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NATIONAL POLITICS

財源問題、所得再分配論から脱却すべき日本型ベーシックインカム


ベーシックインカム(仮称・生活基礎年金制度)案再考察-3

今年4月以来取り組んできた、ベーシックインカムの導入に関する約5カ月間の取り組みに一旦区切りをつけ、次の段階のレベルへの深化を目的とした再考察を始めています。

基本的人権基盤としてのベーシックインカム制導入再考察と制度法案創り
ベーシックインカムの定義再考察:JBIとは(Japanese Basic Income)
と続いた<再考察シリーズ>の今回3回目では、主に財源について再考察します。

そこで先ず、その前提として、実は政治思想が異なる立場各々が、ベーシックインカムについては、一応肯定的に考えていることから、その根拠と概要について、確認しておくことにします。

3種類の経済思想に基づくベーシックインカム導入支持の基本的な考え方


ここでは、波頭亮氏著『『AIとBIはいかに人間を変えるのか 』から、右からも左からも肯定され、近未来のシンギュラリティ到達で予想されるAI社会を想定した立場からは導入は必然とされるベーシックインカムの、それぞれの経済思想の違いを以下に引用しました。

1.コミュニタリアン(共同主義者):平等性を重視
2.リバタリアン(自由主義者):国家の介入の極小化
3.ネオリベラリスト(新自由主義者):市場主義の尊重


これだけでは、理解しにくいですが、詳細については、別の機会に説明したいと思います。

では、この違い毎に、実際に日本にベーシックインカムを導入するとすれば、いくらを給付し、何を財源とするのか、主に取り上げられている内容を確認しておきます。

経済思想別財源及び給付額政策


経済思想毎に日本において、ベーシックインカムの金額や財源をどうするのか、現状確認できる範囲で、調べて整理したものが以下です。
基本の3種類以上に種類があることに着目しておきたいと思います。

1.所得の再分配による財源で、月額7~8万円支給。
  現状の社会保障・社会福祉制度は原則すべて廃止する。
2.所得の再分配による財源で、月額7~8万円支給。
  現状の社会保障・社会福祉制度のうち関連する制度は廃止または

  改定する
3.主に所得税を財源とし、所得再分配による月額7~8万円支給。
  現状の社会保障制度は、そのまま継続。
4.主に所得税中心とした月額7~8万円の固定給付及び貨幣発行

  益等の配当給付による変動給付。
5.税金を財源とせず、中央銀行が発行する通貨を給付。
  市場の経済動向に合わせたマネー&景況コントロール

 (具体的に金額は設定していない。)


こちらも、一見しただけでは、意味が分かりにくいと思いますが、詳細はまた別の機会として、実際にこれらの基本的な考え方に基づき、数字と方法を挙げて説明・提案している例を、以下に取り上げました。


主たる論者の財源・給付額案

なお、ここでの数字は、各著者執筆時のものであり、現在試算するとすれば、異なる数字になることを前もってお断りしておきます。


原田泰氏案(『ベーシック・インカム』(2015/2/25刊)より)

・月額 20歳以上7万円、20歳未満3万円
・必要財源、年間約96.3兆円
所得税30%で、77.3兆円
・現状制度からの移管(代替財源):老齢基礎年金16.6兆円、子ども手当(当時)1.8兆円、雇用保険1.5兆円、 合計19.9兆円
・その他財源からの移管:公共事業予算5兆円、中小企業対策費1兆円、農林水産業費1兆円、生活保護費1.9兆円、地方交付税交付金1兆円、合計15.9兆円
※以上で、必要財源は超える
<主な課題>
・生活保護における生活扶助費以外の給付の管理行政が残る(完全に廃止できない)
・20歳未満の給付額3万円は少なくないか。(少子化対策としても)
・財源の一部捻出には、いわゆる行政改革が必要となる。

野口智洋氏案(AI時代の新・ベーシックインカム論(2018/4/30刊)より)

・次の2種類の財源での2階建て方式
 1)税を財源とする固定ベーシックインカム(固定BI)
 2)貨幣発行差益を財源とする変動ベーシックインカム(変動BI)
・固定BIは、上記原田案を活用
・変動BIは、まさに<変動>型であり、金額は、市場に応じて調整されることになる(だろう)
<主な課題>
・変動BIでは、変動故か金額が明示されていない。その変動部分の評価・決定の必要時毎に金額が変化することで、煩雑になる可能性がある。管理者・管理方法などの問題も残る。
・固定BIも、原田方式を絶対視しているとは感じられないため、検討の余地がある。


野口氏は、ネオリベラリストと理解していますので、本来、上記の5.に基づく提案をする立場と思います。
しかし、同書では、少し遠慮したのか、現実を考えてのことか、折衷案を提示しているのが印象的です。


波頭亮氏案(『AIとBIはいかに人間を変えるのか 』(2018/2/28刊))より

月額一人8万円
・必要財源、年間約122兆円
・国民負担率60%に(以下の方法による)
・現状制度からの移管:国民年金・基礎年金額約22.2兆円、生活保護の生活扶助費約1.2兆円、雇用保険の失業保険費約1.5兆円、厚生年金約32.4兆円、合計57.3兆円
消費増税、金融資産課税、法人税増税で59.8兆円を充当
・その他、高所得者の累進課税強化、奢侈的消費物品課税、相続税率アップ等再分配機能強化に基づく財源
<主な課題>
・生活保護における生活扶助費以外の給付の管理行政が残る(完全に廃止できない)
・厚生年金保険制度の在り方(廃止はできない。どう改定するか)
・雇用保険制度の改定

竹中平蔵氏の見解

この他、竹中平蔵氏は、典型的リバタリアンとして、全員一律月額7万円の給付で、生活保護や年金等の社会保障給付を廃止すべきと言っているとのことです。
しかし、週刊エコノミストでの同氏へのインタビューでは、「現在のような生活保護制度はいらなくなる」という表現です。
自称コミュニタリアン(的思想の人)は、極論・断定型なので、私は鵜呑みにはしていませんが。


無政府的「金は無尽蔵に刷れる」派


また、ネオリベラリストとは一線を画していると私は理解しているのですが、金はどんどん刷ってばら撒くことができる、と主張している一派がいます。

そりゃ確かにそうとも言えますが、だれが何をどう判断して、どう管理するかという制度設計・システム設計、法制などについて、明示されているのをまだ見たことがないので、宗教集団、無政府主義者のようなものと受け止めています。

事実、自分の考え方が理解できないのはバカと呼び、排除していますから、何をか言わんや、です。

日本独自型ベーシックインカムへ方針転換を

ここまでで、所得再分配論を基盤とするベーシックインカムでは、どうしても所得税率の大規模な引き上げを必要としていることを確認できました。
それにより、自ずとベーシックインカムの導入が、富裕層の反対、自民党の反対、財界の反対で、とても実現できないだろうというある意味無力感さえ感じさせる雰囲気に繋がっている気がします。

なにより、一律7万円とするが、既存の制度に上乗せし、富裕層には配布する必要はない、とヒステリックに言い張っているリベラルがいることに示されているように思うのです。

構図的には、以下の二元論での話で、真のリベラルではないことには気づいていないのです。
(ネット上に開示している資料を転載しました。)


もうそろそろ、現実的に、民主的に、導入する方法を探るべきと思うのです。
とすると、それらとは別の考え方・方法・方針に切り変えるべきでしょう。

私自身も、9月、いくつかのグループの内容を見、議論に参加してみたり、波頭氏の書を読むことなどから、私の基軸は変えずに、しかしより現実的に、そして柔軟に再考察すべく、方針・方向を変えることにしました。

リバタリアンもコミュニタリアンも当然論外として、かと言ってネオリベにも転向?せず。
その基軸とは何か、次の項で述べます。

ベーシックインカムは目標ではなく、全社会システム改革のための一つの課題・手段



実は、ベーシックインカムの導入は、基本的人権や生活保障などの面からの社会保障改革を実現することだけが目的ではありません。
その改革と並行して、さまざまな社会問題や国家としての課題の改善・解決にも取り組む必要があります。
すなわち、ベーシックインカムは、それらの課題解決・改革と、ある意味連動しており、また、連動すべきです。
これだけの大事業なのですから、根源的には、そうした望ましい社会、国創りとしっかりと結びついているべきなのです。

その基本的な考えについては、当ブログ開設前に別サイトで投稿し、4月に当サイト開設に移行した以下の記事に書いています。
すべての社会システムを総点検し、改革すべき2020年代の日本(2020/3/2)


まだ間もない、私とべーシックインカムとの出会い


そして、社会保障制度の領域での課題として、<社会保障システム改革>を取り上げ、以下提起しています。
憲法で規定された生存権と「社会保障」:全世代を対象とする社会保障システム改革-1(2020/3/7)
○○手当は○○年金!?:全世代が年金受給機会を持つ社会保障システム改革-2(2020/3/8)
所得者全員が年金保険料を!:国民年金の厚生年金統合による社会保障システム改革-3(2020/3/7)

お読み頂ければお分かり頂けると思いますが、そのどこにもベーシックインカムという言葉は用いていません。
というか、その時には、恥ずかしながらベーシックインカムについてほとんど知りませんでした。
ホリエモンが言ったとか、国民民主党が公約に入れたとか、れいわ新選組がどうとかこうとか、まったく認識がなかったのです。

当サイトで初めてベーシックインカムについて述べたのが、4月19日投稿の
ベーシック・インカム制の導入を!
でのことなのです。
ということは、3月中旬以降4月中旬に至るまでの間に、ベーシックインカムに出会い、急接近したわけです。

そしてそれらの記事を繋ぎ合わせると、ベーシックインカムが当初からの目標・目的ではなかったことが確認できます。


次回、苦渋の選択か、最適の選択か、窮余の一策か、日本独自型ベーシックインカム


繰り返しで恐縮ですが、ベーシックインカムは、それ自体を目標・目的とするだけでけではなく、多くの社会問題、社会システム、政治・行政システム、国家問題、グローバル社会問題と繋がっています。
言葉に出して言うのは簡単ですが、現実のものとして実現するのは本当に難しい。
社会全体の課題を想定すると、部分最適ではなく、全体最適を実現するための一つの方策、一つの象徴みたいな性格を持つのがベーシックインカムなのです。

次回、その課題とベーシックインカムとの関係性を考え、結びつけながら、望ましいベーシックインカムの在り方、主として財源と給付額などについて今回の再考察とも結びつけて、再々考察します。
そして、その後で、日本独自型ベーシックインカム再考察案を提起したいと思っています。
その後、関連する諸制度・法律等の改定について再考察を予定しています。

やはり道のりは遠いです。
想定内のことですが。


なお、別のブログで既に紹介していますが、現状のリベラル及び民主主義への批判とこれからの在り方ついて考える格好の良書として、次の新刊書をお薦めしています。
リベラルの敵はリベラルにあり 』(倉持麟太郎氏著:ちくま新書)

ご参考まで。

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