現状の年金生活者もベーシック・インカム受給者のようなもの:BI導入シアン-2

社会政策

あまり肩肘張らずにベーシック・インカムについて考えてみる。
思案投げ首とまでいかなくても、自由に発想・シアンしてみる。
そうしながら、実現可能な、現実的な方策をシアン化・私案化する。
それらをある程度批判に耐えられるようなレベルに、整理し、まとめて、当サイトのカテゴリー<BASIC INCOME>の該当する項目にシアン・試案として提案する。

そういう流れをイメージして、<BI導入シアン>シリーズを始めた。
1回目は、以下。
所得がある個人を別人格とみなす社会経済システム:BI導入シアン-1

今日は2回目。


生活基礎年金として受け取る、老齢基礎年金受給者のベーシック・インカム

現在70歳。
65歳から年金受給生活に入っている。
老齢基礎年金と老齢厚生年金を合算した年金。
これに、以前在籍していた企業の企業年金基金からの年に1回一括払いの少額だが年金が加わる。

一応、65歳以降もほぼ休眠状態にある自分の株式会社の役員として社会保険への加入を継続し、健康保険料・厚生年金保険料を負担していた。
だが、今年3月で満70歳になったため、厚生年金保険の方は資格喪失し、老齢厚生年金の額が変更になり、ごくごく僅かだが、増額された。

但し、自分だけの法人であり、法定福利費を企業で負担してきたため、通常のサラリーマン個人が負担する保険料の2倍は納付してきたことになる。

私個人としては、それでいいと思ってきたし、個人事業主も法人成りして、同様に事業所としても法定福利費として社会保険料を負担する制度に変更するべきと考えている。
厳しいが、国民年金からの老齢基礎年金のみの受給では、やはり老後の生活は苦しいからだ。

話が今日の本論から外れた。
この件は、機会を改めて考えることにしたい。

厚生年金保険は、賦課方式といって、現役世代が、先行する年金受給世代が受け取る年金を負担する仕組みだ。
従い、このまま少子化が続けば、現役世代が年金受給世代になったときの保険料収入財源が減少し、受け取る年金額が少なくなることが問題視されている。

しかし、国民全員が、一律に、所得に関係なくベーシック・インカムを受け取ることになれば、その心配・不安はなくなる。

現在の老齢基礎年金に代わって、ベーシック・インカムとして<生活基礎年金>を高齢者だけでなく、全員が受け取る制度だ。
財源は、原則として所得税とし、厚生年金保険料は関係なくなる。


BI 生活基礎年金は、老齢基礎年金に厚生年金の一部を加えたもの


現在の老齢年金のうち、老齢基礎年金(国民年金)のみを受け取る人は、満額でも月7万円には満たない。
(令和元年は、満額で年間78万100円。月額6万5008円)
これでは、生活保護を受給する人と同レベルの生活を維持できない。
従い、ベーシック・インカム制での<生活基礎年金>額は、月額13万円を提案している。

例えば、現在の私の受け取る年金の内、老齢基礎年金(国民年金)部分は、年額69万2130円、月額5万7676円だ。(満額に達していない。)
仮に生活基礎年金額13万円のうち、老齢基礎年金(国民年金)で5万7676円支給され、残り7万2324円は、老齢厚生年金から受け取ることになる。
実際この4月からの月額は13万円よりも多いので、その多い部分を厚生年金として受け取る。
そう読み替えることができる。

すなわち、現在の年金受給者が、仮に来年からベーシック・インカムによる生活基礎年金を毎月13万円受け取るとする。
老齢基礎年金(=国民年金)全額と老齢厚生年金の一部が生活基礎年金に変わるわけだ。
そして、現在受け取っている年金総額から生活基礎年金の13万円を差し引いた額が、厚生年金となるわけだ。

考えようによっては、今、老齢基礎年金と厚生年金を受け取っている高齢者のほとんどが、ベーシック・インカム生活基礎年金を受け取っているとみなしても良さそうだ。

現在、老齢基礎年金(国民年金)だけ満額受け取っていれば、それとほぼ同額の6万4992円が加算され、2倍の生活基礎年金をベーシック・インカムとして受け取ることになる。
そのために負担を強いられることはない。
おめでとう、ということになる。


BI 児童基礎年金は、児童手当を増額し、成人の生活基礎年金と同額を給付するもの


前項を読むと、やっぱり高齢者が優遇されると思われるが、実は生活基礎年金は、児童基礎年金を受け取る児童を除き、国民すべてが無条件で受け取るのだから、平等な制度である。
そして児童基礎年金も同額支給され、呼び方が違うだけで、大人と子どもの差別はない。

なぜ呼び方を変えるか。
一つは、児童が成長し自立するまでは、一応その保護者・親権者である親が、児童基礎年金を管理するから。
自立とは、経済的な自立、社会的な自立、いくつかの基準で適用条件を設定できる。
ベーシック・インカムの本質を考えると、義務教育終了までを児童基礎年金支給期間とし、それ以降を生活基礎年金に切り替え、本人が管理する方式がよいだろう。
しかし、専門学校を含め高校進学者が9割をしめる現状を考えると、学齢18歳満了までとする案もある。
しかし、義務教育終了後就職・就労・起業する人もいるので、それらの人々は経済的に自立しているゆえ、特例として生活基礎年金に移行するというのが現実的かとは思う。
実現においての検討事項の一つだ。


児童基礎年金導入で期待できる最大の効果:少子化対策の決め手として


児童基礎年金が支給されることに反対する、子どもを持つ世帯・家族はないだろう。
もちろん、親自身にも生活基礎年金が支給され、それに児童基礎年金が上乗せされるのである。
子どもの最低限の生活も子ども用として保障されるわけで、生活のための経済的な不安は、相当解消されるだろう。
母子世帯や父子世帯の貧困化にも、歯止めがかかり、希望を持つことができるようになる。
多くの人が、働きたい時間に、働きたい仕事を選択する機会、そのために準備する機会を持つことが可能になる。

そして何よりも、経済的な不安から結婚を諦めかけていた人が結婚する意志と機会を持つことが以前より可能になる。
また、経済的不安から子どもが欲しくても作ることに踏み切れなかった人も、子どもを持つことに積極的になれるだろう。
二人目、三人目の子どもが欲しいと思っている人たちも、安心して産み育てることができるようになるだろう。
そう少子化への歯止めがかかる可能性、出生率が改善される可能性が大きく高まるだろう。

少子化社会対策大綱に盛り込んだ総花的、総合的な数多くの施策は、どれも決め手になることはないだろう。
ベーシック・インカムの導入があって初めて、少子化対策が本気で実施されることになるのだ。
なぜなら、それは、みせかけのインセンティブである一時金とは違って、子どもの生涯にわたって安心を提供する社会保障だからだ。


高齢者と、児童とその親以外にもベーシック・インカムを必要とする現役世代は大勢いる

年金受給の高齢者、子どもとその親、結婚し子どもを持ちたいと思う世代。
それぞれがベーシック・インカムを受け取ることができれば、それぞれの事情で、生活に安心感が生まれ、希望する生活や仕事へ向かう新たな行動を起こすことができる。

同様に、現状それぞれが抱える生活不安や仕事上の不安から逃れたいと思っている多くの人々がいる。
その人々にとっても、もちろんベーシック・インカムに拠る生活基礎年金の受給は朗報だ。

どのような人々がいるか。
次回以降で、例を上げて考えることにしたい。



BI 導入に必要な厚生年金保険制度の改定


先に、現状の年金受給者が受け取る生活基礎年金は、老齢基礎年金と厚生年金の一部、と言った。
それは、一つの例えであって、実際にベーシック・インカム制が導入された場合のカネの出所は別になる。
生活基礎年金も児童基礎年金も、財源は、国民の所得にかかる所得税とする。

しかし、ベーシック・インカムは最低限の生活を保障するた目に支給する年金であり、多くの人はそれでは老後に不安を感じるだろう。
その不安に備え、対応するために厚生年金保険制度は、新たにモデルチェンジして管理運用することになる。

ただ、新しい厚生年金保険制度は、介護保険や企業年金、健康保険などの社会保険に加え、雇用保険・労災保険などの労働保険も包含して、総合的な社会保障保険制度に組み入れられて、改定する必要がある。

この課題は、ベーシック・インカムだけを考えれば済むものではなく、むしろそれ以上に重要で、構築には相当時間と労力が必要になる。
少しずつ、課題を具体化して、このシリーズで糸口を探っていきたい。



もし中国がベーシック・インカム制を導入したら

ベーシック・インカムは、過去、保守派からも革新派からも、それぞれのロジックで提案されてきた経緯がある。
それぞれのロジックといっても、やることは一緒なのだから、国家権力とベーシック・インカムとの関係性とその思想についての違いがキーになる。

BIを考えるようになってからしばしば考えるのが、もし中国がベーシック・インカム制を導入したら、ということだ。
決して非現実的なことではないと私は考えている。
そして・・・。

次回、「もし、中国がベーシック・インカム制を導入したら」を考えてみることにしたい。
皆さんも、是非、想像してみては・・・。


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