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保育職・介護職の賃金、公定価格モデルは小学校教員給与:第1回全世代型社会保障構築会議・公的価格評価検討委員会合同会議から-2

全世代型社会保障構築会議と公的価格評価検討委員会動向をサイト提起社会政策と重ね合わせて追う-2

 岸田新政権の稼働に伴って設置された「新しい資本主義実現会議」と関連会議・委員会等について触れたのが次の記事。
「新しい資本主義実現会議」は機能するか:その限界とかすかな期待(2021/11/17)

 その「新しい資本主義実現会議」同様に注目しているのが、「全世代型社会保障構築会議」とその下部組織である「公的価格評価検討委員会」。
 この2つの会合が、第1回では合同会議として2021年11月9日に開催され、その内容などを取り上げ
第1回全世代型社会保障構築会議・公的価格評価検討委員会合同会議から(2021/11/29)
という記事を先日投稿しました。

 今回は、それを受けて、「公的価格評価検討委員会」が担当する「公的価格評価検討」について考えてみます。
 ここでは、前回転載した、公開されている4つの合同会議資料のうち、
・<資料4> 公的価格の制度について(PDF/1,419KB)
を参考に用います。

公的価格及び公的価格制度とは

 この公的価格評価と検討の対象とされているのは、「介護職」「保育職」「看護職」。
 以下に転載した上記資料の中の<公的価格の制度について>の中で、正式には、それぞれ「介護・障害福祉サービス等報酬」「子ども・子育て支援新制度の公定価格」「診療報酬(医療)」とされ、次の3つの区分で、規定・定義されています。
1)報酬・価格の決まり方
2)処遇改善の仕組み
3)費用負担

以下に、上表から介護・保育2分野について、事務的ですがその内容を順に転記します。

介護・障害福祉サービス等報酬についての規定

 

1.介護・障害福祉サービス職の報酬の決まり方(決め方)

実態調査で把握される施設や在宅サービスの類型ごとの収支状況等を踏まえ、その提供に要する平均的な費用の額等を勘案して、原則3年毎に報酬を改定

2. 介護・障害福祉サービス職の処遇改善の仕組み

1)処遇改善加算:介護職員が対象
2)特定処遇改善加算: 経験・技能のある介護職員に重点を置いた加算
※加算の取得は、加算により取得される額以上の賃金改善が条件

3.利用負担(介護の場合)

1)利用者負担:所得に応じて1~3割(高額介護サービス費制度あり)
2)給付費:介護報酬(保険料:公費=1:1)
※障害者福祉については、上記表で確認ください。

本制度におけるこれまでの介護職員の処遇改善実績

上記<資料-4>から、介護職員の処遇改善実績グラフを転載しました。


問題は、こうした実績分が、確実に介護職員に行き渡っているのかどうかです。


子ども・子育て支援新制度の公定価格について

1.子ども・子育て支援新制度の価格の決まり方(決め方)

1)教育・保育に通常要する費用の額を勘案して公定価格(基本額+各種加算)を決定
2)公定価格の金額については人件費+事業費・管理費について対象となる費目を積み上げて算定
3)人件費は国家公務員の改定状況、事業費・管理費は物価の動向等を踏まえて毎年度決定

2. 子ども・子育て支援制度における処遇改善の仕組み

※園長及び主任保育士は対象外

3. 子ども・子育て支援制度における利用負担

1)利用者負担:市町村が設定(上限あり)
  ※0~2歳は応能負担、3歳以上は無償
2)給付費:原則公費 、一部事業主拠出金あり
  ※公立保育所等は地方交付税措置

本制度におけるこれまでの保育職員の処遇改善実績

 上記<資料-4>から、保育士の処遇改善実績グラフを転載しました。

※再掲

介護職で書いた内容と同じ問題があります。

※子ども・子育て支援制度とは

『子ども・子育て支援新制度』とは、平成24年8月に成立した「子ども・子育て支援法」「認定こども園法の一部改正」「子ども・子育て支援法及び認定こども園法の一部改正法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」子ども・子育て関連3法に基づく制度
※詳しくは<子ども・子育て支援新制度の概要>

公的価格、公定価格検討方式に関する疑問

以上、公開されている資料・情報に従ってみてきました。
正直、随分細かい計算を積み重ね、価格評価と検討、決定プロセスを辿っているものだな、というのがまず思うこと。
そして、その検討のもとになる事業者から提出される資料・データ類の膨大さはもちろんですが、それよりも、そうした資料・データの信憑性・信頼性の評価は大丈夫なのか、という疑問が次に湧き出てきます。

職種別平均賃金と全産業平均賃金を比較することの無意味さ

そして、介護職や保育職の賃金レベルの低さを示す上で、必ず引き合いに出されるのが、<全産業平均賃金>とそれとの比較。
そもそも、平均の算出方法とその結果が意味することへの疑問がつきまといます。
要するに、粗っぽい、さして意味のある作業とは思えない比較データ活用ルーティンに対する疑問を拭えません。



検討委員会は何を行うのか? 現状の委員メンバーで良いのか?

この委員会のメンバーは以下で、全世代型社会保障構築会議のメンバーも兼ねています。

(座長)    増田寬也 東京大学公共政策大学院客員教授
(座長代理)  武田洋子  三菱総合研究所シンクタンク部門副部門長(兼)政策・経済センター長
(構成員) 
・秋田喜代美 学習院大学文学部教授
・菊池馨実  早稲田大学法学学術院教授
・権丈善一   慶應義塾大学商学部教授
・田辺国昭   国立社会保障・人口問題研究所所長


こうした方々は、委員会で一体なにをするんでしょうか。
官僚が作成した資料・データを精査して、意見を述べるのでしょうが、そもそも、このやり方を適正、正しいと認めているのかどうか。
公定・公的価格がどうこう以前に、こうしたやり方が適切かどうか、そしてこれまで行われてきたこの方式で、間違いなく支給された賃上げ用補助金・交付金が各専門職に手渡されてきたのかどうか、などの調査を求め、それを評価検討することから始めるべきではないかと思うのですが。

保育職・介護職の望ましい賃金レベルガイド化と公定価格比較に最適なのは、小学校教員賃金

まあ、従来の方法を変えるなどという発想は、厚労省にも、内閣府にも、そして残念ながら<公的価格評価検討委員会>委員にもないでしょう。
いろいろテクニカルな官僚の作業を繰り返し、それを委員が確認する作業が無意味とはいいませんが、保育職や介護職の望ましい賃金レベルは、さして労力を使わなくても、簡単に入手できるはずです。
それは、小学校教員の賃金です。
都道府県単位レベルで調査・算出すればよいのです。
そしてそれは、地方公務員の賃金レベルとも近似値を表します。

何も、全産業の平均賃金を用いずとも、教育と保育という公的サービス事業の価値比較と算定を起点にすればよいのです。
民間事業者に委ねることで、その公務員レベルを上回る賃金が、保育職や介護職に支払われることが本来望ましいのです。
しかし、おそらく補助金漬け、補助金依存を当然のこととし、その前提で利潤獲得システムとして保育・介護事業を営む民間事業者は、それを既得権として守ろうとするでしょう。
そうしたシステムにおいて、公的・公定価格を正当に評価・検討することが果たして可能かどうか。
あるいは、それ自体にどれ程の意味があるのか。

但し、こうした公務員賃金を算出した後、どのように公的給付を算定・算出するかは、当然新たに方法を検討決定する必要があります。
しかし、ここではそこまで踏み込まず、問題提起と根本的な主張にとどめ、その作業と提案は別の機会にと思います。

公費支給方式の改革とガラス張り化へ


毎年毎年、あるいは3年に1度、小出しに実施され、本当に厳しい現場で働く人々の届けられているかどうかさえ分からないこの処遇改善方式。
本来、先述したように、アプローチ方法自体を根本から変革し、長期的には、5歳児・6歳児保育の義務化をも想定してこうした公的サービス事業に従事する、公務員的な専門スタッフの賃金を設定する改革に取り組むべきです。

しかし、その前に、まず手掛けるべきは、事業所に交付したこうした賃金補助が、間違いなくスタッフに支給されるよう、事業所から支給される賃金・給与とは別項目で、給与明細に記録することを義務付け、監査するシステムを導入することから始めるべきです。
この提案については、以下の記事で述べています。
介護士・保育士賃金に支給の交付金の委託費問題改善の決め手、給与明細への公務手当明記(2021/11/14)

駆け足で見てきました。
望ましい在り方は、都度当サイトで提起・主張していきますが、前回も述べたように、今後の全世代型社会保障構築会議と公的価格評価検討委員会の動向も、都度取り上げ、問題提起も、その中で行なっていきます。
現場・現業の方々や、民間事業者の参加・参画がない、こうした御用組織が、効率的な運営を行い、評価に値する成果物を生み出すことができるか。
女性メンバーがどれだけこうした機能に貢献できるかという視点も持ちつつ、注目していきます。

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