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BI法私案:前文・本文

ベーシックインカム「生活基礎年金法(略称)」私案:前文その1-本法制定の背景(1)

「日本国民の基本的人権に基づく生活保障のための生活基礎年金給付に関する法律」(別称「ベーシックインカム法」)私案シリーズ-1

本法「日本国民の基本的人権に基づく生活保障のための生活基礎年金給付に関する法律」(別称「ベーシックインカム法」)の制定・施行を前提とした時、そこに至る社会経済的要因・状況などさまざまな背景・経緯などを整理し、この法律の意義・合理性・重要性を理解するために、前文を以下に記します。


憲法に規定する最低限度の生活を営む権利

日本国憲法第11条に定める「基本的人権」、第13条の「幸福追求権」、および第14条の「法の下の平等」に準じて、同第25条で、
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
二、国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

と規定しています。

これらの条文に基づき、種々の社会保障及び社会福祉に関する制度・法律が制定され、運用されていますが、その多くにさまざまな現状の社会や社会経済にそぐわない課題が存在することを共通認識とすべきと考えています。

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生活保護制度の運用と実態


憲法第25条に規定する「最低限度の生活を営む権利」を保障する社会福祉制度の一つに、「生活保護制度」があります。
しかし、この生活保護制度の運用について、受給要件を満たす人の多くが、受給申請手続きを行わず、実質的に生活保護受給世帯よりも困窮した生活を送っていることが問題になっています。
いわゆる捕捉率の低い理由として、受給要件の審査段階における手続きの複雑さ、審査基準や担当官の公平性を欠く恣意性・態度などが挙げられており、法の下の平等性を欠く運用が行われている現状があります。
また、その審査・給付などには、行政上相当の費用が支出されていることもあります。
その行政改革も含めて、生活保護法に替わる、最低限度の生活を営むための社会保障制度を新たに導入することも視野に入れる必要性もあります。


少子化社会の要因としての結婚・出産・育児等に対する経済的不安


2019年の合計特殊出生率が1.36を記録し、年間の出生数は87万人割れし、人口減少数も50万人超と、11年連続で減少を続けています。
この少子高齢化と人口減少が継続して進む日本社会において、何らかの有効な手立てを打つことが不可欠な状況にあります。

特に、非婚化及び未婚率の向上、晩婚化による出産数の減少、平均理想子供数と平均予定子供数、そして完結出生児数の差など、少子化の直接的な要因の背景には、その営みのために必要な収入・賃金など、経済的な不安があることが指摘・認識されています。

これも、最低限度の生活を営む権利を行使するための経済的条件が満たされない状況が、社会に大きく広がっているためと言えます。


非正規労働者の増加と雇用及び経済的不安の拡大

長く実質的な経済成長の減速・停滞が続く中、企業は、経営リスクの抑制・回避のため、非正規雇用者の比率を高め続けてきています。
雇用の安定が、経済成長の維持・実現に寄与することから政府も非正規雇用者の正規雇用への転換を進める施策等に取り組んできていますが、経営環境と将来予測から、企業の取り組みは大きくは改善されていません。

そのため、非正規雇用で働く人の多くは、低賃金や長時間勤務など、自身が望む働き方とは異なる厳しい労働条件・環境で働くことを余儀なくされています。
それは、現在と将来に対する生活への不安を増幅させるものです。
単身者の非正規労働者はもちろん、夫婦共働き世帯において、一方または双方が非正規雇用に甘んじている場合も同様です。

こうした社会経済構造は、婚姻率の低下、少子化、育児や介護と仕事の両立などの困難化など、さまざまな負の影響をもたらすため、対策が必要とされていますが、一朝一夕で行われるものではなく、対症療法的な方法以外の抜本的な対策も検討されるべきでしょう。



母子世帯・父子世帯の困窮支援の必要性


先述した、生活保護受給要件を満たすけれど申請せず、困窮した生活を送っている母子世帯・父子世帯への支援も、現状十分に行われているとは言えない状況です。
これらの世帯では、先に述べた非正規職として働かざるを得ない親も多く、当然育児と仕事の両立が困難で、現状と将来への不安を解消する目処・当てがないままの不安な生活を送っている例が非常に多く報告されています。

子どもの数や成長段階に応じた多様かつ柔軟な支援とともに、基本的には経済的な不安を取り除く施策が求められています。


保育職・介護職等社会保障的職業の労働条件等を原因とする慢性的人材不足

また、潜在的保育士や潜在的介護士が数多くいるにも拘らず、慢性的に人材不足となっている、保育や介護の現場があります。
どの職業も、厳しい労働条件・労働環境での職務を余儀なくされ、離職率も高く、有効求人倍率も高いまま推移しています。
他産業・他職種との賃金格差もなかなか縮まらず、国がその一部を補助金として支出していても変化はありません。

こうした社会保障的分野の職務・職業は、本質的に高い労働生産性を求めることは難しく、法律上規定された適正要員数の配置の必要もあり、事業者にその責任を負わせることには無理があります。

これらの公的な仕事に就く人たちの賃金は、公務員レベルに満たず、企業努力、本人の自助努力に依存することには矛盾があり、従来とは異なる公的支援を必要とする状況にあります。


子どもの貧困と幸福度を巡る評価と課題

少子化対策とも重なり合う課題として、子どもの生活における貧困や格差、そこに起因する低い幸福度などの問題があります。
親の収入や雇用における不安定や不安、貧困・格差は、自ずと子どもの生活にも反映されます。
その結果、子どもが将来への希望や夢を持つことや、保育や教育を通常通り受ける機会を失うことに繋がり、成人後の生き方・働き方にも負の影響を及ぼすことになります。

わが国の子どもにかける費用のGDP比率や、子どもが感じる幸福度、将来への希望や夢を持つ子どもの比率などにおいて、対外比でいずれも低い評価を受けている現状を無視するわけにはいきません。

保育の無償化が実現しましたが、基本的には、親の心身両面での安心と家族の将来に希望を持つことができる諸施策の拡充がわが国に課せられた重要な課題と考えます。
既存の児童手当では、その不安を解消するには程遠い状況も考慮し、子どものための社会保障制度の拡充が求められています。
その施策が、社会に好循環をもたらすことは間違いないでしょう。


国民年金受給高齢者の生活基盤の不安・脆弱性

老後の生活必要資金2000万円問題で再確認された、高齢者の老後の生活不安。
現在の国民年金による老齢基礎年金だけでは、安心して日常生活を送ることができない多くの高齢者がいます。
一方、この年金制度は、介護保険制度や医療保険制度と共に、現役世代の負担への不満と将来への不安として、世代間の問題として取り上げられています。

給付サービスを受ける高齢者の自己負担率・負担額の引き上げだけでは、その解消・解決には程遠いことも明らかです。
世代間の不公平感を解消し、高齢者世代も現役世代も、これに続く次世代も、すべてが、将来への不安と自己負担の引き上げリスクも回避できる、社会保障制度全体の改革による施策を検討する状況にあると認識すべきでしょう。

高等教育を受ける世代の教育費負担を軽減し、学究に専念し、社会的成果・貢献を期待へ


高校・専門学校・大学・大学院と、専門分野の知識・技術・能力の研鑽・開発に励む世代の多くが、入学金・授業料・専門図書代など教育費負担に悩んでいます。
親の経済的要因から、進学を希望していても進学できない若者や、学費と生活費を賄うために、収入を得るために多くの時間を労働に費やすことが主になっている若者が多く存在します。
仮に奨学金を得てこの時期を乗り切ったとしても、卒業後の奨学金返済が、その後の就労状況等により、著しく困難な生活をやむなく強いられている人も多くいます。

こうした向学心と卒業後の自己実現・社会貢献への強い意志を持つすべての次世代に、教育格差、教育を受ける不平等対策としても、奨学金に替わって、返済無用の学資・生活費の一部を支給できれば、本人の将来への寄与はもちろん、その社会的成果・対価をも大きく期待できるでしょう。



(以上、2020/9/6第1稿)
(2020/9/11 第2稿:高等教育に関する項、追記)

<前文その1 本法制定の背景(1)>はここまでとし、次回<前文その1 本法制定の背景(2)>に続きます。

<参考>:「日本国民の基本的人権に基づく生活保障のための生活基礎年金給付に関する法律」私案の構成

前文
 前文その1 本法制定の背景

 前文その2 本法の構成
第1章 総則
 
第1条 目的
 第2条 定義
 第3条 方針
 第4条 対象者 
 第5条 所管 
第2章 給付金の管理方式
 
第6条 給付金管理所管
 第7条 給付金形態 
 第8条 受給口座
 第9条 特例管理方式
第3章 給付金の給付・利用方式
 
第10条 基礎年金の種別
 第11条 生活基礎年金の給付方法
 第12条 児童基礎年金の給付方法
 第13条 生活基礎年金の利用方法
 第14条 児童基礎年金の利用方法
 第15条 利用先登録 
 第16条 利用先の給付金の取り扱い
 第17条 利用有効期間
 第18条 権利資格喪失時の取り扱い
 第19条 利用禁止事項
第4章 給付金の財政管理方式
 
第20条 給付金の基礎財源
 第21条 給付金の二次的財源
 第22条 給付金の予備的財源
 第23条 給付金の回収及び消却
 第24条 給付金特別会計
第5章 社会保障制度体系との関係
 
第25条 総合的社会保障制度と本法の位置付け
 第26条 厚生年金保険制度との関係 
 第27条 雇用保険制度との関係
 第28条 健康保険制度との関係
 第29条 社会福祉制度との関係
 第30条 その他の社会保障制度との関係
第6章 その他
 
第31条 罰則
 第32条 特例規定
 第33条 本法関連法令
 第34条 本法規定外関連事項の取り扱い
付則
 
1. 本法施行日
 2. 本法施行計画及び日程
 以降、順次必要事項付加

(2020年9月6日:第1次案)


<参考>:当サイトにおけるこれまでのベーシックインカム私論集

2050 SOCIETY ベーシック・インカム論ラインアップ

◆ 憲法で規定された生存権と「社会保障」:全世代を対象とする社会保障システム改革-1(2020/3/7)
◆ ○○手当は○○年金!?:全世代が年金受給機会を持つ社会保障システム改革-2(2020/3/8)
◆ 所得者全員が年金保険料を!:国民年金の厚生年金統合による社会保障システム改革-3(2020//3/9)
◆ ベーシック・インカム制の導入を!(2020/4/19)
◆ ベーシック・インカム生活基礎年金の年間総額、216兆円(2020/4/20)
◆ 社会保障保険制度試論(2020/4/21)
◆ ベーシック・インカム生活基礎年金はポイント制で(2020/4/29)
◆ ベーシック・インカム「生活基礎年金制度」続考(2020/4/30)
◆ ヘリコプターマネーではなく、ファンダメンタルマネー:全国民受給のベーシック・インカム制へ(2020/5/8)
◆ 母子家庭の貧困、子育て世帯の不安、結婚し子どもを持ちたい人たち、すべてに機能するベーシック・インカム制の議論・検討を(2020/5/20)
◆ ベーシック・インカムとは-1:歴史から学ぶベーシック・インカム(2020/6/2)
全国民が持つ、近未来のマイナンバーカード:ベーシック・インカムカードとして(2020/6/5)
◆ ベーシック・インカムとは-2:リフレ派原田泰・前日銀政策委員会審議員から学ぶベーシック・インカム(2020/6/6)
◆ ベーシック・インカムとは-3:AIによる脱労働社会論から学ぶベーシック・インカム(2020/6/15)
ベーシック・インカム制度私案メモ:ベーシック・インカムの目的・定義ほか(2020/6/22)

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<BI導入シアン>シリーズ

1.所得がある個人を別人格とみなす社会経済システム(2020/6/27)
2.現状の年金生活者もベーシック・インカム受給者のようなもの(2020/6/29)
3.中国がベーシック・インカム制を導入したら(2020/6/30)
4.公務員の給料の一部は、ベーシック・インカム性を持つ(2020/7/1)
5.働く人の格差是正と安心を目的としたベーシック・インカム(2020/7/2)
6.不測の事態に備え、機能するベーシック・インカム(2020/7/3)
7.夢のある人、夢の実現をめざす人のためのベーシック・インカム(2020/7/4)
8.高額納税者も当然の権利として受け取るベーシック・インカム(2020/7/5)
9.ベーシック・インカム制導入で国民年金制度は廃止へ(2020/7/14)
10.所得税を主財源とするベーシック・インカム制で所得税法改正へ(2020/7/15)
11.週刊エコノミスト「ベーシック・インカム入門」で終わらせないために(2020/7/16)
12.ベーシック・インカム制と同時に改革・導入する社会保障保険制度(2020/7/17)
13.ベーシック・インカム制導入に伴う厚生年金保険制度改革(2020/7/19)
14.ベーシックインカムは独自の電子通貨で支給・管理を(2020/7/20)
15.ベーシックインカムとは最低所得保障か(2020/8/3)
16.ベーシックインカムの適正額はいくらか(2020/8/4)
17.ベーシックインカム制は、大家族化・多子家族化を招くか(2020/8/5)
18.ベーシックインカム導入で予想される社会構造の変化(2020/8/6)
19.日本在住移民・外国人へのベーシックインカムをどうするか(2020/8/7)
20.ベーシックインカム導入で行なうべき雇用保険改革(2020/8/19)
21.MMT論から考えるベーシックインカム制(2020/8/20)
22.同床異夢のベーシックインカム論から共通性を見出す(2020/8/29)
23.社会保障制度の根幹として、日本独自のベーシックインカム制構築へ(2020/8/30)

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