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子どもを持たない理由、子どもを持てない理由:少子化社会対策白書から

「少子化社会対策」一連の流れと本稿(再掲)

これまで「少子化社会対策大綱」批判をシリーズ化(最下段掲載)した後、7月31日に閣議決定をみた「少子化社会対策白書」を参考に、以下投稿した。
◆ 「令和2年少子化社会対策白書」と86万ショックと出生率1.36の現実(2020/8/17)
◆ 少子化社会対策と少子化担当相を糾弾する(2020/8/18)

「少子化社会対策白書」の<第1部少子化対策の現状><第1章少子化をめぐる現状>は、以下の構成になっている。

1 総人口と人口構造の推移(PDF形式:278KB)
2 出生数、出生率の推移(PDF形式:389KB)
3 婚姻・出産の状況(PDF形式:407KB)
4 結婚をめぐる意識等(PDF形式:420KB)
5 出産・子育てをめぐる意識等(PDF形式:507KB)


前回は、この中の<4.結婚をめぐる意識等>を参考にして以下を取り上げた。◆ 結婚しない理由、結婚できない理由:少子化社会対策白書から

今回は、<5.出産・子育てをめぐる意識等>を参考に、出産、子どもを持つ・持たないという意識について考えたい。

平均理想子供数、平均予定子供数、完結出生児数:欲しい子どもの数と実際に持つ子どもの数:

初めに、実際の夫婦が考える、理想的な子どもの数(平均理想子供数)の推移。
年々低下傾向にあり、最も最近の調査である2015年は、2.32人で、過去最低だった。
次に、夫婦が実際に持つつもりの子供の数(平均予定子供数)。
これも、2015年が、2.01人で、過去最低になっている。

では、現実として、実際に子どもを何人持ったところで、それ以上の出産をやめているか。
結婚持続期間が 15~19年の初婚同士の夫婦の平均出生子供数=完結出生児数の年次ごとの以下のグラフがある。
1970年代から 2002年まで 2.2人前後で推移していたが、2005年以降減少傾向になり、2015年には 1.94と、やはり過去最低となっていた。


2005年以降は、予定していたようにはしない、あるいは、できなくなる傾向があると読み取ることができそうだ。
二子、三子目の子どもを持つことを諦めるか、やめてしまう夫婦、あるいは考えていた子どもを持ったのでそこで終えるかだ。

前の二つの理由を類推できそうな調査結果が以下だ。

理想の子供数を持たない、持てない理由


「妻の年齢別にみた、理想の子供数を持たない理由」というテーマで、以下の調査データがある。

予定子供数が理想子供数を下回る夫婦の、理想の子供数を持たない理由、についてだ。
「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」(56.3%)が 最多で、30~34歳で8割を超える。
次に、「高年齢で生むのはいやだから」(39.8%)、「欲しいけれどもできないから」(23.5%)が多い。
当然だが、年代が高くなるほど割合が高くなり、40~49歳ではそれぞれ、約5割、約3割を示す。

持たない理由であり、持てない理由でもある。

この結果を見れば、結婚年齢、あるいは、初産年齢が若い方が、理想や希望の出産・子育ての実現に望ましいことは分かる。
この内容を、多くの女性が知り、見てくれると良いのだが、果たして、どこまで伝わっているだろうか。
政治・行政の努力が必要と思ったりもする。

お金がかかり過ぎるので、子どもが持てない、つくれない


もちろん、「子育てや教育にお金がかかりすぎる」という理由には、まさに真摯に耳を傾け、実効性のある対策を、急ぎ講じるべきなのは言うまでもない。
だが、この、カネがかかる部分が、常に財源問題・財政問題を盾にして、先送り、というよりも無視され続けているのである。

問題は明確で、経済的理由、そこに帰結するのだ。
経済的理由は、児童手当という現在の給付額の多寡だけの問題ではない。
非正規雇用比率の高さや、育児・介護職の低賃金、母子家庭の所得の低さなど、多様な実態が関係している。

そういう実態があるにも拘らず、非正規で働く妻が、出産・育児離職せざるを得ない現実がある。
そしてそれが一層の経済的な問題を大きくし、一層育児のみならず生計そのものを苦しくすることになるのだ。
その実態が、以下で示されている。


女性の出産・育児と仕事との両立の難しさ


「第1子出生年別にみた、第1子出産前後の妻の就業変化」という以下のデータがある。

女性の出産前後の就業をめぐる状況が見て取れる。

第1子を出産した既婚女性で、第1子の出産前に就業していた女性のうち、出産後に就業を継続した女性の割合だ。
従来4割前後で推移してきたものが、2010年から 2014年に第1子を出産した既婚女性では、53.1%へと大幅に上昇した。
また、同条件で、育児休業を利用して就業を継続した割合も上昇し、39.2%に。

ここでは、女性が、従来よりも仕事をやめずに、出産・育児に携わることができる環境・条件が広がりつつある状況が分かる。
但し、大企業などが中心であり、どの企業も同じ、というわけではないことに注意が必要だ。
次の項目の中に、示されている。

一方、「末子妊娠判明当時の仕事を辞めた理由」に関するデータがある。



こちらの方は、仕事をやめざるを得なかった女性に関する実態の一端が示されている。
仕事と育児の両立の難しさが表れている。

「正規の職員」と「パート・派遣」に分けて就業継続の割合をみると、「正規の職員」69.1%に対し、「パート・派遣」は 25.2%と、かなりの違いがある。
当然、非正規職員が離職する場合が多い。(国立社会保障・人口問題研究所「第 15回出生動向基本調査(夫婦調査)」(2015年))。

また、末子の妊娠判明当時に仕事を辞めた理由は、正社員では、「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさで辞めた」(30.2%)が最も多い。
非正社員では、「家事・育児により時間を割くために辞めた」(29.7%)が特に多い。

「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさで辞めた」の理由は、正社員では、「育児と両立できる働き方ができなさそうだった」(57.7%)が最多。
次に、「勤務時間があいそうもなかった」(46.2%)、「職場に両立を支援する雰囲気がなかった」(38.5%)が続く。
非正社員では、「会社に産前・産後休業や育児休業の制度がなかった」(44.4%)、「育児と両立できる働き方ができなさそうだったの(33.3%)、「勤務時間があいそうもなかった」(25.9%)が多い。

仕事をやめれば、収入が減り、生計を維持することが一層困難になる。
それでも、仕事との両立が難しくてやめざるを得ない。
社会経済の仕組みが間違っているというべきだろう。
その責任を、育児支援制度を企業が整備拡充すべきと、一方的に責任転嫁するのもどうかと思う。

社会保障制度としての出産・育児支援制度は、基本的には政治・行政システムの中で整備・提供すべきものだ。
その認識と責任感を持たなければ、この問題は決して改善・解決できないと思う。


子育て世代の男性の家事・育児・役割意識

そういう次元での議論を繰り返していると、どうしても、男性の仕事のあり方が改善すべきターゲットになるのが常だ。

確かに長時間労働や休日・休暇の少なさが、もろに男性が家事・育児時間を取らない、持てない理由に真っ先に上がる。

もちろんそうだろうが、そこにすべての男性が逃げているわけではないし、長時間労働、休日休暇が増えれば、単純に男性が家事・育児に積極的に加わる、というものでもないだろう。
一つの望ましい条件になりうる、というレベルの改善策だ。

以下のデータがある。
夫が休日の場合の、夫の家事・育児時間と第二子以降の出生に関する調査だ。

休日に夫が家事・育児に協力的であればあるほど、二人目の子どもをもうける確率が上がる、ということを示している。
これが、休日でないときはどうなのか、というデータも添えられていればより良いのだが。
多分、憶測に過ぎないが、休日に大いに家事・育児に協力する夫は、仕事のある日でもそれなりに協力的なのではないか、ということだ。

そのことよりも、休日に非協力な夫とその妻の組み合わせでは、多子化はあまり望めないということだろう。
あるいは、そうわかっていれば、多子化を望んではいけないということかもしれない。

それは、ある意味、結婚の意味・目的を夫婦で事前・事後に話し合い、理解・了解しあっていないことの現れとしてのことのような気がする。
結婚観・家族観、そして人生観。
大切なことだが、結婚前でも結婚後でも、夫婦で話し合う機会があるべきではないだろうか。

もう一つ、<6歳未満の子供を持つ夫婦の家事・育児関連時間(1日当たり・国際比較)>というデータがある。



2016年における我が国の6歳未満の子供を持つ夫の家事・育児関連時間は1日当たり 83分。
前回調査よりも16分増えてはいるが、先進国中最低水準だ。

欧米諸国と日本との比較が目的で、例によって、日本の悲惨な?実態が示されている。
ただ、夫の家事・育児時間が、妻に比べ絶対的に短いのは、日本に限ったことではなく、どの国にも共通であることは、知っておいてよいだろう。
別にそれでいい、ということでは当然ないが、一つの自然な状況であり、夫婦がその状態で満足・納得できていればいいのではないか、ということだ。

こうした状態にあることについて、夫婦の満足度・不満度も合わせて調べてデータ化してあるといいのだが、と思う部分もある、正直な所。
それに、欧米の男性の労働時間と日本人との比較も必要だろう。

しかし、こうした類のデータを見ると、データの大切さは否定しないが、平均データがすべてを言い表しているのかという点で、いつも疑問を感じてしまう。
一人ひとり、一世帯一世帯の現実的な姿が、そこから見てとれるのか、と。
夫婦の仕事・就労事情、所得事情などの情報は、そこには盛り込まれていないこともある。

それらの事情・情報を排除したデータ分析は、平均ではなくて、一面的で偏りがあるかもしれないのだ。

データ分析の基本となる要素の区分と組み合わせが適切になされているべきということをここでは確認しておくに留めたい。


子ども・家族を持つことができない経済的理由と性別役割分業

前回の
結婚しない理由、結婚できない理由:少子化社会対策白書から
で取り上げた、結婚のメリット、利点として挙げている最大の理由が「自分の子どもや家族をもてる」こと。
とりわけ、男性よりも女性の方が、その理由として挙げる比率が高いのだが、その気持ちが実際の妊娠・出産に結びついていない。
そう推察することにそうムリはないように思える。

とすると、やはり、前項で課題とした、夫の家事・育児への協力の低さ、いわゆる家事・育児は妻の役割、という「性別役割分業」意識が依然として根強いから。
ということになろうか。

ただ、「性別役割分業」意識という表現が妥当かどうかには、少々疑問を持っている。
「分業」という認識があるならば、夫は、家事・育児ではない、どんな家庭作業・家族作業を自分の分業・役割と考えているのか、だ。
恐らく、分業という意識も実態もないのだ。
分業ではなく、家事・育児からの忌避・拒絶・無視、そして不参加・非協力だ。

叱られるかもしれないが、夫が十分な収入があり、それに必要なハードな労働を担っている。
一方、妻が専業主婦として、しっかり家事・育児を役割分担し、二人目・三人目、そしてそれ以上の子どもを持つことについて妻の希望・理解があるならば問題は少ないだろう。
分業体制が意識・無意識どちらもありうるが、できている状態と言える。


夫婦共働き世帯の家事・育児分担、当然の時代

しかし、夫婦共働き時代における夫婦と家族のあり方は、自ずと変わらなければおかしい。

企業が一生懸命になって、国の政策による圧力も受けながら、育児休業制度・育児支援制度の拡充に邁進する。
ちょうど、それが、労働人口減少時代・社会への対応と合致することでもあることで、次第に整備・拡充され、利用者の意識も活用も高まっていく。

加えて、学校での履修科目の共通化や女性の進学率の高まり、核家族化など家庭環境の変化、ジェンダーに関する多様性への理解と広がりなど、さまざまな要素・要因で、男性の家事・育児参加が自然なこと、当然のこととされていくだろう。
いささか楽観的・楽天的過ぎると言われるかもしれないが。

しかし、もしそういう社会においても、男性の家事育児の無視・非協力があるならば、そういう男性を選んでしまう方に、人間を見る目がないか、そういう本性・本質を見分ける、見極める時間と機会を持たずに結婚・出産に至ったのがその要因とするしかないのではないか。
もちろん、男性との話し合いが不可欠だが。
話し合いもできない夫は、夫の資格・適性も父親としての資格・適性もない。
人間性、人の質の問題と考えて、対処するのが望ましいし、政治と行政も弱い立場を余儀なくさせられた親と子を支援する制度を拡充すべきであろう。

ここでも、女性の理性・知性・感性の優位性に期待してしまうのは、無責任と言われそうだが・・・。



子どもが欲しくない人たち

結婚しない自由があるように、子どもを持たない自由も、もちろんある。
残念だが、個人の人生観・価値観、生き方の問題だから、しゃしゃり出ることはない。
だが、残念なことだと思う。

子どもが嫌いという人、親との関係が悪く子どもを持つイメージが沸かなかった人、温かい家庭での体験がない、思い出せない人、子ども時代に受けたトラウマ、人それぞれの理由や事情はあろう。

そういう経験・体験・感情を活かして、あるいは反面教師にして、理想・目標とする親子関係・家族家庭をつくりたい、自分の子どもに愛情を注ぎたい・・・。
そんな柔軟な生き方、心の豊かさを・・・。
他人だからの気安さだが、そう思ったりもする。

保護すべき、守るべき小さな子どもがいる。
辛いこと、思うようにならないこと、子育てにはいろいろあるが、やっぱり子どもは可愛い。
その成長を見守るのも微笑ましく、楽しく、喜びでもある。
そして彼らが成人して、子どもをもうけ、その孫を見るのも長い人生の中での喜びだ。

少子化社会は、出生率低下の歯止めと向上への転換のサイクルに極力早く乗せたい。
今考えうる、結婚を促し、出産・育児も希望に沿って実行・実現できる方策は、ベーシックインカム制の導入であろう。

当サイトにおいて、わが国の社会保障政策における軸となる制度でもある。
いろいろ話題になりそうなことが、最近増えつつあるが、まだ合意形成レベルには届いていない。
そろそろ、新しいアプローチ方法を考えるタイミングが近づいてきている。
心して進めていきたい。

「少子化社会対策大綱」批判シリーズ

◆ 出生率1.36、出生数90万人割れ、総人口減少率最大:少子化社会対策大綱は効き目なし(2020/6/11)
◆ 「2020年少子化社会対策大綱」批判-1:批判の後に向けて(2020/6/18)
◆ 「少子化社会対策大綱」批判-2:少子化社会対策基本法が無効施策の根源(2020/6/25)
◆ 「少子化社会対策大綱」批判-3:少子化の真因と究極の少子化対策BI(2020/7/13)
◆ 「少子化社会対策大綱」批判-4:安心して子どもを持つことができるBI、児童基礎年金支給を早期に(2020/7/28)

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