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サイボウズ、取締役に社内公募の17人選任。ティール組織とその真相は

サイボウズ、定時株主総会で、社内公募自薦の取締役候補17人選任

サイボウズは3月28日、会場とインターネット両方を活用した定時株主総会で、社内公募で自薦した取締役候補17人の選任議案を可決した。
青野慶久現社長をもちろん含むが、中には新卒社員もいるという。
徹底した情報共有によるフラットな組織運営を標榜してのことというが、取締役の業務と責任は、当然明確にされてるのだろう。

総会のライブ配信は、約300人が視聴したという。

階層をなくしたフラットな組織として知られる「ティール組織」のような運営をめざしているとのことだが、これまで取締役は青野社長含め3人だけ。

ティール組織とは

「ティール組織」とは、社長や上司の監督・干渉なしで、組織の目的実現に向けて推進・機能する組織。
従来の「ヒエラルキー組織」は、管理職が部下を統制する構造で機能する組織。
後者の手法を否定し、目的を実現すべくメンバー全員が自発的に協働する「一つの生命体」として、フレデリック・ラルーが提唱したもの。

そこでは、事業そのものの規模が大き過ぎると自ずと限界が生じることになりそうな気がする。
また、フラットとは言っても、取締役は責任者として存在するわけだから、少なくとも2層構造にはあるわけだ。
仮にその場合、間接的業務をサポートする別の組織機能も最小限必要だろうから、ヒエラルキーとは呼べないが、ネットワーク的組織は構成されることになるだろう。

まあ、そうした議論はここでのテーマではないので、別の機会に。

話は元に戻して
「会社の規模(2020年12月期売上高156億円)に取締役17人は多いのでは」との質問に対して、
「情報を徹底的にオープンにすれば人数自体は問題ではない」「これまでも全社員が取締役の役割を担い、互いを監督し誰もが助言できる組織をめざしている」と青野社長。

果たして、企業統治、ガバナンスとは何か、取締役はその責務にどう関わるのか、同社では果たして明確になっているのか。

従来の執行役員は? 社外取締役は?

執行役員はどこへ行ったのか

3月29日の同社公式サイトでは、9人の執行役員がいる。
恐らく、新取締役体制は、4月1日付けで構成されるのだろう。
で、この執行役員が取締役に就くのかどうか。
日経記事では、そのことについて何ら踏み込んでいないのが不思議である。
14人増えた取締役のうち何人かが執行役員であったのか否か。
執行役員制は存続するのか。
経営紙ならば、そのくらいのことは、第一報で触れるべきだろう。

一時ブームのようになった執行役員制だが、取締役候補として認知させ、育成するためのステップ、装置と考えた企業もあったであろう。
あるいは、逆に、取締役にはなれない者の受け皿的な機能として活用した企業もあったに違いない。

なんとも宙ぶらりんの執行役員。
取締役のようで取締役ではない、役員のようで役員ではない執行役員。
なくしてもよいのではないかとかねてから思っているし、取締役の数も徒に増やす必要もないと思うのだが、青野氏の率直な思いを聞いていみたいものだ。

合議制強化のための取締役増員ならば、さしたる意味はないし、ムダだろう。
それぞれが事業部を統括するCEO的または最低限COOとしての責任を持つものならば、それなりに存在意義はあるが。

正式にその経営体制がホームページにアップされた後、どうなっているか続報したい。

改正会社法により義務付けられた社外取締役をどう選任するか

またブームから、会社法で選任を義務付けられるまでになってしまった社外取締役。
これなどは、本来無用の長物と思っている。
要するに、自社のガバナンスを自社の取締役ではできないから、社外取締役が必要となった。
それは、取締役としての適性・資質を欠いていることを意味すると思うのだが、どうだろう。

現状同社は社外取締役を置いていない。
しかし、3月施行の改正会社法は社外取締役の設置を義務付けている。
そのため次の総会までには、社外取締役を選任が必要になる。
サイボウズでは、次の株主総会までに、サイボウズらしい選任を議論しているとのことだ。
こちらも関心を持って発表を待ちたい。

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