
25年前に描かれた、国民負担増という社会保障制度改悪へ進む日本
小沢修司氏著『福祉社会と社会保障改革』から考える-2
日本のベーシックインカム論の古典、と私が勝手に位置付けているのが、小沢修司氏により2002年に出版された『福祉社会と社会保障改革―ベーシック・インカム構想の新地平』(2002/10/30刊)。
同書の前半の[Ⅰ 企業中心社会と社会保障制度改革]を当サイトで取り上げ、後半の[Ⅱ ベーシック・インカム構想と福祉社会の展望]を、関連サイト http://basicpension.jp で取り上げることにしました。
Ⅰ 企業中心社会と社会保障制度改革
本稿で引用・紹介する内容は、ほぼ20~25年以上前の社会経済状況を示すものであり、現在の状況と基本的には変わっていないこと、そのため、現在の社会保障制度や生活状況が、悪化していることを示すことを意図しています。
前回第1回目は、「第1章 いま何故、社会保障改革か」を取り上げた記事
◆ 社会保障制度審議会1995年勧告に関係なく悪化を続けてきた社会保障制度(2021/9/25)
を投稿しました。
そこでの第1章の構成は、以下のとおりでした。
第1章 いま何故、社会保障改革か
1.家族・労働の変化と社会保障制度の揺らぎ
1)家族の変化
2)労働の変化
2.わが国社会保障制度の「企業中心社会 」的特徴
3.「企業中心社会 」 の弊害
1)個人生活の自由度の制約
2) 「企業中心社会 」と少子化の進展
3) 少子化の要因への対応の視点
4.「男女共同参画社会」の戦後税制の転換
1) 「男女共同参画社会」 を目指して
2)政府税制調査会「基本方針」における個人所得課税の見直し
3)配偶者控除、配偶者特別控除の異質性
今回は、続いて「第2章 国民負担から見た社会保障改革」を取り上げます。
「第2章 国民負担から見た社会保障改革」から
第2章構成
第2章は、以下の構成になっています。
第2章 国民負担から見た社会保障改革
1.「福祉ビジョン」の描く「社会保障の給付と負担」像
1)破綻した「日本型福祉社会」論
2)「福祉重視」型への転換と国民負担増
2. 社会保障 の「国民負担」
1) 「国民負担」 に隠された国民負担の実像
2) 「国民負担」論議と「社会保障構造改革」
3.80年代からの「受益者負担」戦略の評価
1)医療における自己負担金
2)福祉 における自己負担金
3)社会福祉「自己負担金」の推計
4.国民負担から見た社会保障と国民生活
1)国際比較に見る社会保障水準の低さ
2)個人負担と国民生活
3)国民負担のあり方と社会保障改革の方向
前章で、社会保障制度の見直しが必要とされる社会経済状況に至ったことを問題提起し、その根拠として、家族と労働の視点からの変化・変容を指摘。
それは、企業を軸とした社会保障制度に関する問題提起であり、被用者が負担する個人所得課税に絞った議論にとどまっていました。
しかし、この第2章では、企業が法定福利費を負担し、被用者の賃金から控除する(預かる)社会保険料に関する社会保険制度に焦点を当て、そこでの「国民負担」について論じることになります。
今回も前回に倣い、上記の構成であった第2章を、以下のように整理して、見ていくことにします。
「福祉ビジョン」と「社会保障の給付と負担」で示された問題
1)「日本型福祉社会」構想の破綻と「福祉ビジョン」を超える1995年勧告
まず第2章の冒頭、1994年3月の厚生省・高齢社会福祉ビジョン懇談会報告書「21世紀福祉ビジョン~少子・高齢化社会に向けて~」(「福祉ビジョン」とします)の以下の部分を切り取り紹介しています。
目指すべき福祉社会像として、公的保障中心の高福祉・高負担型福祉社会、自助努力型低福祉・低負担型福祉社会、中間型の福祉社会のいずれを選択するかが重要な課題となるが、我が国としては、公民の適切な組み合わせによる適性給付・適正負担という独自の福祉社会の実現を目指すことが、国民のコンセンサスを最も得やすい方向ではないか」
これを、なんとも抽象的で、なんだか一切分からない内容と酷評はしますが、この内容から、高福祉・高負担でも低福祉・低負担でもないことは明らかにしているとして、評価はしています。
と同時に、これは、前回の記事で述べた従来からの「日本型福祉社会」が破綻していることを認めたものと評価しているのです。
元来、「日本型福祉社会」への疑問を提起していた1995年勧告では、上記の曖昧な、訳がわからない「福祉ビジョン」をも明確に批判するものと読むことができる以下の提起があります。
少々長い引用ですが、大切な内容と思い、転載します。
安易な社会保障費の拡大や社会保障制度の拡充は国民、特に現役世代にとって重い負担となり、労働意欲を阻害したりして国の活力を弱め、経済成長を抑制するのではないかと憂慮する声も聞かれる。
しかし、経済成長は経済の成熟化や労働力の制約などの要因によって大きな影響を受けるのであり、これに対し社会保障制度は万一の場合に生活の保障をすることにより国民が安心して働けるようにする。
今後の日本経済の進路と考え合わせると、社会保障制度の充実は医療や福祉サービスなどの分野で新たな産業と雇用機会を作り出すとともに、高齢者や障害者などの働きやすい環境の整備を通じて労働力不足の解消にも寄与する。
また、内外市場における一層の競争を促し、経済の活力を高めることが期待される規制緩和も、セイフティネットとしての社会保障制度が整備されて初めて有効な政策となりうる。
このように、社会保障制度を抜きにしては、国民生活の安定ばかりでなく経済の発展も制約を受ける以上、その存在を前提とした上で、大局的にみて社会保障に財源を生み出す経済活力の安定的な発展にプラスとなるような制度づくりが求められている。
2)「福祉ビジョン」が描いた「社会保障の給付と負担」による「福祉重視」型への転換と国民負担増
こうした見識が高い1995年勧告があったにも拘らず、先行した1994年の「福祉ビジョン」では、将来の社会保障給付と負担のあり方については、福祉重視を掲げつつ、その対価として、受益者たる国民にも応分の負担増を受け入れることを求めるものであったのです。
福祉重視とはいかなるものか、多少の例は記述されていますが、その試算や根拠は示されてないないことも合わせて述べています。
それよりも、もっと根源的な問題があるとし、次項の「国民負担」の欺瞞性についての話は進められます。

国民負担データの欺瞞と社会保障制度改悪
1)国民負担と国民負担率の意味
ここでの「国民負担」とは、租税負担と社会保障負担を足したもので、社会保障負担とは、公的年金・公的医療・公的介護の各社会保険の掛け金で社会保険料のこと。
「国民負担率」とは、国民所得に対する「国民負担」の割合。
2)国民負担にカウントされない自己負担
しかし、この「国民負担」の計上額には、自己負担額が含まれていないというのです。
国民一人ひとりが、医者にかかった際に支払う自己負担、介護サービスを受けた時に請求され支払う自己負担、
これらの保険適用により一応低率に設定された自己負担とは別に、保険的適用外のサービス利用、入院時の差額ベッド代や給食費の自己負担分、医薬品の購入、必要な付添費・交通費、社会福祉施設利用時徴収の費用負担金など自己負担額は、「税外負担」と言われます。
こうした社会保障制度の利用に際して徴収される自己負担金が、この「国民負担」や「福祉ビジョン」における「社会保障に係る負担」「社会保障給付費」に一切カウントされていないというのです。
おかしな話、まったくの欺瞞です。
なお、より敷衍すると、利用者の自己負担に留まらず、社会保障水準の低さをカバーする各家庭における貯蓄やアンペイドワークとして行われている育児・介護などのケアワークも、私的負担の枠に含まれることになります。
国民負担を増やす政策が社会保障制度改革という欺瞞
1)国民負担を増やすという社会保障改革路線への転換点
しかし、1995年勧告で示された高い見識が、社会保障構造改革の方向を打ち出すために翌1996年5月に開催された、8つ会長が集められた社会保障関係審議会会長会議において、喧々諤々議論されるも、最終的にはその中間報告で否定されることになったのです。
本項では、その時の議事録も掲載され、その経緯を詳しく示していますが、詳細は省略します。
ただ、財政当局の反対があったことや企業負担は増やさないという経済界サイドの強い要望などが反映されたことを示唆しています。
2)1980年代からの「受益者負担」をめぐる議論
こうした国民サイドからの離反を意味する意図的な方針決定には、当然伏線があったわけで、それを80年代以降の「受益者負担」戦略にあったとして、医療と福祉の2つ領域における「自己負担金」をめぐる当時の議論や評価の視点を取り上げています。
詳細は省略しますが、結局、公的負担を増やせば、給付サービスを受ける需要が増大し、社会保障財政を危うくするという単純な理由付けと、私的負担を増やせば、生活不安が増大し、労働へのモティベーションも低下するという、いつものコインの表と裏の綱引きのお話です。
あとは、利用者負担徴収における保有財産を考慮しない不公平性に少し触れてはいますが、深く追及していないことが気になることと、公的負担における国と地方自治体間の綱引き、要するに国の横暴、自治体の苦難という構図の指摘もあり、どちらも今日も抱える同根の問題ではあります。

小沢氏が提案する国民負担のあり方と社会保障改革の方向
では、第Ⅰ編を通じて小沢氏が主張したかった、社会保障改革の方向・方法はどんなものだったのか。
主張の一部を以下に抽出し、感じたところを少しメモしました。
社会保障水準の低いわが国にあって、生活保障の安定度を高めようと企業福祉への依存が深まれば深まるほど、大企業の正社員になれるか否かが大きな意味を持ち、(略)。
これが社会保障における公的負担の低さを、私的負担のうちの企業負担が補完するという生活保障システムの裏側に隠されている姿である。
社会保障制度(=「公」)の低位性とそれを補完する家族ならびに企業(=「私」)とによって担われたわが国の生活保障システムは、一方での家族への依存は、家計行動としては貯蓄率の高さ(家計の黒字率)の高さとなって現れ、他方での企業への依存は、格差構造的な企業福祉を通じて、労働者を企業中心社会に取り込みつつ、総じて厳しい生存競争を国民に強いる社会システムとして機能している。
25年以上を経た今も、この通りの感覚で認識・評価すべき社会経済状況かと問えば、若干ニュアンスが異なるのではと思います。
当時の格差構造的な企業福祉は現状も姿を少し変えて存在し、企業規模の違いよりも正規・非正規雇用格差を根幹とするものに変化しています。
それに加え、労働力人口の減少、女性就業者の増加、IT職人材の争奪戦、定年制延長・廃止、高齢者再雇用、一方で希望退職募集企業の増加、育児・介護支援法制の拡充強化など、多様化・複層化した諸要素により企業が関与する生活保障及び社会保障システムも単純な構造を持つものではなくなりつつある。
そんな印象を持っています。
まあ、現状認識はさておいて、先の時代においてこの「企業中心社会」からの脱却を目指す社会保障改革の方向はいかなるものになるか、小沢氏はこの第2章の最後に、以下の2点を指摘しています。
1)個の自立を支え多様な生き方を許容する生活保障の社会システムを、男女間の固定的な性別分業の廃棄という視点に立って構想する。
すなわち、世帯単位中心の税制や社会保障制度を個人単位に切り替える方向で進め、家計貯蓄に過度に依存したあり方を改め公的負担に基づく社会保障を充実させる。
2)企業からの個人の自立を促す方向で、国民生活を支える充実した社会保障制度を築いていく。
一部の企業内福利として実施されているものを社会保障制度に取り込むことも含め、大企業に取り込まれた労働者の労働と生活を労働者自身の手に取り戻し、企業からの自立を実現する。
すなわち、企業負担の軽減から考えるのではなく、企業と労働者が直結する形での企業福祉を見直し、企業の社会保障負担を新たに社会全体へと引き出すシステムが検討されねばならない。
当然といえば当然、致し方ないといえばそうなのですが、抽象的な表現でとどまっているのはやむを得ないところです。

企業中心社会視点での社会保障改革考察の問題点と次なる方向性
社会保障制度全体体系を見ると、企業と個人との関係ですべてが包含されるわけではありません。
特に貧困問題に関しては、企業サイドの責任から論じることは難しく、特に生活保護制度はその枠外の課題になってしまいます。(間接的には関係付けが可能かもしれませんが。)
また先にも触れましたが、企業中心社会といっても、企業規模によって大きく事情は異なり、それは被用者が受ける社会保障・福祉サービスと負担すべき国民負担の違いの大きさにも通じます。
また、負担面からだけでなく、社会保障制度それぞれの給付等内容面からの改革も本来改革の対象とすべきことは言うまでもないのですが、本書では総論的な位置付けに終わっているのも物足りないところです。
しかし、上記の最後のまとめの内容を見ると、なんとなく、ベーシック・インカムの基本的な考え方を表現しているかのように読み取れるのです。
企業との関係論一辺倒ではない要素も、特に1)には感じます。
そう考えると、本書のタイトルを『 福祉社会と社会保障改革 』としつつ、その第Ⅰ編を「企業中心社会と社会保障改革」とし、<第1章 いま何故、社会保障改革か >、<第2章 国民負担から見た社会保障改革>で構成していることで、タイトルに相応しい課題への取り組みは、どうやら、第Ⅱ編の「ベーシック・インカム構想と福祉社会への展望」に持ち越して、そこで展開されることになるのではと、期待を持たせられることに・・・。
なお、前回も申し上げましたが、本書は、宮本太郎氏著『貧困・介護・育児の政治 ベーシックアセットの福祉国家へ』(2021/4/9刊)及びこれを もとにしての以下の<「宮本太郎氏『貧困・介護・育児の政治』から」シリーズ>記事と重なります。
そのため、次回はこの小沢氏著と宮本氏著とを重ね合わせて考えてみたいと思います。
(参考)
◆ 福祉資本主義の3つの政治的対立概念を考える:宮本太郎氏『貧困・介護・育児の政治』序論から(2021/9/3)
◆ 増加・拡大する「新しい生活困難層」:宮本太郎氏『貧困・介護・育児の政治』からー2(2021/9/5)
◆ 貧困政治での生活保護制度と困窮者自立支援制度の取り扱いに疑問:宮本太郎氏『貧困・介護・育児の政治』からー3(2021/9/7)
◆ 利用者視点での介護保険制度評価が欠落した介護政治論:宮本太郎氏『貧困・介護・育児の政治』からー4 (2021/9/9)
◆ 政治的対立軸を超克した育児・保育政治を:宮本太郎氏『貧困・介護・育児の政治』からー5 (2021/9/11)
◆ ベーシックアセットの前に社会保障政治改革を:宮本太郎氏『貧困・介護・育児の政治』からー6(2021/9/13)

以下のすべての内容は、前記事
◆ 社会保障制度審議会1995年勧告に関係なく悪化を続けてきた社会保障制度(2021/9/25)
でご案内したものの再掲です。
ご了承ください。
サブタイトルで「ベーシック・インカム構想の新地平 」と示されたベーシックインカムについては、当サイトで『福祉社会と社会保障改革』を次回もう一度取り上げた後 、引き続いて、別に運営するベーシックインカム専門WEBサイト http://basicpension.jp で紹介し、考察いたします。
同書における、その構成は、以下のようになっています。
Ⅱ ベーシック・インカム構想と福祉社会の展望
第1章 ベーシック・インカム構想と福祉社会の展望
1. ベーシック・インカム構想の系譜
2. 戦後「福祉国家」の見直しとベーシック・インカム構想
3.最低限所得保障の類型とベーシック・インカム構想
4.小括
第2章 労働の変容と所得保障
1.ゴルツの「ベーシック・インカム保障+大幅時短セット論」
2.社会的排除と貧困
3.ワークフェアと所得保障
4.ベーシック・インカム保障と労働時間の短縮が切り開く道
5.小括
終章 日本におけるベーシック・インカムの可能性
「安心して暮らせる21世紀の社会を目指して」 vs「望ましい2050年社会、実現をめざして」
なお、本稿の冒頭提示した1995年社会保障制度審議会勧告のタイトル「社会保障体制の再構築に関する勧告」 では、サブタイトルに「安心して暮らせる21世紀の社会を目指して」と加えてありました。
その表現に込められた思いは、21世紀も既に20年を経過した今、決して実現されることなく、同様の社会経済のもと、風化しているかのようです。
当サイト https://2050society.com は、2050年の望ましい社会実現をめざして、様々な観点から検討と考察、提案を行っていくことを目的としています。
21世紀の半ば、2050年までに社会保障制度がどのように変革がなされているか。
これも当然、当サイトでは「社会政策」の2050年の長期ビジョン、長期政治行政改革計画における軸として、以下の構成の中で設定しています。
Ⅱ 社会政策 長期ビジョン及び短中長期重点戦略課題
<長期ビジョン>
すべての国民が、憲法に規定する基本的人権及び最低生活保障を受ける権利に基づいて制定され、所属する多様な社会・組織において享受し保障されるすべての社会保障・福祉政策の国家の不断の取り組みにより、安心と安全な暮らし、自由な働き方・生き方が選択できる社会モデルの構築・実現を図る。
<短中長期・政治行政重点政策課題>
1.社会保障・社会福祉制度改革
(基本方針)
日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金制度の2040年までの導入、2045年までの修正定着をめどに、社会保障・社会福祉制度の総合体系の再構築と関連する法制の整備、関連行政組織及び業務改革を行い、種々の貧困・格差及び世代間不公平性・不満感の是正、平等・公正な社会活動の機会基盤の整備拡充と安全・安心な暮らしが持続できる社会を2050年までに形成します。
(個別重点政策)
1-1 社会保障制度体系改革
1)ベーシック・ペンション導入に伴う社会保障制度・福祉制度体系の再構築
2)社会保障制度改革:健康保険・介護保険制度統合、国民年金制度廃止・厚生年金制度改定、児童福祉・障害者福祉制度改正、生活保護制度対策他
3)労働政策・労働保険関連制度改革:労働基準法解雇規制改正、雇用保険法改正、非正規雇用転換制改正、最低賃金法改正、労災保険改正等
4)社会保険制度改革、世代間負担公平性対策、関連所得税改正、その他社会保障制度体系再構築に伴う関連法律の改定
1-2 ベーシックインカム導入及び関連各種制度・システム包括的改定
1)日本独自のベーシックインカム、専用デジタル通貨JBPCによるベーシック・ペンション生涯基礎年金制度導入
2)ベーシック・ペンション導入に伴う関連諸制度・法律の改正・改革
3)ベーシック・ペンション確立までのベーシックインカム段階的導入
4)ベーシック・ペンション導入のための日本銀行改正、JBPC発行・管理システムの開発・運用化
1-3 社会保障・社会福祉行政改革(公的サービス事業公営化促進、公務員化)
1)ベーシック・ペンション導入、社会保障制度体系改革に伴う行政官庁再編、組織・業務改革
2)国・公営サービス事業再編:利益追求型社会サービス事業の一部国公営事業転換、社会福祉法人等の再編
3)社会保障・福祉資格制度の拡充、キャリアプログラム開発
4)社会保障・福祉関連職公務員制度改革
2.保育政策・子育て支援政策、少子化対策・こども貧困対策
(基本方針)
長期化し、歯止めがかかっていない出生率低下・出生数減少、少子化対策の抜本的な見直しを、2050年人口1億人への人口減少社会を想定して行い、目標とする社会の実現を図る。
それと並行して、安心して子どもを産み、育てることが可能な保育政策・子育て支援政策を、社会的共通資本政策として強力に推進し、近年の子どもと家族をめぐる社会問題の改善・解消を2050年までに実現します。
(個別重点政策)
2-1 少子化対策、人口減少社会対策
1)経済的支援ベーシック・ペンション導入による婚姻率・出生率向上(児童手当制度廃止拡充転換を伴う)
2)保育制度・保育行政改革、子育て支援システム拡充による総合的少子化政策推進
3)地域別(都道府県別)少子化対策取り組み策定と国による支援
4)長期人口減少社会計画策定(国家及び地方自治体)と取り組み・進捗評価管理(人口構成、外国人構成等)
2-2 保育制度・保育行政
1)5歳児(~2030年)・4歳児(~2035年)保育の義務化
2)保育施設再編及び同行政組織再編
3)学童保育システム確立、待機児童問題解消
4)保育士職の待遇、労働環境・条件など改善
2-3 子育て支援システム
1)地域包括子育て支援センター組織・業務機能拡充
2)子どもの貧困解消総合政策(ベーシック・ペンション児童基礎年金導入他)
3)孤育、ひとり親世帯、孤立世帯支援行政システム・体制整備拡充
4)関連NGO等民間地域ネットワーク拡充支援
3.教育制度改革
(基本方針)
次世代を形成する児童・学生への期待は、教育機会の平等、教育格差の是正、学校や教育システムなどのインフラを経済的な不安なしで利用できる制度など、社会的共通資本としての教育制度・教育政策基盤が整備され、提供されて初めて、積極的な行動を求めることができるものです。
そのために必要なさまざまな制度の体系と方法を再構築し、自身の希望や困難に挑戦し克服する姿勢・能力・技術の向上や自己実現・社会貢献に結びつく多様な個性・人間性そして人生の実現の支援政策を推進します。
(個別重点政策)
3-1 義務教育改革
1)5歳児・4歳児義務保育制導入
2)教育格差改善・解消対策、学童保育問題、いじめ・自死対策
3)新教育基本法改正、教科・教育方法改訂
4)教員支援改革
3-2 高等学校教育改革
1)高等教育改革(高校専門教育課程・専門高校多様化拡充)
2)起業・経営専門スキル、IT、AIスキル教育課程拡充
3)学生交流・交換留学等教育国際化推進
4)ベーシック・ペンション学生等基礎年金、特別供与奨学金制度による経済的支援
3-3 大学・大学院教育改革、留学・社会人教育、生涯教育基盤拡充
1)大学・大学院教育改革、大学・大学院組織改革、研究者支援システム改革
2)(無償供与)特別奨学金制度
3)留学制度拡充支援、グローバル大学育成
4)社会人キャリア開発、高度専門スキル開発教育支援、生涯学習基盤整備拡充
4.ジェンダー問題政策
(基本方針)
多様性(ダイバーシティ)自体の多様化・複合化が進展するなか、一向に改善されない日本社会、政治・行政領域、企業社会、地域社会におけるジェンダー問題。
その遅々たる状況は、政治行政政策における転換がなされない限り、グローバル社会における先進国評価とのギャップが拡大する一方であることはこれまでの空白の30年で証明されています。
スローガン型の「やっている感」政治行政からの脱却・転換を共通認識とし、5年・10年スパンでの望ましい変化を評価確認できる行動計画と関連法制化計画を提示し、推進・実現します。
(個別重点政策)
4-1 ジェンダーギャップ改善政策
1)総合的ジェンダー政策策定
2)ジェンダー多様性個別政策(LGBTQ、関連分野別)
3)公的個別課題目標値設定及び達成計画立案 、進捗・評価管理
4)民間個別課題目標値設定及び達成計画立案 、進捗・評価管理
4-2 男女雇用・労働格差対策
1)育児・介護支援制度、同休業制度拡充等労働政策改善・拡充
2)男女雇用・賃金処遇差別対策(採用、非正規雇用、正規雇用転換、同一労働同一賃金等)
3)労働基本法関連格差是正対策
4)職場ハラスメント等企業行動規範問題等対策
4-3 家族・夫婦間ジェンダーギャップ社会問題政策
1)夫婦別姓問題、同性婚問題対策・改善
2)共同親権問題、養育義務不履行問題、DV問題対策・改善
3)家庭内性別役割分業問題改善
4)その他ジェンダー問題改善(性行動、性転換他)
5.高齢化社会政策・介護政策
(基本方針)
団塊の世代を形成するすべての高齢者が100歳を超えている2050年には、現状の高齢化社会は、総人口の減少及び年齢構成の大きな変化を伴って新たな状況を迎えます。
それに伴って、社会保障制度の体系と実際の制度・法律も、その状況にふさわしいものに整備され、確立されていることが求められます。
今後進行する、世代継承・世代交代を念頭に、それまで続く高齢者の医療・年金問題、現役世代が抱く高齢世代への不満等の改善・解消に、当区分の<社会政策>で連携して取り組み、現役高齢者が安心・安全な暮らしを送ることができるよう、政治行政政策課題化して取り組みます。
(個別重点政策)
5-1 高齢者年金制度
1)ベーシック・ペンション導入に伴う高齢者年金制度改革:国民年金制度廃止、生活基礎年金支給、厚生年金制度改正
2)厚生年金保険制度の賦課方式から積立方式への転換
3)全給与所得者の厚生年金保険加入制度化
4)遺族年金制度改定
5-2 健康保険制度・介護保険制度改革、介護行政改革
1)後期高齢者医療保険・介護保険制度統合による高齢者医療介護制度改革
2)介護保険制度改正
3)老人施設事業運営改革
4)全給与職者の健康保険加入制へ
5-3 高齢者生活、高齢者就労支援政策
1)地域包括高齢者支援センター拡充(高齢者夫婦世帯支援、単身高齢者世帯支援、高齢者施設等入所支援)
2)高齢者生涯設計支援制度拡充(公的後見人制度、相続問題支援等)
3)健康寿命、認知症対策等支援
4)高齢者就労支援システム拡充
6.各種社会問題克服政策
(基本方針)
いとも簡単に首相や政権政党から発せられる「自助」。
まともに自助努力を行う基盤そのものを持ち得ない現状の社会と社会システムを認識しない政治行政の無策の長期化が、少しずつ理不尽な分断行動と認識を増大しつつあります。
その結果でもあり、原因でもある、いじめその他のハラスメント・自殺・引きこもり、各種人権問題など、根深い要因を持つさまざまな社会問題と生きづらい個々人の人生・生活の改善・解消に、地道に、粘り強く取り組むことを課題とし、継続して、着実に改善・解消に結びつける取り組みを具体的計画化・スケジュール化して共有・公開し、取り組みを推進します。
(個別重点政策)
6-1 貧困・格差対策
1)総合貧困・格差問題対策調査・策定 (ベーシック・ペンションを基盤として追加必要政策検討)
2)個別貧困・格差問題取り組み方針・計画立案、進捗・評価管理 ( 同上 )
3)個別貧困・格差指標及び目標値設定、進捗・評価管理
4)生活保護制度政策、障害者福祉・児童福祉制度政策 (ベーシック・ペンションを基盤として検討)
6-2 いじめ、ハラスメント、孤立問題、自殺問題対策
1)いじめ他各種ハラスメント撲滅対策
2)孤立・引きこもり、孤独社会対策(自殺問題含む)
3)誹謗中傷対策、フェイク情報問題
4)各種人権問題
6-3 刑事・民事犯罪抑止対策
1)特殊詐欺対策
2)サイバー、インターネット犯罪対策
3)個人情報対策
4)緊急時・非常時権利制限政策、凶悪犯罪対策

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