
特養・サ高住必要費用比較:98歳義母介護体験記・第2フェーズ-6
2015年3月下旬にサービス付き高齢者住宅(サ高住)に入所した当時93歳の義母の介護をめぐる初期の体験を他サイトで報告。(後述参照)
5年間のサ高住生活を経て、今年5月に特別養護老人ホーム(特養)に転入。
その簡単な経緯は、5月に
◆ 98歳の義母が、サ高住から特養に移りました
として報告しました。
そこで、特養に移るに至った経緯と入所をめぐる体験報告を、「98歳義母介護体験記フェーズ2」として今週初めから行って来ました。
◆ 要介護1から要介護4への区分変更で5年間生活のサ高住退所へ:98歳義母介護体験記・第2フェーズ-1
◆ 特養入所決定後のサ高住生活状況と退所まで:98歳義母介護体験記・第2フェーズ-2
◆ 5年間のサ高住生活総括:98歳義母介護体験記・第2フェーズ-3
◆ 特養入所決定から入所まで:98歳義母介護体験記・第2フェーズ-4
◆ コロナ禍における特養入所生活3カ月の状況:98歳義母介護体験記・第2フェーズ-5
今回は、その第6回目。
5年間のサ高住入所生活における利用諸費用と入所したばかりの特養の最初の一ヶ月目の費用の比較をしてみたいと思います。

5年利用のサ高住の利用料体系と実績
当時93歳だった義母が、2015年3月下旬に入所し、2020年5月1日98歳時に退所した「サービス付き高齢者住宅」サ高住。
サ高住は、民間が経営する、個室賃貸に介護保険適用サービスと介護保険適用外サービスがセットされた高齢者向け介護施設。
利用料金体系は、事業所ごとに当然異なりますが、義母が5年間利用したサ高住の利用料金について概略をお伝えすることが、多少なりとも参考になればと思います。
要介護4での退所前の利用料実績と利用料体系
下の画像が、要介護4になって以降の明細の例です。
介護保険適用外の<状況把握・生活相談サービス費>に、個室賃借分の<家賃><共益費>、この3費目の月次合計額が、定額で、月135,500円。
初めからこれだけでかなりの金額になります。
家賃は入所時から変更ありませんが、共益費と状況把握・生活相談サービス費は、途中、<管理費>を二分し、認知症者の徘徊防止監視装置設置のためとして値上げされました。
下の明細の<2月分請求>とある部分が、月ごとに変動していきます。
先ず
<介護保険1割負担>と<居宅療養管理指導料>が、介護保険制度が適用されて受けた介護サービス自己負担費で、前者は、認定区分毎に設定された利用限度枠内での利用実績に応じて負担します。
<提携医療機関診療費>と<薬剤費>が医療費で、利用に応じて変動します。
この月の医療費は、4,447円でした。
ただ実際には、これ以外に急性期病院等外来で病院にいけば、別途医療費はかかります。
それ以下は、サ高住が決めた基準で、利用者が負担する生活諸費用です。
2月は29日間で食費が57,420円でした。
電気代・テレビ視聴料で、5,622円。
上記の固定費を除いた、月間費用合計は、99,369円。
総合計が、234,896円となります。

ちなみに、最終月の請求は、固定費を除いた実績分だけで、分かりやすいので見て頂きます。

認定区分ごとにかかる保険適用介護サービス自己負担額
この間、要介護1で入居し、次も要介護1、次に要支援2になり、また要介護1に戻り、2年後の更新時期とほぼ同時期に要介護4に区分変更。
3種類の区分を経験したわけですが、当然区分の違いによって利用できる介護サービスの単位、イコール金額の限度が変わります。
義母は、自己負担が1割なので、実際に利用した介護保険適用サービス限度の違いほど負担額は違いません。
ただ、一応その違いの確認も以下で、簡単にしていきます。
退所前<要介護4>の時の支給適用限度基準額
前項で、退所直前の2ヶ月間の利用料明細を提示しました。
そこでの介護保険自己負担額(1割)は、17,602円と18,311円。
ですが、介護保険上、要介護4では、下表のように、30,938円まで利用できるのです。
しかし、従来受けてきた介護サービスに、要介護4になったことで必要となった全介助サービスの必要最小限のみを計画に組み込んでおり、その限度額をはるかに下回る額で済んでいます。
これは自己負担だけが少ないのではなく、保険者の負担も少なくて済むということです。
一般的に、事業者は限度ギリギリまでサービスを利用してもらおうとしますが、良識のあるケアマネジャーは、実態に応じてケアプランを組んでくれるべき立場です。
この問題については、次回触れることにします。

<要介護1>の時の利用料と介護保険自己負担額
次に、入所したときの<要介護1>と、<要支援2>から<要介護1>に再度戻った時、どちらも<要介護1>の時の利用料明細です。
2015年7月が前者、2018年5月が後者で、総額は21~22万円程。
しかし、介護保険自己負担額は、前者が10,141円(単位)、後者が6,238円(単位)。
同じ<要介護1>なのに、自己負担は差があります。
再度<要介護1>に戻った時の方が、受けた介護サービスが少なかったためです。
その理由は、次項に。


ただ、どちらも、<要介護1>の支給適用限度基準額は共通で、下表にある、16,692円(単位)が月額の上限です。
ここでも、義母は限度額を大きく下回るサービスしか受けていません。

<要支援2>の時の利用料と介護保険自己負担額
では、最後に、1年間だけ<要支援2>に区分変更があった時の利用料です。
要支援になると、管轄が自治体となり、「予防介護」という管理区分が適用され、受けられるサービスも減ります。
<要支援2>の支給適用限度額は、10,472円(単位)ですが、義母は、3,474円(単位)分しか計画を組まず、負担もその額です。


前項での、要介護1に戻っても、最初の要介護1の利用実績よりも少ない額に収まっている理由。
それは、要支援2の時のサービスレベルに、要介護1になったのだからもっとサービスを増やすことなく、ほぼ同レベルでも構わないとしたことにあります。
これは、サ高住自体、人手不足で、仕事を増やす余力がなかったため、という部分があるかもしれません。
しかし、やはり、ケアマネジャーがサ高住とは関係のない、第三者の事業所に所属していたことも一つの要素と考えています。
ここまで、サ高住での生活での利用料と介護保険サービスによる認定区分によっての自己負担等について、例をお話ししました。

新規入居特養の利用料体系
次に、ようやく、特養の利用料金です。
基本は、以前紹介しましたが、基本料金と、加算部分に分かれ、その合計額という構成になります。

これが入所時の基本料金表で、義母は、<要介護4>の<第3段階>に当たります。
月間合計額(30日間の場合)が、95,760円のはずだったのですが、前回の投稿にあるように、7月から、<食費><おやつ代><金銭管理料><日用品費>が、合計で、日額101円、月額3,030円値上げになりました。
この基本料金に、下図の<加算・減算等>項目の費用が加えられます。
例えば、専従の看護師が行ってくれる、褥瘡の治療措置の費用などが加算されますね。
もちろん、医療費・薬代もプラスされます。

新規利用特養初月5月度分の請求と負担費用実績
5月1日が入所日で、まだ通常の生活状況が確立されていない状況なのですが、私たちが最も気になっていたことの一つである、1ヶ月に実際どれだけ費用がかかるか、必要になるのか。
これまでよりも、いくらくらい負担が減るのか、おおよその目処を立てておきたい。
その思いをベースに、速報値として、報告したいと思います。
入所時に、サ高住で2週間分の薬を手配してもらっており、その費用は含んでいません。
また、入所後外来で嘱託医の医院に受診に行きましたが、その費用は、次月、特養から合算して請求があります。
それらの状況も前提としての数字です。

前回報告した、自己負担のエアマット代金が合算されているので、それを差し引くと、5月分は、109,755円になりました。
サ高住と特養、必要費用の違い
サ高住の最後の費用合計額は、234,896円。
ほぼ12万5千円、負担が少なくなったことになります。
この月だけを見れば、ですが、年間で150万円、負担が減る。
大きいですね。
要介護1の時の平均的な月額は、ほぼ22万円くらいでしょうか。
それでも年に132万円の減少。
ただ先述したように、医療費・薬代がまだ発生していない処理になっています。また同様、7月から値上げもあります。
希望としては、月額11万5千円で収まらないかと期待していますが、実際には、12万円~13万円程度は覚悟しなければいけないかなと思っています。
結局、そこそこ安定的に想定される費用が分かるのは、7月度分の請求がある、8月下旬になります。
その折り、また報告をと考えています。
さて、ここまでサ高住から特養への転入に関する経緯と状況などを、両者を比較する視点で振り返ってきました。
次回、その区切りとして、2種類の介護施設と事業を、介護制度と結びつけて、
利用者サイドの視点で課題・意見などまとめてみることにします。


2015年義母介護体験記シリーズ・ラインアップ
1)義母の骨折・入院から始まった老々介護を考える日々(2015/2/21)
2)地域包括ケア、地域連携診療という仕組みを知る(2015/2/22)
3)リハビリテーション病院への転院により回復期医療へ(2015/2/25)
4)自宅介護準備と介護施設検討の矛盾を抱えて(2015/3/1)
5)介護施設検索から資料取り寄せと見学体験(2015/3/5)
6)介護保険被保険者になり、老老介護有資格者に!?(2015/3/7)
7)要介護認定と老人介護被保険者証の交付を受ける(2015/3/8)
8)介護拒絶する要介護家族と介護者のすれ違い(2015/3/12)
9)介護支援専門員さんのサポートと介護施設入居日決定(2015/3/13)
10)介護施設入所説得とサービス付き高齢者住宅入居準備(2015/3/21)
11)サービス付き高齢者住宅入居と入居時会議、そして入居後の心配事(2015/3/25)
12)介護施設での居宅サービス計画と介護サービス内容、費用(2015/3/26)
13)訪問介護計画変更、通所拒否あり。義母、サ高住入居1ヶ月介護生活メモ(2015/4/24)
14)老老介護について知る機会を振り返る(2015/5/22)
15)ケアマネジャー退職・交替とサ高住経営の変化。そして大晦日・新年へ(2015/12/31)




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