
テレワークがもたらす新しい雇用・人事管理、新しい自分・新しい家庭
緊急事態宣言全面解除で、増え続けた解雇・雇止めに歯止めはかかるか
コロナ禍による解雇や雇止めになった人の数が1万人を超えたという。
企業経営の継続が困難となれば、当然、労働者に支払う賃金に当てる収入が絶たれるため、雇用を継続することが不可能になる。
雇用調整助成金で、正規・非正規すべての雇用の維持ができるわけではない。
非正規社員から解雇する。
ある意味、そういう時のために正規社員ではなく、非正規社員比率を高めてきている現実がある。
どうにか緊急事態宣言が全面解除になる。
緊急事態宣言下で余儀なくされた在宅勤務や、習慣化したさまざまな新しい生活様式などについて、前回、前々回、以下で考えてみた。
◆ 在宅勤務でも孤独感・疎外感を感じない働き方・生き方
◆ 新しい生活様式は、新しい仕事様式・新しい働き方様式と一体で
今回はそれを受けて、少し視野を広げて考えてみることにした。


在宅勤務型派遣労働の創出・増加・拡大
一方、在宅勤務、テレワーク化が進むことで、新しい非正規派遣社員が増える可能性を感じる。
在宅勤務・テレワークになじむ仕事・作業を派遣社員が請け負う。
スキルの開発・教育とその保証を派遣元企業が行う。
働く派遣労働者は、必要なスキルを用いて在宅で働く。
比較的単純な定型処理作業があれば、専門知識・専門スキルを活用しての判断処理作業もありうる。
解雇・雇止めで失われた雇用が、新しい雇用に転換されれば、良いわけだ。
ただ、同じ人が、水平移動するように雇用が維持できるとは限らない。
求められる職種・スキルに変化が生じる。
そこでの需要と供給がマッチするかどうか。
今のところ保証はないが。
拡大し、多様化してきた「サービス業」という業種ジャンルにおける職業・職種の多様化が、コロナ禍で、一層複雑化するとともに、内容自体が変化を強いられることになっている。
接客・接遇サービスの仕事様式の変化が、雇用の変化を招き、労働市場において必要なスキルのニーズの変化をも招いているのだ。
人はそのためにどこまで自分を変えることができるか。
どこまで労働市場のニーズに応えることができるか。
その課題にも取り組む必要がある。


在宅勤務・テレワーク社員の人事管理、評価処遇制度の見直しへ
在宅勤務は、みなし労働時間制や裁量労働制になじむ。
前回の
◆ 新しい生活様式は、新しい仕事様式・新しい働き方様式と一体で
で書いた。
実は、在宅勤務、テレワークで勤務時間をどう管理するのかという課題がある。
仕事の内容によりけりだが、会社で就労している場合の残業時間と同様に、在宅勤務でも残業は発生する。
ただ、職場に拘束されての仕事と、自宅で働くことでの拘束には、違いを感じる。
在宅勤務に残業時間を付ける必要はないと言う気はないが、自宅で残業が当たり前という働き詰め生活では、テレワークの意味・意義が半減してしまう。
本来、テレワークは労働生産性を高めることが目的の一つでもあったはずだ。
家族・家庭のさまざまな育児・介護や家事・雑事、必要事などをこなしながらの仕事という条件・前提を認めてのことだから、生産性は、結果でのみ評価されるのが望ましい形だろう。
何時間働いたかということを結果とする方式では、両立したいことの両立が叶わない可能性が高くなる。
もちろん、両立・並立で本人に増す健康リスクや過労などには十分配慮が必要だ。
しかし、その責任は、担当する仕事に関しては会社にあるが、その他の時間と負荷は本人にある。
その観点から、テレワークは、求める仕事の質量と納期、一定のコア時間や、コミュニケーション業務のための時間指定を基準化する以外は、新しいみなし労働時間制、裁量労働時間制を定めて運用することが望ましいと考えている。
そして、仕事の成果を評価し、処遇に反映させる人事制度、評価処遇制度を整備・拡充することが必要になる。
もちろん、そのプロセスおよび結果に関する相互のコミュニケーション業務の定期定例化が不可欠であることは言うまでもない。


自分営業媒体の制作、SNS活用営業システム化
テレワークをしていると、多分、ネットで情報検索する機会が増える。
本業から脇道にそれ、仕事とは直接つながらない情報、私的に興味関心がある情報、時に思ってもいなかったジャンルの情報に触れたりする。
育児や介護、時には副業や家業と在宅勤務、テレワークとの両立生活が当たり前に馴染んでくると、仕事も含んだ、新しい生活様式が整備され、拡充していくことになる。
それらの作業やスタイルを通じて、自分の媒体を持つことに関心を抱くようになる(かもしれない)。
オウンドメディアというそうだ。
ネットでのアピール、営業、ネットマーケティングにも興味が湧く、あるいは向く。
ごくごく自然な流れと認識して良いだろう。
新しい自分や新しい家庭が形成されていくと考えれば、より希望が湧いてくる。


在宅勤務の常態化で家庭内環境と機能が変わる
在宅勤務、テレワークのメリットを強調するような内容になった気がする。
昨日のニュースの中で、在宅勤務者に、カラオケ業がカラオケボックスを、旅館業が客室を提供するサービスを始めているというのがあった。
リモートワーク、テレワークを自宅以外でやりたいと考える人がいる。
そのニーズに応えるビジネスということだ。
なるほど、自宅で、自室で仕事などしたくない。
そういう人もいるわけだ。
この場合、その利用費用は、だれが負担するのだろう。
会社が、通勤費の代わりに負担してくれるのか、それとも自費か。
どちらにしても、スッキリしない。
また、ここまでは、家庭を持つ者のどちらかひとりが在宅勤務・テレワークをした場合、というイメージでの議論だった。
しかし、夫婦共働きが当たり前の時代。
もし共働き世帯の夫婦どちらもそうなったら?
共働きも、両方が正規社員、一方が非正規でパートタイム勤務、勤務時間が異なる場合・ずれる場合など、一つのパターンに限定することはできない。
在宅勤務は、男女平等を進める上で効果がある、という記事もある。
それも含め、夫婦・家族家庭の環境や役割・機能が変わることになるわけだ。
次回は、共働き夫婦の両者在宅勤務、テレワークに焦点を当てて考えてみたい。




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