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少子化と結婚しない人の増加、その背景・要因:2021年人口動態統計からの欠かせない視点

少しずつ、よくなる社会に・・・

6月3日厚生労働省発表「2021年人口動態統計」に関し、以下の2記事を投稿しました。

2021年出生数81万人、出生率1.30。過去最低2005年1.26に迫る:2021年人口動態統計より(2021/6/5)
過去何も生んでこなかったマスコミの少子化対策政府批判:2022年年間出生数80万人割れ警鐘の人口動態統計(2022/6/6)
これに続き、同テーマで、<出生数減少・出生率低下><少子化>問題についての別の2つの視点からの論述を取り上げたいと思います。

婚活事情視点での、少子化と結婚しない男女増加問題

初めは、先日、ちょうど6月3日に厚労省の「2021年人口動態統計(総覧)」が発表された翌4日の配信で、結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリストである植草美幸氏による
少子化と婚活の深い関係。令和時代の結婚できない男女の問題点は?(植草美幸) – 個人 – Yahoo!ニュース
というネット記事からです。
その記事で冒頭用いられているデータが、今年2月の<速報値>段階での数字であったので、少し前に書かれたものだったのかもしれません。

視点は、婚活事業に長く携わってきた方のもの。
出生数減少・出生率低下の要因を、非婚の増加と経済的要因としているのですが、関係付けて、結婚・出産・育児をめぐる現実の一面をデータを用いて説明しています。


夫婦の最終的な平均出生子ども数を表す完結出生児数は、2010年1.96人

出生率は、低下を続けてきている結果、2021年1.30までに。
しかし、夫婦の最終的な平均出生子ども数を表す<完結出生児数>は、2002年2.23人までの30年間は安定的に推移し、2010年にはじめて2人を下回って1.96人。
すなわち、結婚をした夫婦は1970年代から変わらず、平均2人の子どもを持っているといえます。

結婚する人が減っているための出生数減少

要は、結婚する人が減っているから、未婚者・非婚者数が増えているから、出生数が減っている。

増えるコロナ以降の婚活開始者、変わらぬ結婚に対する意識と現実

特に独身主義が増えたということではなく、実際には、コロナ以降に婚活を始めた人も増加。
そこでの問題は、男女ともに結婚・婚活に対する意識や現実にあるとしています。

その論拠として用いているのが、経団連が今年4月に中央大学山田昌弘教授を講師に招いて「日本の少子化対策はなぜ失敗したのか」というテーマでオンラインで開催した人口問題委員会の要約。
日本の少子化対策はなぜ失敗したのか (2022年5月19日 No.3544) | 週刊 経団連タイムス (keidanren.or.jp)
この資料からの引用が主です。
整理・確認します。

日本社会の構造にかかわる少子化問題

少子化は結婚や出産だけの問題ではなく
1)少子高齢化
2)経済停滞
3)格差社会の進行
4)男女共同参画の停滞
の4つのトレンドが相互に関連し、悪循環を生み出してきたと認識。

2)3)4)と関連する非正規雇用の増加で、若者は将来に期待を持てなくなっていることはもちろんあるが、以下の事情・状況を認識しておくべきとします。
・「男は仕事、女は家事」という日本特有の制度・慣行・意識が大きく変わっていない
・娘の結婚相手の収入を気にする親も多い
・収入が相対的に少ない男性が結婚相手として選ばれない一面がある
・保育所を増やしても、収入が不安定な男性の結婚は増えない
・女性の収入にかかわらず、「男の方が年収が高いほうがいい」と漠然と考える女性が多い
・日本では親と同居の独身者が多い
・将来にわたり親に子育ての責任がかかる
・精神的に親離れ・子離れできてない独身者が多い
ということで、主に「女性の婚活における課題は、親世代の価値観からの脱却」にあるとしています。

もう一つ男性の婚活課題は、「自立とコミュニケーション」であると。
すなわち、女性の社会的な活躍が進めば、相手の男性選びにおいては、収入以外の、家事力や生活力を持っているか、自炊の可否、生活費の把握、肥満を含む健康管理、服装の清潔度等自立できているかなで厳しくみられる。
とすると、実家暮らしよりも、自立した一人暮らしの方が選ばれる傾向が高い、が、自立は最低限の話なので、プラス評価にはつながらない、と厳しいです。
そして、年収が低くてもコミュニケーション能力に魅力があり、働く女性のサポートができる男性はマッチングの幅が広がる、とアドバイスします。

そして総括して、まずは「結婚したい」と思っている自分自身の良いところを伸ばし、足りないところを補い、意識や行動を変えてみることで結婚観をアップデートし、マッチングの幅を広げることが、スモールステップながら、最速の道と結んでいます。

なお、経済の停滞から、賃金が上がりにくい状況はもう30年も続いているが、一時的な経済支援が少子化対策になるかは様々な議論があり、もはや待ったなしの状況です。
このひと言も添えられているのが、結構ズシリときます。
私には「一時的な経済支援が少子化対策になる」とは到底思えません。
ゆえに、本稿の最後の主張・提案に繋がります。


山田昌弘氏著<『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』で考える絶対不可欠のBI論>シリーズ

実は、こうした意識面・価値観や社会的構造を重視して少子化問題を論じた書が、その経団連の人口問題委員会のテーマとされている、家族社会学の第一人者山田昌弘氏の著書『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?~結婚・出産が回避される本当の原因』(2020/5/30刊)です。
そして、ちょうど1年前にその書を参考に用い、私は、<『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』で考える絶対不可欠のBI論>というシリーズを http://basicpension.jp に投稿しています。
前年の<人口動態統計>が発表される前後でのことで、
『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』シリーズを終え、結婚・非婚・単身をめぐる検討・考察へ(2021/5/30)
でもその説明を行いました。
ぜひ、以下の記事をご確認頂ければと思います。

結婚・子育ての経済的側面タブー化が少子化対策失敗理由:『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』で考える絶対不可欠のBI論-1(2021/5/24)
夫婦・親子をめぐる欧米中心主義的発想が失敗の理由?:『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』で考える絶対不可欠のBI論-2(2021/5/26)
少子化の主因、リスク回避と世間体意識変革は可能か:『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』で考える絶対不可欠のBI論-3(2021/5/27)
山田昌弘氏提案の少子化対策とは?:『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』で考える絶対不可欠のBI論-4(2021/5/28)

家事・育児負担の女性への偏りと女性の低賃金と家族形成問題

次にもう一つ。
人口動態統計公表の翌日6月4日付日経記事
「出産する人生を描けず」 家事・育児時間、女性5倍: 日本経済新聞 (nikkei.com)
を少し紹介します。

婚姻率低下に伴う「子どもを持ちたい」意欲の低下

出生率が下がる大きな要因として上げられるのが、若い世代の子どもを持ちたいという意欲の減退。
その前提条件となる婚姻率は、新型コロナウイルス禍が拍車をかけ、低下し続けています。
日本は結婚して出産する人が大多数であり、未婚化は少子化と直結。
人口1000人に対する婚姻率は2019年4.8が、2020年4.3、2021年4.1に。

これまで結婚した夫婦の出生意欲は高いとさ<出生動向基本調査>では、ここ30年間で夫婦が持つ予定の子どもの数は減り続けており、15年は2.01人と過去最低。
一方、未婚女性で「結婚せず仕事を続ける」と答える人は増え続けており、「結婚しても子どもを持たずに仕事を続ける」とあわせると25%を占める。
これは、未婚女性の4人に1人が「出産する人生を想像できない」と考えていることを示しています。


経済的不安がもたらす希望出生率低下。2010年1.8から2015年1.75に

若い世代の結婚や出産への希望がかなった場合に実現する「希望出生率」。
2010年の調査では1.8とされた値が、2015年の調査結果では1.75に低下。
経済的要因が大きいとされています。
2015年の出生動向基本調査において、妻が30~34歳の夫婦が理想の子ども数を持たない理由として「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」と8割が回答。

家事・育児時間の分担の女性への偏りと女性の低賃金がもたらす出生事情

そこに、前述した社会構造問題を描いた上で、古くからの性別役割分業を示す、男性と女性の家事・育児時間の分担の偏りを指摘しています。
また、よく引き合いに出される、子育て支援にかかる日本の家族関係社会支出、2019年度GDP比1.73%という低さも。
こうして十分な予算が充当されず子育ての社会化が進まず、家庭のなかで女性が負担を背負う構図が浮き彫りに。
それが、女性のキャリア形成や昇進機会の喪失、低賃金、同雇用環境における男女賃金格差、管理職数格差に結びつく。
それらは、今回の統計データで示された、世代別出生率における現在20代後半の女性の出生率が、0.53という著しい低さの遠因といえるでしょう。
こうして結婚や出産の希望はかなえられず、少子化はさらに加速します。

キャリア形成は出産前に、という意見

女性記者によって提起されたこの記事のまとめは、さすがに男性編集者・記者の経済至上主義の紋切り型と少しだけ異なり、
「企業は長時間労働の見直しなどの働き方改革はもちろん、出産前など早めにキャリアを積んでもらうよう取り組む必要がある。」
としています。
「出産前のキャリア形成」
私も、この考え方に「形成」に「経験」を加えて賛成です。
しかし、その前提として
「女性活躍推進法に関するこの夏の省令改正で今後、大企業は賃金格差の情報開示が求められるようになる。これを契機に、社会がさまざまな男女格差に目を向けないといけない。」と。
これではやはり大企業しか向いていないことと、「社会」という曖昧な、具体性を欠く正体不明の当事者責任を問うていることを示しており、残念ではあります。

西暦2☓☓☓年、日本人の子ども人口は1人に

東北大の「子ども人口時計」によると、子どもの減少率がこのまま続くとすると、2966年10月5日に日本人の子どもはひとりとなる。
日本にも「社会が結婚から子育てまで伴走する」という強いメッセージと、それを裏打ちする政策が欠かせない。
女性の自立を支え、若い世代が安心して子育てできる社会につくりかえなければ、出生率の改善は永遠に望めない。


最後の最後がこの文章です。
「社会をつくりかえる」方法・政策とはどういうものか。
「社会が結婚から子育てまで伴走する」メッセージの裏打ちをする納得度・実現度の高い、少子化を抑制し、出生数と出生率を上向かせる政策とは、何が有効か、効果をもたらすか。
女性の声を活かす政治のあり方の変革提案も含めて、踏み込んで頂きたいと願うものです。

私は、社会保障制度全体の改革の基盤として、憲法規定の基本的人権に裏付けられた生活保障を目的に、すべての国民への無拠出・無条件で、財源フリーの、日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金を支給することを提案しています。
これこそが、「社会をつくりかえ」「社会が結婚から子育てまで伴走する」裏付けとなる政策なのです。

                     少しずつ、よくなる社会に・・・

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