コロナウイルス禍で考える社会システム改革-4
緊急事態宣言で収束に向かうか否か、今後の動向が注視される日本の新型コロナウイルス感染症。
今年提起してきた【2030年の社会改革シリーズ】を、2050年視座に広げたことに、このCOVID-19対策と今後のあり方を重ねて、「コロナウイルス禍で考える社会システム改革」を設定。
これまで3回、以下提起してきた。
◆ 食料・水・空気・エネルギーの自給自足国家創造へ
◆ 雇用・就労が持続可能な国内経済再構築へ
◆ 2050年の国土改革、国土開発計画立案を
今回は、前回少し触れたが、食料・水・空気。エネルギーと並んで、生きていくために欠かせないモノ、「住宅」「住居」について考えたい。
コロナ禍で露見したホームレス問題:ネカフェ難民化不安も
東京都が休業要請した業種の一つにネットカフェがある。
都内にネットカフェを自宅代わりにする人が、1日あたり約4000人いるという。
仕事も失い、居場所も失うネットカフェ難民はどうするのか。
そこでイメージしたのが、ホームレス。
ネットカフェを利用することもない人たちもいる。
どちらも、食料・水・エネルギーの確保、そして住まいという安全な場所の確保が困難であり、安定した仕事も持たない、持てない・・・。

社会保障厚生住宅(仮称:社厚住)とは
いきなりだが、社会保障制度の中に、住宅提供システムを組み入れたい。
その制度に基づき設置・運用する住宅を、仮に「社会保障厚生住宅」、略して仮に「社厚住(しゃこうじゅう)」と呼ぼう。
単身者用の社厚住、家族世帯用の社厚住がある。
単身者用は、特養(特別養護老人ホーム)形態もしくはシェアハウス形態の30人程度収容の一階建て一棟住宅。
全室個室で、トイレ(扉あり)・洗面台、小規模のキッチン設備とベッド完備。Wifi及びPCを配備。プラーバーシーを保持。
食堂兼娯楽室と研修兼懇談・会議室がある。
浴室は、複数のシャワー室と共同浴場で、コインランドリー複数台設置。
家族世帯用は、マンションタイプまたは一般住宅タイプ。
前者は既存建築物の転用、後者は空き家の転用を主とし、どちらもコンドミニアムタイプも可能とする。
経済的に困窮する、または離婚後または離婚係争中等事情のある母子家庭・父子家庭への提供を主とする。

単身者用社会保障厚生住宅(社厚住)の運用
では、単身者用・単身世帯用として整備・提供する社厚住は、どのように活用するか。
以下、要約した。
1.単身高齢者用住宅:就労可能な単身高齢者向け住宅
2.単身無業者用住宅:就労意欲はあるが、安定した仕事に就くことができない単身者向け住宅。
引きこもりに悩む単身者の参加も促進できれば望ましい。
3.要支援・要介護単身者用住宅:ある程度自立した生活を送ることができる要介護2以下の認定を受けており、単身で入居する主に高齢者。
または、従来家族と暮らしていたが、在宅介護が困難で、家を出て、単身で入居する要介護度2以下認定の高齢者。
訪問介護利用者の入居を促進する目的を強く持つ。
それ以外に、次の特別住宅を加える。
4.収監者労役用住宅:傷害・殺人等の刑事犯として懲役刑で服役中の収監者を収容する住宅。但し、労役が可能な者に限る。
この場合、上記の場合と異なり、監視・管理下での居住・就労生活となる。
この社厚住の生活基盤に、次に述べる就労をセットして提供する。
従い、その就労場所に近い地域での施設開設及び入居となる。

国・公営農場就労制度、就労支援制度との社会連携システムを確立
上記の、1,2及び4の入居者は、国営もしくは公営農場での農業への就労を条件とする。
3の入居者は、就労可能な場合に限り、参加する。
国・公営農場及びその活用による農業・農産物生産情報システム業開発については、当シリーズの第1回
◆ 食料・水・空気・エネルギーの自給自足国家創造へ
で述べたので、確認頂きたい。
そこでの就労者は、非正規(有期)公務員補の資格を持つものとする。
(公務員ではない。但し、公務員になることが可能なプログラムを提供する。)
その就労に対し、一定基準での賃金が支給され、各種社会保険料・労働保険料及び所得税負担義務がある。
一定基準の家賃負担義務もあるが、社会保障制度の中の、生涯型年金の現物給付として一定額の住宅費補助を受ける権利ももつ。
(参考)
◆ 憲法で規定された生存権と「社会保障」:全世代を対象とする社会保障システム改革-1
◆ ○○手当は○○年金!?:全世代が年金受給機会を持つ社会保障システム改革-2
◆ 所得者全員が年金保険料を!:国民年金の厚生年金統合による社会保障システム改革-3
<社厚住>入居中は、研修室で、職業訓練及び就労支援等を目的として、有償・無償で、以下の研修を受けることができる。
1.農業技術
2.プログラミング及びSE技術
3.公務員試験受験講座
4.介護士・保育士等資格試験受験講座
5.起業支援講座 等
農業就労は、委託を受けた農業法人の経営のもと行い、OJTによる技術習得や人間関係構築スキルも身につけることが期待できる。
ここまでいくと、現状の社会保障制度その他、関連する法律・システムの大改革が必要になることが想像できよう。

また、本筋から外れるが、収監する人数を確保できるかどうか・・・。
これには、別の観点からの法制改革を描いている。
すなわち、増加する特殊詐欺及びネット詐欺事件犯の刑事罰を重く見、懲役刑を従来より大幅に課する法改正を行うのだ。
未遂も適用する。
それにより一定の抑止効果を期待するのだが、この時代、これからの時代そう簡単には減らないと予想される。
そういう犯罪者に、社会のインフラ形成に貢献してもらおうではないか。

新型コロナ禍で発生した家賃支払不能世帯問題
今回の問題提起は以上としようと思うが、間接的に関連することを目にした。
それは、欧米等各国政府が、個人や事業者に対しての家賃未払い・滞納による解約・退去要請の禁止や、一定期間の家賃の支払い猶予、固定資産税猶予・減免などの法制化に、積極的に取り組んでいるということ。
対して、日本政府の取り組みは例によって、なんでも「要請」にとどまり、法制化しても不十分で自治体に責任を丸投げする。
また、現状の法律ではムリ、書いてない、とそれを盾にして、責任を果たそうとしない。
というものだ。
休業補償をしない政府方針は、その典型だろう。
新たな法律・修正すべき法律を改めることこそ内閣・国会の仕事のはずなのに。
立法府という言葉そのものがそのことを示しているではないか。
そのために官庁・官僚を使うのが仕事だ。
その本来の仕事をサボっているのならば、議員報酬など得ているカネをそっくり返納すべきだろう。
一応、自民・立民間で、20%報酬カットで折り合いをつけるらしいが、遅くて、みみっちくて、格好が悪い。
与党も与党だが、野党も野党だ。
やはり、以下の改革が絶対必要なことを再確認して、今回の提案を締めたい。
◆ 劣化する国会議員・国会・議院内閣制:絶対不可欠の政治システム改革-1
◆ 一院制移行・議員総定数削減と選出システム改革を:絶対不可欠の政治ステム改革-2
改革課題は山積している。
国会議員も官僚も、「うちで踊ろう」「うちへ帰ろう」「うちで仕事をしよう」などとトップの無責任を忖度して、身を潜めている場合ではないのだ。
みなさんの収入は、今日明日の賃金・収入を得られない人々の犠牲で得ることができるのだから。
今すぐやるべきことに加え、10年、20年、30年がかりで取り組まなければならない改革課題が山程あるのだから。

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