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厚生労働白書から考える社会保障制度改革とベーシックインカム-1


2020年厚生労働白書「令和時代の社会保障と働き方を考える」

先月10月23日厚生労働省から、「令和2年度厚生労働白書」が公開されました。
そこに付けられた副題が、「令和時代の社会保障と働き方を考える」というもの。

こうした公的文書になぜ、令和と付ける必要があるのか未だに分かりません。
それらの内容で示される暦年は、すべて西暦のはず。
和暦が、規則正しく、一定年数ごとに改号されるわけではないですし、元号ごとの年数の違いで西暦年数を計算したりの面倒とムダ。
西暦で統一すれば、過去・現在・将来共通で理解しやすいと思うのですが。

さて、この白書、「厚生」と「労働」を組み合わせているので、どちらかというと、「労働」に意識をおいたものと思われます。
ただ、内容を総合的、俯瞰的に見ると、人口減少、高齢化、少子化に関するデータが基本となり、前段で取り上げられるので、「厚生」面に比重をおいているように感じられます。
厚生重視ならば「社会保障」について、労働重視ならば「働き方」が主課題になるわけです。


以上が、当白書の全体の目次です。
・第1章 平成の30年間と、2040年にかけての社会の変容
・第2章 令和時代の社会保障と働き方のあり方

の2つの章から成り立っていますが、その構成をみると、生活視点が目立ち、働き方改革に関する政策と結びつける項目は、少ないようです。
結局、労働力政策に主軸をおいた白書に思えます。

結局、平成30年間で少子化・高齢化で人口減少に伴い労働力人口が減少。
その流れが継続かつ加速する令和時代。
これも新鮮味がなくなった「人生100年時代」と称して、高齢者の労働参加を当たり前の時代にする。
加えて、やはり平成時代に常態化し、令和もその傾向が強まる共働き世帯構成比の高まりで示される女性の就労も一層促進する魂胆です。
それがいけないということではありませんが。

果たして、そのために発生し、強くなっている仕事と子育て、仕事と介護、場合によっては仕事と子育てと介護の両立、三立をゆとりをもって可能にする社会保障制度の拡充が政策として具体化されるのか、が最も重要な課題と考えています。
それは、決して総合的かつ俯瞰的な制度改革ではなく、成果が期待できるとイメージできる具体的な内容をもつ改革であるべきです。

ほとんど期待していないのですが、この「厚生労働白書」を参考にして、厚労省が、令和時代に取り組もうとしている社会保障制度改革方針をシリーズ化して追ってみたいと思います。

今回は、プロローグですので、まず、同白書に示された、平成30年間の社会保障制度改革(改革、などと言えるものでは決してないのですが)記録を転載します。


最後の幼児教育・保育の無償化だけが、一応改革レベルと言えるでしょうか。
しかし、それも民間事業者の値上げなどいろいろ問題があったのですが。
あとは、小手先のもの、企業に押し付けたもの、改正ではなく改悪というべきものなど、とても厚労省が自画自賛できるレベルのものではなかったはずです。


総合的・俯瞰的な令和2年版厚生労働白書の全体像


次に、令和の時代に入っての方針・課題などをひとまとめにしたものを転載します。
<令和2年版厚生労働白書の全体像>とあります。


やはり、総合的・俯瞰的方針であり、2040年の具体的なターゲットを示す気はないようです。


2040年社会をイメージする

上の表は、平成30年間の高齢化・少子化、就業実態にGDP比社会保障給付費実態と、20年後2040年のそれらの推測値を並べたもの。
最後に、社会保障給付費とGDP比を増加したかのように思わせていますが、これは、高齢化が最も進むために、社会保障給付費がこのままでは自然増になることとそれに伴ってのGDP比率の向上に過ぎません。
放おっておくとこうなるでしょう、というレベルの数字組み立てで、重要なのは、こうなると予想される2040年に向けて、どういう実効ある社会保障制度改革をおこなうのか、です。


やはり必要な日本型ベーシックインカム生活基礎年金

次回から、当白書で取り上げられている、高齢化、少子化、共働き世帯常態化、非正規雇用常態化、などを順次テーマにして、白書で提起されている社会保障制度批判を行いつつ、2040年に向けての社会保障制度改革課題を明らかにしていく予定です。
その取り組みは、恐らく、私が提案している日本型ベーシックインカム生活基礎年金の導入と同時あるいは並行して行うべき社会保障制度改革と繋がるに違いないと思っています。

また、もしタイミングが合えば、ベーシックインカムではなくベーシックサービスを提案するグループへの対論としての内容になる可能性もあります。
もちろん、協調・協働すべき内容になる可能性もあるでしょう。

これまで取り上げてきている「少子化社会対策大綱」「同白書」も再確認しつつ、自分の頭の整理にもできればと考えています。




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