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同一労働同一賃金制の本質-2:総合職・一般職コース制復活と専門・専任職制との統合

今年2020年4月から導入された、いわゆる「同一労働同一賃金制」。
法改正の狙いは、非正規・正規社員どちらも同じ仕事をしているなら、賃金格差を是正し、非正規社員の経済的処遇・社会的地位の向上を図ろうというもの。

それはそれで意義があることだが、ことはそれで留まらない。
付随・関連して、非正規・正規社員どちらにもこれからの課題が発生するし、当然企業自体が、今後に向けて賃金制度に留まらず、人事制度・人材育成制度にも新たな、一部は、過去経験したような課題が積み上げられることになる。

前回は、
◆ 同一労働同一賃金制の本質-1:一部職務給型賃金制度への移行とその課題
として、主に賃金制度課題について、概略を提示した。
その最後にメモしたが、今回は、「同一労働同一賃金制」移行・導入に伴って、企業サイドが考えるべき、人事・人材関連業務と制度のあり方について、触れたい。

但し、それは当然、非正規・正規社員どちらも自分のこれからの仕事のあり方、働き方、そして生き方を考える必要があることも意味する。


総合職・一般職コース制の再構築へ:同一労働でも賃金が異なる理由の明確化

正規・非正規社員が担当する仕事が、見た目、何も変わらない。
しかし、給料も賞与も随分違う。
もし、正規社員の仕事が、ずーっとそのままで仕事・職種が変わらないのであれば、「同一労働同一賃金制」の格好の餌食?と言えよう。
違いの合理的な説明ができないから、非正規社員の処遇を引き上げざるを得ない。
そして正規社員の賃金は上がらなくなり、年収が以前より下がることさえあり、場合によっては非正規社員が正規社員になり、立場が逆転したりするかもしれない。

そこで正規社員の意欲・能力を高め、賃金が上がり、ポジションも変化・向上していくという人事運用方式を明確にしていく必要がある。
キャリアプラン、能力開発システムを整備・構築する。

そのコースにある社員が、現状は、非正規社員と同じ仕事をしているが、定期的に、あるいは、必要な時期が来たら、配置転換・職務転換・昇進昇格が行われる。
いわゆる「総合職」コース社員としてのキャリアプランのプロセスにある、と制度上明確にするのだ。
一方、同一労働同一賃金型の正規・非正規社員は、「一般職」コースにある。

過去<総合職><一般職>コースと、日本型人事制度の便法として多くの(大)企業で用いられた制度を、復活させ、当然より進化させることをお薦めしたい。

特に、意欲のある人材をより積極的に活用するために、総合職コースのキャリアプラン例を多様に提示しておくことが望ましい。


また、本人自身が自分でキャリアを切り拓いていくよう、自己申告制度を用いて、目標を立て、企業サイドと調整していく形もとりたい。

もちろん、2つのコース間での変更・移行は可能にし、<一般職>コースからの転換社員が多く輩出することも期待したい。

と、ここまでのところでは、過去の<総合職><一般職>制と変わらない感じがする(かもしれない)。


専門職・専任職制度の再構築へ:同一労働同一賃金制から評価処遇賃金制への移行・導入へ

そこで、必要なのは、そこに「専門職制度・専任職制度」を加えて、統合した人事制度・賃金制度・能力開発制度にまとめ上げることだ。

もう一つ、肝心なのは、その「専門職制度」の中に「管理職」「経営職」という「マネジメント」や「ガバナンス」業務と能力を必要とするキャリア(コース)も、「管理経営」の専門職として組み入れることだ。

そして「管理職」「経営職」の必要能力要件・実務要件に、業務改善・業務改革・業務開発を必須とすること。
「総合職」コースにある正規社員に、都度担当している、一見非正規社員と同じに見える労働=仕事の中に、ミッションとして、改善や一部マネジメント的な職務を必須として求める。
それが果たせなければ、同一労働同一賃金適用<一般職・専任職>者というグループに属することになる。

また、<一般職・専任職>コース正規・非正規社員の日々の業務の中に、それらの業務課題を本人の意欲があれば、あるいは潜在的な能力を発揮してほしいと期待する人には、それを組み入れ、評価するようにしておく。
その評価を<専任職>職務体系・職務基準の枠組みのなかで活用し、処遇にも活かすようにできれば理想的だ。

特に、非正規社員の中には、他社経験・他職務経験、家族形成・養育経験他多様な経験と能力を持つ方が多い。
それらの方々が、たとえ一日・一週間・一ヶ月の就労日数・時間が正規社員よりも短くても、活き活きと働くことができる、また働いていただける企業・職場でありたい。
そうして欲しい。


労働力人口減少社会における中小企業の人事労務課題

ここまで書いてきて、やはり、内容は、大企業・中堅企業レベルの話。
そう受け止められても仕方ないかと思う。

しかし、中小企業の強みの一つは、正規・非正規社員の絶対数が少ないこと。
人材が集まらないことでの不利は、少ないからこそ、今いる従業員一人ひとりとしっかりコミュニケーションを取り、目標をしっかり決めて、一つ一つしっかり実践・実現していくこと。

ただコミュニケーションと言っても、会話で終わるのではなく、紙に書いて、壁に貼って、結果を表示・掲示し、確認していくことが必要だ。

それをルール、仕組みにし、企業文化にし、職場風土にしていきたい。
作業改善や創意工夫に皆が取り組み。職場の雰囲気や従業員の表情が明るく、活き活きするように変えていきたい。
新しい人材が入ってくるための基盤をそこから整えていきたい。

同一労働同一賃金制の導入まで1年間の猶予がある中小企業が今取り組むべきこと。
いきなり賃金制度をどうこうするのではなく、一日・一週間・一ヶ月の一人ひとりの仕事の役割と目標・課題を一ヶ月1枚の月度業務・作業計画書に書いて、それを元にコミュニケーションを確実に取ることから始めることを提案したい。
その1ヶ月ごとの結果が、今の給料にあっているかどうか・・・。
そこから、これからどうするかを、お互いが考えてみることをお勧めする。

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