社会保障保険制度試論

介護制度、高齢化社会


「COVID-19」後、2050年社会システム改革に臨む-4

2030年の社会システム改革における「社会保障システム改革」として、提起した◆ 憲法で規定された生存権と「社会保障」:全世代を対象とする社会保障システム改革-1
○○手当は○○年金!?:全世代が年金受給機会を持つ社会保障システム改革-2
所得者全員が年金保険料を!:国民年金の厚生年金統合による社会保障システム改革-3
の3回。

それを受ける形で「COVID-19 後、2050年社会システム改革」として提起した
ベーシック・インカム制の導入を!
ベーシック・インカム生活基礎年金の年間総額、216兆円
の2回に引き続いて、「社会保障システム改革ー6」に当たるのが、今回のテーマになる。


ベーシック・インカム制で導入することとした「生活基礎年金」。
それは、当然、社会保障制度全般を、これまでの「労働保険」の一部も取り込む形で、「社会保障保険」制度として改革することで具体化する。

では、「社会保障保険制度」とはどういうものなのか。
以下、現時点で考える内容を、整理していく。


社会保障保険制度とは

初めに、社会保障保険制度において対象とする保険の種類を、以下とする。


<社会保障保険適用保険種別>
(1)医療保険(健康保険と国民健康保険を一本化)
(2)生活基礎年金保険
  (ベーシック・インカム制。学齢15歳以下の児童は、児童基礎年金)
(3)厚生年金保険(所得者全員加入)
(4)就業保険(従来の雇用保険。有職有所得者全員加入)
(5)介護保険(自己負担率引き上げ)

医療保険は、現状の健康保険及び国民健康保険。
この2つを一本化する。

生活基礎年金と厚生年金保険が、現状の国民年金(老齢基礎年金)と厚生年金(老齢厚生年金)。
もちろん、ベーシック・インカムとしての生活基礎年金の導入で、厚生年金保険制度自体、大きく改革される。
その方向性・内容についても、順次整理していきたい。

就業保険は、雇用保険の改定・改革版。
自営業者・経営者も加入を義務付けし、一定以上の月収がある者は全員加入制にする。
雇用される者(被用者)だけを対象とするのではなく、就業意識・意欲があるが、適切な就労先がない場合や自営就業等ができない場合に対応する保険とする。
企業など雇用元も保険料を負担する。

介護保険は、現状の介護保険。
もちろん、問題が拡大している保険制度であり、抜本的な改革が必要となっている。
こちらも、いずれ個別に、「介護システム改革」として取り上げる予定だ。

その他にも、社会保険・労働保険、教育制度・保育制度等との関連で、今回提起した以外の要素・事業などが加わる可能性もある。

いずれにしても、これらの個々の制度を、社会保障という概念で統合することで、行政組織改革を行い、管理コストを削減することが可能になる。
余剰人員の他事業への移動・充当などもある。

保険料の徴収も、複数保険の一本化で合理化でき、管理コストの低減に繋がる。
企業サイドも合理化・コスト削減が可能になる。

要するに、直接的な数字で計算できるコスト削減だけでなく、さまざまな間接コストの低減も大きく期待できる。
もちろん、その想定額も、机上試算は可能である。


生活基礎年金で負担する「社会保障保険料」:生活基礎年金試論-2

ベーシックインカム制による生活基礎年金は、全額が現金で支給されるのではない。
所得税に加え、<社会保障保険>保険料などの負担が義務付けられ、それらを控除した額が支給される。

前回提示の通り、1ヶ月定額15万円として考える。

所得税は、全員一律・定額方式。
仮に1万円としておく。

<社会保障保険>保険料は、この生活基礎年金においては、年齢によって負担率(負担額)が異なる。
1)0歳以上7歳未満(未就学児):手取り7万円
  ・保育費負担金:6万円
  ・医療保険基礎負担金:1万円
2)学齢7歳以上15歳以下(小学生・中学生):手取り7万円
  ・義務教育費負担金:6万円
  ・医療保険基礎負担金:1万円  (医療給付費自己負担率1割)
3)16歳以上18歳:手取り9万円
  ・就業保険負担金:3万円    (就業教育訓練受講費負担分)
  ・医療保険基礎負担金:2万円  (医療給付費自己負担率1割)
4)18歳以上65歳未満:手取り9万円
  ・就業保険負担金:3万円
  ・医療保険基礎負担金:2万円  (医療給付費自己負担率1割)
5)65歳以上(高齢者):手取り9万円
  ・介護保険負担金:3万円  (介護給付費自己負担率3割)
  ・医療保険基礎負担金:2万円  (医療給付費自己負担率2割)

※1)2)は児童基礎年金受給
 3)4)5)は生活基礎年金受給
  


生活基礎年金原資は、216兆円から102兆円に

生活基礎年金は、年齢別にそこから控除される保険料の項目と金額が異なる。
しかし、0歳時から後期高齢者まで、全員が年金を受け取り、かつ所得税と保険料を負担する形となる。

個人ナンバーで紐付けされ、全員が自分の銀行口座を持ち、納税者・被保険者・預金保有者になる。

上記の年齢別の事例は、あくまでも思案中の試案かつ私案。
イメージを持つため、今後、色々検討していくための材料・情報と考えている。

さて、上記私案から、
全世代の平均手取り年金額を、これも大雑把だが、一人8万5千円とする。
対象人口1億2千万人とすると、当初216兆円必要とした原資は、各種控除後には、102兆円となる。

当然、現状支給されている児童手当や老齢基礎年金その他の国費負担分は、この102兆円の一部となる。

その他、実際には、失業時の給付や、出産時休業給付等現状の健康保険関連での休業給付の一部は、この生活基礎年金で充当することも可能になり、コストは低減できる。
介護休業や育児休業時の賃金低下時のカバーにもなる。

まだまだ、種々紐付けや運用方法の改善・改定で、コスト低減が可能になろう。
これも、継続して検討・整理していきたい。

生活基礎年金を取り上げるからには、当然、厚生年金制度とどのように結びつけるのか、それ自体どう改革するのかも、並行して提起する必要がある。
少し時間を頂き、別の機会に取り上げることとしたい。


この試論は、より良い案・アイディアが出れば、どんどん手を加え改定していくこととしている。
というか、本音のところ、この分野の専門の学者・研究者が、戦線に参画してくれて、貴重な知見・構想を展開してくれることを期待・希望している。
特に、現状の各種保険制度における、国庫・公庫負担額、企業負担額、個人負担額など数値面からの情報・研究・調査等を用いて頂くか、見るべき資料の所在などを教示頂けるとありがたい。



 

関連記事

最新記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


2023年3月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  






















TOP