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ECONOMIC POLICY

電力行政改革によるエネルギーシステム改革-1

【2030年の社会システム改革シリーズ5】


電力自由化とは何だったのか?

2016年、鳴り物入りでスタートした電力(小売)自由化。
言葉通り受け止めれば、きっと電力料金が安くなるのだろうと期待するが。
実際は、再生可能エネルギーの旗頭、太陽光発電の普及を狙って高い料金で電力を買い取り、そのコストは消費者が負担。
一定期間の我慢で済むのならいいのだが、その後の展開は言わずもがな。

参入した民間企業や個人は、どんどん買取価格を下げられるは、送配電線の利用の原子力発電優先等意味がわからぬような理由で、太陽光電力の買い取りを拒否される出来事があったり・・・。

当然想定されたことだが、再生エネルギー比率の引き上げなど画に描いた餅。
原発や火力発電の輸出を相変わらずめざし、パリ協定等環境問題に対する取り組みはもちろん、とてもグローバル社会において信頼を得るどころか、批判の対象となっている。
経済・財界ファースト丸出しの国。

唯一の原爆被爆国であり、東日本大震災・福島第一原発事故の後処理問題の見通しがつかない国なのに、原発にしがみつく日本。

今日の報道では、地球温暖化の要因である温室効果ガス中最も影響を与える二酸化炭素濃度が、日本とその近辺で、昨年過去最高を記録したとあった。



既存大手電力企業主体の電力行政温存では、何も変わらない

電力自由化という心地よい響きに誘惑されて参入・参加した民間と個人。
しかし、発電した電力の販売や活用を自由にできなければ、それは、不自由電力。
その権限は、大手電力が握ったままなのだ。
以前の携帯電話の自由化とはまったく違うのだ。
(その携帯電話市場も、結局大手形成が落ち着くと、ほぼカルテル化した状態で固まり、料金は高止まり。新規参入の楽天の苦戦が自由競争の実態を物語る。)

その昔、3公社5現業と言われたものの殆どが民営化された。
電力は不思議なことに、東電初め関西・東北・北海道・九州・中国等地域単位での独占体制が維持され続けてきた。

そして今は、福島第一原発事故により東電が国有化された現実がある。
その原発問題に加え、地球温暖化・環境問題、化石燃料資源枯渇問題など大きな、かつ将来にわたる困難な課題がある。
電力自由化という狭い視点だけではなく、エネルギーの自給自足・地産地消という課題の国家レベルでの取り組みが必要なのは、安全保障上からも言うまでもなかろう。

新型コロナウイルス禍で原油やシェールガスの価格が大きく下落していると聞くが、経済が戻れば、それらの輸入コストや企業収益が常にその動向に左右されるのは、このままでは今後も続くことは当然である。


エネルギー事業の一部国有化、送配電網の国有化を

大手電力が地域単位とはいえ、送配電の権限を独占していては、いつまで経っても真の意味での発電事業・電力売買事業の自由化は実現すまい。
太陽光発電等後発の電力事業参入企業は、手足を縛られた状態で事業を継続するようなものだ。

そこで、民間電力事業者は、発電事業で競争してもらい、生産性の向上・コストの削減に注力してもらおう。
送配電網は、国有化し、その維持は民間に委託する。
また、電力購入も国の購買機構が行う。
いわゆる発送電分離だ。
電線の地中化も並行して進める。

そこで、総配電網の設置・維持コストをどうするか。

電力消費者からは、送配電網利用費を徴収する。
正式に国の事業への移管時期を、例えば2030年とする。
それまでは、毎月全戸・全企業等利用者から、消費電力量に応じた料率による料金を、送配電網整備基金として電力料金に上乗せして徴収し基金に積立てる。

既存設備は、大手電力から買取るか、移管後の利用料金と相殺する。

なお、現状都市ガス会社やLPG会社が電力販売事業に乗り出し、電力大手が顧客を失っている。
多少は、消費者の電力料金が下がっているのだろうが、仕組みとしてコストが下がっているのではなく、主業とバンドルさせての価格引き下げで、本質的な改革の成果では決してない。

販売事業は民間企業が行ってもある程度の競争にはなるだろうが、製造事業構造がどうなっていくかにかかっている。


電力行政改革のめざすものと基本方針

電力・エネルギー事業は、社会経済、暮らし・企業活動において絶対不可欠の社会的基盤=インフラ(ストラクチュア)だ。
それは、いかなる事件・事故・災害があっても守らなければならない。
化石燃料を資源とする電力エネルギー政策において、資源の枯渇リスク、資源戦争リスク、価格不安定リスク、安全性リスクなどを考慮し、種々想定し、想定外も想定内とした対策を、中長期にわたって構築する必要がある。

国家レベルで、電力エネルギー行政改革に取り組むべきだ。

その基本方針の軸とすべきは、以下となろう。

1.電力エネルギーの自給自足体制構築
2.再生可能エネルギーへの完全移行
3.水素社会の実現
4.それらを可能にする技術開発
5.電力エネルギー管理システムの構築(世帯・事業所・自治体・国家、対外等)
6.それらに関する技術・ノウハウの蓄積と海外への販売・提供

上記に関する政策は、国家レベルでは一応課題にはされているが、現状本気度が弱く、明確なビジョン、長期計画、資金投入計画までにはまったく至っていない。
EV化、蓄電及び蓄電池技術、スマートシティ創り、水素ステーション増設、
エネルギー地産地消の実験的取り組み、風力発電事業拡大・・・。
個々には、民間主体で進められてはいるが、全体ビジョンに基づくものではなく、一体感も共通のスケジューリングもない。

やはり、電力エネルギー行政の大改革抜きには、この国家レベルプロジェクトはなし得ない。
これもやはり、【社会システム改革】の一要素、ピースとして欠かせないのだ。
それは当然、次世代の社会と人のための改革であり、先行世代と現役世代の果たすべき務めである。

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