを発揮することが国益にそうことと考えている日本の政権政党。
保守体質を持つはずなのでが、その政党の本質は一体どこに、どのようにあるのか、実は摩訶不思議なのである。

自由貿易主義を否定する気はない。
しかし、それは、多種多様で、時に想定外の状況をもたらすリスクに備えた社会経済体制・システムを整備・構築することを前提としてのものであるべきだ。
決して経済界と政界・政党との利害関係で結びついた摩訶不思議なロジックがまかり通る政治経済社会であっては決してならない。
そこで進められる自由貿易が、格差と分断を助長し、拡大するものであっても決してならない。

想定外も想定内とする状況に対応するための基礎資源国内自給自足体制システム構築へ

冒頭紹介した日経記事から考えるべき課題。
それは、グローバル社会のさまざまな地政学リスクに備えるべく、経済のみならず社会生活を安心・安全に維持・継続できる、エネルギー・食糧・各種資源などを、自国で求められる需要に対して、適切にできうる限り供給できる体制、社会経済システムを構築することです。
その枠組は、以下の参考資料にあるように、2050年を想定しての長期ビジョンとして提起しています。

従い、その「できうる限り」の内容と期間・期限について、叡智を集め、議論・検討し、調査・研究を行い、そして投資計画を立案し、合意形成し、着実にそれを進め、実現していくことが必要になるわけです。
その推進は、やはり政治・行政に委ねずに実行は不可能です。
しかし、現状は・・・。
困難な取り組みを想定しているからこその<2050年長期ビジョン>としているのです。
10年、いや20年、30年を要する取り組みとなるのです。
そういう視点、そして責任意識をもつ政治家や政党が現れないか。
現れる土壌を形成することから始めるべきなのでしょう。


(参考過去記事)
食料・水・空気・エネルギーの自給自足国家創造へ(2020/4/1)
めざすべき水素社会とエネルギー自給自足社会:脱炭素による環境と経済で社会はどう変わるか-3 (2020/12/25)
半導体、産業のコメから産業と社会経済生活の心臓へ:2050年半導体自給自足国家実現へ(2021/10/4)

<以下参考>
以下は、本稿と関連する政策を、当サイトの4大カテゴリーの2つ<ECONOMIC POLICY><LAND & RESOURCES>で提起している中から参考までに転記したものです。
関連する個別政策課題を、こうした記事内容を必要に応じ変更・修正していきます。

Ⅲ 経済政策 2050年長期ビジョン及び長期重点戦略課題

<2050年経済政策長期ビジョン>

行き過ぎた資本主義の弊害、それと関連するグローバル経済がもたらす地球温暖化・環境破壊問題などへの抜本的な取り組みを必須課題とし、それと並行して進める望ましい経済活動のモデルを、経済の安全保障の観点から確立すること目標とし、そのモデルのグローバル社会への移転・移管と支援に結びつけることと併せて2050年長期ビジョンとしてその実現を図ります。

<2050年経済政策長期政治行政重点政策課題>

1.適正需要供給経済政策
2.雇用政策・労働政策

3.経営革新・事業開発支援政策、労働生産性・付加価値創造支援政策
4.イノベーション・技術開発・IT基盤整備拡充支援政策
5.成長・脱成長、緊縮・反緊縮多様性モデル対応政策
6.グローバル経済政策

1.適正需要供給経済政策

(基本方針)
コロナパンデミックで経験した物流・人流の停止等の経験、また国家間の力学的な問題等から想定すべき、経済の安全保障ニーズに基づき、社会活動における需要供給バランスの適正化に基づく国内における自給自足経済の確立と維持システム構築を目標とし、2050年までの実現を図ります。
(個別重点政策)
1-1 食料自給自足経済確立(5年単位の中期計画管理に基づく)
1)第6次産業化含む包括的総合的食料・飲料国内自給方針及び中長期目標策定、ベーシック・ペンション導入時利用構成比率シミュレーション及び対策
2)品種・品目別原材料依存率・国内対応率等実態調査及び方針策定
3)品種・品目別国内自給率目標設定と必要財政政策・計画立案
4)農業・畜産業・水産業自給自足産業構造構築(全国及び地域別、緊急時供給体制等含む)
※ 「国土・資源政策」 3.食料・農林水産業安全保障・維持・開発管理 と連携
1-2 生活基礎消費財自給自足経済化 (5年単位の中期計画管理に基づく)
1)業種別必要品種・品目調査分析(対外依存状況、国内対応状況等含む)
2)業種別必要品種・品目別国内自給方針及び中長期目標策定、ベーシック・ペンション導入時利用構成比率シミュレーション及び対策
3)地域別・地域間サプライチェーン整備、緊急時体制整備
4)緊急時海外供給体制整備
1-3 全産業分野基礎物品自給自足経済化(サプライチェーン構築) (5年単位の中期計画管理に基づく)
1)緊急事態想定時全産業分野におけるリスク調査・分析(2年毎の見直し)
2)同調査・分析に基づく総合的短中長期対策立案(~2030年)、進捗・評価管理(~2031年)
3)同調査・分析に基づく産業別・品種品目別国内対策立案 (~2030年) 、進捗・評価管理 (~2031年)
4)「国土・資源政策」 6.産業資源自給自足基盤の拡充による安全保障・維持・開発管理 と連携

Ⅰ 国土・資源政策 2050年長期ビジョン及び長期重点戦略課題

<2050年国土・資源政策長期ビジョン>

有限の国土及び各種資源の安全保障を守り、持続性を備えた可能な限りの自給自足国家を確立し、国民の命と安全・安心を守る国家政策の2050年の追究・実現を図ります。

<2050年国土・資源政策長期重点政治行政戦略課題>

1.国土安全保障・維持総合管理
2.電力・エネルギー安全保障・維持開発管理
3.食料、農・畜産・水産業安心安全保障・維持開発管理
4.自然環境保全・持続可能性管理
5.社会的インフラ安全保障・整備維持管理
6.産業資源安全保障基盤・維持開発管理

2.電力・エネルギー安全保障・維持開発管理

(基本方針)
気候温暖化・自然環境破壊などがもたらす国民生活、各種事業活動上の不安・悪影響を抑止し、将来に向けて持続可能な電力・エネルギー自給自足体制の整備、安心・安全を保障する同システムの構築を推進し、2050年までに100%再生可能エネルギー国家と水素社会を実現する。
(個別重点政策)
2-1 100%再生可能エネルギー及び水素社会の実現
1)各再生エネルギー別現状及び長期問題点・リスクなど調査及び分析( ~2030年 )
2)個人住宅及び事業所建物再生エネ発電・電源利用義務化及び支援法制化・施行(~2030年)
3)長期電源構成ビジョン及び長期計画策定(~2025年)、エネルギー危機管理システム策定 ( ~2030年)、進捗・評価管理 (2031年~) 、100%エネルギー自給自足国家化(~2050年)
4)水素エネルギー社会化技術開発調査及び長期計画・予算策定( ~2030年) 、プロジェクト進捗・評価管理 (2031年~) 、(100%再生可能エネによる)水素社会実現( ~2050年)
2-2 電力送配電網の国有化と家庭用電力基本料金の無料化
1)現状電力送配電網問題点調査及び方針立案(~2025年)
2)送配電網国有化法制化及び予算化、移行・実行計画立案(~2030年)
3)電力会社等電力事業システム再構築(国・地方自治体・民間企業及び個人・一般企業)
4)家庭用電力料金無料化(2050年~)
2-3 GXグリーン・トランスフォーメーション推進、原子力発電の停廃止と完全安全技術転用
1)産業別・企業別GX推進計画策定 (~2030年) 、進捗・評価管理 (2031年~)
2)国家主導・支援GX推進計画・支援計画策定 (~2030年) 、進捗・評価管理 (2031年~)
(1)2)参考)
3)必要原子力発電関連技術活用政策、長期計画策定 (~2030年)
4)原発停止方針確定、福島原発処理他廃棄物処理長期計画策定・予算化 (~2030年)

3.食料、農・畜産・水産業安心安全保障・維持開発管理

基本方針)
 さまざまなリスクに対応できる食料自給自足国家とその持続可能な社会システムを2050年までに構築し、その基盤の下にグローバル社会に貢献できる食料のサプライチェーンモデル、フードシステム・モデルを構築する。
(個別重点政策)
3-1 食料自給自足国家社会の拡充:農地実態調査、未耕作地集約、自治体別強化農産品目決定
1)食料品種別自給率調査及び長期自給率目標策定 (~2025年)
2)農地生産地実態調査、未耕作地等未利用地実態調査 (~2025年)
3)目標自給率実現品種・生産地域計画立案 (~2030年) 、都道府県別農産政策立案 (~2030年)、
  取り組み進捗・評価管理、食料品危機管理システム整備構築(2031年~)
  ※最重点品目:小麦
4)農家・農村・農業従事者・農業法人、地域農業等保護・育成・開発計画策定、運用管理(~2030年)
3-2 農・畜産・水産業の長期総合政策策定と持続的取り組み
1)畜産部門自給自足長期計画、振興支援計画策定、都道府県別計画、危機管理システム策定 (~2030年) 、各進捗・評価管理
2)水産部門、遠洋・近海漁業保全計画策定、養殖分野長期計画、危機管理システム策定 (~2030年)
3)食の安全性確保・持続性総合管理政策策定と運用管理(5年サイクルでの取り組み)
 ※種苗法・種子法等改定、遺伝子組み換え・ゲノム編集・農薬等問題
4)ローカル&グローバル・フードシステム、グローバルサプライチェーン長期方針及び計画立案 (~2030年)
3-3 食品・飲料製造産業の水平・垂直統合
1)食品・飲料製造産業原材料調達・内外依存度等実態調査及び長期方針 (~2030年)
2)基礎食品・飲料指定化と自給自足可能度評価、対策立案 (~2030年)
3)都道府県別受給可能度調査及び緊急時国内サプライチェーン構築計画 (~2030年)
4)グローバルサプライチェーン長期方針及び計画立案(~2030年)

6.産業資源安全保障基盤・維持開発管理

(基本方針)
自然資源安全保障システムの整備確立に加え、の社会経済システムと関わる産業基盤・産業資源の一定レベル以上での自給自足を可能とする安全保障と情報及びITシステムの安全保障を実現することが不可欠であり、必要な分野と品種・品目・課題等に焦点を当て、2050年までにその目標とするレベルとシステムの実現を図る。
(個別重点政策)
6-1 各分野資源保有率・保有年数等現状調査及び中長期方針構築
1)産業分野別・製品別自給率及び対外依存率調査・評価 (~2030年)
2)国内産業再編方針及び新規事業開発構想立案 (~2030年)
3)国内自給自足化戦略及び長期取り組み計画立案 (~2030年) 、進捗評価管理 (2031年~)
4)グローバル・サプライチェーン長期方針・計画策定 (~2030年) 、進捗・評価管理 (2031年~)
6-2 半導体、クラウドサービス等IT・DXインフラ国内自給自足体制構築
1)国内・海外供給体制調査、長期予測とりまとめ (~2025年) (定期的にメンテナンス)
2)国内産業・企業との長期方針、長期計画調整、支援計画(~2025年)
3)長期自給自足体制移行計画策定及びグローバル・サプライチェーン長期方針・計画策定(~2025年)
4)情報セキュリティ総合対策整備拡充
6-3 レアメタル等希少資源の代替資源・技術開発
1)必須レアメタル等希少資源のグローバル調査及び将来予測 (~2025年)
2)国内調達可能必須レアメタル保有度評価と代替化可能性調査・評価、対策立案 (~2030年)
3)代替可能品開発支援計画及び予算策定(~2030年)
4)グローバル・サプライチェーン長期方針・計画策定(~2030年)

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