
雇用・就労が持続可能な国内経済再構築へ
コロナウイルス禍で考える社会システム改革-2
収束どころか、これからが急拡大のリスクが大きくなると予測される日本の新型コロナウイルス感染禍。
今年提起してきた【2030年の社会改革シリーズ】を2050年の視座に広げたこととに、このCOVID-19対策と今後のあり方を重ねて、「コロナウイルス禍で考える社会システム改革」を重ねてみた。
前回
◆ 食料・水・空気・エネルギーの自給自足国家創造へ
として、生きるための基礎要件の自給自足可能な国の創造を提起した。
今回は、もう一つの絶対不可欠の課題、食うために、生きるために働くこと、働いて収入を得ることについて、考える。
国が担うべき、国しか担うことができない国民生活・社会経済活動を守る政治
新型コロナウイルス禍で未曾有の困難な事態を招いている日本、そしてグローバル社会。
個々の国は、まず自国の安全確保・感染拡大抑止を最優先課題とする一方、社会経済活動の休止・停止に伴う収益・収入機会の停止対策が行われつつある。
事業の休止・休業、働く機会・場の喪失、すなわち収入が絶たれる事態を、COVID-19はもたらした。
限定的な地位ではなく、国全体、グローバル社会全体のレベルでの悲惨な出来事だ。
具体的には、国レベルで休業補償・収入補償など財政出動を行わざるを得ない。
多くの国では、その動きが報じられている。
トランプ大統領などは、格好の選挙対策と、困難も坂手にとって、アピールしている。
しかし、ここ数年トランプジュニア的な行動をとってきた日本政府・安倍内閣と、彼が率いる麻生財務省そして行政官庁レベルは、なぜかカネを出し渋っているらしい。
これまで、財政規律を守ることなど、憲法改正に比べれば、さほど有用なことではないかのように、赤字国債の増加にもなんとも無頓着だったが・・・。
(桜を見る会のいい加減さが、今年の桜のお花見の機会を全国民から奪ってしまったのだろうか・・・。)
こと、国の緊急事態に遭遇して、判断基準がどこにあるのか、国政を委ねる者として、以前から問題視してきたリーダーシップのなさ、胆力のなさが確実に立証されてきている。
そう感じる人が増えてきている。
財政豊かな東京都だからこそ、休業補償など可能。
国や他の自治体は、そう簡単にはいかぬ!
安倍の引け越しは、東京都以外の知事の言動・行動にしっかり刷り込まれている。
みな責任回避、私が言い続けている「モラトリアム国家・政治・行政」を見事に象徴している。
(もちろん、東京都知事にも胡散臭さは、強くつきまとってはいるが。)
では、一体誰がやるのか。
ここに至って、財政悪化を気にするからには、長年怠ってきた政治・行政における財政政策の責任をどう感じているのか。
言うならば、まさに緊急事態宣言を発するときだからこそ、お札を刷り、給付に充てるべきなのだ。
総理大臣の責任を、この政策で全うするのだ。

雇用・就労・収入を奪う新型コロナウイルス感染禍
雇用が失われる。
非正規社員の雇止めがまず先行し、新卒の内定打ち切りも出ている。
休業要請で事業の存続が厳しくなり、廃業・倒産も増えつつある。
失業者が増え、事業主も廃業を余儀なくされ、自身の就業の場がなくなる。
社会が、経済が、壊れる。
雇用を持続させ、新たな雇用を創出させる必要がある。
自営業復活の機会を創出し、支援する必要がある。

COVID-19後の新規雇用、就業機会の創出方法
まず、前回提起した、
1.自給自足産業・事業の創出・拡大による実現
もう一つは
2.日用品・衣料品等日常必需品の生産の一定比率の国内回帰による実現
である。
前回の
◆ 食料・水・空気・エネルギーの自給自足国家創造へ
を確認頂けたらと思う。
農業=食糧生産情報システム業の農業法人による雇用創出は期待できる。
というか、軸となる。
当然、畜産業も従来とは異なる方式・方針で、システム産業化し雇用を産み出す。
林業は、頻発する自然災害への対策も含み、治水・灌漑統合型事業とし、雇用につなげたい。
漁業は、養殖事業の拡大・拡張の余地が大きく、雇用創造に加え、輸出産業としての成長も期待できる。
エネルギー・電力業も、当然以前低い再生可能エネルギー比率の大幅な向上を目標としている。
太陽光発電・風力発電事業の拡大で雇用も拡大する。
また仮想発電所、蓄電池事業、水素エネルギー事業、環境事業などにおける雇用の拡大も伴っていく。
(参考)
◆ 電力行政改革によるエネルギーシステム改革-1
◆ 再生可能エネルギーと水素社会によるエネルギーシステム改革-2
◆ 地方自治体は、エネルギー地産地消化を地方創生・再生の核に
当然、それらの事業は、10単位を一つのフェーズとし、20年、30年という長期に渡るビジョンと事業計画に基づき、取り組むべきものであることはいうまでもない。

日常必需品生産の一部国内回帰で雇用創出を
そしてもう一つは、生産基地を海外移転した日用品・衣料等必需品の生産を、国内需要確保を目的に、国内生産に切り替えることを、大手企業等に期待したい。
これまで、主として安価な人件費を求めて、主に中国・東南アジア各国に生産拠点を移してきた。
もちろん、現地の雇用創出・維持に貢献し、供給の基地としても機能し、各地・各国の生活レベルの向上など、幅広くグローバル社会において貢献してきたことはいうまでもない。
評価されるべきと思う。
しかし、国内産業の衰退・雇用喪失も対してあったわけで、海外の人件費もいずれそれが現地拠点化の最大の理由ではなくなる時が来るのは想定できるし、想定すべきだろう。
コロナ禍も一つの契機としつつ、企業経営における最大の社会的貢献である自国の雇用創出・維持も検討頂きたいものだ。

新型コロナウイルス禍で発生した諸問題を、収束・終息後どう反省評価し、改善・解決し、次代・次世代にどう活かしていくか。
国・社会が持続し、個人個人が、新たな希望を持ってこれからの人生に向かっていくか。
その基本としての、食料などの自給自足体制作りと、人と社会を成り立たせる雇用・就労の創出・継続を提起した。
次回は、それらを可能とするための一つの条件、国及び国土、そして個人個人との関係について考えたい。
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