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憲法改正の最優先課題は、第四章国会:憲法改正の新視点-1

「COVID-19」後、2050年の社会システム改革に臨む


検察幹部定年延長にかかる「検察庁法改正案」の意味するもの

日本全国に対する緊急事態宣言が、昨日5月15日から39県を除くとされた。

その前後から、国家公務員の定年延長による、黒川検事長の任期延長と絡む「検察庁法改正案」の国会承認に政府・自民党が急ぐ事態に。
それに反対する著名人等のSNSでの同意リツィートが500万人を超えたことや元検事総長ら検察OBの反対意見書提出などもあって、野党が張り切り、採決が予断を許さなくなったという。

安倍応援団や右寄りの人たちは、コロナ対策の方が大事だ、検察庁法改正案などにかまけている場合か、などと、相変わらずの態度だ。

自民党がめざす憲法改正は、私権を国権が管理する流れを想定したものだ。
緊急事態宣言下の私権制限は、現状の憲法の及ぶ範囲の限界に抵触すると感じたことで、コロナ禍を受けての憲法改正の流れを跡付けする可能性もあったはずだ。
そのことと、実は、安倍の流れのメンバーである検察幹部の定年延長ゴリ押しとが繋がっていることを再確認することになる。
(深読み過ぎるとの意見もあるが。)

ただ、今回は、野党は、世論の後押しを背に、という但し書き付きでの政局の変化をもたらした(らしい)。

世論という言葉は、実は、国政に直接効力を持つものではない。
議会制民主主義においては、過半数を制する与党が、実質的に法案通過承認の権利を持っている。
要するに、現状の我が国の憲法下での三権分立は、そう機能するようになっているのだ。
ただ、唯一世論を大きく意識するのは、選挙を考えるときだ。

もちろん、民主主義自体、すべての人が納得・満足するシステムであるわけではない。
問題は、やはり、その機能の仕方、させ方を、より望ましい形・あり方に変化・変革していくことができるかどうかだ。

その機能のさせ方に、良識や世論の感じ方などをいかに加味していくか。
それがある意味内閣、与野党、国会議員の見識や思想だ。
それが疑わしい人たちが、相当数、国会議員に選出され、多額の報酬・歳費を得て一応、活動しているのだ。


そこで再度問いたい。

コロナウイルス禍、712人の国会議員は、毎日なにをしているのか

再度とは、4月22日に以下の投稿をしているから。
コロナウイルス禍、712人の国会議員は今なにをしているか

三密自粛・移動自粛が求められている時に、風俗に行った、選挙区に戻って会食や行動した、山歩きに行った・・・。
はたまた、国会開催中に、スマホでなんだか知らぬが動画を見た、堂々と読書していた・・・。

かれらは、他にやることがないのか!
議事案件の審議と採決に、全国会議員が出席する。
それも仕事の一つかもしれないが、本来、法律を設定・改正するのは、立法府・議会だ。
一つの法案に、ある意味全員が群がって、賛成か反対かに票を投じることだけが仕事では、決してないはずだ。


議員立法のない国会、閣議決定で何でもありの政治


「議員立法」という言葉がある。
本来、議員の仕事は、自ら法律を起案し、成立させることにある。
内閣と官僚が作った法案に対しての賛否を、与党野党の立場で示すことが仕事ではない。
その程度ならば、ある意味、だれでもできる。

形式的には、各党が法案を提出することがあるが、そこに議員個人が、どこまで関わっているのか見えてこない。
基本的には、官僚が提案する、与党および内閣が官僚に起案を命じる、などの方式がほとんどを占めるのだろう。

もう一つ、最近耳にすることが多く、気になる言葉に「閣議決定」というのがある。
最終決定は、内閣に委ねられている、というやつだ。
一応そういう条件で、議会を法案が通っているものについての措置なのだろう。
これこそ、国権を委ねられた政権政党とその内閣の求める形だ。
専横に繋がるリスクも高い。


変わらない政治・政治家をどうしたら変えることができるか

議員立法のない国会というのは、法律起案能力がない国会議員ばかり、ということである。
本来、国会議員に支給される歳費は、法律起案のための調査研究に必要な費用であろう。
果たして、そのために歳費を利用している議員がどれだけいるだろう。
彼らの国会議員としての活動と実績は、公開されなければならない。
カネの収支報告だけではない、議員活動の内容の報告だ。

決して、地元に何回帰ったかが実績ではない。
選挙区だけのために何をしてくれたかが実績でも当然ない。
もしそれだけならば、それ自体賄賂みたいなものだ。
なんとかいう夫婦議員がばらまいた現金ではないが(その出どころは自民党だ)、利便・利権誘導ならば、ある意味似たようなものだ。

問題は、傘がない、
ではなくて、国という社会のために、国民共通のためにどんな仕事をしたか、だ。

何をやるために、何に貢献したくて、何を改革すべきと考え、国会議員をめざし、議員のポストを得たのか。
定年がなく、次の選挙で落選すれば民間人、一般社会人に戻る不安定な仕事なのだが。

今の国会議員のままでいることが可能ならば、彼ら自らその立場・権利を危うくする法律改正は行うことはないだろう。

議員定数を減らす。
一院制にする。
議員活動・実績報告を公開する。
加えて、その評価機関を設置する。


国会議員とは、国会にサラリーマンとして通っている議員のことではない。
立法府としての国会で、その役割を果たそうと志ざし、その活動に取り組む特別職としての選ばれた職業人である。
互いに「先生」と呼び合う、謙虚さを著しく欠いた特殊な政治村の人種をいうのではない。


政治改革、国会議員改革のための憲法第四章改正

残念ながら、その適格性を欠く人々が多くをしめている悲しむべき、そして恥ずべき状況から、政治システム改革の必要性を以下で提起した。

劣化する国会議員・国会・議院内閣制:絶対不可欠の政治システム改革-1
一院制移行・議員総定数削減と選出システム改革を:絶対不可欠の政治システム改革-2

前者では、議院内閣制自体の改革も提起したが、最も主張したかったのが、専門分野を持つエキスパート議員の必要性であった。
それを受けて、後者で、一院制への移行、議員要件に関する選挙制度改革などを提起した。

その2つの記事は、4月上旬に開設した当ブログサイトよりも以前に他サイトに投稿したものを転載したものだ。
その時には2030年の改革としていたが、当サイトで2050年を一つのゴール、区切りとして、時間がかかる改革課題への取り組みが必要と考え、2050年の社会システムに位置づけた。

なにより、その政治システム改革は、「憲法改正」「憲法改革」なしには実現できないのだ。
内閣のあり方も、行政のあり方も、そして社会保障のあり方も。
すべては、国会と国会議員のあり方を改革することからしか始まらない。

コロナ禍でさまざまな問題が起き、問題を認識し、これからの社会、国、仕事、生活、事業経営、教育、医療、そして国際関係など諸々の課題について根本的に見直し、構築すべきことが分かった。

国会議員こそ、その認識を大にし、自身の果たすべき役割や責任を再構築すべきだ。
そういう意識を持ち、思考と行動を変え改め始めている議員は、果たしているだろうか。
いるならば声を上げるとともに、何に取り組むか、何を改革すべきか、研究と行動を起こし、情報発信を始めてほしい。


真の革新とは?

もし野党が真の意味での革新を標榜し、めざすなら、革新と呼ぶにふさわしい国会改革や行政改革、社会保障改革などを、財政改革と統合して研究し、提案して欲しい。
当然その活動があってこそ、自らの手で「憲法第四章国会」を改正することに至る。
これこそが革新であろう。
「護憲」、そして改革すべき憲法に守られている「護議員」からの脱却でもあるからだ。

もちろん保守自民党にもそこに参画する権利はある。
国民を守る、という「保守」ならば、新たな革新領域に乗り出す「新保守」としての地歩を築くことも可能になろう。
決して、自衛権に第一章に関する「憲法改正」を目的とするものではない。
望ましい2050年の社会システム改革のビジョン構築とその実現のための「憲法四章国会」最優先としてのものである。

コロナ禍で、欧米において、保守そのものの政権が、従来の路線から転換して、野党革新的な政策を打ち出してきていると評価されている。
しかし、厳しく見ると、選挙を多分に意識してのもので、抜本的な改革・革新をめざしているものではない。
ただ一時的な発想・思想にとどまることなく、革新にふさわしい、新しい政治・政策に転換する可能性は、こうした異常時・危機に瀕した経験から生まれること、転機となることは十分にある。
また経験を活かす、ということからも期待したいものだ。

しかし、そんなことを期待できる政治家、国会議員は現実的に存在するだろうか。

次回は、まず改正に着手すべき「憲法第四章国会」の内容を確認し、今後のあり方について考えてみたい。


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