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公共インフラ

食料・水・空気・エネルギーの自給自足国家創造へ

コロナウイルス禍で考える社会システム改革-1

当面の最優先課題は、「感染症者拡大の抑止と収束から終息へ」。
そして、今後の「感染症」対策のための社会システムの整備・体制確立がある。

一方、今回の経済社会危機で、人・物等の流れが止められたことで、グローバルレベルで鎖国・閉鎖状態となった。
そこで考えるべきは、食料を初めとして、国民が生きていくための最低限の資源を自国内で、自給自足できる体制・システムを構築しておくべきということだ。

そして、なんと言っても、給料を得、それで生活を成り立たせる、生きていくことを可能にする「仕事」「雇用」が失われる危機をどうするかだ。

3月から、【2030年の社会システム改革シリーズ】を種々の観点から始めた。
それも、当面の、第1フェーズとしての10年計画という位置付けとし、実際には、20年後、30年後を想定した取り組みが必要であることに思い至った。
” 2050SOCIETY ” 2050年社会 をドメインとしたサイト創設に至った所以でもある。
そこに、” COVID-19 ” だ。

【新型コロナウイルス禍で考える社会システム改革】に思い至り、繋がった。

2050年食料自給率100%は夢か

食料自給率とは

食料自給率とは、国内の食料消費のどれだけを、国産食料で賄っているかを示す指標で、以下の方式がある。

1.重量で計算する品目別自給率
2.食料全体について共通の「ものさし」で単位を揃えて計算する総合食料自給率
(1)熱量で換算するカロリーベース総合食料自給率
(2)金額で換算する生産額ベース総合食料自給率

日本の食料自給率の実態と推移

日本の食料自給率(農水省HPより)

日本の食料自給率は、1965年度に73%を記録して以降、緩やかに下がり、2000年度以降は40%前後で推移してきた。

次は、品目別の自給率の推移。
ざっと見ても問題があることは分かる。

品目別食料自給率(農水省HPより)


2050年小麦生産・自給率50%を国策に

主食の代表である米は、価格面で海外産に負けるが、ブランド米の競争の激しさを見ても、国産米の評価と支持は高く、自給率も90%台後半を維持している。
着目すべきは、小麦だ。
パン、うどん、ラーメン、パスタ類・・・。

多様な食べ方・食生活を提供してくれる原料・小麦。
現状全体の自給率が40%台にとどまる中にあって、小麦のそれは、なんとわずか9%程度で10分の1に満たない。

理由は明確。
米国産など価格的に圧倒的に勝ち目がないため、自然とそうなった結果である。
作るより買ったほうが安くて楽だから。
しかし、非常時・緊急時・異常時にはどうすることもできない。

ならば、自国で国の方針として小麦生産に、遅ればせながら取り組む。
もちろん、従来とは手法も政策も改める。
農業システム改革を掲げての取り組みとなる。
その軸となる方針として、まず以下を挙げておきたい。


1.国営・公営農場化
2.大規模化
3.農業法人への生産委託
4.IT、AIその他生産システム技術革新と活用
5.財政支援
6.2050年小麦生産国内自給率50%

次に、その項目について概略をメモした。

<国営・公営農場化及び大規模化>
まず、農地は、次に掲げた大規模化が必須であり、適地の選択・確保は国権を用いて行う。
また、未耕作地・未利用地の徴収・集約も国権で進める。
複数の国営・公営農場を開拓・開発し、その一部は、地域内に収監施設を設置。農業労働可能な収監犯を収容し、その労働力を活用する。
施設及び敷地内に太陽光発電設備を設置し、エネルギーの自給自足も行い、モデル化する。

<農業法人への生産委託及び農業生産技術革新>
土地の確保は国および地方自治体が担うが、生産実務は農業法人が受託する。
大規模化で雇用を創出できる。
また、農業を食糧品製造システム業と位置付け、第一次産業から第三次・四次産業化。
製造業・情報システムサービス業等とのハイブリッド事業革新を主導する。

<財政支援及び社会システム改革の一環として2050年目標達成>
上記の取り組みには、直接的な、大規模な財政支出に加え、ある程度の私権の制約に伴う補償・補填などへの支出も必要となる。
国・行政の強いリーダーシップと、国民の理解・協力、そして意思統一が不可欠な所以である。

国策としての2050年の理想としての総合的食料自給率目標は100%。
そのための最重要課題として「小麦」を例示的に取り上げた。
当然、これまで同次元で問題となってきた「畜産」「肉」の自給率維持・向上も、コロナウイルス禍の経験から、再考・再構築すべきことは言うまでもない。
そこにおいても、また他の品目についても、上述した1~4までの方針は、共通である。

日本の食料自給率先進国比較

参考までに、平成30年2018年の先進各国と日本の食料自給率比較グラフを、農水省HPから引用した。


ここ数年TPPやFTAなどで必ず議論の課題となってきた品目や交渉相手が、漠とではあるが思い起こされる。
コロナ禍は、各国がそれぞれ自国を守る政策を強く推し進めることが当然である。
協調・協力はその次となっても不思議ではない。
このグラフを見て、何かしらの不安や課題を感じて当然だろう。



異なる領域だが、コロナウイルス禍で経済活動がグローバルレベルで、低下・停止し、原油価格が大きく下がる事態が発生。
それは確かに最近のガソリン価格の低下で確認され、それはそれで喜べることだが、いずれまた上がり、新たな事件・地政的不安が生じれば、異常に高騰し、リスクもぶり返される。
一昨日には産油国間で、原産の合意が形成されたとも報じられた。

すなわち、エネルギー・電力の自給自足も、10年・20年・30年スパンで取り組むべき国家プロジェクトである。
その取っ掛かりとして、以下を提示済みだ。

電力行政改革によるエネルギーシステム改革-1
再生可能エネルギーと水素社会によるエネルギーシステム改革-2

機会を改めて、深堀りしたい。

食料・エネルギーと並んで、水・空気を先に挙げた。
空気は、環境問題とエネルギー自給自足と繋がる。
水は、上水・下水事業と。
ここ数年、地方自治体にその事業を外資系企業に委託する動きが強まっている。
コロナ禍を機としてということではなく、種々想定外をも想定したときには、自国・次地域の水・空気・エネルギー、そして食料は、自分たちで創出し、供給し、守ることを基本とすべきことを確認したい。

そして、「コロナウイルス禍で考える社会システム改革」として自給自足システム化と並んで重要・重大な課題と認識させられたモノ、コトがある。
生きるために必要な食料や日用品を購入するために、稼ぐ・働くということ。
すなわち、雇用・仕事の確保である。
次回の課題としたい。


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