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ベーシック・インカムとは-3:AIによる脱労働社会論から学ぶベーシック・インカム

『ベーシック・インカム入門』『ベーシック・インカム』『AI時代の新・ベーシックインカム論』から(後編)

私のベーシック・インカム考、これまで(一部再掲)

安倍内閣が主導した、小手先の「全世代社会保障改革」への批判と望ましい改革考察を進めるうちに、自然発生的に、直感的に思いついた「ベーシック・インカム」。
特に詳しい、専門的な知識があるわけでなく、少しずつ直感や思いつきやアイディアをメモし続けて、投稿してきたのが、以下のラインナップ。

憲法で規定された生存権と「社会保障」:全世代を対象とする社会保障システム改革-1
○○手当は○○年金!?:全世代が年金受給機会を持つ社会保障システム改革-2
所得者全員が年金保険料を!:国民年金の厚生年金統合による社会保障システム改革-3
ベーシック・インカム制の導入を!
ベーシック・インカム生活基礎年金の年間総額、216兆円
ベーシック・インカム生活基礎年金はポイント制で
ベーシック・インカム「生活基礎年金制度」続考
社会保障保険制度試論
ヘリコプターマネーではなく、ファンダメンタルマネー:全国民受給のベーシック・インカム制へ
母子家庭の貧困、子育て世帯の不安、結婚し子どもを持ちたい人たち、すべてに機能するベーシック・インカム制の議論・検討を


ベーシック・インカム関連新書3冊入手

これまでの持論を、そろそろまとまりがついたものに。
そのためには、多少なりとも専門書、それもできれば新しくて、入門的なもの。高度過ぎて、ページ数が多くて、値段が高いということがないお手頃なものを。
そんな条件で検索し、買い求めたのが以下の3冊。


ベーシック・インカム入門 無条件給付の基本所得を考える(2009年初版:山森亮氏著)
ベーシック・インカム 国家は貧困問題を解決できるか(2015年初版:原田泰氏著)
AI時代の新・ベーシックインカム論(2018年初版:井上智洋氏著)

まさに、私にとっての入門書となった、2009年初版の
ベーシック・インカム入門 無条件給付の基本所得を考える
から読み始め、次に2015年初版の
ベーシック・インカム 国家は貧困問題を解決できるか
と進めて、以下を投稿。

ベーシック・インカムとは-1:歴史から学ぶベーシック・インカム
ベーシック・インカムとは-2:リフレ派原田泰・前日銀政策委員会審議員から学ぶベーシック・インカム

そして、3冊目。
近刊と言える、2年前2018年4月30日初版のAI時代の新・ベーシックインカム論を、総括的な位置付けで速読。
今シリーズ最後の投稿になる。

AI時代の新・ベーシックインカム論から考える

過去2回のシリーズでは、私が考える各筆者の主張の対論的な記述を、ほとんどしてこなかった。
が、この3冊の入門書の紹介後の展開を考えて、今回は、井上氏の論述に対して、現状の私の考えを、一部のみ対比させて書き加えていきたい。

ベーシック・インカムの基本:<第1章 ベーシック・インカム入門>から


先の山森氏の書『ベーシック・インカム入門』と同じタイトルである第1章から、井上氏の考えるベーシック・インカムを簡潔に表現している部分を以下にピックアップした。

ベーシック・インカムとは、
◆ 収入の水準に拠らずにすべての人々に無条件に、最低生活を送るのに必要なお金を一律に給付する制度
◆ 「子ども手当+大人手当、つまりみんな手当」
◆ 普遍主義的社会保障であり、生活保護は、選別主義的社会保障
◆ 「労働」と「所得」を切り離すものではなく、「労働」と「生存」を切り離す制度


「子ども手当+大人手当、つまりみんな手当」及び「普遍主義的社会保障」。
これは、私の提案では、「児童基礎年金」と「生活基礎年金」いずれかを受け取る、全世代生涯型社会保障年金制度としている。

生活保護の選別主義的社会保障では、本来受給可能な収入基準の人々の多くが受給申請しない問題や、その認定において不公平性や権利主義的な傾向があることなどの問題が指摘されている。
この問題を解消する上で、ベーシック・インカムの有意義性が共有されている。

「労働」「所得」「生存」の関係については、今後の展開の中で触れたいので、ここでは、上記の記述のみにとどめたい。



国家内限定循環財政というロジック:第2章<財源論と制度設計>から


ベーシック・インカムを論じる時、真っ先に挙げられるのが「財源」をどうするか、だ。
この第2章<財源論と制度設計>で筆者は、以下主張する。


◆ 財政再建は必要なく、国の借金はいずれ消滅する。(だから、財源の心配は要らない。)
◆ 所得税等税財源による固定ベーシック・インカムと貨幣発行益財源による変動ベーシック・インカムの2階建てベーシック・インカム制とする。
◆ 固定BIは、最低限の生活保障を目的とし、変動BIは、景気コントロールを目的とする。


この章で、筆者は、原田氏の『ベーシック・インカム 国家は貧困問題を解決できるか』での具体的な金額を上げての提案を引用し、概ねでの理解・賛同を示している。

その主要財源として所得税とするのだが、それを「固定ベーシック・インカム」とし、それに変動ベーシック・インカムを上乗せしているのが特徴となっている。

私は、生活基礎年金部分は、基本的には、税負担方式でと考えている。
が、万一財源が不足する場合、その不足分の財政赤字を負担すべく発行した国債を、いずれ日銀が買い上げ、これと日銀の積立利益とを相殺する、すなわち国債を消却する方式で賄うことにしては、と考えている。

本書では、貨幣発行益をBIに充てるとしているが、基本は通じることになる。
日銀が上げる利益にはどういうものがあるか、なければこれからどのようにして事業収益を上げるか、が課題になるわけだ。
もう少し時間をかけて考えたい。

但し、井上氏が提案する「貨幣発行益」は、
私が考えるBIの年金は、紐付きで自由勝手に流通できる貨幣では支給されない。
例えば、ブロックチェーンを利用しての暗号通貨のような通貨となるだろう。
紙幣や貨幣の発行は行わない、国内だけかつ使途限定の通貨なので、氏がイメージする貨幣発行とは異なる形態になる。
その議論は今後必要と考える。

次の第3章<貨幣制度改革とベーシック・インカム>で、前章で提起した変動BI財源である「貨幣発行益」の活用とそのために必要な貨幣制度改革についてのロジックを示しているが、上記のような観点から、ここでのこれ以上の論述はやめておきたい。


AI時代ゆえBIという論法の是非:第4章 <AI時代になぜベーシック・インカムが必要なのか?>から


AIの導入展開が進めば、雇用が奪われるとともに、資本家と労働者の経済格差が埋めようもなく拡大する。
働かずに莫大な収益を得る資本家に対し、生計を可能にする収益さえ得られない労働者は、その収益の再分配をベーシック・インカムから得ることで、労働の苦役から逃れることが可能になる。
多くの労働がAIやロボットなどに置き換えられた、労働不要の「脱労働社会」が、ベーシック・インカムの導入により出現する。

私の稚拙な理解では、この章を端的に記すと、そうなる。

AI視点からの論陣・論客として、前著『人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊 』で脚光を浴びた同氏の得意とするところだが、多少なりとも違和感を感じつつ読み続けていった。


敵は儒教エートスか:第5章<政治経済思想とベーシック・インカム>から


最後の章は、<政治経済思想とベーシック・インカム>となっている。
日本で、ベーシック・インカムが反対される理由、それ以前に、生活保護を受ける人に対する批判や、生活保護を受けることをためらわせる理由について、日本人が抱いている「儒教」の教えに基づく行動規範・精神構造・価値観等を包括・包摂して「儒教エートス」が原因とする。

また「労働は美徳か」と疑問を呈し、働かない自由が認められる社会を肯定する。
初めは、過去と現在の政治思想におけるベーシック・インカムをテーマとして論を進めていたものが、途中から、BIを拒む精神論・道徳論に矛先を変えてしまったと受け止めた。
AI論者が、精神論・道徳論に立ち向かわざるを得ない。
なんとも不思議な総括になってしまったものだ。

万一、AIに多くの国民や政治家・政党の賛同・賛意を得られるBI導入論を、提案するように指示すれば、どんな論文や議案ができあがってくるだろうか。

少なくとも今回の3冊を読んでの思いとしては、過去の思想家・哲学者の論述、過去の活動の歴史・記述をすべて読み込み、それらを組み替えて、総花的・総論的にまとめてくるだけではないか。
そんな気がしてしまうのだが・・・。


AI時代と関係なく常態化する貧困・格差・失業等多様な社会保障としてのベーシック・インカム

筆者が想定するAIによる脱労働社会は、2045年から2060年には到来するという。
しかし、貧困・格差、母子家庭、種々の被災等による収入機会・就労機会の喪失などは、AI時代に特有のものではなく、過去も現在も、そして2045年に至る明日以降も絶対になくなることがない社会問題であり、政治課題である。

AI時代を前提としてベーシック・インカムの必要性を合理化できるわけではない。
また儒教エートスの排除をもってしても、脱労働社会とBIの理解を得ることができる保証もない。

ベーシック・インカムが、憲法第25条に規定する基本的人権に基づくこの国の社会保障制度の基本として、不可欠のものという合意形成が可能か。
同意を得られる、分かりやすく、合理的で持続可能な内容の制度・法律案を提示できるか。
その実現を公約とする政党・政治家・政治団体を形成・輩出できるか。
そのビジョンとシナリオが必要なのである。


次回以降も、今回の3冊も座右に置きつつ、私なりに総論・各論、いろいろおりまぜて、粘り強くベーシック・インカムの望ましいあり方・展開の仕方を考えていくことにしたい。

なお、参考までに、私が考える、母子家庭におけるベーシック・インカム「生活保障基礎年金+児童基礎年金」の年間モデルを以下にあげておいた。
今後の作業で変化・変更していくだろうし、今回の3冊で参考になった事柄なども反映させていくことになると思うので、現状ということで確認頂ければと思いう。

<親の生活基礎年金(月額)>
・支給額 13万円
・世代基礎控除
 ①社会保障医療基礎保険料 1万円 ②社会保障就業基礎保険料 5千円
 ③社会保障介護基礎保険料 5千円
・各種社会保障保険適用時利用可能ポイント給付額 4万円
・自由使途現金給付額 7万円


<子の児童基礎年金(月額)>
・支給額 13万円
・世代基礎控除
 ①保育(または教育)費用負担金 6万円
・自由使途現金給付額 7万円

<親子受給基礎年金合計(月額)>
・支給額合計 26万円
・世代基礎控除合計 8万円
・各種社会保障保険適用時利用可能ポイント給付額合計 4万円
・自由使途現金給付額合計 14万円

(参考):これまでのベーシック・インカム考察、ラインアップ

憲法で規定された生存権と「社会保障」:全世代を対象とする社会保障システム改革-1
○○手当は○○年金!?:全世代が年金受給機会を持つ社会保障システム改革-2
所得者全員が年金保険料を!:国民年金の厚生年金統合による社会保障システム改革-3
ベーシック・インカム制の導入を!
ベーシック・インカム生活基礎年金の年間総額、216兆円
ベーシック・インカム生活基礎年金はポイント制で
ベーシック・インカム「生活基礎年金制度」続考
社会保障保険制度試論
ヘリコプターマネーではなく、ファンダメンタルマネー:全国民受給のベーシック・インカム制へ
母子家庭の貧困、子育て世帯の不安、結婚し子どもを持ちたい人たち、すべてに機能するベーシック・インカム制の議論・検討を
全国民が持つ、近未来のマイナンバーカード:ベーシック・インカムカードとして
ベーシック・インカムとは-1:歴史から学ぶベーシック・インカム
ベーシック・インカムとは-2:リフレ派原田泰・前日銀政策委員会審議員から学ぶベーシック・インカム

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