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菅総理「生活保護がある」、麻生財務相「定額給付金再給付なし」発言が求める政治改革と財政システム改革

コロナ禍で、未曾有の財政出動の必要性が叫ばれ、現実的に、政府特に、菅総理自身と副総理を兼ねる麻生財務相も渋々、小出しに行わざるを得ない状況になっている。
自民党の方は、魑魅魍魎たる二階幹事長ペースでのGoTo支援カンバンへのこだわりが厳然として残り、歯切れが悪い。
恐らく、多くの自民党議員は、コロナ対策の失敗だけが要因ではないのだが、内閣支持率の低下、菅首相の不評で、次の衆議員選への心配の方が日に日に高まってきているのではないかと思う。

再度の緊急事態宣言により、持続化給付金や特別定額給付金の増額要求は、日増しに高まっているのは当然である。
雇用調整助成金の財源も、といっても雇用保険の保険料保有分だが、払底したという報道が先にあった、

政府・財務省が渋る財政出動、財政赤字増、そのための赤字国債の増発。
その理由は、いつに、「財政健全化」でしかない。
数日前から、懐かしい「プライマリー・バランス(PB)」という表現もマスコミベースで復活してきており、政府サイドはPBバランス実現がより遠のくことの言い訳に使い始めた感がある。

特別定額給付金要求の声の高まりに対して、自民党魑魅魍魎政治の元凶のひとりであるかの麻生財務相は、「まったくやる意思はない」と断言。
呆れ返られている。

そして、言うに事欠いて、菅首相の方は、個人のためには「生活保障がある」と言ってしまった。
本人は、何気なく、かつ当然のことと思っているに違いないが。
つい先日、なぜか先行する形で厚労相が、「遠慮なく生活保護を申請してきて」みたいな呼びかけをした。
多分、その呼びかけに国民が応えると単純に思ったんだろうな。
それにしても、なぜそういう呼びかけをしなければいけないのか、ことの本質を理解していないこと、現在の生活保障法の悪評・悪法性を知らないことはもうこれで明らかで、今回の発言で首相失格すなわち内閣失格と言える。
昨年12月に、厚労省ホームページで冒頭掲載の「生活保護申請は権利」という表示を加えたにもかかわらずのことでもある。

付け加えると、1月26日付中日新聞(東京新聞)に、厚労省の呼びかけと菅首相発言への批判を意図するかのような、
自己責任論、コロナ禍でも根強く 困窮者の8割が生活保護申請せず」というタイトルでの、生活保護利用障壁についての記事が掲載された。

申請は権利だが、門前払い的対応も不評の要因。
相談受付・審査段階でのミーンズテスト(資力調査)や裁量的・恣意的対応など、知らぬはずはないのだが。
知っていてのことならばある意味重罪であるし、知らなければ完全に職務怠慢で田、どちらにしても先程述べたように、失格政治家であることは明々白々だ。

昔若手ホープと期待されたタムケン、田村厚労省相がいくら頑張ってみても、生活保護制度の運用と国民感情は、良い方向には変わらないだろう。

財政規律問題、財政システム問題をどう導くか



それと関連して、ということではないが、財政の考え方を根本的に変えなければいけないことを、すべての政治家と官僚が認識すべき、というのが今日の本論である。

正直、MMTの考え方やその説明の仕方は好きではない。
自国通貨を持つ国は、お金は刷り放題、バラ撒けば良い、という主張にも、単純には同意できない。
一理あることは分かるし、私自身その考え方と繋がっている考えをベースにした「ベーシック・ペンション」、無拠出・無条件・全国民平等支給の「生活基礎年金」制を提案している。

財政の健全化、プライマリーバランスの実現などとズーッと言い続けているうちは、デフレ経済脱却も、ズーッとできずじまいになってしまうだろう。
赤字国債多発、通貨供給量の膨大な増加などが、インフレやハイパーインフレを引き起こすという不安・警鐘に対しての反論も、従来の繰り返しではあるが、目にすることが増えた。

特別定額給付金を継続して支給することで、なし崩し的に、恒常的な「ベーシック・ペンション」導入に持ち込むことを主張する声も高まっている。
しかし、そもそもベーシックインカムは、こうした非常時・異常時だけのために考える社会システムとしてのセーフティネットではない。 

より多様かつ包括的な、基本的人権に基づく全国民のための社会保障制度の軸としてのベーシックインカムである。

いずれにしても、本質的には、コロナであるから財政健全化云々を論じることが必要なのではない。
国、そして地方自治体の「財政」のあり方、財政システムを根本から考え直し、大転換を行う必要があるのだ。

そしてそれを行うための政治改革が一体化される必要がある。
こう言うと、社会主義か、共産主義か、と受け止められそうだが、断じて社会主義化でも共産主義化をめざすものでも、その実現を願うものでもない。

どちらも必ず官僚化し、独善化することは間違いないから。
永遠の実験テーマである「民主主義」制における政治改革であり、財政システム改革である。
加えて、従来の保守対革新、右対左、ネオリベラリズム対リベラリズムという硬直的なゲームを想定してのものでも、もちろん、ない。

生活保護制度とそのためのコスト問題は、全体の財政問題からすると、表現は悪いが、極めて限定的な課題である。

言いたいのは、今疑問を持つことなく財政云々、国会予算委員会であれこれ、言っていることが、極めて非生産的で、成果が見込めず、支払っている議員歳費に見合う国民へのパフォーマンスが期待できないということだ。
ここでも、政治システム改革が求められていることになる。
内閣・行政、立法府・国会議員の思考と行動脳のデジタル化が必要とも言える。
ことのついでに、どさくさに紛れて言うと、その歳費を保証し、支出している財政システムの改革も必要になる。


懸念される野党の財政認識

実は、現状政権等の自民党が、簡単に財政の考え方を変えるとは思えないのだが、もっと不安なのは、野党の方だ。
リベラルと自称する野党の方が、保守的で、財政規律やプライマリーバランスの重要性を、間違って自覚し、守らなければ、と思っているに違いないからだ。

ゆえに、消費税導入に道筋をつけたのが民主党だったし、企業への増税や累進税率の引き上げによる税収増くらいしか、財政健全化方法を思いつかないだろう。
今は野党で言いたいことを言っていればよいが、立場が変われば、自民と同じようなことをやりそうなことは、過去が示すところだから。

従い、今のうちから財政をどうするのか、国の財政、社会保障・社会福祉の財源をどうするのか、国民の理解・支持を得られる理論武装と関連法制の改定等の準備をしっかりしておく必要がある。
自民党追及班と政策立案班に分けて議員活動・政党活動、そして選挙準備対策を進める必要があるのだ。

今の国会議員にそうしたことを求めるのは、どの政党にも無理だろうなあ。


だから、既存・既成政党に代わって、真っ白な、どんな色もついていない、新しい、真のリベラルに足る女性新党ができないものかと、夢想する日々なのであります。

Facebookにアカウントをお持ちの女性へのお誘いです。
⇒ 「ネットサロン・平和と社会保障と民主主義を考える女性の会」
にご参加ください。
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次回は、今回を受けて、財政健全化の御旗の下に厳として存在する「税と社会保障の一体化」の欺瞞について考えます。
関連した議論にちょっと脱線するかもしれませんが、同一視点でシリーズ化できれば、とも考えています。

もう一つ、文中にある「ベーシック・ペンション」については、当サイトでも間接的に触れていきますが、専用のWEBサイトがありますので、こちらをご覧ください。
https://basicpension.jp

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お待ちしています。

「ベーシック・ペンション、日本独自のBI実現をめざすクラウド・ミーティング」

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