2050年、人口2500万人減少で1億人割れ。超絶人口減少社会へ

社会政策

コロナ禍、2020年の速報値出生数、最少更新して87万人

厚生労働省が2021年2月22日に「人口動態統計速報」を発表。
それによると、昨年2020年の出生数は、予想されたとおり、前年比2.9%減の87万2683人と5年連続で過去最少を記録しています。                                                                                                                                                                                                                                                                    
出生数の減少率が、2019年の5.5%減(速報値)に比べると小さかっのは、昨年2019年は改元による「令和婚」で婚姻数がやや押し上げられたのが要因とされています。

この速報値は、初めて出生数が90万人割れし、確定値が86万5239人であった2019年より人数が多く、矛盾していると思われます。
その理由は、速報値には、海外在住の日本人や、日本在住の外国人の数が含まれており、「日本在住の日本人」の数を示す確定値はさらに少なくなると見られるためです。

コロナ禍、70年ぶりの婚姻の大幅減少で、少子化に拍車

そして、2020年の婚姻数がコロナ禍で大きく減ったことは21年以降の出生数に響き、想定以上に少子化が加速する可能性があると思われます。

同速報値の婚姻数は12.7%減の53万7583組で、減少率は1950年以来70年ぶりの大きさ。
新型コロナウイルス禍で結婚式の中止や、結婚の先延ばしなども大きく取り上げられたことは記憶に新しいですね。

同人口動態統計によると、婚姻数は20年1~10月の速報値で42万4000件と前年同期比13%以上減。
新型コロナウイルスの感染拡大のため妊娠を控える傾向に加え、非婚化、晩婚化もあり、出生数の減少をもたらすのは必然です。

妊娠する女性の減少も統計からも明らかで、20201~10月の妊娠届の件数は前年同期比5.1%減。5月には前年同月比17.6%減
4月に緊急事態宣言が出た後の落ち込みが大きく、感染者数の多い地域での減少が目立っています。

出生数、コロナで少子化想定超え、2020年85万人割れ、2021年80万人割れも 


では、昨年、今年と実際にどの程度の出生数になるか。
厚労省によると、2020年1~9月の出生数は前年同期比で約2.2%減となっており、年85万人を初めて割り込むペースで推移。
当然5年連続で過去最少を更新することは間違いありません。
加えて、1~7月の妊娠届の数は5.1%減っており、来年2021年は、70万人台まで落ち込む恐れがあるとのこと。

ある調査では、2020年の出生数は84万8000人、2021年は79万2000人まで落ち込むとの予測があります。

100万人割れしたのが2016年。
以後の減少ペースは、国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の2017年推計よりも12年前倒しというまさに想定外の猛スピードで進み、今年ついに80万人割れを迎えることになる可能性が高いとされています。
これは、戦後の第1次ベビーブーム時の3分の1の出生数です。

2049年、人口1億人割れへ、超絶人口減社会へ


在宅勤務の常態化や、外出機会・出会い機会の減少等の社会行動の変化で出生や婚姻数の減少傾向が止まらない可能性が十分あります。
コロナ後、出生や婚姻数が元に戻るような施策が必要なのは、いうまでもありません。

私が当WEBサイトのテーマとしている「望ましい社会の創造」の一つの目標地点である2050年を迎える前年2049年に1億人を切るとの予測もあるのです。
現在の人口はほぼ1億2500万人。
30年足らずで、5分の1の、2500万人以上が減るという超絶人口減時代ともいうべき社会に私たちは生きるわけです。

労働力不足対策が少子化社会対策では本末転倒

少子化がもたらす問題に、必ずと言ってよいほど、労働力人口の減少と、それがもたらす経済への影響が取り沙汰されます。。
しかし、個々人が子どもを持つのは、労働力人口を確保しようと思ってのことなどではありません。

そのことがまことしやかに語られることを、そう話を持ち出す当の本人はどう思っているのでしょうか。
少子化社会対策の中でも、その問題の存在を指摘していますが、それを聞かされて、結婚しよう、子どもを作ろうなどとは、誰も思うわけがないでしょう。

エコノミストや学者が平気でそんなことを言うのは、一体どういう神経をしているものかと、その神経を疑います。

世代間格差・不公平感の増幅不安も

また、こういう議論もあります。

現役世代が高齢者を支える社会保障制度は一段の改革を迫られます。
その不満からの世代間の負担の偏りを抑えようとする「人口2500万人減少で1億人割れ」を政府は掲げるが、この出生数・人口減少では、改革は到底不可能。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                       年金支給額減少や医療費負担増大などが若年世代・後継世代に一段と向かえば、問題は一層拡大し、不信・不安・不満が拡散増幅されることになります。。
当然、結婚や出産を押し止める一層の悪循環にも陥ります。

コロナ禍で明確になった、将来不安を理由とする結婚回避、子どもを持つことの回避

それは、将来に希望・期待を持つことができない社会・国が固定化することに繋がります。

官僚の定例化された「少子化社会対策大綱」「少子化社会対策白書」業務は、替わることなく、総合的・俯瞰的計画を繰り返すだけで、労力と時間を浪費していきます。
根本的な解決・改善策は、示されも確認もされないまま、2050年に向かって時間が刻まれていきます。
時計の針は止めることはできませんが、少なくとも少子化が進む針は、まずその進み方を緩め、そしてなんとか停止させ、出生数の増加に転じるようにしたいものです。

結婚したいという自然な思い、子どもを持ちたいという自然な思いを、自然に実行・実現できる社会に



結婚したいと思うのは、自然なこと。
子どもを持ちたい、子どもがほしいと思うのも自然なこと。
一度しかない人生だから、父親や母親という役割も担い、子どもを育て、その成長を見守り、喜ぶという人生を経験したい。

そういう自然な思い、希望を、自然に実行・実現できる社会でありたい。
そういう社会を創り、世代継承していきたい。
それだけです。

もちろん、それだけが選択肢ではなく、そうではない生き方を選択する自由はもちろんあってのことですが。

新型コロナ禍体験で結論が出ている、有効な少子化社会対策は、ベーシック・ペンションのみ



コロナの経験で、何がそれを可能にするか、どうすれば、婚姻数と率、出生数と率を高めることができるかが、もう分かってきているはずです。

そう、ベーシックインカムしかありません。
私が昨年から提案している、ベーシック・ペンション、生まれてから死ぬまで、すべての国民が、無条件で、年齢に応じて平等に、毎月8万円、10万円、15万円、12万円、専用デジタル通貨で、個人に支給される生活基礎年金です。

そしてそれは、少子化社会対策、結婚数・出生数向上にとどまることなく、同時に社会保障制度全般や雇用問題・賃金問題等の改善・改革と一体化して行われることで、すべての国民が、これからの生活に安心と希望を持つことが可能になります。

(参考)
ベーシック・ペンションで生活保護、児童手当、年金制度、健康保険、雇用保険、所得税等はどうなるか(2021/2/15)


なお、こうした政治・政府、官庁・官僚の無策を批判し、ベーシックインカムの導入を提言する以下の記事を、昨年投稿しています。
可能でしたら、ご確認頂きたいと思います。

(参考)「少子化社会対策大綱」批判シリーズ

◆ 出生率1.36、出生数90万人割れ、総人口減少率最大:少子化社会対策大綱は効き目なし(2020/6/11)
◆ 「2020年少子化社会対策大綱」批判-1:批判の後に向けて(2020/6/18)
◆ 「少子化社会対策大綱」批判-2:少子化社会対策基本法が無効施策の根源(2020/6/25)
◆ 「少子化社会対策大綱」批判-3:少子化の真因と究極の少子化対策BI(2020/7/13)
◆ 「少子化社会対策大綱」批判-4:安心して子どもを持つことができるBI、児童基礎年金支給を早期に(2020/7/28)
「令和2年少子化社会対策白書」と86万ショックと出生率1.36の現実(2020/8/17)
少子化社会対策と少子化担当相を糾弾する(2020/8/18)
結婚しない理由、結婚できない理由:少子化社会対策白書から(2020/8/27)

(関連記事)
加速する出生数減少と超少子化社会:「しない、できない、したくない結婚・出産」社会のこれから(2020/2/1)
出生率1.36、出生数90万人割れ、総人口減少率最大:少子化社会対策大綱は効き目なし(2020/6/11)
2020年出生数80万人割れ?コロナで妊娠届大幅減少、BI導入を(2020/10/23)
2050年、人口2500万人減少で1億人割れ。超絶人口減少社会へ(2021/2/26)

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