
○○手当は○○年金!?:全世代が年金受給機会を持つ社会保障システム改革-2
【2030年の社会システム改革シリーズ2】
前回から、2030年の社会システム改革シリーズの2番目のシリーズ、「社会保障改革システム改革」を始めました。
第1回は、
◆ 憲法で規定された生存権と「社会保障」:全世代を対象とする社会保障システム改革-1
今回は、第2回です。
現役世代の負担と高齢者の受給の不公平問題の現実
安倍内閣の掲げる全世代型社会保障改革の狙いは、現役世代の負担の大きさと、高齢者の受給の大きさ・多さの不公平感を少しでも抑制するため。
その方法は、主に高齢者の医療費等の負担を現状よりも増やすことや、年金受給開始年齢を遅らせることが可能にすることなど。
あるいは、高齢者にこれまでよりももっと働いてもらい、年金給付を抑制する、あるいは、そうして現役寿命?を引き伸ばし、現役世代の対象を拡張する手。
これが全世代型社会保障制度改革などとは、とても言えるものではない。
では、この現役世代対高齢者の不公平感の戦いは、実際のところどうなのか?
こと厚生年金保険料や健康保険料の負担額を、過去の高齢者の負担と比較すると大きな格差があることは間違いないと思われる。
しかし、年金以外の社会保障制度や労働保険制度も加えると、現役世代が受ける給付や一時金は、それなりにある。
例えば、健康保険料会計を原資とする、出産育児一時金や出産手当金。
例えば、児童手当。
手当や一時金という名称になっており、給付される額も十分というわけでは決してないが、現役世代とその子どもに対する給付だ。
失業時に雇用保険で給付される失業手当も。
もちろん医療保険は、保険料の負担感も大きいが、医療給付も保障されている。

給付方式と給付額を改善すれば年金化可能な社会保障制度
ということは、すべての社会保障制度と労働保険制度を統合・再編成することで、現役世代がやる気と安心感と将来への夢を持つことが可能になるのでは、と考える。
もちろん、これ以上負担が増えないことを前提とするのが理想だが、高福祉高負担でもそれが可能になれば納得できるのではないだろうか。
ただ、これからは「(社会)福祉」という表現は「(社会)保障」に改める制度改革、システム改革である。
そのための課題の一つは、手当の年金化、年金と呼ぶに値する手当の額の年金額化である。
そして、各年金をだれに支給するか、その給付対象体系の構築が大前提となる。

後継世代・現役世代・高齢世代、全世代・生涯にわたる年金等社会保障給付システム
もちろん、現役世代・高齢世代が負担する保険料等と公費などの財源システムの改革が前提での生涯型社会保障システム改革である。
しかし今回は、まず、全世代・生涯年金制度の枠組みのみを提起したい。
1.後継世代:新生児から成人を迎える前までの世代。本人受給分
(1)新生児年金(現状の児童手当を年金化。金額再検討)
(2)児童年金( 同上 )
(3)教育年金(高等教育奨学金的給付。社会人準備。満18歳迄。要件あり)
(4)遺族基礎年金・遺族厚生年金
2.現役世代
(1)新生児養育年金(満1歳未満の新生児を養育する親権者に給付)
(2)幼児養育年金(小学校未就学児童を養育する親権者に給付)
(3)児童教育年金(中学校卒業までの児童を養育する親権者に給付)
(4)失業年金(失業時年金)
(5)遺族基礎年金・遺族厚生年金
3.高齢世代
(1)老齢基礎年金
(2)老齢厚生年金
この「全世代年金受給システム」と呼ぶべきこの制度は、真の意味での「国民皆年金システム」である。
そして繰り返すが、社会保険制度と労働保険制度を統合した社会保障制度である。
これに加えて、広義の社会保障制度の中に組み込まれる社会福祉制度も、再構築が必要になる。
障害者福祉、母子家庭・父子家庭支援福祉、生活保護なども、同様に福祉年金システムとして、年金システムの一部に組み込まれることになる。
なお、この全世代・生涯型年金システムは、マイナンバー(個人番号)カードシステムを基盤とし、個人番号(マイナンバー)を年金基礎番号とする。
次回、この統合年金制度の前に手を付けておくべき、現状の国民年金制度と厚生年金保険制度の改善・改革について考えてみたい。

この記事へのコメントはありません。