出生率1.36、出生数90万人割れ、総人口減少率最大:少子化社会対策大綱は効き目なし

現役世代ライフ


5月29日に閣議決定した、5年に一度見直される「少子化社会対策大綱」。
少子化問題も、社会問題として最も重要な課題としている当サイト。

先月、
母子家庭の貧困、子育て世帯の不安、結婚し子どもを持ちたい人たち、すべてに機能するベーシック・インカム制の議論・検討を
と題した記事の中で、5年毎に制定される「少子化社会対策大綱」の前回2015年設定版を掲載し、簡単に感想を述べた。

その時点で、マスコミでは、5月下旬に閣議決定されるとした同大綱について概略報じていたのだが、内閣府HPには未掲載。
国民に公開する前に、マスコミにリークすること自体、おかしなことなのだが、マスコミ自身が、自分が情報を特権的に入手し報道することを当たり前に思っている。
その神経もおかしいのだ。
例のズブズブの関係に似ているものだ。
まあ、それは良しとして、今回の「少子化社会対策大綱」

皮肉なことに、それに先立って、少子化が相変わらず進行し、人口減少問題と相乗的に負の効果を持続させてきていることを、総務省発表の人口推計が強く示した。

2019年総人口減少率が、過去最大0.22%

総務省による、2019年10月1日時点の人口推計発表。

外国人を含む総人口は9年連続前年割れの前年比27万6千人減少で、1億2616万7千人。
結果、総人口減少率は0.22%で、統計開始1950年以来最大の減少率という。


65歳以上高齢者人口は、3588万人5千人で全体の28.4%:比重を増す外国人労働力


15~64歳の「生産年齢人口」は7507万2千人。
総人口に占める割合は前年比0.2%減り、過去最低を更新。
65歳以上の高齢者は3588万5千人で、前年比0.3%増の28.4%で過去最高。

これは、外国人を含む総人口数の内容であり、日本人のみを見ると、生産年齢人口は57万人減の7300万人、高齢者は30万人増の3573万人だった。

総人口減少の多少の歯止めになっている外国人数は、入国者数から出国者数を引いて、7年連続増加の20万9千人増。
合計243万6千人となり、過去最多を更新している。
人口減少・労働力人口減少が進む日本の救い手として比重を高めてきているが、今年度は、コロナ禍の影響を大きく受けることが懸念されている。



出生数90万人割れ、人口自然減は約49万人

昨年度の出生児数は86万5234人で、18年対比4万8千人の減少減。死亡者数は138万1千人で1万2千人増で、こちらは戦後最多を更新した。

従い、総人口の自然増減は、出生児数が死亡者数を48万5千人下回り、13年連続減少になっている。

死亡者数から出生数を引いた自然減は51万5864人と過去最大になった。

その結果は、

2019年の出生率1.36、4年連続低下

1人の女性が生涯に産む子どもの数にあたる合計特殊出生率は1.36となり、前年比0.06ポイント低下。
4年連続で低下を続けており、07年以来12年ぶりの低水準を招いていることになる。

これは、図らずも、2004年、2010年、2015年と第3次までを数えている「少子化社会対策大綱」。
2005年に1.26まで下げた後、2015年に1.45まで上昇した。
だが、翌16年以降は低下に転じ、昨年度まで続いているわけだ。

2015年度までの上昇も、少子化対策が実を結んだわけではなく、人口動態上予測されたとおり、団塊ジュニア世代が出産適齢期入りしたことによるものとされている。


そして、今回の第4次大綱の閣議決定である。
その概要を、公開されている図表で見てみよう。


2020年第4次少子化社会対策大綱(概要)


期待してはいないが、あいも変わらず総花的なフルコースメニューだ。
裏切られ観ももちろんないが、カネも時間も、人も投じてのこのレベルには呆れ返ってしまう。

内閣府ホームページに、今回の閣議決定された当大綱の資料のリンクが以下のように貼ってある。

  1. 「少子化社会対策大綱」(概要)(PDF形式:392KB)
  2. 「少子化社会対策大綱」
    • 本文(PDF形式:424KB)
    • 別添1 施策の具体的内容(PDF形式:677KB)
    • 別添2 施策に関する数値目標(PDF形式:144KB)

(興味関心があれば、確認頂ければと思います。)

そのボリュームはかなりのもので、読み応えはあるが、これまで、いろいろ問題となり、取り組まれてきたことがほとんど。

施設数や児童数など、一応数値目標項目が多数設定されてはいるが、それらがどの程度出生率の改善に結びつくのか、まったく無関係・無頓着。
要するに、こういうことにお金をかける、ということのメモ代わりみたいなものだ。

一応政府が目標とするのは、「希望出生率1.8」の実現。
第四次までくれば、15年はこの課題に取り組んでいるわけで、どういう金を使えば有効か、あるいは役に立たないか多少は分かっているはず。
いわゆる検証をすべきなのだが、政府も官僚も、検証という仕事の意味や方法、そしてその責任についてはご存知ないのだ。


出生率低下に持つべき危機感とは?

ある日刊紙に、先日「出生率低下に危機感もっと」と題した社説が載った。
そこでは、年間5兆円投じている少子化対策だが、実効が上がっていないことから、この大綱に盛り込まれ、これまで取り組まれた目立つ課題項目を取り上げて、危機感をもって取り組むべきと述べているだけだ。

毎度のことで、その程度の主張なら、だれでもできる。
経済紙でもあるのだから、危機感をヒシヒシと感じさせる内容の独自の、決定版少子化対策を提案しても良さそうに思うのだが、それは自分たちの役割ではないと認識しているのだろう。
ジャーナリズムとは、そうした記録、ジャーナルを残しておくことが仕事という認識か。

まあ、他人事は他人事。

当サイトは、そのことを自覚しつつも、改革・変革にこだわりたい。
ルーティン化した政府と関係官庁の「少子化社会対策」に抗して、真剣に、継続してこの課題に取り組むことを誓いたい。

次回から、社会問題としての少子化問題をテーマに、他の関連課題ととも連繋して、第4次「少子化社会対策大綱」批判と改革提案に取り掛かります。


写真素材無料【写真AC】

関連記事

特集記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  
TOP