コロナが促す新しい日本の社会システム構築とグローバル社会システム構築

Memo


コロナを契機として再検討・再構築すべき日本の社会経済システム

コロナ感染者拡大の数字の波。
結局、1年になるが、終息どころか収束の糸さえも、切れてしまうかのような、グローバル、地球の先が見えない状況が続いている。

ワクチンの投与が始まった国もあるらしいが、劇的に効果があり、新規感染者数もそれに倣って劇的に減少しているという話がリアルのこととして拡散する兆しはない。

長引く状況がもたらす最大の問題は、多くの人が、事業機会を奪われ、就労機会を奪われ、収入を得る機会を奪われていることであり、それが長引けば長引くほど、多くの人々が、生きること、生活することが困難になることを意味する。

雇用経済システムに大きく依存する現代国家およびグローバル社会において、コロナはまさに致命的な出来事である。

感染防止と生活及び事業活動を守るための財政出動が、どの国でも必須となり、従来の財政の在り方、従来のグローバル経済における経済の在り方を、根本的に考え直す必要がある。
それはすなわち社会システムの改革の必要性を意味する。

仮にコロナが収束しても、このコロナ禍での財政と経済の経験は、特別なこと、一過性のこととして単に記録と記憶にとどめておくだけのこととすべきではないだろう。

この機会に、日本は先ず、自国内だけできる限り完結できる経済・財政・社会システムの構築をめざすことを合意形成し、かつグローバル社会において一国家として関係する、国際経済・財政・社会システムの再構築への参画・貢献すること、両面をめざすべきと考える。

自給自足経済、自給自足社会の確立をめざす。
だがそれは、閉鎖的・保守的経済を確立すること、あるいは孤立すると同義ではない。
セーフティネットを構築・保持し、機能可能にするという意味・目的に留まる。
国内需要を超える供給部分は、備蓄可能なものは備蓄に充て、他は輸出に転用する。

もちろん、すべてが国内需要向け事業ではなく、当初から輸出を目的とした産業群や海外向け投資事業も推進されるべきは言うまでもない。

ベーシック・ペンションを、新しい社会経済システムにおいて位置付ける

なお、国内自給自足社会において、最低限度の生活を営むために全国民に、生まれてから死ぬまで、日本独自のベーシック・インカム、生涯基礎年金、ベーシック・ペンションを支給するシステムを、基本的人権と社会保障の基本として導入することが望ましい。
ここで発行され流通する貨幣は、この日本という地域内だけで用いられる、一種の地域通貨である。
この通貨は、日常生活で費消するためのものであり、他への譲渡・相続や蓄財には用いることはできず、グローバル社会で取引されることはなく、一定期間内にその効力がなくなるデジタル通貨である。

その詳細については、こちらで既に述べているので、ここでは省略したい。

◆ ベーシック・ペンション宣言-1:日本独自のベーシックインカム生活基礎年金導入を(2020/12/1)
◆ ベーシック・ペンション宣言-2:JBP導入で、社会保障制度や関連法はこう変わる!(2020/12/2)
◆ ベーシック・ペンション宣言!-3:なぜベーシック・ペンションが必要かつ有効か(2020/12/3)
◆ ベーシック・ペンション宣言!-4:ベーシック・ペンション生活基礎年金実現の方法、スケジュール(2020/12/4)
◆ ベーシック・ペンション宣言!-5:日本独自のベーシックインカム「生活基礎年金」提案、ここまでのまとめ(2020/12/5)
◆ ベーシック・ペンションデジタル通貨管理システム修正案:ベーシック・ペンション宣言!-6(2020/12/10)


新しいグローバル社会経済の規範創りへ

こうした自国内経済だけのための通貨発行と管理については、当然IMF国際通貨基金を含め、グローバル社会の関連機関において、理解を得ることが不可欠である。
コロナ禍で、ほとんどすべての国家が自国経済・財政・社会システムのあり方について、従来の枠組みでのルール・規範に縛られて対応することが不可能である経験をした。
従い、この機会を通じて、従来のシステムを改革する必要があることを強く感じたことは疑う余地がない。

例えば、今回出動した財政の膨大な赤字部分を、次世代に負担させることなどあってはいけないことだろう。
かといって、MMTによるヘリコプター・マネーのバラ撒きで素知らぬ顔をしてやり過ごすことも無責任というものだろう。

こうした財政出動は、本質的には、上からバラ撒くものではなく、ファンダメンタル・マネー、すなわち社会活動の基盤を守るための資金のはずだ。
こうした性質の支出が避けられない状況にある国々とグローバル社会における新たな経済・財政・社会システムを、再構築すべきだろう。
日本がその作業においてリーダーシップを取ることが望ましいのだが、残念ながら、そこまで問題意識をもってウィズコロナ、アフターコロナを考えている政治家・官僚はいるはずもない。

事業継続のための社会システムはどうあるべきか

この認識に加えるべき課題として、雇用、すなわち、不動・普遍の社会経済システムであるかのようになってしまった「雇用」経済社会における、事業の成長・発展と雇用の維持・拡大へのシナリオが、コロナで雲散霧消に近い状態になってしまったことがある。
但し、すべての企業がそうなったわけではなく、一部の業種や職種は逆に大きな成長の機会を得ており、それが経済全体の下支えをしつつ、個々人における所得格差を一段と拡大する要因ともなっている。

しかしこうした真逆の様相を呈することも含め、事業を始め、継続し、成長させていく上でのリスクへの備えが、事業者にとっても、国にとっても非常に大きな問題になったわけだ。

例えば、企業が内部留保を拡大し、新規の投資に用いないことや被用者の賃上げに用いないことなどに対する批判があるし、それに対してより課税すべきという議論もある。
しかし、企業の持続性・安全性を考えれば、その選択肢は決して誤りとは言えないことは明らかだ。

厳しい味方をすれば、コロナにおける最も大きな財政赤字出動の対象の一つとなっている持続化給付金がなければ雇用の維持どころか、事業の継続自体不可能になって当然なわけだ。
それらもすべて救済するための財源をどこに求めるのか。
それは、経済活動の継続と成長発展を前提とした国の財政のあり方を、根本的に見直す必要性を示唆している。

ヘリコプター・マネーではなく、ファンダメンタル・マネー規範をグローバル・システムとして構築すべき

MMTの正当性・妥当性を、財政赤字依存の日本がグローバル社会に、良い参考事例として示している、と発信している。
この理屈が、これからのグローバル社会における共通認識・共通理論・国際協調として認められ、新たな基準・規定化にまで持ち込めるのか。
その論者は、その制度基準・規定案を提示すべきだろう。

もしそうなれば、ヘリコプター・マネーとは呼ばず、胸を張ってファンダメンタル・マネーと言い換えることができるだろう。
そこでは、やはりMMTではない、別の思想と管理システムを創造・創出する必要があると感じるのである。

次回、この流れにおいて一つのモデルの創造・創出をめざすべく、日本の社会経済システムの、グローバル・モデル化の課題を、整理してみたい。


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