憲法で規定された生存権と「社会保障」:全世代を対象とする社会保障システム改革-1

社会政策

【2030年の社会システム改革シリーズ2】

 前々回から、【2030年の社会システム改革シリーズ】と大げさに名付けたシリーズを開始。

 その巻頭言というべき問題提起は
すべての社会システムを総点検し、改革すべき2020年代の日本
で行ったもの。
 
 そしてそのシリーズ・第1は「政治システム改革」。

劣化する国会議員・国会・議院内閣制:絶対不可欠の政治システム改革-1
一院制移行・議員総定数削減と選出システム改革を:絶対不可欠の政治ステム改革-2

とまず2回。
 今後も折りを見て、適宜・適時、継続を予定。


政治システム改革による最優先課題が「社会保障システム改革」

 そして今回は、シリーズ第2として、「社会保障システム改革」の1回目を。

 政府の掲げる全世代型社会保障制度改革は、単に、高齢者世代と現役世代の受益と負担の不公平感を多少なりとも感じることが抑えられるようにするもの。

 こうした矛盾とそれに対して持つべき基本認識・方針などについて、当ブログで先に、以下のように提起してきた。

全世代型社会保障改革のあり方:同社会保障検討会議中間報告から考える政治と行政の貧困(1)
全世代型社会保障改革は、生涯型社会保障制度改革
負担者視点ではなく、受益者視点で行うべき全世代社会保障改革
妊娠・出産から始まる生涯年金型社会保障制度へ!

 これらをより体系的に、より具体的に、考えつつ整理し、整理しつつ深堀りしていこうというもの。

 いろいろ矛盾や不足が生じることを想定しつつ、取り組むことにしたい。


憲法で生存権と共に規定された「社会保障」

 憲法25条

すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
国は、すべての生活部面において、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

と規定している。

 国が取り組むべきとしている「社会保障」「社会福祉」。
「公衆衛生」と聞くと、今問題になっている「新型コロナウイルス感染」問題が反射的に浮かぶ。
 まさに、国が、政府が、行政がどう取り組むかの責任が問われているわけだ。

 しかしここは「社会保障」が対象。


社会保障、社会福祉とはなにか、再定義が必要に

平成5年の社会保障審議会における報告では、「社会保障」とは、
「国民の生活の安定が損なわれた場合に、国民にすこやかで安心できる生活を保障することを目的として、公的責任で生活を支える給付を行うもの」
としているという。

「社会福祉」で思い浮かぶのは、障害者福祉や母子家庭への支援、それに生活保護を加える場合もあるかもしれない。

 しかし、保活・待機児童不安や、育児・子育てと仕事の両立の困難さが要因の一つとされ、一向に改善される様相がみられない少子化社会。
 それも、国民の生活の安定が損なわれている状態とみてもよいだろう。
 だが、保育所・子育てに関する行政は、「児童福祉」「児童福祉法」に根拠を置くとされている。
 すなわち「福祉」領域の課題とされているわけだ。

 「少子化」が、社会経済システムの持続や発展に支障をきたすものゆえ、あるいは、子どもが次世代社会を維持させていくために必要な人的資源と考えると、個々人の生き方・価値観に委ねて済むことではないのでは・・・。

 すなわち、出産を含めて子育て・保育が、社会で保障すべき課題とすべきともいえる。

 要するに、現状の社会保障、社会福祉の定義や対象自体、再検討・再定義、すなわち改革が必要となる。


社会保障システム改革の重点方針

社会保障システム改革という大命題を、これからどうまとめ上げていくか。
その時に対象にすべき改革の視点・方針を、雑だが、以下メモしてみた。

1.生涯を対象とする社会保障:国民の生活は、生涯にわたるもの

2.生涯を、生活部面での便宜的な世代区分における社会保障:
  例:①高齢世代(先行世代) ②現役世代 ③後継世代


3.それぞれにおける社会保障課題、社会保障行政等の体系化
  案①:社会福祉も医療・公衆衛生も、広義の社会保障に含む
  案②:現役世代の雇用・失業・技能訓練等も社会保障領域に


4.社会保障財源改革が不可欠
  案①:社会保険料のみを財源とする社会保障・社会福祉は実際にはない
  案②:労働保険も、現役世代と後継世代を支えるゆえ、社会保障の一種


5.社会保障行政改革も絶対不可欠
  案①:社会保障省の創設と保障業務区分別行政組織再編・改革
  案②:歳入・歳出官庁の創設を含む財源管理行政改革も


今回は以上までとし、次回から、上記の重点方針を活用して、少し具体的に検討・提案していきたい。

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