
業務改善は数値目標化と成果評価で:事業継承可能な経営体質作り(5)
業務改善活動に必要な要素・課題
これまで4回にわたって考えてきた、中小企業の事業継承を可能にする経営体質作りを進めるための業務改善活動と必要な要素・課題。
少し順序が前後しますが、整理して以下にメモしました。
◆ 経営者自身の意識と行動変革
◆ 取り組みチーム・組織作りとリーダー選抜・育成
◆ 業務改善の知識と技術の学習
◆ 改善が必要な課題・問題点の発見・設定と原因・対策検討、改善課題の目標設定
◆ 年度経営計画システム作りと業務改善活動計画・取り組みスケジュールへの組み入れ、活動の日常化
◆ コミュニケーション業務の改善と並行
◆ 成果・結果の評価とねぎらい

目標の数値化と見える化
列記した項目を見ただけでは、もう一つ具体的なイメージがわかない感じがします。
その不足を埋めるために不可欠なのは、数値・数字で、これらの課題の目標を表現し、参加する全員が同じ目線・尺度で理解し、取り組むことです。
課題を発見するためには、問題の発生件数やムダにした時間数、そして金額などの数値データが必要になります。
それらの改善目標も数字で設定します。
そして、その改善活動を進める上で、いつまでに、何に取り組むかという日時や月、期間・期限という数字でのスケジュール化も絶対に必要です。
それらを数表やグラフ、スケジュール表、計画書などにまとめ、活動への参加者がいつでも見ることができるようにして、日常で活用するわけです。
いわゆる「見える化」も一体として行うことになります。
一定の区切りの期間毎に中間結果を集計し、数値化・グラフ化。
それまでの取り組み活動の反省・評価を踏まえて、残りの期間の計画の修正や対策を継続。
最後に結果・成果をまとめ、設定期間の集計と評価、反省と総括を行い、次の期の取り組みへ結びつけます。
その活動のプロセスでの頑張り・努力も記録し、コミュニケーションも都度行っておけば、総括評価もより納得度・満足度が高まり、表彰や報償が行われれば、一層今後のモティベーションの向上も期待できます。

業務改善活動を年度経営計画、年度売上・利益予算の達成への取り組みに発展
業務改善活動を年度経営計画に組み入れるべき。
もし年度経営計画を作っていなかったり、一応作っていても社員・従業員には見せていない場合。
この取り組みは、経営のあり方、マネジメントのあり方を改善・改革することと同じとも言えます。
年度や中長期の経営方針・経営計画や予算管理、売上・利益計画管理などを、経営ビジョン、経
営理念なども用いながら組織的に進めていくことを方針管理といいます。
この方針管理の中の課題に業務改善活動とその目標管理も組み込まれるわけです。
ですから、年度計画・年度予算管理の仕組みや管理に、業務改善活動に参画する社員・従業員も
自動的に参加することに・・・。
そして、その方針管理に関する知識・情報を得て、経営に直接・間接に参画する・・・。
その関与度を深め、一部の権限と責任を負うリーダーや後継候補者を見出し、指名し、育成していくことにつなげていくこともイメージできるかと思います。

事業継承可能な経営体質作りをどう進めるか?
業務改善活動を展開することで、社員・従業員の関心を仕事上の問題点に視点を当て、職場のコミュニケーション・意思疎通を図り、成果を上げつつ、経営そのものへの関心も持ち、主体的・自主的に関わっていく仕組みや組織風土を作り上げていく・・・。
その活動のリーダーを選抜したり、後継候補者を育成していくことも目標とする。
そしてもちろん、その成果を上げていくことで、組織体制や業務システムを整備・強化し、コストを削減し、利益を生み出し、生産性や効率を向上させる働き方・仕事の仕方を開発していく
・・・。
人材育成や能力開発、意欲の向上など、業務改善活動は、多様な目的を持ちつつ、多様多面に大きな成果をもたらすことになります。
息の長い取り組みを着実に継続することで、事業継承を確かなものにしていきたいものです。

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