LGBT、同性婚・同性パートナー、最近の動向から

現役世代ライフ


グローバル人材確保のための企業のLGBT対応人事労務管理


レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(体と心の性が一致しない人)の頭文字を取った略称が、LGBT。

海外TVドラマを見ていると、ゲイカップルのキスシーンなどは当たり前になっている。
当然、同性婚を社会的・法的に認める国や州が増え、もうマイノリティという括りの必要がないように変わってきていると見てよいのだろう。
というか、そう認めるべきなのかもしれない。
但し、現状では欧米社会においては、と限定付きだろうと思うが。

日本では、まだまだそういう状況ではないだろうと思うが、今何かと問題になっている電通が過去行った、6万人を対象としたある調査では、LGBTに当てはまるに回答した人が、8.9%いたという。

都内の渋谷区などいくつかの区では、同性婚を認め、対応する条例を制定・導入している。
それに先行して、外資系企業では、LGBTに対応する人事労務管理・福利厚生制度などを進めてきた。
その流れにも乗って、というか、追われてというべきか、グローバル化を進める大手企業やIT系企業では、LGBT対応の人事制度・福利厚生制度などを整備・拡充しつつあるという。


同性パートナーを配偶者として認める社内規定改定


一般的な結婚や家族に関わる人事労務管理関連規定を、パートナー婚で形成された家族においても適用する。
例えば、結婚休暇や結婚祝い金、転勤時の単身赴任手当などを支給する等、パートナーを扶養家族として認めた福利厚生制度に転換する。
養子(事実上の場合も含む)がいる場合、育児休職・介護休暇や住宅補助・家族社宅の利用等の対象となる。

オフィスや工場に、「だれでも使えます」と、LGBTを意識したデザイン表示の多目的トイレやロッカーを設置する企業も、そろそろ増えてくる気配がある。

これらは、従来遅れがちだった大手製造業の最近の動向というが、その背景は、グローバル人材の確保のためとされる。
いわゆるダイバーシティ(多様性)への対応は、単純に企業イメージを向上させることを目的とするものではない。

多様性を認め、行動する人々には、能力が高い人材が多い。
すなわち、LGBTには、優秀な人材が多く、その確保のためには、同性パートナー等のLGBT人材を積極的に認め、処遇する人事管理・処遇管理、福利厚生制度などが不可欠になる。
そういう目的があるわけだ。

企業社会では、先行してダイバーシティが周りを巻き込み、繋がる社会をも包摂・拡張していく。
これを「インクルージョン&ダイバーシティ」というそうだ。

外国人LGBTが日本企業で働き、同性パートナーも増えていくと、日本人も同じ傾向・状況に自然になっていくと考えられる。

しかし、まだまだ日本では、企業に働く日本人がカミングアウトするLGBTの比率は低い。
パワハラ防止法で、LGBTに対する嫌がらせ防止対策を義務付けることになったレベルでもある。



グローバル企業として競争を必要とする民間の動向だが、同性婚を認めるかどうかについては、大きな壁がある。

確かに、先行して、同性婚・同性パートナーを認めた渋谷区等の事例もあるが、司法の場に、その判断を委ねられれば、必ず「憲法第二十四条」が立ちはだかるのだ。



憲法第二十四条に定める婚姻


婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

これが、わが国の最上位規定である憲法による婚姻規定・規範である。

だれがなんと言おうと、結婚は、男と女で行うものと憲法は定めているのだ。
同性婚、男と男、女と女、同性同士の婚姻を認めるとするなら、先に憲法第二十四条を、改定する必要がある。
そう、憲法改正が必要となる。
保守本流の自民党のやりたい憲法改正とは、まったく異質な課題だ。
これは、護憲派を説得するにも神経を使う課題だ。

つい先日、同性パートナーを殺害された男性が、自治体=県公安委員会に遺族給付金の支給を求めた訴訟の判決があった。


地裁判決、同性パートナーへの遺族給付認めず

今回の訴訟は、国の犯罪被害給付制度に関する案件で、社会保険や労働保険の、年金の遺族年金給付や遺族給付とは異なる。

どちらにおいても、制度運用上、事実上の婚姻関係にあれば、とか事実上同一世帯を形成する状態にあれば、というみなし規定が援用されるのだが、同性パートナー同士の結婚は、法的には認められていないのだから、敗訴となることは端から分かっていることだ。

ただ、同性婚・同性パートナーに関する社会的な動向や、問題点に対する認識を担当裁判長は示して、以下のように述べたことを確認しておきたい。


同性間の関係への理解や差別の解消に向けた動きが国内で進んでいる。
しかし、現状議論の途上にあり、婚姻関係と同視し得るとの社会通念が形成されたとはいえない。
従い、同性パートナーは要件に該当しない。


同性婚、同棲パートナーの社会通念化の途上


裁判長が述べた「社会通念」が形成された状態とは、非常に曖昧な表現だ。
司法としては、社会通念が、憲法よりも優るとは絶対認識していないはずだ。
それでも「社会通念」形成に可能性あり、と含みを持たせたとすれば、憲法二十四条の改正も視野にいれるべき。
そんな個人的な思いを裁判長は判決に委ねた。
優しさでもあろう。
深読みすると、そう言えなくもない。

ただ、国や自治体を相手の訴訟ならば、絶対に勝ち目はない。

企業などの社会における規定や、一部の自治体独自の条例化などで社会通念化がなされれば、その範囲でのコンクルージョン&ダイバーシティが実現されることになる。

今回は、第三者的に書いてみた。
私には私なりのLBGT観、同性婚・同性パートナー観がある。
機会を改めて、述べることにしたい。


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