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保育士の皆さんに関心を持って頂きたい日本型ベーシックインカム

<日本型ベーシックインカムに関心を持って頂きたい方>シリーズ-2

前回から、16回続いた、<ベーシックインカム(生活基礎年金制度)案再考察シリーズ>から寄り道した、<日本型ベーシックインカムに関心を持って頂きたい方>シリーズを始めました。
第1回目は、以下の投稿でした。
介護職の皆さんに関心を持って頂きたい日本型ベーシックインカム

これは、(再掲になりますが)
日本型ベーシックインカム生活基礎年金の導入を提案する背景・理由の一つに、介護士や保育士など社会保障・社会福祉領域の仕事に従事する方々の賃金が、構造的に、低賃金に抑えられており、現状や将来に対する生活において経済的不安を感じている人が多いこと。
その方々に、安心してその仕事に打ち込んで頂くための一つの手段として、ベーシックインカムの給付が有効と考えるため。
ということからのものでした。

ですので、今回は、保育職、保育士さんへのメッセージということになります。

コロナで一層厳しさを増す保育ニーズと保育士を巡る社会環境と人材不足


少子高齢化社会。
少子化と高齢化、一方が減り続け、一方が増え続けることを併記して、セットで社会問題化しています。
しかし問題の本質はまったく異なるもので、高齢化はあと25年もすれば、団塊の世代がほぼ社会から居なくなっており、世代間の問題は、現在と異なる視点で顕在化しているかもしれません。
その新たな問題は、少子化の進み具合とかなり関連していると思われます。
前回の課題であった介護職人材不足も、解消されていることでしょう。

今日の課題の保育士・保育職を巡る問題は、介護職員の人材不足とその要因で見た内容とほぼ重なり合い、共通のものであることが特徴です。

加えて、コロナ禍における保育現場と保育士さんへの負担は、慢性的な保育士不足の状況を、介護職同様、より困難にしています。

ただ、介護職は、増え続ける要介護高齢者の介護を担うための人材補充が困難であるのに対して、保育現場は、少子化で年々保育児童数が減っている中での人材不足が慢性化しているという対照的な現状があります。

絶対数はそうなのですが、共働き世帯の一般化により保育ニーズが想定よりも大きくなっていること、幼保無償化も同様に保育ニーズを高めていることなどを要因として、保育施設数及び保育士数不足が生じているわけです。

より細かく見ていくと、共働き世帯増やコロナによる在宅勤務・テレワーク等ライフスタイルの変化、仕事と子育ての両立、母子・父子世帯の子育て資源問題、
核家族化による孤育問題、そしてまだまだ残る待機児童問題、保活問題などを背景として、多様な子育てに対応するための保育施設不足と保育士不足問題に繋がるわけです。
もちろん、そこには、自分の子どもの保育問題も抱えた保育士自身の悩み・不安も含まれています。
単純に保育士不足、と包括される問題ではないわけです。

もう一つ、根源的な問題を忘れてはいけません。
それは保育に関する行政の在り方です。
さまざまな上記の例に示した保育に関する問題は、すべて保育行政の在り方、改善・問題解決に委ねられるべきものです。
従い、多くの問題には、保育行政の改善・変革が不可欠なのです。

そこで、介護職員を巡る根本的な課題を、以下、保育行政の在り方と結びつけながら、いくつかの視点で確認したいと思います。

そのため、今回は、平成31年厚生労働省作成<保育士の現状と主な取組>の資料を引用・活用します。

現在の保育職員数


まず、現在保育業務に従事している保育士の方々の数ですが、ほぼ57万人ほどとみてよいと思います。
そして特徴的なのは、下図にあるように、保育士登録数が約1487万人いるにもかかわらず、実際に従事している保育士さんが、その4割を割っていることです。
いわゆる潜在保育士が90万人以上いるのです。


介護職に比べ、保育士資格を在学中に取得する学生が多いのは、そのための学部・学科が多く置かれていることで示されていますが、保育士資格を取得した新卒者が保育現場を就職先に選ばなくなっている現実があります。
下のグラフにその実態が示されています。
要するに、不人気ということです。

その不人気の要因や背景について、以下、先述した厚労省の資料を参考にして考えてみることにします。

保育職賃金の実態

前回の介護職員の平均賃金は、234,439円で、平均年収は、341万2774円。
一方、下表によると、保育士の平均賃金は、239,300円で、平均年収は、357万9,000円。
単純に比較することに少し問題はありますが、ほぼ同レベルで、保育士の賃金の厳しさが介護士同様示されています。


介護職同様、保育士も処遇改善が政府より打ち出され、一応補助金行政で取り繕われていますが、その結果が、上記の実態に示されているわけです。


なお下の表は賃金データではありません。
興味があったのは、公営と私営の保育所数が分かり、果たして、公営と私営では、保育士さんの賃金はどのくらい違うものかということです。
推測ですが、公営の保育士すなわち公務員保育士の方が賃金レベルが高いのではないか。
厚労省としては、これを公開することに支障があると考えているのではないか、と要らぬ勘ぐりをしています。



実は、介護職もそうですが、私は保育士の仕事は社会保障業務という公務員的なものであり、準公務員制度を設けて、賃金レベルを引き上げる方策を採用してもよいと考えたことがあります。
◆ 准公務員制度導入で潜在的労働力の発掘と活躍へ:専門職体系化による行政システム改革-3(2020/3/21)

しかし民間保育所の比重が増える一方であり、補助金などで賃金加算しても、確実に反映される保証もありません。
そこで、全国民一律のベーシックインカム支給方式のほうが現実的に有効と、方針転換したのです。

保育士人材不足の現状

労働市場における保育士の求人の厳しさは、有効求人倍率に示されています。
求める保育士有効求人数が、保育士職を実際に求職する有効求職者数に対して何倍か。
この数値が、介護職と同様、このところ3倍を超えることが多く、常に全職種平均の2倍前後と、厳しい状況が続いています。

こうした状況が常態化している要因は、保育の現場に、なかなか改善・解消されない問題が存在し続けていることにあります。
それは、以下の保育士の退職理由についてのデータが物語っています。

人間関係の難しさが1番に来ているのは少し意外な感じがしますが、保育に対する考え方や態度姿勢上の問題が原因でしょうから、マネジメントに問題があるとしてもよいのかな、と思います。
それは結局コミュニケーションの問題にも繋がり、そのための時間や場が持ちにくい職場・職種に問題ありと想像もできます。
ゆとりのなさ、と言い換えることができるそうに思えます。

そして2番めの賃金レベルの低さ。
要するに、絶対的な金額の低さの加え、厳しい仕事の割には安い給料であることが加えられた結果と考えます。

こうした原因の積み重ねで、保育現場の安定が阻害され、風土化し、ゆとりを失っていきます。


保育の質を維持・向上させるために必要な余裕

そのためもあり、保育実務に携わる人の資格要件を緩め、補助員としての採用を増やす。あるいは、認可外保育所の建設基準・施設要件を緩くすることで、施設不足を補う。
そのことで懸念されるのは「保育の質」で、専門家を含め、多くが指摘する課題です。
その対策は、唯一、保育の現場の要員・スタッフの数に余裕を持たせることです。
人材不足なんだから絶対不可能に近いこと。
そう断定されてしまいますが、それなしに質の向上は不可能です。

数の余裕は、コミュニケーションを行う時間と気持ちのゆとりをもたらします。
もちろん、預かる子どもたち一人ひとりを見る時間的・精神的ゆとりに繋がります。長時間勤務や休日勤務・時間外労働を削減できます。

そしてもうひとつ、賃金の引き上げで、生活のゆとりを持つことができれば、安定したメンタリティをもって保育業務に向き合うことが可能になるでしょう。

この二つの余裕化・ゆとり化を同時に行う必要があるのですが、とてもとても介護行政は、そこまでの意識も責任感も持っていないでしょう。

厚労省による人材確保対策と改善の可能性

少子化にもかかわらず、保育ニーズが増え、施設数不足・保育士不足が継続し、待機児童問題、学童保育問題が、簡単には解消されない。

多くの物理的問題を抱える保育事業において、実は不足する保育士を増やせばそれらが改善・解決できるものではありません。
しかし、保育士数確保には、賃金の引き上げが絶対条件になるでしょう。

しかし、事業者はそれをやれば倒産すると言うでしょうし、厚労省・政府もそこまでの決意はありえない。
民間経営の事業所の経営の質の違いは大きいですし、保育事業自体が、労働生産性を工夫次第でどんどん向上させ、それを賃金に反映させることは困難とみるべきです。


上のグラフは、過去保育士として就労経験がある方が、もし保育現場に戻るとすればどういう条件ならば再考するかという問いへの回答結果です。
4番目に給与などがあり、それと雇用形態への希望とは要素が重なっているでしょう。

そして、勤務時間・日数など自身の生活と繋がっている労働条件に関する希望に加え、保育士としての将来についてへの意識も重要な要素となっていることが読み取れます。
保育士としての生き方と生涯設計にどう配慮するか。
厳しい保育現場の仕事にやりがいを感じることはもちろんですが、一方で気持ちの上でも、経済的な側面からのゆとりが求められているです。

一方厚労省が作成した、<保育人材に確保に向けた総合的な対策>が上の図です。
まあ、この資料自体が、保育事業の問題よりも、保育士育成と確保に焦点を当てて作成したという理由があるにしても、上っ面な、まさに総合的であり、抜本的な改革に踏み込んで、なんとしても保育人材を確保し、定着させようという強力な対策を示すものではありません。
もちろんそれは想定内のことですが。

これまで、当サイトでは、以下の提案を行なってきました。

◆ 保育園義務教育化と保育グレード設定による保育システム改革-1
 保育の社会保障システム化による保育システム改革-2
◆ 准公務員制度導入で潜在的労働力の発掘と活躍へ:専門職体系化による行政システム改革-3
幼保無償化後の現実的課題:抜本的な保育行政システム改革への途(2020/5/29)
少子化対策、2025年児童基礎年金月6万円支給と幼稚園義務教育化(2020/9/25)

実は、現状の保育行政システムを根幹から改革しなければ、保育職員の労働条件・労働環境を変えることは不可能です。
そしてそれは、政治を変革することから着手しなければいけないテーマでもあります。

ベーシックインカムで、経済面からの仕事不安・生活不安の解消へ

厚労省に、保育制度、保育行政を抜本的に見直す意志・意欲・責任などを期待できません。
政権政党にもムリですし、野党にもそこまで踏み込んだ、真剣な問題意識も取り組み姿勢も動きも期待できない。
ならば、まったく別の観点から考え、手を打つしかない。

それが、日本型ベーシックインカム生活基礎年金の、全国民への毎月15万円の無条件支給です。

この給付で経済的不安・生活不安のかなりが払拭できるでしょう。
世帯をお持ちでしたら、夫や妻、子どもにもベーシックインカムが支給され、世帯全体の生活基盤が非常に強くなります。
一部の家事や育児・教育を外部サービスに委ねることも可能になります。

加えて、潜在保育士の方々で、賃金や勤務条件などで復帰を見合わせていた方々の一部が、保育現場に戻ってきて下さるかもしれません。

保育職員だけに支給する制度ではなく、全国民が対象です。
約57万人の保育職員はもちろん、同様に賃金など労働条件・労働環境に関する問題を抱える180万人を超える介護職員1の方々にも当然支給されます。
他にも多様な経済的な不安を抱える多くの人々がいます。
そうした市民・国民すべてをカバーする日本型ベーシックインカムについての、必要かつ適切な内容と実現の方法等を知って頂くための努力を継続させ、広げていきたいと思っています。

実は、日本型ベーシックインカム生活基礎年金は、現状の政治を変えることと一体で実現するものであることも添えておきたいと思います。
それが、先述したさまざまな保育行政の改革を始めることに自ずと繋がるのです。

賛同頂ける方、関心を持って頂ける方々のこちらへのご参加を期待しています。
⇒ 日本型ベーシックインカム実現をめざすクラウド・ミーティング
なお、日本型ベーシックインカム導入は、社会保障制度全体改革・再構築と一体のものであることも、一応、心に留めておいて頂ければと思います。

ベーシックインカムの定義再考察:JBIとは(Japanese Basic Income)

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参考:<ベーシックインカム生活基礎年金案再考察シリーズ>
ラインアップ

基本的人権基盤としてのベーシックインカム制導入再考察と制度法案創り
ベーシックインカムの定義再考察:JBIとは(Japanese Basic Income)
財源問題、所得再分配論から脱却すべき日本型ベーシックインカム
日本型ベーシックインカム実現をめざすカウンター・デモクラシー・ミーティングを開設!
BIは、日本国内のみ利用可、使途・期間限定日銀発行デジタル通貨に
ベーシックインカム生活基礎年金月額15万円、児童基礎年金8万円案
ベーシックインカム生活基礎年金15万円で社会保障制度改革・行政改革
ベーシックインカム生活基礎年金、段階的導入の理由と方法
実現シナリオ欠落の理想的ベーシックインカムの非社会性
ベーシックインカムの特徴と魅力、再確認・再考察
ベーシックインカム導入で健康保険・介護保険統合、健保財政改善へ
ベーシックインカムとコロナ禍の政府債務膨張、デジタル人民元実験との関係
コロナ禍がベーシックインカムの必要性・不可欠性を証明(山森亮教授小論より)
ベーシックインカム中央銀行通貨発行論者SS氏との仮想対話
日本型ベーシックインカム実現に思想家、哲学者、歴史家、学者は要らない。必要なのは
ベーシックサービス対ベーシックインカムの戦い?

<ご案内>
2021年以降のベーシックインカム、ベーシック・ペンションに関する記事は、新設した専門サイト http://basicpension.jp で御覧ください。

(関連記事)
保育園義務教育化と保育グレード設定による保育システム改革-1(2020/3/23)
⇒ 保育の社会保障システム化による保育システム改革-2(2020/3/24)
⇒ 幼保無償化後の現実的課題:抜本的な保育行政システム改革への途(2020/5/29)
⇒ 准公務員制度導入で潜在的労働力の発掘と活躍へ:専門職体系化による行政システム改革-3(2020/3/21)

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