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望ましい2050年社会に向けての少子化対策への助走:自然な生き方として結婚し子どもを持つということ


 このところ少子化対策に焦点を当てて、継続して投稿してきていることもあり、少子化対策に子ども庁がどう取り組むかという視点から、そのシリーズを一つずつ取り上げ、以下のようにその内容について考察し、合わせてその総括らしきものを加えて終了しました。

(第1回)中室牧子・慶応義塾大学教授による
子ども庁、何を優先すべきか(上) 縦割りの排除、自治体でも」を基にした記事
貧困世帯の子どもたちへの教育投資をどう優先させるか:「こども庁、何を優先すべきか」より-1(2021/6/12)
(第2回)山口慎太郎・東京大学教授による
子ども庁、何を優先すべきか(中) 未就学児への支援、重点的に」を参考にした記事
5歳児幼児義務教育化と0~2歳乳幼児への幼児教育化を:「子ども庁、何を優先すべきか」より-2(2021/6/14)
(3回目)柴田悠・京都大学准教授による
子ども庁、何を優先すべきか(下) 保育の効果 まず現状分析」を参考にしての
就学前保育支出の重要性を示すも命題には応えず:「子ども庁、何を優先すべきか」よりー3(2021/6/16)
(4回目・総括)
子ども庁創設よりも優先すべき、政治・内閣改革:「子ども庁、何を優先すべきか」よりー4(総括)(2021/6/18)

 そして今回は、本稿最後に記事をリストアップした、今年の上半期の<少子化対策>と少子化と関連する非婚・結婚問題とを取り上げたシリーズ全体を総括するものとしたいと思います。

 まず、結婚に関して、多面的に読むことができる3冊の新書を取り上げ、その中から興味深い部分をピックアップして紹介。
 そのあと、私の考えるところを簡単にメモして終わりにしたいと思います。

連帯結婚、圏外結婚、コスパ婚で結婚を柔軟に:『恋愛しない若者たち コンビニ化する性とコスパ化する結婚』から

 1冊目は、牛窪恵氏著の
『恋愛しない若者たち コンビニ化する性とコスパ化する結婚 (ディスカヴァー携書)』(2015/9/30刊)

 その「第3章 恋愛結婚から「連帯結婚」へ 圏外やコスパ、多様な結婚を受け入れよう」の中から、現在そしてこれからのあり方として推奨する結婚の形を紹介します。

若者の9割前後が「結婚したい」「いずれ結婚するつもり」と考えており、「恋愛は苦手でも、結婚はできそう」な男女が、大勢いるとして、

・現20代男女の多くが望んでいるのが、「恋愛結婚」ではなく、一緒にいて安らぎや安心感、「楽しい」と感じられる友だちのようなパートナーとの「連帯結婚」(あるいは「友愛結婚」)
・「そういう相手との結婚はないよね」と見られていた「圏外の男女の魅力を、既成概念にとらわれず、改めて見直し、結婚にこぎつける、ブルーオーシャンとも言える<圏外婚>
 例えば、大きく年が離れた「年の差婚」、外国人男女との「グローバル婚」、妻が主に稼ぐ「逆転婚」「格差婚」
・結婚生活の手間や費用、あるいはストレス等の面を考えると「コスパでお得な」<コスパ婚>
 例えば、「通い婚」「週末婚」「別居婚」「ジモ(ト)婚」「同級生婚」「移住婚」「里山婚」「お試し婚」「事実婚」「産むだけ婚」


 いかがでしょうか。
 ちょっと説明がないと分かりづらい結婚もあるかもしれませんが、大体想像がつくと思います。
 形式にこだわらない、世間体にこだわらない結婚のあり方。
 自由に生きる中での自由な結婚。
 柔軟に行き、柔軟に生きましょう。

「家族の幸せ」の経済学~データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実』から

 2冊目は、他の記事でも取り上げたことがある山口慎太郎氏による『「家族の幸せ」の経済学~データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実~ (光文社新書)』(2019/7/30刊)。

 その中の「第1章 結婚の経済学」にあった見出しと記事中の表現からいくつか引っ張ってきました。

・「再婚男性と初婚女性」の組み合わせが「再婚女性と初婚男性」の組み合わせの1.7倍で、女性は相手の結婚歴や年齢をそれほど気にしない
・自分の仕事を理解してくれることを重視する女性が5割近くいる
・キャリア女性ほど「結婚のメリット」は減っている
・結婚の経済的メリットは、「費用の節約」「分業の利益」「リスクの分散」
・アメリカでは、カップルの2割がマッチングサイトで出会っている
・マッチングサイトは、出会う機会の問題を解決(でき)
・フラれても傷つかなくてすむ

 男女いずれにも、結婚を考える上でのヒントが、外にもいっぱい載っている書です。
 その構成は

第1章 結婚の経済学
第2章 赤ちゃんの経済学
第3章 育休の経済学
第4章 イクメンの経済学
第5章 保育園の経済学
第6章 離婚の経済学

となっています。
 離婚を除いて、どの章でも、子どもを持ち、育て、家族生活を営むという観点から、結婚を考える上でのヒントが示されています。
 ご一読をお薦めします。

ルポ 婚難の時代 悩む親、母になりたい娘、夢見るシニア』から

  最後の3冊めは、共同通信社の女性記者お三方の共著『ルポ 婚難の時代 悩む親、母になりたい娘、夢見るシニア (光文社新書)』(筋野茜・尾原佐和子・井上詔子氏共著:2021/3/30刊)
から。
 その構成は、以下。

第1章 結婚するって大変ですか
第2章 夢見るシニア
第3章 悩む親たち
第4章 母になりたい
最終章 令和の恋愛と結婚

 その「最終章 令和の恋愛と結婚」の中から、ちょっと気になる見出し表現をお借りしました。

・仲人はAI
・早婚をめざす20代と「産んでからキャリア」の時代
・コロナ禍が婚活市場に与えた影響
 により、
・コロナで不安を感じる女性が増えた ことで
・オンライン婚活が爆発的人気になる
そこで、
・オンライン→会ったその日にプロポーズ
・ドライブスルー婚活
などの例を報告しています。

 その中で、私も同じ考えなのが、
「早婚をめざす20代と「産んでからキャリア」の時代」ということ。
 20代で結婚し、子育てを早く終え、自分のキャリア形成とキャリアアップの設計を早期から行うことに賛成です。

 もう一つは、これからは、マッチングサイトでも、オンライン婚活が主流になるだろうということ。
 オンラインで遠距離の人と出会う機会や、同じ趣味を持つ人との出会いの機会は、先述したAIの活用も含めて、随分ハードルが低くなり、しかも、かなり「素」のお互いを知ることが可能になると思うからです。
 時間とコストの節約もでき、何度もオンライン・デートをこなし、相性があうかどうか分かった上で、ライブの出会いに持ち込めば良いわけです。

自分のメディアで自分を知ってもらい、さり気なく婚活を

 マッチングサイトや自治体の婚活におけるオンライン婚活。
 これは今後広がっていくと思われます。
 それに加え、私がお薦めしたいのが、自分のWEBサイトや無料ブログサイトで、自分の趣味や関心ごとなどを投稿し、関心をもってくれる人とのリレーションを持つこと。
 その活動の中に、婚活もしていることを時々書き込んでは、と思います。
 公開セルフ婚活です。
 できれば、SNSよりも自分のメディア、媒体の方が良いと思います。
 自分の投稿が遡って見てもらいやすいこと、メディアに明確なタイトルを付けることができること。
 自分を理解して貰う上で大切と思います。
 考えて頂ければt思います。
(具体的な方法など、ご相談頂ければ、対応可能です。)

多様な人間関係模様を描く結婚生活・家族生活の妙

 ところで、10日前に投稿した記事
少子化を援護する?一人で生きるのが当たり前の独身大国ニッポン(2021/6/9)
で参考にした書『「一人で生きる」が当たり前になる社会』(荒川和久・中野信子氏共著:2020/12/20刊)
の中で、荒川氏が、一人で生きる中で、自分という一人の人間の中にある人としての多様性に価値があり、大切にすべき、といったニュアンスの話をしている箇所がありました。

 言わんとすることはよく理解できますし、一人で生きていく上で、そうした多様性を生かしていくことはとても大切なことと思います。
 しかし、比較すべきことではないでしょうが、夫婦や子どもを加えた家族・家庭における人間関係は、その一人で生きる上での多様性を遥かに上回る、多種多様なあり方、シチュエーションの可能性があります。
 夫と妻でありつつ、兄妹・姉弟、友人、ときには、母息子、父娘的な人間関係、場合によってはただ単に同じ屋根の下に住む同居人。
 それに子どもが加わると、親子、親と男の子、親と女の子、この成長段階における親子関係、子が成人すると大人同士の関係等々。
 そこに、荒川氏が大切にすべきという、個人、一人ひとりの持つ多様性も絡んで来るわけです。
 とてもとても何とも言えぬ、その折々の人間関係と人情の機微・感情そして愛情などを経験できるのです。
 夫婦、家族という単位共同体社会でしか経験できないもの、ことです。

人間の自然な生き方としての結婚・家族形成・子育て・子の自立、共同生活そして別れ

 何のために結婚するのか。
 人それぞれの考え方や思いがあり、上記のそれぞれの書や本稿でリスト化している記事集でも種々、聞いたことがある、読んだことがある内容を見ることがあると思います。

 私が単純に思うのは、人として生まれ、一度しかない人生。
 その中で、夫婦を形成し、子どもを持ち、家族社会を形成し、子どもを育て、その成長を見つつ、自立し巣立っていくライフステージを経験する。
 そしてその子どもたちが、またそれぞれ家族を形成し、同様の営みをしていくのを、自分の命が尽きるまで、家族として、同士として、時に比較的に親しい第三者として、関心をもって見守り、見つめている。
 そういう人生も良いのでは。
 
 それだけのことですが、それなりに大変なことであり、苦労もあるでしょうが、それなりに楽しく、それなりに幸せなことでもあると思うのです。

 不幸か、残念なことか、家庭環境に恵まれずに育った方も多いと思います。
 そうした方々も、自分が体験したような家庭ではない、好ましい家族・世帯を創り、好ましい生活・人生を家族それぞれが送ることができるように。
 そう考えて、結婚し、子どもを持つ生き方を選択することも素敵だな、と思うのです。

 経済的不安、将来への不安。
 気にしだしたら切りがありません。
 自分も頑張るし、パートナーにも頑張ってもらう。
 時に地域社会や、他の関係する社会や組織にも、助けてもらう。
 そうした手段や関係を、日常で見つけ、形成していくことにも気を配りつつ。
 思うようにならないことも多いでしょうが、それも極力想定内のことと切り替え、他の方法を考えることができるように。
 楽天的過ぎず、悲観的過ぎず。
 ちょっとしたことに愛や情を感じることができるよう、気を配る余裕や情も持ちつつ。
 そう思い、そう願います。

8年前、5年前の「結婚、してみませんか」シリーズ

 ところで、もう1年以上前になりますが、
結婚の経済学、離婚の経済学(2020/5/6)
という記事を書いたことがあります。
 その中で、ずっと以前10年近く前、2012年に、無料ブログAmebloで「結婚、してみませんか」というシリーズを22回にわたって投稿したことがあると書きました。
 引越し先にあるそのシリーズブログの一覧を以下にリンクを貼ってリスト化しました。
 しかし、今のサイトに至るまでに何度か引っ越している内に、4回紛失(消去)。
 空白になっているのが、その欠番です。
 そのラインアップの中に、結婚の経済性、非婚・未婚の経済について書いたものもあります。
 時間がありましたら、チェックしてみてください。
 なお引越し先の現在のサイト(2018年まで利用)では、文中、リンク切れになっていたり、非公開になっているなど、無理やり引っ越ししたままで、読みづらい箇所が多々あるかもしれません。
 ご容赦ください。

【「結婚、してみませんか」シリーズ】
◆ なし婚増加で、婚礼市場6年連続縮小:結婚、してみませんかー1
◆ ご当地婚姻届、知ってますか:結婚、してみませんか-2
◆ 同性婚は、marriage と呼ばずに partnerage と呼びたい:結婚、してみませんか-3
◆ 愛の証としての結婚。 但し、永久保証付きではありません:結婚、してみませんかー4
◆ 婚活は根活? 未婚のプロの婚活バイブル紹介付き:結婚、してみませんかー5
◆ 結婚女性(有配偶女子)の子どもの数は、平均2人です:結婚、してみませんかー6
◆ 未婚母・非婚母・離婚母、すべての母子に平等に生きる権利が:結婚、してみませんかー7
◆ 生涯未婚も孤独死も怖くないけれど:結婚、してみませんかー8
◆ 9 欠番
◆ 経済的だから結婚もいい!?:結婚、してみませんかー10
◆ 結婚と性愛(セックス)との関係:結婚、してみませんか-11
◆ 気にしない世間体。でも、この寂しさは:結婚、してみませんか-12
◆ 出産・育児への不安をサポートする社会を!:結婚、してみませんか-13
◆ 14,15,16 欠番
◆ 未婚率が高まる背景にある甘い親子関係:結婚、してみませんか-17
◆ おひとり様、それぞれの背景とメンタリティ:結婚、してみませんか-18
◆ 経済的理由からの非婚・未婚から脱する婚活を!:結婚、してみませんか-19
◆ 条件を満たさない限り結婚は夢ですか?コスパ化結婚の怪:結婚、してみませんか-20
◆ 2016年が新しいライフステージの入り口になるように:結婚、してみませんか-21,22


それとは別に、当サイトでの過去の関連ブログは、以下。

「しない、できない、したくない結婚・出産」社会のこれから>シリーズ:2020年

加速する出生数減少と超少子化社会:「しない、できない、したくない結婚・出産」社会のこれから(1)(2020/2/1)
子どもが欲しいけれど叶わない人々の一つの戦い:妊活の広がりの現状と課題:「しない、できない、したくない結婚・出産」社会のこれから(2)(2020/2/2)
結婚・出産、生き方・働き方の「自分モデル」模索と実現を!:「しない、できない、したくない結婚・出産」社会のこれから(3)(2020/2/3)

<「少子化社会対策大綱」批判>シリーズ:2020年

◆ 出生率1.36、出生数90万人割れ、総人口減少率最大:少子化社会対策大綱は効き目なし(2020/6/11)
◆ 「2020年少子化社会対策大綱」批判-1:批判の後に向けて(2020/6/18)
◆ 「少子化社会対策大綱」批判-2:少子化社会対策基本法が無効施策の根源(2020/6/25)
◆ 「少子化社会対策大綱」批判-3:少子化の真因と究極の少子化対策BI(2020/7/13)
◆ 「少子化社会対策大綱」批判-4:安心して子どもを持つことができるBI、児童基礎年金支給を早期に(2020/7/28)

◆ 「令和2年少子化社会対策白書」と86万ショックと出生率1.36の現実(2020/8/17)
◆ 少子化社会対策と少子化担当相を糾弾する(2020/8/18)
結婚しない理由、結婚できない理由:少子化社会対策白書から(2020/8/27)


『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』で考える絶対不可欠のBI>シリーズ

結婚・子育ての経済的側面タブー化が少子化対策失敗理由:『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』で考える絶対不可欠のBI論-1(2021/5/24)
夫婦・親子をめぐる欧米中心主義的発想が失敗の理由?:『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』で考える絶対不可欠のBI論-2(2021/5/26)
少子化の主因、リスク回避と世間体意識変革は可能か:『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』で考える絶対不可欠のBI論-3(2021/5/27)
山田昌弘氏提案の少子化対策とは?:『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』で考える絶対不可欠のBI論-4(2021/5/28)

当サイト、2021年上期取り組み記事

コロナ感染拡大・長期化で妊娠届数大幅減少、出生数80万人割れ、少子化・人口減少加速(2021/5/29)
『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』シリーズを終え、結婚・非婚・単身をめぐる検討・考察へ(2021/5/30)
日経提案の少子化対策社説と記事から考える(2021/6/1)
結婚不要社会と結婚困難社会の大きな違い:『結婚不要社会』から考える(2021/6/3)
エマニュエル・トッド氏が見る日本の少子化対策問題(2021/6/5)
少子化対策総動員、全力で支え、あらゆる対策を:少子化対策連呼の日経社説の意識は高いのか低いのか(2021/6/7)
少子化を援護する?一人で生きるのが当たり前の独身大国ニッポン(2021/6/9)
2022年施行改正育児・介護休業法は、少子化対策に寄与するか(2021/6/11)

 かなりの数ありますので、お目に止まったタイトルがありましたら、チェック頂ければ嬉しいです。

 一応、少子化問題とその一因とされる非婚・結婚をめぐる課題を連続的に追ってみるのは、一端休止し、今年下半期の運営方針に則っての単発で取り上げるペースに切り替えることになります。
 今後とも宜しくお願いします。

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