地方自治体は、エネルギー地産地消化を地方創生・再生の核に

電力・エネルギー

枝広淳子教授の「全自治体にエネ担当者を」提言

「全自治体にエネ担当者を」と題した小論を読んだ。
⇒ https://www.nikkei.com/article/DGKKZO54116220X00C20A1KE8000/

大学院大学至善館・枝広淳子教授による、環境問題に端を発する再生エネルギーへの転換、自然災害被災時の対応などの観点から、地方自治体の主体的なエネルギー問題への取り組みの必要性の提言。

その提言を待つまでもなく、かつての電力自由化をめぐり注目された折り、地球温暖化対策を包含して、エネルギーの地産地消という視点が話題になったときに、みずからの行政課題と認識した地方自治体は、本当に少なかったと思う。


未実現の地方創再生におけるエネルギー政策の欠落

とりわけ、地方創生への取り組みと重ね合わせて考えれば、エネルギーの地産地消化は、十分検討に値する政策課題であったはずだ。

少子高齢化、過疎化は、遊休耕作地・不耕作地や空き家の増加を並行してもたらし、その有効活用を考えると、従来型の企業誘致ではなく、大規模農業への転換や再生エネルギー基盤への転換などが、多くの地方自治体で有効と考えられたであろう。


中長期的には、エネルギー事業を自治体事業、または半官半民事業とし、住民の電気料金を無料とする政策を推し進めることも選択肢としてある。
その実現のために、ふるさと納税制度を活用する方法もある。

地球温暖化対策・環境問題への取り組みモデルを、自治体レベルで創造・創出することで、これと関連させる産業基盤を整備することに発展可能となるだろう。

このことは、前述の小論で枝広教授が主張する自治体のエネルギー担当者という個別政策専門担当という枠にとどまることなく、地方自治体の総合事業戦略・政策の視点からの取り組みが必須であることを意味している。


エネルギー地産地消事業化は、防災・減災・災害対策を含む、地方創生・地方再生の中核政策

自然災害被災対策という後手に回らぬための、自治体財源問題と行政最優先課題は、エネルギー地産地消政策と一体化した、治水事業を包含した農林業基盤の整備・拡充とすべき。
そういう地域・地方が多いのではないでしょうか。

当然、エネルギーは、地産地消で終わりではなく、他への販売で収益事業とするもの。
これには、同一地域への進出企業への割引優遇料金での電力供給を含みます。

先日、自動車メーカー・トヨタが発表した、静岡県裾野市へのスマートシティ開発計画の核は、やはり燃料電池などのエネルギーシステムだ。
規模と質・内容は異なるが、スマートシティは、既に藤沢市などでもあるが、自治体主導型はまだないだろう。


コンパクトシティ(タウン)とスマートシティ(タウン)の統融合で地方創再生・地域創再生を!


富山市での取り組みとして知られている、自治体主導でのコンパクトシティ作りは、エネルギーの地産地消・自給自足までは組み入れていない。

コンパクトシティ(またはタウン)とスマートシティ(またはタウン)とを融合した地方創再生・地域創再生。
これが、少子高齢化・過疎化が一層加速するであろうこれからの地方の望ましいあり方と考えている。

その詳論は、機会を改めて、継続して取り組んでいきたい。

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