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危ない介護保険をどうすべきか:上野さん、樋口さん、女性で政治を変えましょう!


介護保険が、大変ですよ!

先々月4月に日本を代表する著名女性、上野千鶴子さんと樋口恵子さんの編集で、岩波ブックレットで介護保険が危ない!と題した小冊子が発行された。

2000年に導入された介護保険制度が、今年2020年でちょうど20年経過した。
超高齢社会化が加速する時代。
「介護の社会化」は進んだが、介護保険制度自体は、社会保障費の抑制至上主義に大きく舵を取り、「介護保険制度は空洞化の危機にある」と上野氏。
「社会化」の意味には多少、疑問があるが。
○○の社会化という誤解、勘違い

その象徴が、今年の制度改悪ではなんとか見送られたが、次の改悪ターゲットであり続けることは間違いない、要介護1、2の軽度要介護者を市区町村の介護予防・日常生活支援総合事業に移行する計画。
しかし、いずれそれが現実のものとなる可能性が高い。

それらの改悪をササッと組み込んで、今年の改定を済ませてしまおうとした政府のシナリオを何とか押し留めようという活動を起こした、編者2人の2つのグループを母体として形成された実行委員会。
それが、全国の関係者と共に、今年1月に衆議院院内集会に臨み行った抗議の主意とその内容をしっかり記録にとどめ、今後に活かしていこうという主旨で発刊に至ったのが本書だ。

また本書では、2000年の介護保険制度誕生以来、20年を迎えた今年の改定にいたるまでの、制度改悪の歴史とその内容を、分かりやすく整理し、提示している。
その部分を確認するだけでも、本書の価値があると思う。
そのことは、また、今後起こりうることも想定する上で役に立つだろう。


介護保険が危なければどうすべきか?

介護の世界と保育の世界は似ている。
介護士の抱える悩みや怒りと、保育士の抱える悩みや怒りは、似ている。

介護士、保育士の組織化で、国会に議員を送ろう。
社会関係、人間関係を形成するのが女性は得意と盛んに自賛するが、政治の世界では、女性自身が、性別分業を自ら認めているようにしか思えないのだ。

本書に出てくる名前の方々の何人かは、著書がある。
また、介護や保育問題を専門とする新聞記者を含むジャーナリストも多く、その一部は関連書を執筆・発行している。
だが、ジャーナリズム出身の活動型女性は、政治に進まず、研究者の道に多くが入っていく。
大学の准教授か教授コースに乗る、あるいは乗っている。
あれっ、いつの間にかこの人が、この人も、という感じだ。

本を出して売れ、名前も売れて、本当に問題が大きい介護や保育など社会保障・社会福祉の改善・改革が必要と考えるなら、政治の世界に進んでくれれば良いのに、と思うのだが。

仮に、学者・研究者・専門家として、あるいは実務家・事業者として、政府や官庁の諮問機関や委員会などのメンバーを委嘱されたとしても、結局男性社会を強く残した仮設・傀儡組織では無力だったことがほとんどだろう。

もちろん、最近の黒川検事長問題でのSNSの盛り上がりと圧力での成功事例もあるが、あれはフロックといっても良い。
やはり、本丸は、政治、国会、国会議員だろう。

残念ながら、与党は当然のこと、既成野党にもその役割と責任を担う意識も能力もない。



介護・保育行政改革をめざす女性政党を創り、女性国会議員を送り出そう!


問題は、介護や保育問題に取り組むことを掲げて、国会議員選挙に出馬する女性がいないということだ。
ベーシックに考えるなら、そうした政党・団体がないのだ。
例えば、上野門下から、これまで政治の世界に入っていった女性は何人いるのだろう。
誰がいるのだろう。

当事者のようでありながら、結局は第三者であり続け、安定を求め、学生を指導することで免責を受けうるとする学者・研究者。
すべてがそうとは思わぬが、男性優位社会を批判する割には、自ら変革する先頭に立とうというモデル行動を示す女性は、現実的に増えていないように思える。

クオータ制も必要とは思うが、用意されたものがなくても、めざす介護や保育行政を変革することを目的とした国会議員を、女性自身の手で、票で送り出すこと、輩出することができるはずだ。
その組織化も選挙参謀も女性が行えば済むことだ。
なにせ、半数以上は女性なのだから。

介護職は全国に184万人はいるだろう。
保育士は約42万人。
これに潜在介護士と潜在保育士を加えれば、合計で250万人以上にもなるだろう。
その組織化を図り、介護・保育・母子家庭・障害者等社会保障改革を目的・公約とした女性政党・政治団体を創る。
もちろん、男性党員・会員の加入も歓迎する。
地方区・全国区などでの当選可能性を、介護職・保育職の地域別人数を集計し、立候補者を調子すれば、かなりの勢力を国会に送り出すことができるだろう。
当然、他の業種・職種で働く女性も、多くが賛同・参画してくれるだろう。

政治を変えなければ、介護行政も、保育行政も変えることは極めて難しい。
既得権者と自分だけ良ければの男性政治家・官僚でズブズブの社会は、女性が自ら表に立って、普通に行動して貰えば変革できるはずだ。
選挙票の半数以上を女性が持っているのだから、それを普通に行使するだけのことだ。

社会との関係作りや人間関係作り、友だちを作ることには、男性よりもはるかに長けていると自負している方々なのだから、同じ思いをしている仲間のネットワークを形成し、行動を起こすこともできたわけだ。
それをもう一歩進めて、政治社会で、ネットワーク化、組織化し、社会改革を成し遂げて頂きたいと心底思う。

それは、決して大活躍ではない。
劣化しすぎた国会議員を退場させ、妥当な考え方をする普通の見識のある女性が、普通に行動するだけのことだ。
自らを「先生」と呼び合う異常な社会の人たちとは違う普通の人たちのネットワークがあり、機能させるだけだ。



提案するベーシック・インカム制と介護との関係

ところで、私は、当サイトで、まやかしの安倍内閣の全世代社会保障改革を否定し、真の意味での全世代生涯型社会保障システム改革を掲げ、その軸として、全国民が毎月定額の「生活基礎年金」ベーシック・インカムの給付を受ける制度を提起している。

これまでの関連記事のラインアップは、以下の通り。

憲法で規定された生存権と「社会保障」:全世代を対象とする社会保障システム改革-1
○○手当は○○年金!?:全世代が年金受給機会を持つ社会保障システム改革-2
所得者全員が年金保険料を!:国民年金の厚生年金統合による社会保障システム改革-3
ベーシック・インカム制の導入を!
ベーシック・インカム生活基礎年金の年間総額、216兆円
ベーシック・インカム生活基礎年金はポイント制で
ベーシック・インカム「生活基礎年金制度」続考
社会保障保険制度試論
ヘリコプターマネーではなく、ファンダメンタルマネー:全国民受給のベーシック・インカム制へ
母子家庭の貧困、子育て世帯の不安、結婚し子どもを持ちたい人たち、すべてに機能するベーシック・インカム制の議論・検討を
全国民が持つ、近未来のマイナンバーカード:ベーシック・インカムカードとして
ベーシック・インカムとは-1:歴史から学ぶベーシック・インカム
ベーシック・インカムとは-2:リフレ派原田泰・前日銀政策委員会審議員から学ぶベーシック・インカム


また、その問題提起・改革提起と結びつくものとして、「介護行政システム改革」も提起し、これまで以下検討を進めてきている。

自立・人権・尊厳、労働生産性:介護行政システム改革の視点-1
介護士不足、介護離職、重い家族負担、中小介護事業倒産:介護行政システム改革の視点-2
介護の本質を冷静に考え、世代継承可能な制度改革へ:介護行政システム改革の視点-3


だが、どちらもまだ最終的なまとめ上げに至っていない。
時間が掛かりそうだし、掛ける必要もある。


ベーシック・インカムは、介護職の「仕事と生活の不安」をなくす


ベーシック・インカム制を仮に導入できると、間違いなく改善されることが一つある。

それは、介護士の生活が安定することだ。
現状の介護士としての賃金に加え、ベーシック・インカムが入ってくる。
子どもがいれば、子どもの分も生活費に充てることができる。
非正規で働く介護スタッフも、生活が安定することで、仕事と生活、それぞれが抱える保育と仕事、介護と仕事の両立も可能になるだろう。

低い賃金や非正規労働であったための生活不安・仕事不安は、ベーシック・インカム、生活基礎年金で、完全とは言えないかもしれないが、かなり解消される。
安心して仕事にも打ち込める。

そうすると、潜在介護士が介護の現場に戻ってくれるかもしれない。
また、介護の仕事をやってみたいと思う人が増えるかもしれない。

保育士も同様のメリットを得ることになる。
同様の状況になるかもしれない。

従い、介護職・保育職に携わる方々は、万一、ベーシック・インカム制の導入を公約に掲げる政党や議員候補がでてくれば、支持するのが望ましいだろう。
介護や保育の政治・行政を変えたいと思う人は、ベーシック・インカム制を検討し、マニフェストに加えた方が良いだろう。


介護を受ける人にとってのベーシック・インカム制


もう一つ、介護を必要とする人々にとって、ベーシック・インカムはどういうメリットをもたらすか。
これは、少し考える必要がある。

住み慣れた自宅で介護を受けたい。
生活介助や身体介助を希望する高齢者の思いは、十分理解できる。
しかし、それを望むとしたら、実質的に1対1でのサービスが必要で、同数の介護スタッフが必要になる。
それは、どう考えてもムリがあるし、ある意味贅沢というもの。
そう私は考えている。

もう一歩進めて考えると、それだけ多くの人が、介護を必要とする人と同じ数の人が、介護という仕事に携わる社会。
それは果たして望ましい社会か。
そうすると、自分より若い、かなり多くの若者も、当然現役世代も、介護の仕事に携わることになる。
そういう社会を、望ましい社会と思うか。
若い人たちの人生がそういう人生で良いと思うか。

私は、決してそう思わない。
若者には、もっと別のことにチャレンジして欲しい。

今の介護保険制度、介護システムには疑問を持っている。
在宅介護・訪問介護、通所介護。
保険料負担、介護サービス自己負担。

理想は分かるが、公平性・公正性には、検討すべき余地・領域がある。
少なくとも、ベーシック・インカムを受け取ることで、介護を受ける高齢者が介護サービスを受けることができるお金に、以前より余裕ができる。
これは、誰にとっても嬉しい。
だが問題は残っている。
実際にどれだけ、どんな介護サービスを受けられるか、それに必要な金額はどれだけか。
どこでそれらのサービスを受けることができるのか。

もう少し考えたい。
「介護保険が危ない!」と考える人たちも、もう一つ、視点を変えて考える必要があることを知ってほしい。

私も、この5年間、同居していた義母の介護について経験がある。
5年前にサ高住に入所してもらい、5年後の先月5月に特養に代わってもらった。
私たち夫婦は団塊の世代。
8050問題ではないが、9060問題から9070問題に移り、かつ自分たちの老老介護リスクも抱えている。
自分はどうするかを考えながらの毎日でもある。


2021年、2022年のベーシックインカム論、ベーシック・ペンション提案サイトへ

2021年1月に、当サイトからスピンアウトして、日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金を提案する専門サイト http://basicpension.jp を開設。
当サイトにおけるベーシックインカム提案を深堀りし、新たな考察・提案に進んでいます。
以下に、その基本的な記事の一部を挙げています。
ぜひ、同サイトを確認頂ければと思います。

(2022/2/13追記)

参考:ベーシック・ペンションの基礎知識としての5記事

日本独自のベーシック・インカム、ベーシック・ペンションとは(2021/1/17)
諸説入り乱れるBI論の「財源の罠」から解き放つベーシック・ペンション:ベーシック・ペンション10のなぜ?-4、5(2021/1/23)
生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)前文(案)(2021/5/20)
生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)2021年第一次法案・試案(2021/3/2)

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