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介護職の皆さんに関心を持って頂きたい日本型ベーシックインカム


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と、今月から始めた<再考察シリーズ>も既に16回を数えました。

そろそろ第2次案のまとめ作業に入らねばと思っているのですが、ちょっと別ルートも設定して、<日本型ベーシックインカムに関心を持って頂きたい方>シリーズを始めることにしました。
読んでその通りの目的を持つもので、第1回目は、介護職の方々へのご案内です。


<日本型ベーシックインカムに関心を持って頂きたい方>シリーズ-1



日本型ベーシックインカム生活基礎年金の導入を提案する背景・理由の一つに、介護士や保育士など社会保障・社会福祉領域の仕事に従事する方々の賃金が、構造的に、低賃金に抑えられており、現状や将来に対する生活において経済的不安を感じている人が多いことがあります。
その方々に、安心してその仕事に打ち込んで頂くための一つの手段として、ベーシックインカムの給付が有効と考えるためです。


コロナで一層厳しさを増す介護職の労働環境と人材不足


超高齢化社会が加速する日本の現状における介護職人材不足は、一向に解消する気配がありません。
新型コロナウイルス禍が長期化するなか、老人介護施設でのクラスター発生、感染防止対策、面会禁止など、介護職員の方々が緊張を強いられる日々も長期化。
一方で、小規模事業所が、事業継続が困難になり、廃業や職員の解雇などに追い込まれるなど、雇用と生活が脅かされる方々も多く発生しています。

そこで、そうした介護職員を巡る根本的な課題を、以下、いくつかの視点で確認したいと思います。

なお、今回は、平成31年3月公表の厚生労働省による<介護分野の現状等について>、及び、公益財団法人 介護労働安定センターによる<令和元年度 介護労働実態調査>のなかの[図表解説 介護労働の現状について]の資料を引用します。

※調査対象事業所 17,261 事業所、有効回答数 9,126 事業所、労働者調査回答数 21,585 人


現在の介護職員数

まず、現在の介護業務に従事している介護職員数ですが、ほぼ190万人ほどとみてよいと思います。
近年、人材不足を少しでも補うために、非正規雇用の職員が増えてきていることが特徴の一つです。


また、上の表では明確に読み取ることができないかもしれませんが、介護現場の職員の年齢が上がってきており、5~10年後には、高齢の介護職員に多くを担って頂かなければならない状況が想定されます。

労働人口の減少による高齢者に対する就労要請の圧力が高まる背景もありますが、何より人口が少なくなる若い世代の介護業界への参加も減少し、限定的になるでしょうから。
当然、介護業界の労働条件・労働環境の厳しさもその傾向に輪をかけます。
そこで、次に介護職員の方々の賃金実態を、同調査で見ていきます。


介護職賃金の実態

厳しい労働条件の最たるものは、賃金レベルの低さです。
以下が、介護労働安定センターが調べた介護職の職種別の賃金データです。
通勤費・役職手当を含み、所定外手当は含まない種々の控除前の額面の額です。
月給・正規の職員で「ボーナスあり」と答えた事業所は76.6%。ボーナスの平均額は年間59万9506円で、トータル年収平均は、341万2774円となっています。


 

しかし、平均を引き上げているのは、職種としては賃金レベルが高い看護職が含まれているからで、実質的な介護職員だけのデータでは、平均値は、賃金・賞与・年収合計共に、これよりもかなり低くなります。

中でも、一般の介護職やホームヘルパーの賃金の低さが気になります。
一昨年あたりから、政府から賃金の底上げのための補助金が事業所に支給されていますが、個々の職員への配付については事業所に任されており、フルに支給されている証拠はありません。

これは、正規職員のデータですから増加する非正規職員は、ほとんど時間給で、以下に見るように厳しい金額です。

以下のように、職員の処遇改善加算も行われましたが、大きく改善されるまでは当然至っていません。
特に基本給に反映されていないことが問題であり、事業者の意識の低さも表れています。



このところ若干の賃金の底上げはありますが、微々たるものであることと、人材不足からの長時間勤務や入所型施設における夜勤・交替勤務、介護労働自体の厳しさなどを考えると、仕事に見合った賃金レベルには大きく不足するという実感は十分理解できます。

まして、非正規職員は、介護資格を持たなくても働けるということで雇用されていてるため時間給も低く、事業所サイドの都合でのシフトが優先されることもあり、より厳しいと思われます。


介護職人材不足の現状と必要人材数の見通し


労働市場における介護職求人の厳しさは、有効求人倍率に示されています。
求める介護職有効求人数が、介護職を実際に求職する有効求職者数に対して何倍か。
この数値が、常に全職種平均の2倍以上となっており、その差は開く一方です。

特に、介護職の中で、訪問介護員の不足が著しいのですが、これは当然のことと思います。
というか、私は、訪問介護自体、可能な限り介護制度からなくし、比較的介護職員を確保しやすい入所型に切り替えるべきと考えています。
効率も悪く、仕事も他の介護職よりも厳しい訪問介護が、他の介護よりも介護費用の自己負担率が高く、事業所の収益、訪問介護員の賃金も高ければ良いのですが、現状の制度ではまったく配慮されていません。
介護制度設計自体の誤りです。


こうした厳しい実情は、安易に参入してきた事業所には一部責任はありますが、一般的には事業所の責任というよりも、介護保険制度そのものの抱える根本的な要因によるものです。
介護保険制度により、介護業務に支払われる報酬が決められており、その額自体が低いため、事業所の経営を考えると、いかに人材不足とは言っても、賃金を上げることができないのが実情です。



離職率が他の職種に比べ高い理由は、介護の現場の仕事と職場に問題が生じやすい事情があり、賃金面だけではないことは、上のアンケート結果で分かります。しかし、他の原因には、賃金が高ければ何かしら解決可能なものもあるのではと思われます。



ところで、今年の介護職員不足予測数は、約26万人と上図では示されていますが、現状はもっと厳しいのではと思われます。
また、増え続ける要介護者数の予測からは、2025年における介護職員の不足数は、なんと約55万人とされています。
果たして、それだけの人数を確保できるか。
この2025年には、団塊の世代全員が、後期高齢者になっている年です。
その年までに、介護職員の賃金が、他産業並みに上がっていることは、よほどのことがない限り、期待も予想もできないでしょう。


厚労省による人材確保対策と改善の可能性

先述の厚生労働省による<介護分野の現状等について>では、以下を人材確保対策として上げています。

既に実施済みの項目もありますが、それを含めて、まったくと言ってよいほど、成果を期待できない、イメージできない内容の羅列であり、本気で取り組む意志も方法も持っていません。
少子化対策と同じです。

これまで、当サイトでは、個別の問題としては、
◆ 介護IT化による介護現場の生産性向上への疑わしい貢献度(2020/9/18)
エセンシャルワーカー介護職、コロナ禍でも変わらぬ人材不足(2020/9/19)
などで、厚労省の無策ぶりを指摘しました。

実は、現状の介護行政システムを根幹から改革しなければ、介護職員の労働条件・労働環境を変えることは不可能です。

その指摘は、以下でも行なってきました。
◆ 自立・人権・尊厳、労働生産性:介護行政システム改革の視点-1(2020/5/25)
◆ 介護士不足、介護離職、重い家族負担、中小介護事業倒産:介護行政システム改革の視点-2(2020/5/14)
介護の本質を冷静に考え、世代継承可能な制度改革へ:介護行政システム改革の視点-3(2020/5/27)


ですが、厚労省も、厚労大臣も、内閣も、他の国会議員も、官僚も、だれもそこまで踏み込んで、現在と将来の介護制度の望ましい在り方への問題意識と改革への努力を傾ける人はいません。
実は、介護制度改革は、社会保障制度全体を見直し、新しい仕組み・制度を構築することと一体ですから、なおさらのことです。


ベーシックインカムのみが、経済的側面からの仕事不安・生活不安を解消できる

厚労省には、介護保険制度、介護制度を抜本的に見直す意志・意欲など現状皆無と言ってよいでしょう。
ならば、まったく別の観点から考え、手を打つしかない。

それが、日本型ベーシックインカム生活基礎年金の、全国民への毎月15万円の無条件支給です。

介護職員だけに支給する制度ではなく、全国民が対象ですから、反対理由はないはずです。
増加すると思われる介護職員200万人はもちろん、同様に賃金など労働条件・労働環境に関する問題が指摘されている約57万人の保育職員にも当然支給されます。
他にも多様な経済的な不安を抱える多くの人々がいます。
そうした市民・国民すべてをカバーする日本型ベーシックインカムについての、必要かつ適切な内容と実現の方法等を知って頂くための努力を継続させ、広げていきたいと思っています。

賛同頂ける方、関心を持って頂ける方々のこちらへのご参加を期待しています。
なお、日本型ベーシックインカム導入は、社会保障制度全体改革・再構築と一体のものであることも、一応、心に留めておいて頂ければと思います。

ベーシックインカムの定義再考察:JBIとは(Japanese Basic Income)

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