経済成長主義に基づく子育て支援政策の限界:山口慎太郎氏「子育て支援論」から考える-4(総括)

現役世代ライフ

少しずつ、よくなる社会に・・・


今月2022年5月下旬、柴田悠氏著『子育て支援が日本を救う(政策効果の統計分析)』(2016/6/25刊・勁草書房)『子育て支援と経済成長』(2017/2/28刊・朝日新書)の2冊を参考にして以下の5回シリーズ記事を投稿。

<第1回>社会学者が行う子育て支援政策提案への経済学アプローチの違和感:柴田悠氏「子育て支援論」から考える-1(2022/5/20)
<第2回>保育サービス支出総額だけの統計論のムリ筋:子育て柴田悠氏「子育て支援論」から考える-2(2022/5/22)
<第3回>気になる出生率向上と子育て支援との関係性の希薄さ:柴田悠氏「子育て支援論」から考える-3(2022/5/23)
<第4回>増税・財源確保の子育て支援政策のムリ筋:柴田悠氏「子育て支援論」から考える-4(2022/5/24)
<第5回>子育て・保育の本質から考えるべき政治行政と財政政策:柴田悠氏「子育て支援論」から考える-5(総括)(2022/5/25)


これに続いて、山口慎太郎氏『子育て支援の経済学』(2021/1/20刊・日本評論社)『「家族の幸せ」の経済学 データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実』(2019/7/30刊・光文社新書)を参考にしての<山口慎太郎氏「子育て支援論」から考える>シリーズ記事を。

<第1回>:現金給付・育休制度で出生率は向上するか:山口慎太郎氏「子育て支援論」から考える-1(2022/5/27)
<第2回>:親にとって子育ては次世代への投資か?:山口慎太郎氏「子育て支援論」から考える-2(2022/5/28)
<第3回>:子育て支援は女性活躍が目的なのか?:山口慎太郎氏「子育て支援論」から考える-3(2022/5/29)
に続いて今回は第4回。
今回が最終回で、本書の総括を行い、加えて、先に終えている上述の柴田氏論との比較を加えます。


山口慎太郎氏著『子育て支援の経済学』『「家族の幸せ」の経済学』から考える子育て・少子化対策論-4(総括)

山口氏「子育て支援論」書の特徴

EBPMを想定した経済学学究書として

<日経・経済図書文化賞>を受賞し、
いま日本に必要なのは、「次世代への投資=子育て支援」。そのエビデンスをこの一冊に凝縮!
と表紙帯に表してある本書『子育て支援の経済学』(2021/1/20刊・日本評論社)。
<家族の経済学>と<労働経済学>を専門とする山口慎太郎氏のまさに経済学書であり、これに先行して発売されているもう1冊の『「家族の幸せ」の経済学 データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実』(2019/7/30刊・光文社新書)の表紙帯には、あの『「学力」の経済学』(2015/6/18刊・)の著者であり、EBPM提唱者としても有名な中室牧子氏が、
「私が選んだ、2010年代のベスト経済書。ものすごくわかりやすいのに、知的刺激に満ちた一冊」
激賞しています。

テーマそのものは、保育・教育(行政)制度、社会保障政策であり、社会学的書であると思うのですが、明確に「経済学」とうたっていることもあって、統計データを用いて種々の理論を用いたこれまでの事例に基づく、あるいは筆者自身の手による調査研究に基づく、実証分析、効果評価をふんだんに紹介。
そのため、種々の分析手法や経済理論の紹介を、それらの事例を扱う際に提示し、そのためにかなりのページ数を費やしています。
各章の最後には、「○○の理論モデル」と題した<数学補論>というコラムを設けていますし、書の最後には、

付録 実証分析の理論と作法
A 因果推論
 A.1 差の差分析 A.2 操作変数法 A.3 回帰不連続デザイン 
B 限界介入効果の推定
C 構造推定:構造モデルの構築とその推定方法

というそのための解説付録も丁寧に付けられています。

第1部から第3部までの各記事のテーマ、「出生率向上」「次世代投資=幼児教育」「女性活躍=女性就業」を<子育て支援>政策において目標とし、EBPM化することを主張・提案した『子育て支援の経済学』。

しかし、日本を含め世界各国で多様・多面に展開されてきた「育休制度」や「保育改革」の実証分析や効果評価は、当然のように、一色に染められた結果を導き出してはおらず、却って、政策の選定・決定が難しいことを示すことになっています。
それはあたかも、EMBPとは、多様な結果を想定することが必要であることをエビデンス化することを意味する皮肉を含むものではないかと感じるのです。
いや、実証分析とは、本来そういうもの、そういうことになるものと私は思っています。
まさに多様性・複雑性を、人間の、社会の、国家の行動が包摂しているものであると。

従い、経済的効果を証明するための最も重要かつ有効であるはずの「費用対効果」が、こうした実証分析・効果測定では算出・算定が困難であることも、文中に示しています。

社会政策面からの総括

社会保障政策、保育政策という視点から本書を読むと、一応<出生率の向上>をはじめに取り上げていますが、結局は、子育て支援政策=女性就業促進政策、とシナリオを当初から決めて本論を進めてきた感を強く感じています。
これこそ山口氏の<労働経済学者>たる所以であるとも。
そして恐らく同氏の研究には、政府からの補助金が支給されていることが影響していると考えることも可能でしょう。
子どもをもち、育てるという人間の根源的な営みを、育休制度や母親の就業促進政策との関係性をもとにして考えることは、本来EBPMに寄与することを想定した研究になじまないものと思うのです。
結果として、その思惑が達成されていないことで、証明されていると言っても支障ないでしょうし。

本書の構成からすると、政策を考えると、各回の記事での総括でほぼカバーしていると思いますので、ここまでとしたいと思います。
なお、過去、山口氏が日経上における論述を対象として書いた記事を参考までに以下に挙げました。
幼保無償化後の現実的課題:抜本的な保育行政システム改革への途(2020/5/29)
5歳児幼児義務教育化と0~2歳乳幼児への幼児教育化を:「子ども庁、何を優先すべきか」より-2(2021/6/14)

ここで、同氏のもう一つの書『「家族の幸せ」の経済学 データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実』について、総括とまではいきませんが、少しだけ触れておきたいと思います。

『「家族の幸せ」の経済学』から考える

本書は、次の6つの章立てとなっています。
先の書に比べて、中室氏が激賞したほどのエビデンスの手法などは意外に少なく、トピックスレベルで数字を用いての論述主体の書で、先述書が研究者や行政担当者を念頭においたものであったことに対して、一般人向けに、興味関心を喚起させる読みもの風となっているのが特徴です。

第1章 結婚の経済学
第2章 赤ちゃんの経済学
第3章 育休の経済学
第4章 イクメンの経済学
第5章 保育園の経済学
第6章 離婚の経済学


第1章の<結婚の経済学>が期待外れだったことは、既に述べました。
他では、よく言われる、赤ちゃんは母乳で育てるべき、とか、子どもにはTVゲームは有害だ、とか、イクメンがどうこう、とか、少しばかり揶揄・話題化された一般的な議論の対象となっているようなエピソードを挿入しているのです。
中室氏と共に、本書を推奨している大竹文雄氏が「結婚、子育てて悩む人に、最新のエビデンスとその活かし方を気鋭の経済学者が教えてくれる」と言っていることがそれを証明しています。
しかし、出産、子どもを持つことの経済学は、一般人向けのものとして本書に組み入れられることはなく、先述書では、「次世代のための投資」という本質を欠いた、本質から外れた扱いになってしまっていることは、極めて残念なことであります。

まあ、新書ですので、軽い読み物としては、お薦めできる書です。

柴田氏・山口氏二人の子育て支援論の違いと共通点・類似点

冒頭紹介したように、先に柴田悠氏の2書を取り上げたシリーズを終え、引き続き、山口慎太郎氏の2書を対象としたシリーズに取り組み、最終回を迎えました。
ここでお二人の<子育て支援経済(学)論>を簡単に総括しておきたいと思います。

経済学書としての両書の展開方法の類似性・共通性

はじめに、柴田悠氏著『子育て支援が日本を救う(政策効果の統計分析)』の展開を確認します。

子育て支援が日本を救う 政策効果の統計分析
はじめに
第1章 本書の問いと答え ー 子育て支援が日本を救う
第2章 使用データと分析方法
第3章 財政を健全化させる要因 ー 労働生産性の向上
第4章 労働生産性を高める政策 ー 女性就労支援・保育サービス・労働時間短縮・起業支援など
第5章 女性の労働参加を促す政策 ー 保育サービス・産休育休・公教育
第6章 出生率を高める政策 ー 保育サービス
第7章 自殺を減らす政策 ー 職業訓練・結婚支援・女性就労支援・雇用奨励
第8章 子どもの貧困を減らす政策 ー 児童手当・保育サービス・ワークシェアリング
第9章 政策効果の予測値
第10章 財源はどうするのか ー税制のベストミックス
第11章 結論 ー 子育て支援が日本を救う
あとがき


以上の章立てに従い、第3章から第8章までの個別政策課題を対象とした章では、
(背景)⇒(先行研究で残された課題)⇒(仮説)⇒(データと方法)⇒(結果)⇒(結論)
というロジックを用いて、<政策効果の統計分析>のサイクルを回していきます。
そこでの技術・手法に関する解説が、第2章と第9章であり、各章の実行を支える財源論が第10章、問題提起と結論が第1章・第11章という展開です。
その方法をとるため、同じ情報を繰り返して用いることになり、ロジカルであるはずのものが、逆に読みづらくなっている点があるのが残念です。

一方、山口氏の『子育て支援の経済学』の展開は、次のとおりです。

『子育て支援の経済学』
はじめに
第1部 子育て支援で出生率向上
 第1章 なぜ少子化は社会問題なのか?
 第2章 現金給付で子どもは増える?
 第3章 保育支援で子どもは増える?
 第4章 少子化対策のカギはジェンダーの視点?
第2部 子育て支援は次世代への投資
 第5章 育休制度は子どもを伸ばす?
 第6章 幼児教育にはどんな効果が?
 第7章 保育園は子も親も育てる?
第3部 子育て支援がうながす女性活躍
 第8章 育休で母親は働きやすくなる?
 第9章 長すぎる育休は逆効果?
 第10章 保育政策で母親は働きやすくなる?
 第11章 保育制度の意図せざる帰結とは?
付録 実証分析の理論と作法


以上の各章において、(はじめに)⇒(取り扱いテーマの基本データ・政策等)⇒(政策評価の考え方)⇒(実証分析が示す○○○○の効果)⇒(おわりに)⇒(数学補論)
というサイクルでその章の論述をロジカルにすすめていきます。
最後に、各章の実証分析や効果・評価に用いた理論・手法がおまけでついているという具合です。

まさに、両者・両書が経済書であり、経済学書である本領発揮というところでしょうか。
しかし、手法は良いとしても、EBPM主張の書としての評価は果たしてどうでしょうか。
方法論としての意義・価値は、ご同業の方々や行政担当の人たちには、一つのモデルを示すものとして評価されるのでしょうが、内容はとなると、果たしてどうでしょう。
行政担当においては、これまで、そして現状行っている個々の政策のラインアップによる総論形成のイメージと直結し、予算執行度がエビデンスそのもの、と自己評価・自画自賛できる好都合の書。
同領域の研究者にいては、こうやって取り組み、まとめれば、業界や関連行政や、研究費を支給してくれる政府や組織にアピールできるんだ、と。
意地が悪いですが、そんな感じを抱いてしまいます。

子育て支援・少子化政策、社会保障・社会問題政策書としての両書の内容比較総括

社会保障政策を提起・提案するからには、財源・財政政策が欠かせない。
そうした誠実な姿勢に基づいて取り組み、必要財源確保の方法まで提案した柴田氏。
一方、一応「費用対効果」は気にしつつも、財源問題には触れず、保育所拡充と育休制度整備面から母親の就業向上による女性活躍が実現する経済的効果を、次世代投資として期待する論述でまとめた山口氏。
奇しくも、というか、当然というべきか、両書の論点は、<子育て支援>は、女性就業率の向上と労働生産性向上とが一体化した経済成長必要論になってしまったようです。
しかし、なぜかこれも共通なのは、真の少子化対策として求められるべき、結婚と出産をためらわせる大きな要因である、現在と将来の経済的な不安、雇用と所得をめぐる不安の現状と、その解消・改善に関する調査・研究、そしてその実証分析、効果評価については、ほとんど誠実に、真剣に、取り上げられなかったことです。
両氏が取り上げた、育休制度拡充や、保育所施設拡充は、必要と思われる制度を法制化し、予算化し、執行すれば、それが施設数増増加、待機児童数減少というこれも一種のエビデンスは残ります。
女性就業は、子育て支援とは別次元で、低所得・非正規雇用者が自らの生活を守るべく、その機会を場を求める行動は、これからも続くでしょう。厳しい労働環境が続いてとしても、否、続けば続くほど懸命に。

東日本大震災、新型コロナウィルス感染症パンデミック、ロシアのウクライナ侵攻。
こうした非日常がもたらし、日常化する経済不安がもたらし、継続化する不安等は、子育て支援や少子化対策の実現性や有効性に、プラスに働くことはないでしょう。
両氏が取り組んだ、EBPM想定の研究も、無力化する可能性も自ずと高まる。
必要のない踏み込みとは思いますが、だからこそ、研究者も官僚も、そして政治家も、発想・手法を転換すべき。
決して後ろ向きになることなく、そう前向きに考えるべきと再認識する機会としたいと思います。

子育て支援の経済学』構成

子育て支援の経済学
はじめに
第1部 子育て支援で出生率向上
第1章 なぜ少子化は社会問題なのか?

1.はじめに
2.出生率とは
 2・1 出生率の推移
 2・2 出生率の国際比較
3.少子化問題は政策による解決が必要
4.おわりに
数学補論:低出生率の原因は市場の不完備性
第2章 現金給付で子どもは増える?
1.はじめに
2.家族関係社会支出の国際比較
3.経済学で考える現金給付の出生率引き上げ効果
 3・1 子どもの「質」と「量」
 3・2 税制上の優遇措置の影響
 3・3 育休制度の影響
4.政策評価のための実証分析
 4・1 地域差を利用した差の差分析
 4・2 制度の対象者と非対象者を比較する差の差分析
 4・3 制度の変更前後を比較する回帰不連続デザイン
5.実証分析が示す現金給付と育休政策の効果
 5・1 現金給付
 5・2 育休制度
6.おわりに
数学補論:子どもの「質」と「量」についての理論モデル
第3章 保育支援で子どもは増える?
1.はじめに
2.世界各国の保育政策
 2・1 保育所増設
 2・2 価格引き下げ
 2・3 家庭保育への支援金
3.経済学で教える保育政策の出生率引き上げ効果
4.政策評価の考え方
5.実証分析が示す保育政策の効果
 5・1 保育所増設の効果
 5・2 保育料金引き下げの効果
 5・3 家庭保育支援金の効果
数学補論:保育政策と出生行動の理論モデル
第4章 少子化対策のカギはジェンダーの視点?
1.はじめに
2.経済学で考える夫婦間の意思決定
3.実証分析が示すより効果的な少子化対策
4.おわりに
数学補論:夫婦間の家事・育児負担と出生選択の理論モデル
第2部 子育て支援は次世代への投資
第5章 育休制度は子どもを伸ばす?

1.はじめに
2.世界各国の育休制度
3.経済学で教える育休制度の役割と効果
 3・1 なぜ制度としての育休が必要なのか
3・2 理論が予想する育休の効果
4.政策評価の考え方
5.実証分析が示す育休制度の効果
6.おわりに
第6章 幼児教育にはどんな効果が?
1.はじめに
2.経済学で考える子どもの発達
3.保育には政治介入が必要だ
4.「保育の効果」を定義する
5.社会実験プログラムからの知見
 5・1 プログラムの概要
 5・2 プログラムの効果
 5・3 費用対効果分析
 5・4 効果の解釈への注意
6.大規模プログラムからの知見
 6・1 社会実験プログラムの限界
 6・2 大規模プログラムから読み解く保育の効果
 6・3 プログラムの効果
7.おわりに
数学補論:幼児教育の人的資本モデル
第7章 保育園は子も親も育てる?
1.はじめに
2.経済学で考える保育所通いの効果
3.保育所拡充の背景
 3・1 日本の保育制度
 3・2 認可保育所の拡充
4.政策評価の考え方
5.保育政策と親子の状態をデータでとらえる
 5・1 21世紀出生児縦断調査
 5・2 子どもの発達指標
 5・3 母親の行動・精神状態の指標
 5・4 自己申告も意外と当てになる
 5・5 子どもの日中の保育者と母親の就業状態の組合せ
6.実証分析が示す保育所通いの親子への効果
 6・1 効果の分かれ道は家庭環境
 6・2 なぜ保育所通いは子どもの発達を促すのか
7.おわりに
推定結果の詳細
第3部 子育て支援がうながす女性活躍
第8章 育休で母親は働きやすくなる?

1.はじめに
2.経済学で考える育休制度の就業支援効果
3.政策評価の考え方
5.実証分析が示す育休制度の就業支援効果
 4・1 オーストリアにおける育休改革の効果
 4・2 その他の国々における育休改革の効果
5.おわりに
第9章 長すぎる育休は逆効果?
1.はじめに
2.日本の育休制度の変遷
3.データと記述統計による分析
 3・1 データの概要
 3・2 データからわかること
4.現実をとらえる構造モデル
5.構造モデルが示す女性の就業決定
6.育休3年制のシミュレーション
 6・1 育休政策の効果
 6・2 その他の家族政策の効果
7.おわりに
第10章 保育政策で母親は働きやすくなる?
1.はじめに
2.経済学で考える母親の就業
3.保育政策の効果をどう測るか
 3・1 差の差分析(1):一部の地域だけが保育改革
 3・2 差の差分析(2):全地域で保育改革
 3・3 回帰不連続デザイン
4.実証分析が示す保育政策の効果
 4・1 諸外国の保育改革の効果
 4・2 改革前の母親就業率
 4・3 代替的な保育手段
 4・4 非労働所帯
5.おわりに
数学補論:母親の就業意思決定の理論
第11章 保育制度の意図せざる帰結とは?
1.はじめに
2.日本の保育制度と利用調整
 2・1 保育所と保育制度の概要
 2・2 利用調整
 2・3 待機児童解消に向けての取り組み
3.保育政策と保育所利用をとらえるデータ
4.都道府県データと家計データによる実証分析
5.実証分析が示す保育政策と保育所利用の効果
 5・1 都道府県データをもちいた分析
 5・2 都道府県データをもちいた分析
6.おわりに
推定結果の詳細

付録 実証分析の理論と作法
A 因果推論
 A.1 差の差分析 A.2 操作変数法 A.3 回帰不連続デザイン 
B 限界介入効果の推定
C 構造推定:構造モデルの構築とその推定方法

「家族の幸せ」の経済学』の構成 

第1章 結婚の経済学
1.人々は結婚に何を求めているのか
2.どうやって出会い、どんな人と結婚するのか
3.マッチングサイトが明らかにした結婚のリアル
第2章 赤ちゃんの経済学
1.出生体重は子どもの人生にどのように影響を与えるのか
2.帝王切開は生まれてくる子どもの健康リスクになるのか
3.母乳育児は「メリット」ばかりなのか
第3章 育休の経済学
1.国によってこんなに違う育休制度
2.お母さんの働きやすさはどう変わる?
3.育休と子どもの発達を考える
4.「育休3年制」は無意味。1年がベスト
第4章 イクメンの経済学
1.日本は、制度だけ「育休先進国」
2.育休パパの勇気は「伝染」する
3.育休で変わる家族のライフスタイル
4.では、夫婦の絆は深まるのか
第5章 保育園の経済学
1.幼児教育の「効果」について考えてみる
2.家庭環境と子どもの発達
3.保育園は、母親の幸福度も上げてくれる
4.無償化よりも待機児童解消を急ぐべき理由
第6章 離婚の経済学
1.「3組に1組が離婚している」は本当か?
2.離婚しやすくなることは、不幸だとは限らない
3.離婚は子どもたちにどう影響するか
4.共同親権から「家族の幸せ」を考える

子育て支援が日本を救う 政策効果の統計分析』構成

子育て支援が日本を救う 政策効果の統計分析
はじめに
第1章 本書の問いと答え ー 子育て支援が日本を救う

 1.労働生産性を高め財政を健全化させる政策
 2.自殺を減らす政策
 3.子どもの貧困を減らす政策
 4.財源確保の方法
 5.日本の「現役世代向け社会保障」が乏しい背景
 6.「選択」は「歴史」をのりこえる
第2章 使用データと分析方法

 1.使用データの概要
 2.分析方法 ー経済成長の研究から学ぶ
 3.経済成長とは何か
 4.経済成長率の先行研究
 5.説明変数と被説明変数
 6.最小二乗法推定(OJS推定)
 7.パネルデータ分析でのOLS推定 ー動学的推定と一階層差推定
 8.「逆の因果」の除去 ー操作変数推定
 9.すべてを兼ね備えた一階層差GMM推定
10.一階層差GMM推定の手続き
11.実際上の留意点
12.使用データについての留意点
第3章 財政を健全化させる要因 ー労働生産性の向上
 1.背景 ー財政難という問題
 2.仮説
 3.データと方法
 4.結果
 5.結論
第4章 労働生産性を高める政策 ー女性就労支援・保育サービス・労働時間短縮・起業支援など

 1.背景 ー「労働生産性の向上」は財政健全化をもたらす
 2.仮説
 3.データと方法
 4.結果
 5.結論
第5章 女性の労働参加を促す政策 ー保育サービス・産休育休・公教育

 1.背景 ー「女性の労働参加」は「社会の労働生産性」を高める
 2.仮説
 3.データと方法
 4.結果
 5.結論
第6章 出生率を高める政策 ー保育サービス

 1.背景 ー「出生率の向上」は財政健全化をもたらす
 2.先行研究で残された課題
 3.仮説
 4.データと方法
 5.結果
 6.結論
第7章 自殺を減らす政策 ー職業訓練・結婚支援・女性就労支援・雇用奨励

 1.背景 ー自殺率という問題
 2.先行研究で残された課題
 3.仮説
 3.データと方法
 4.結果
 6.結論
第8章 子どもの貧困を減らす政策 ー児童手当・保育サービス・ワークシェアリング

 1.背景 ー子どもの貧困という問題
 2.仮説
 3.データと方法
 4.結果
 5.結論
第9章 政策効果の予測値

 1.予測値の計算方法
 2.OECD平均まで拡充する場合の予算規模と波及効果
 3.待機児童解消に必要な予算規模
 4.その場合の波及効果
 5.他の目標のための予算規模
 6.結論 ー現実的な目標設定と予算規模
第10章 財源はどうするのか ー税制のベストミックス

 1.行政コストの削減には限界がある
 2.財政方式をどうするか
 3.個人所得税・社会保険料の累進化
 4.年金課税の累進化
 5.被扶養配偶者優遇制度の限定
 6.消費税の増税
 7.資産税の累進化
 8.相続税の拡大
 9.相続税拡大だけならベルギーの1.2倍
10.小規模ミックス財源
11.最小限の改革 ー潜在的待機児童80万人の解消
第11章 結論 ー子育て支援が日本を救う

 1.右派「保守」と左派「リベラル」の合意点
 2.残された課題
あとがき

子育て支援と経済成長』構成

はじめに
第1章 財政難からどう抜け出すか

 ・お金がないのが大問題
 ・日本政府の懐事情
 ・社会保障支出に食いつぶされる超高齢社会・日本
 ・訪れなかった第3次ベビーブーム
 ・先進諸国の経験から学べ ー統計分析という手法
 ・財政余裕に影響する三つの要素
第2章 働きたい女性が働けば国は豊かになる

 ・財政余裕は改善できる
 ・女性の心に響く商品を生み出すには
 ・正社員女性比率と利益率
 ・ラガルド発言の根拠
 ・「財源なし」でできる一手
 ・そもそも昔の女性は働きに出ていた
 ・女性の職場進出を後押しする
 ・「3年間抱っこし放題」は効果なし?
 ・育休より効果的な保育サービス
 ・保育の拡充が財政余裕を増やす?
 ・限られた予算を活かす政策を
第3章 「子どもの貧困」「自殺」に歯止めをかける

 ・高齢者より高い子どもの貧困率
 ・子どもの貧困がもたらす問題
 ・子どもの貧困を減らす政策
 ・ワークシェアリングより保育サービス
 ・家計に負担のかかる無認可保育園
 ・3歳以上は夕方まで保育無料のフランス
 ・児童手当も大事
 ・日本の自殺率を下げる
 ・自殺予防に効果的な政策
 ・離婚による孤独と自殺
 ・「一家の大黒柱」からの解放
 ・子育て支援が日本を救う
 ・それぞれが「幸せ」を感じられる社会
第4章 社会保障の歴史から見るこれからの日本

 ・子育て支援額は先進国平均の「半分」
 ・「経済成長を促す政府支出もある」
 ・障害者福祉サービスと「応益負担」
 ・「適応」って本当にいいことなの?
 ・適応概念の歴史
 ・社会保障の問題を数字で示したら
 ・高福祉国家・北欧とルター派の関係
 ・宗教改革が高福祉国家を生んだ
 ・17世紀に導入された救貧税
 ・カルヴァン派がつくった低福祉国家・アメリカ
 ・投資によって偶然儲かったら
 ・キリスト教の歴史と社会保障
 ・トッドの家族システム論
 ・日本はなぜ低福祉になったのか
 ・江戸時代からの新しい救貧文化
 ・バブル崩壊後の企業福祉
第5章 子育て支援の政策効果

 ・結局、待機児童はどれくらいいるのか
 ・子どもを持ったお母さんは一生パート?
 ・保育士が集まらない
 ・待機児童問題解消にはいくら必要か
 ・公立の認可保育所は縮小傾向
 ・子育て支援でどのくらい経済成長するのか
 ・待機児童解消による政策効果
 ・長時間労働が引き起こす「保育の質」の低下
 ・フランス革命と出生率
 ・保育ママ以外の要因は?
 ・フランスから学べること
 ・保育所で解決したスウェーデン
 ・「マツコ案」で保育・教育の無償化を試算してみた
第6章 財源をどうするか

 ・財源のミックス案
 ・財源案の合意形成に向けて
おわりに ー分断を超えて

 ・古市さん、駒崎さんとの出会い
 ・相手と共通の「暗黙の前提」からスタート
 ・子どもたちのための協力

  

                     少しずつ、よくなる社会に・・・

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