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ECONOMIC POLICY

中小企業の低生産性が日本経済の根幹課題:中小企業改革が国運を左右する?(1)

生産性向上のための女性活躍・働き方改革は、大企業押し付けの無責任アベノミクス

今回から
『国運の分岐点 中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか』
(デービッド・アトキンソン氏著・講談社α新書・2019/9/19刊)
を参考にしながら、事業継承問題を考えざるを得ない中小企業に共通の弱みとその策について考えていくことにします。


第一回目の今回は、長引く国内経済の停滞・低成長の根本的な要因が、少子高齢化という明白な現実と表裏一体の低い生産性にあることと、中小企業との関係について、筆者の指摘を簡単に見ておきたいと思います。


アベノミクスで掲げた2%インフレ目標の未達は、諦めからか、もうそれ自体問題視されることもなくなってしまいました。
そのことは、ある意味では、「この20年で、日本経済の成長率が先進国最低水準となっており、生産性向上率も同様になっている」と筆者が指摘するように、元々アベノミクスだけに問題があるわけではないことも意味しています。

少子高齢化による人口減少社会においては、
(一人当たり生産高×人口)から算出される「GDP=国民総生産」は、下がり続けるのが当然、というか、自然なことです。

そこで、その一人あたりの生産高を引き上げるべく、生産性を上げれば何とか成長も達成できる・・・。
単純にそういう議論になりますし、リフレ論者もそう主張します。

(例)『人口と日本経済 長寿、イノベーション、経済成長』
(吉川洋氏著・中公新書・2016/8/25刊)


そこでのキーワードは、「イノベーション」であり、「生産性の向上」です。

しかし、イノベーションが可能な企業は、ごくごく限られています。
また、アベノミクスでは、女性の活用・活躍や働き方改革で生産性を向上させるなどと能天気で無責任なことを言ってきました。

アベノミクスやリフレ派の主張は、ある意味常識的なこと、当然のことと思えるのですが、必ず違和感があります。
それは、こうして打ち出した政策や論点は、概ね日本の大企業をターゲット、前提としていることに原因があります。

ですから、日本の社会経済における構造的特徴である大多数の中小企業や家業レベルでは、非現実的な話であり、単にきれいごとを並べているに過ぎないのです。


多過ぎて、小さ過ぎる日本の中小企業の社会経済構造が生産性向上の壁


日本において、生産性が上がらないのは、根本的に中小企業が多過ぎて、かつその企業規模・事業規模が小さ過ぎることにある、と
『国運の分岐点 中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか』
の冒頭で、筆者は主張します。


低成長から脱却するには、生産性を上げる必要がある。
生産性を上げても、賃金が下がっては、成長サイクルは回らずに、デフレ・スパイラルに陥る。
賃金を上げるには、まず最低賃金の引き上げを法制化し、中小企業にも義務付けるべき。

となります。

これを聞くと、どうしても、昨年、韓国の文大統領による最低賃金の引き上げ政策が、韓国国内の中小企業の反発を招き、人員削減、失業などを引き起こし、経済と社会の混乱を招いたことを思い起こさせてしまいます。

この政策はうまくいかないからだめ!?

この混乱の発生以前から、最低賃金引き上げの必要性を提起しているアトキンソン氏。
最低賃金の引き上げは、従業員が人としての社会生活を送るためのレベルを確保し、一層の賃金の引き上げが、より豊かな生活の実現と勤労意欲の向上、能力の向上にもつながる、そして生産性向上にもつながる、というわけです。

そして、それが実現できない企業は、経営する価値がない企業。
その経営者は、その価値のない経営者。
淘汰され、生産性を高めていくことができる中小企業が生き残ることで、社会経済の構造改革も実現され、デフレからも脱却可能になる。

大雑把に言えば、そういう視点・論点での書です。
私も、これまでのコンサルティング経験から、一部共感・賛同するところもあるため、この書をもう少し紹介し、事業継承がしっかりとできる中小企業への応援と提案をしていくことにします。

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