1. HOME
  2. ECONOMIC POLICY
  3. 人口減少時代における「低生産性という病」克服の必要性
ECONOMIC POLICY

人口減少時代における「低生産性という病」克服の必要性


中小企業改革が国運を左右する?(2)

前回から
『国運の分岐点 中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか』(デービッド・アトキンソン氏著・講談社α新書・2019/9/19刊)
を参考にしながら、事業継承問題を考えざるを得ない中小企業に共通の弱みとその策について考えています。


取り残されつつある日本の社会経済の実態

今回は第二回目。
デービッド・アトキンソン氏による、国運の分岐点となる「中小企業改革」。

その提案理由は、
◆ 先進国中で、日本のみが経済成長をしていない
◆ 長引くデフレから一向に脱却できない
という事態から転換を図り、少子高齢化による社会保障費の膨大な増加と生産年齢人口の激減という国家規模での問題を克服する上で「中小企業改革」が不可欠と結論づけてのことです。

一般的な教科書的経済学では、人口の増加があるゆえに可能な経済成長を前提とした金融・経済政策でことが済むとされていました。
しかし、とりわけ日本のように急激な生産年齢人口の減少を伴う少子高齢化と人口減少社会では、その影響を予測し、適切に対応するには、相当の覚悟と従来とは異なる、実効性のある対策が必要になります。


人口規模がGDP(国民総生産)を決める!


中国に追い抜かれたとはいえ、日本のGDPが世界3位というのは、1億2000万人の人口を抱えているため。
GDPはドイツの1.28倍に当たるが、これは単純にドイツよりも人口が1.5倍だから。
イギリス経済が日本経済の半分というのも、人口が日本の半分だから。

もちろん、日本よりもインドは人口が遥かに多いですが、それはまだインド自体が階層・宗教・その他の社会的な不安定さを残し、経済的には発展途上にあるため。
現在は経済規模は劣っているが、今後確実に実現される経済成長に伴い、日本を追い越すことは時間の問題と認識されています。

そういう事情・要素があるなかで、日本は課題先進国として、年間の人口減少数が20万人超、30万人超という時代に突入し、加速しようとしてしているのです。


スペイン、イタリアと同じ生産性水準という現実


GDPを決める2つの要素の一つが人口。
もう一つが、生産性(一人あたりの年間生産高=付加価値高)。
そこで、GDPを人口で割った、一人あたりのGDP、一人あたりの生産性は、なんと世界で28位になってしまうのです。
1990年には、世界9位だったのが、1992年頃からは下げ傾向。
他の国の生産性の向上により、順位と実力を下げてきました。

歴史のあるスペインやイタリアの生産性水準とも違わないという現実。
やはり、なにか根本的なコトが見落とされている、と考える必要がありそうです。
これまでの常識を捨てて、虚心坦懐に!


アトキンソン氏提案の日本のグランド・デザインから

前述の考察から飛躍してしまいますが、こうした日本経済と社会が抱える問題を解決するために、アトキンソン氏は、以下の10項目をグランド・デザインとして提案しています。

1)地方創生のための観光戦略
2)特に人口減少によって消費されなくなる商品の輸出促進
3)強い中堅・大企業の数の増加促進
4)経営者教育
5)技術の普及による生産性向上
6)デザイン性の向上
7)女性活躍
8)社員教育
9)最低賃金の継続的な5%引き上げ
10)全国一律最低賃金への移行

その提案の目的は、
◆ 企業総数の99.7%を占め、日本経済を支えているとされる357万の中小企業こそが、生産性向上の障害となっていること
従い、
◆ 少子高齢化・人口減少日本の、巨額の財政赤字や社会保障費負担などを克服するためには、中小企業改革を必要としていること
への対策とすることにあります。

その10項目のなかで、直接的に、現実的に中小企業の課題と捉える必要があるのは、
1)経営者教育(自己啓発・自己学習など含む)
2)技術の普及による生産性向上(業務改善活動の展開なども通じて)
3)社員教育(リーダー育成、後継者候補選抜育成、業務改善活動を含め)
4)(最低)賃金の継続的な5%引き上げ

となるでしょうか。

その取り組みを通じて、中小企業が成長発展し
◆ 強い中堅・大企業の数の増加促進
につながる、というシナリオをイメージできるかと思います。


低い賃金を引き上げうる経営改善が中小企業の最優先課題


生産性が低く、利益が出ないから賃金が低いのか・・・。
賃金が安いから、やる気が起きず、あるいは人材が集まらず、生産性が低いのか・・・。

どちらが原因かを問答し、特定したところで、抜本的な策が見つかるとも思えません。
基本的には、経営者に、本気で従業員の賃金を上げなければ人材は確保・育成できない、という問題意識が欠けている。
あるいは、賃金を上げるためには生産性を上げ、粗利益を増やさなければならず、この課題に本気で取り組む必要があることを認識していない。

あるいは、仮にその気があっても、問題意識を持っていても、実際にどうすればいいか分からないか、本気で勉強するか、誰かの力を借りてでも解決しようと行動しないか、でしょう。

安い賃金のままでは、人材の採用も、定着も、育成も難しいことは分かりきったことでしょう。
安い賃金のままでは、社員・従業員は、日々の生活に汲々として、安心して仕事に打ち込めず、会社のために頑張ろうという気にもならないでしょう。

そんな基本中の基本が分からないようならば、事業の継続・継承は無論不可能。
経営者としての評価は決まります。

経営改善・経営改革に取り組むか否か。
その必要性を、経営責任者として認識し、行動するかどうかにかかっているのです。

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


写真素材素材【写真AC】
2022年6月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  
無料イラスト素材【イラストAC】

おすすめ記事






















ピックアップ記事