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経営・事業開発、労働生産性

リスタートアップで事業改善・改革に着手を!


中小企業改革が国運を左右する(5)

『国運の分岐点 中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか』
(デービッド・アトキンソン氏著・講談社α新書・2019/9/19刊)
を参考にしながら、事業継承問題を考えざるを得ない中小企業に共通の弱みとその策について考えてきました。


「国策で中小企業改革を図るべき」という問題提起


今回は第五回目。
デービッド・アトキンソン氏による、国運の分岐点となる「中小企業改革」。
一応今回でひと区切り、まとめとします。

根本的には、中小・零細事業者の優遇策が、低い生産性の事業を存続させ、99.7%という企業構成比に高止まりさせているが故に、国全体の生産性を低下させ、財政赤字の極大化や国力=GDPの低下、個人収入格差をも招いている。

それゆえに、それらの優遇策を縮小・廃止し、廃業・統合を推し進めることで事業規模の拡大、賃金の引き上げ、生産性の向上、そして、GDPの向上につなげるべき。

簡単にいうと、そういう主張・提案となっています。


自助努力で自社の構造改革に取り組むべき中小・零細企業経営者


アトキンソン氏が、こう喝破するのですが、恐らく、現在の保守党も野党も、すんなりその提案を鵜呑みにして中小企業改革政策に転換するなどということはありえないのではないでしょうか。

同氏も、少しは国=政権党と行政の意識が変わりつつあると認めてはいますが、求めるレベルには程遠いとしています。

まして、昨年、韓国文政権の、最低賃金引き上げ策が、同国の中小企業に期待する行動と相反する結果を生じさせ、失政として、政権の評価を下げる要因の一つとなっている例を見ると、同氏の主張に二の足を踏むことは想像できます。

しかし、国の政策云々に関係なく、中小・零細企業の多くが、廃休業や経営者の高齢化、後継者難のリスクを抱えている現状は、放っておけばおくほど、国力以前に、経営者とそこで働く人々のこれからの生活の不安・不安定を増幅させることも簡単に想像できます。

にっちもさっちもいかなくなって、倒産・破産を招くか、自ら事業の存続・成長・継承のための事業の改善・改革に取り組むか。

幸い、機運としては、中小企業庁や経済産業省が、中小企業の廃休業やM&Aを支援する政策を従来よりも推し進めようとしていますし、それらのサービス事業を展開する民間企業も増え、関心も高まってきているようです。



事業・企業経営の原点・基本を再確認し、経営のロマンとやりがい、面白さを取り戻す!

アトキンソン氏にしても筆者にしても、他人事だから簡単に言える・・・。
確かにそうです。
が、どうでしょうか。
今までの経営そのものが、順風満帆でなんの心配もなく順調に結果・成果を残してきたのでしょうか?
むしろ、うまく行かないことの方、時の方が多かったかのしれないのでは・・・。

そうではあっても、やめることはなかった、放り出すことも、逃げ出すこともなかった・・・。
うまくいったこと、楽しかったこと、やりがいを感じたこと、夢を抱いていたこと・・・。
経営者でしか経験できなかった喜びや経験・・・。
その体験や思いをより大きくすること、また経験すること、そして新たな経営者にその思いや経験を引き継ぎ、新たな道筋・絵を描いてもらうこと。

家族・親族であれ、社員であれ、外部からの招聘であれ、より企業とそこで働く人々の豊かさ、そして取引先や社会とのつながりを実現するという、貴重で価値ある営み。

大企業も中堅企業も、みな小企業・零細事業所からスタートした!

スタートアップならぬ、現状からの、リスタートアップ!
350万余の数だけの中小企業・小規模事業者の経営者とそこで働く人々に、状況や条件はみな異なりますが、それぞれに機会、チャンスがある。
そう考え、心から応援したいと思います。


[シリーズ:「中小企業改革が国運を左右する」]
⇒ 中小企業の低生産性が日本経済の根幹課題:中小企業改革が国運を左右する(1) (2020/2/24)
⇒ 人口減少時代の「低生産性という病」克服の必要性:中小企業改革が国運を左右する(2) (2020/2/23)
⇒ 中小企業優遇政策が低生産性体質を放置:中小企業改革が国運を左右する(3) (2020/2/24)
⇒ 労働人口減少が中小企業を締め付ける:中小企業改革が国運を左右する(4)(2020/2/25)
⇒ リスタートアップで事業改善・改革に着手を!: 中小企業改革が国運を左右する(5)(2020/2/27)


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