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ユニクロ実質的値下げの必然性とチェーンストア経営戦略

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グローバル・アパレル・チェーン、ユニクロのファースト・リテーリングが、3月12日から、実質9%値下げし、販売価格をそのままとし、消費税込みの価格としたことを捉えて、
値下げ敢行ユニクロの今後に期待すること:国内生産拠点作りと天然素材開発を(2021/3/13)
ファストリは日本国内にも生産拠点を(2021/3/19)
の2記事を投稿しました。

今回の値下げについて、3月19日に、WEBサイト・現代ビジネスが、南充浩氏による
ユニクロ・GU「値下げ」の衝撃…そのウラにある「2つのスゴい戦略」に気づいていますか?」というタイトルでの小論を配信しています。

過去チェーンストア企業に所属し、経営コンサルタントとしてチェーンストア企業の業務のお手伝いをしてきた者にとっては、値下げは、いうならばチェーン企業の経営戦略上、最も重視すべき課題であり、今回のタイミングでのファストリの対応は、決して衝撃的とは受け止めていません。

いうならば、値下げのタイミングを見計らっていてのこととも受け止めています。

値下げは、チェーンストア経営戦略の基本中の基本


同記事での要点は、従来の外税の販売価格を、そのまま据え置き、消費税込み価格としたことの戦略性についての南氏の見解ということになります。
南氏は、その理由を以下の2点とします。
1)価格優位性を強めてより盤石にするため
2)分かりやすい値段表示を徹底させるため

1)の価格優位性の強化については、すでに、国内アパレルはもちろん、海外大手アパレルと比べてもほぼ確立している状況下、加えて、「デザイン+品質」面における優位性についても、同様としています。
これも国内では絶対的シェアを獲得して、既存大手アパレルを総倒れ状態に追い込んでいることで、証明されているます。

その3つの要素における優位性は、欧米はまだまだと言えますが、着実に東アジア、東南アジア諸国での成長状況でも証明されていると言えるでしょう。

同氏が「価格優位性を盤石にする」と表現したのは、チェーンストア戦略では、圧倒的に客数を増やし、シェアを獲得することを意味します。
それは、顧客の圧倒的支持を得ることで実現されるものです。

先述の私の記事の中でも触れましたが、ここ10年くらいのユニクロは、ダウン商品やコート類など価格ラインが上がり、そのことで価格ゾーンが広がり、従来の安さは、あまり感じられなくなっていました。
それは消費税の導入、税率のアップに伴うものでもあり、海外戦略が、当初の思惑通りに進まなかったことにもよるり、「ユニクロはそんなに安くない」感覚(それは実態でもあったわけですが)の定着を招いたと思われます。

2)の南氏の指摘は、ユニクロが、値下げ時の価格表示で、「〇〇%オフ」「〇〇%引き」「〇割り引き」という表記を行っていないことの理由についてです。
すなわち、日本人には体感的に2~3割くらいは「割合だと価格を把握できない人」「百分率や割合の計算が苦手な人」がいるから、実売価(これまでは消費税別)で示してきた、というのです。
これが、他社・他ブランドとの差別化にもなっていた、というわけです。

まあ、確かにそういう側面はあるかもしれませんが、外税の場合のユニクロの価格は、やはり計算しづらく、消費税分の割高感を拭い去ることはできなかったので、%オフ方式との差別化の絶対的要因とは思えないのですが。

「90%オフ」と渾身の値下げをしても、3割前後の人にはその「実質的な安さ」は伝わっておらず「何か安くなっている感じがする」くらいなのです。「70%オフからさらにレジにて30%オフ」なんていう売り方もまったくその安さが伝わっていないと考えた方が適切。
そういう傾向を知っているからこそ、ユニクロとジーユーは値引き後価格しか表記しない。
今回の消費税分値下げも、その思想の延長線上にあると考えられ、1089円より990円のほうが、2189円よりも1990円のほうが分かりやすいし、割安感を感じやすい。

と仰っています。
しかし90%オフは、誰にでもその意味と価値は分かるはず。
消費者をそこまでバカにするのもどんなものかと。
また、今回の内税総額表示は、「ああ今迄この金額に消費税が必要だったんだ。その分安いのは、大きいね」と非常にシンプルに受け止め、喜ぶだけのことと思うのです。
「ひょっとしたら、もっと早く値下げできたのはずが、やらなかったんだ」とふと思ったりする人もいるかもしれません。

実は、他社が困っている時に値下げして、シェアを取りに行くのも、チェーンストア経営の常道でもあるのです。
コロナ禍で、紳士服チェーンなどは青息吐息、大手アパレルも、ほとんど死に体同然。
カジュアルから、いつの間にか、LIFE WEAR にコンセプトを広げ、種々のデザイナーブランドやキャラクター物とのアライアンスも拡充、かつネット通販も右肩上がり。
韓国の不買運動も沈静化し、対中関係での不安もありますが、コロナ禍が収束をみれば、また回復のスピードを上げるでしょう。
今回の値下げは、日本国内だけの事情でしょうが、このタイミングでの値下げは、絶好のタイミングであったと見ています。

レジ袋有料化によるコストダウンも値下げを後押し

もう一つ、筆者は、「どうやって値下げ分のコストを削ったのか」という疑問を投げかけます。
これについては、同社広報部のありきたりのコメント
「弊社がお取引先に消費税相当額を値下げするよう、圧力をかけているのではないかといった主旨のご意見を、ツイッター上で確認しておりますが、お取引先に対して、消費税相当額の減額を求める行為は違法であり、弊社がそのような行為を実施した事実はございません。」を紹介。
加えて、業界内には、製造・調達コストを引き下げたという噂もある、としています。

しかし、そうした圧力ならぬ要請はあっても当然のことでしょう。
あの天下のトヨタも、そうして過去、取引先に対してコストダウンを要請し、自社のコストダウンの取り組みにそれらを加えて、利益を創出してきました。

ただ、ファストリの場合、トヨタのような多重・多層の取引先構造があるわけでなく、比較的シンプルな構造ですから、東レなど大手は対応可能でしょうし、協力工場への要請も、その技術力を適切に評価できる状態にあるでしょうから、可能な範囲でのことと自ずとなるでしょう。

私は、今回のファストリの値下げには、包装用レジ袋の顧客負担方式によるコスト減が大きく関係していると見ています。
ファストリのレジ袋の有料化は、プラスティック袋が2020年7月から、紙袋は同9月から。
顧客がレジ袋を購入すれば売上に、自分で持ってくればコストダウンになっていたわけです。
利用数が大幅に減れば、在庫を持つスペースを含め、直接間接コストが削減できます。

購買価格に比べれば、構成比は低いですが、有料化により、コスト削減総額は相当になったはずです。
その実績も、今回の値下げを決断させる、一部にはなったのではないか、そう思います。
もちろん、既にいつでも値下げできるだけの原価管理、粗利益確保管理システムは構築されていたはずですから。

一般株主対策の強化を

実質値下げ発表以後、相変わらず同社の株価は下げ続けています。
もう少し下げるのではと思いますが、いずれ反転するのでは、と思います。
それよりも、下がったとはいえ、一般の株主が購入単位の100株を買うには、1株の価格はまだまだ高すぎます。
一般消費者の株主化で成功しているのは、イオンAEON。
購入単位を10株単位に引き下げるか、株式分割を行い、株主優待制度も拡充し、一般株主を増やすことで、その支持基盤をより強固にする経営戦略も、ぜひ検討すべきかと、再度提案したいと思います。


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