車椅子生活の特養入所者が、外来診療が必要な場合どうするか
一昨日1月23日の日曜日に、満100歳の義母が入所する特養から電話。
以前骨折し、手術をせず保存治療という何も特に施さない(一応)、自然治癒をめざす方法を選択し、車椅子生活になり要介護4と認定変更で、サ高住から特養に転所。
その骨折部位の近くでの痛みを訴え、腫れもあるので、状況が変わらないようならば、外来病院に行ってもらうかもしれないとのこと。
翌朝、早速連絡が入り、やはり病院に連れて行ってほしいということで、骨折時に診てもらった公立の総合病院にするか、特養が薦めてくれた近くの整形外科医院にするか検討し、今後利用する可能性を考えた時、近くの医院がよいだろうと後者に。
診察の予約をとってもらい、施設の看護師に、状況を書面でも作成してもらう。
以前利用したことがある介護タクシーを手配。
あいにく、診察後の迎えは、先約があり不可能だが、替わりの介護タクシーを手配してもらえることに。
午後施設にいき、迎えの介護タクシーに同乗し、整形外科クリニックで受付、X線撮影、診察。
以前の(2度目の)骨折の下部に、新たな骨折を確認。
当然、特に施術などできず、行わず、痛みには当分鎮痛剤で、腫れの部分は湿布薬で対応し、様子をみることに。
義母には、その旨伝え、なんとか落ち着くまで我慢してほしいと。
3度の骨折は、左脚大腿部で、2度目をやったときは、本人も手術はしたくないと意思表示し、高齢での手術リスクも考慮し、医師とも話し合い保存治療を選択。
今回は、当然選択肢がない状況ということで。
(参考) ⇒ 義母、特養で100歳の誕生日を祝って頂く(2021/10/15)

施設入所がかなわない高齢者、急増段階へ
特養入所生活でいろいろ発生しうる事情・状況は、すべて想定内のこと。
入所時の契約に、こうした外来病院での診察は、後見者が行なうことが義務付けられており、施設のスタッフが代行することはない。
有償ならば代行するという規定もなく、単身高齢者で身寄りがない要介護者は、受け入れてもらえないわけだ。
家族がいても遠方で、必要に応じて介護・介助等の対応を、柔軟にできない人も多いだろう。
団塊の世代の全員が75歳以上になるのが2025年。
介護問題の困難は、年々増す一方で、すべて10年以上前から予想されてきたこと。
現状のさまざまな問題・課題は、介護保険制度導入の2000年以来変わっていないというか、段々悪くなっているというべきか。
段々悪くなる介護制度、介護生活、介護士問題・・・
義母に関しては、要介護1・要支援状況の5年間は、サービス付き高齢者住宅の入所で、費用の負担が大きかった。
骨折と保存治療により要介護4になり、特養入所基準に至ったが、施設の空き待ちを余儀なくされると一時は覚悟。
しかし、奇跡的というとオーバーだが、新設される予定であった現在入所の施設が、入所者募集中で、申し込み受付可能かつ、まだ満室にはなっていない状況だったため、入所が認められた。
費用は、サ高住時代に比べ、月額で10万円近く下がり、高額療養・介護費の適用で少し還付もあり、義母の月々の年金に少し足りない程度で済むことに。
しかし、昨年後半に、介護保険制度の部分改定があり、食費の自己負担額が引き上げられ、月に2万円近くの負担増になっている。
とうに年金生活に入っている私たち団塊世代夫婦も負担している「介護保険料」は、ほぼ毎年上がり続け、年金の手取り額も減少。
その年金も、次年度減額されることが先日明らかにされた。
当然自分たちが受ける介護に関する不安も、義母の特養生活の日常や非日常を意識するたびに、少しずつ現実味を帯びてくる。
そして相変わらず介護の現場では、慢性的な人材不足に、コロナ禍での心身の負担の長期化が。

日経掲載、介護関連記事から
まあ、自分たちがどうこう、という観点よりも、私たちに続くあとの世代の負担や、彼ら・彼女たちの将来を常々考え、介護や子育てや結婚など、さまざまな社会政策に関する課題について、当サイトでは、検討・考察・提案してきている。
ちょうど、少し貯めていた最近の日経掲載の介護関連記事から、いくつかピックアップして、数回の介護政策関連記事シリーズを書こうと予定していた折りの、義母の骨折と外来受診という想定内の出来事。
ことのついでに、この2ヶ月間以内においての、日経紙に掲載のその他の介護関連記事を検索。
目についた、気になったものを選んで整理したのが、以下の25の記事。
1.介護テック、現場を支える 人手・施設不足の懸念緩和(2022/1/24)
2.SOMPOケア、介護施設事業者を買収、数十億円規模(2022/1/21)
3.おひとり様、老後資金の目安は1000万円(2022/1/20)
4.学研HD、介護施設1000拠点に倍増 IT化で大手先行(2022/1/17)
5.介護報酬1.13%引き上げ 10月以降、保険料増も(2022/1/12)
6.介護現場「人手不足」80%(2022/1/11)
7.ジンジャー、黒部市社協と福祉DX研究(2021/12/27)
8.介護職賃上げ、補助額3分の2はベアに 厚労省(2021/12/24)
9.要介護者の排せつ感知 秋田の官民がシステム開発(2021/12/24)
10.介護職など賃上げ、経験・技能評価を 政府委が中間整理(2021/12/22)
11.1人で4人介護可能に 政府、生産性向上へ規制緩和検討(2021/12/20)
12.人手不足の介護、規制緩和でどう変わる?(2021/12/20)
13.人口減とAI・ロボ活用「自動化進んでも人の役割大きい」(2021/12/16)
14.介護・保育の賃上げ目標、3年ごとに見直し 中間整理案:(2021/12/16)
15.介護データベースは助走中 遠いケア最適化(2021/12/13)
16.茨城県「ケアラー条例」可決 介護の子供らを支援(2021/12/10)
17.ロボットに冷たい介護報酬 賃上げ政策が問う生産性 (2021/12/8)
18.認知症の兆候、血液検査で発見 シスメックスが23年にも(2021/12/6)
19.認知症、家族が資産管理 預金引き出しや株売却容易に(2021/12/5)
20.介護現場、外国人材いつ来日? オミクロン型で再び制限(2021/12/2)
21.損保ジャパンと川崎重工が実験、配送ロボを在宅介護に(2021/12/2)
22.ハウステンボスで自立支援介護 兵庫・宝塚のポラリス(2021/11/30)
23.保育・介護職員の待遇改善 公費助成と企業努力の両輪で(2021/11/29)
24.介護現場、DX競う 「日本モデル」を磨く好機に(2021/11/25)
25.保育・介護で強まる公務員色 サービス向上、民の創意で(2021/11/24)

2050年の望ましい介護制度・介護生活を想定しての長期ビジョンを
義母のサ高住入所の時期から、介護制度・介護問題に関心をもち、多くのブログも書き、一時は介護専門サイトも運営したことがある。
一応現在運営はせずそのままにしてあるサイトに一部の記事は残っているが、2020年からは、当サイトに都度掲載してきている。
3年目に入った当サイトでは、昨年から始めた、4つの政策ジャンルに分け、その一つ<社会政策>において、介護制度・介護問題について政策提案を積み上げていく試みを、今年深堀りしていきたい。
上記の日経記事のいくつかを整理して課題として、数回のシリーズで最近の動向と課題を確認。
それに、それらの記事では踏み込まれていない、課題化されていない本質的な問題に目を転じて、しぶとく追いかけていきたいと考えている。
その<社会政策>について、政治課題・政策課題として俯瞰し、初期段階で整理したものが、<社会政策2050年ビジョン>。
その中から、介護に関連する部分を、以下に転載しました。
今後は、種々の記事投稿と重ね合わせつつ、その内容を更新していきます。
宜しくお願いします。

Ⅱ 社会政策 2050年長期ビジョン及び長期重点戦略課題
<2050年社会政策長期ビジョン>
すべての国民が、憲法に規定する基本的人権及び最低生活保障を受ける権利に基づいて制定され、所属する多様な社会・組織において享受し保障されるすべての社会保障・福祉政策の国家の不断の取り組みにより、安心と安全な暮らし、自由な働き方・生き方が選択できる社会モデルの構築・実現を図ります。
<2050年社会政策長期・政治行政重点戦略課題>
1.社会保障・社会福祉制度改革
2.保育・子育て支援政策、少子化・子ども貧困対策
3.教育制度改革
4.ジェンダー課題政策
5.高齢化社会政策・介護政策
6.各種社会問題対策
5.高齢化社会政策・介護政策
(基本方針)
団塊の世代を形成するすべての高齢者が100歳を超えている2050年には、現状の高齢化社会は、総人口の減少及び年齢構成の大きな変化を伴って新たな状況を迎えます。
それに伴って、社会保障制度の体系と実際の制度・法律も、その状況にふさわしいものに整備され、確立されていることが求められます。
今後進行する、世代継承・世代交代を念頭に、それまで続く高齢者の医療・年金問題、現役世代が抱く高齢世代への不満等の改善・解消に、<社会政策>長期ビジョンに基づき連携して取り組み、現役高齢者が安心・安全な暮らしを送ることができるよう、長期政治・行政政策課題化して取り組みます。
(個別重点政策)
5-1 高齢者年金制度
1)ベーシック・ペンション導入に伴う高齢者年金制度改革:国民年金制度廃止、生活基礎年金支給、厚生年金制度改正(第一次~2030年、第二次~2040年)
2)厚生年金保険制度の賦課方式から積立方式への転換、遺族年金制度改定(第一次2031年~、第二次2036年~)
3)全賃金所得者の厚生年金保険加入制度化(2031年~)
4)企業年金制度等付加的年金制度体系再編成(2031年~)
5-2 健康保険制度・介護保険制度改革、介護行政改革
1)後期高齢者医療保険・介護保険制度統合による高齢者医療介護制度改革、介護保険制度改正 (第一次~2030年、第二次~2040年、第三次~2050年)
2)医療保険制度改革(国民健康保険、組合健保)、全給与職者の健康保険加入制へ (第一次2031年~、第二次2036年~)、私的医療保険制度整備
3)介護関連職者の労働条件・環境改善、キャリア開発システム整備(第一次~2030年、第二次~2040年)
4)関連行政組織再編及び業務改革 (第一次~2030年、第二次~2040年、第三次~2050年)
5-3 高齢者生活、高齢者就労支援政策
1)地域包括高齢者支援センター拡充(高齢者夫婦世帯支援、単身高齢者世帯支援、高齢者施設等入所支援) (第一次~2030年、第二次~2040年)
2)高齢者生涯設計支援制度拡充(公的後見人制度、相続問題支援等)(~2030年)、健康寿命、認知症対策等支援 (第一次~2030年、第二次~2040年)、高齢者就労支援システム拡充 (第一次~2030年、第二次~2040年)
3)高齢者住宅供給・空き家等総合管理政策(第一次~2030年、第二次~2040年)
4)老人施設事業者改革 (第一次~2030年、第二次~2040年)

(関連政策)
1.社会保障・社会福祉制度改革
(基本方針)
日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金制度の2040年までの導入、2045年までの修正定着をめどに、社会保障・社会福祉制度の総合体系の再構築と関連する法制の整備、関連行政組織及び業務改革を行い、種々の貧困・格差及び世代間不公平性・不満感の是正、平等・公正な社会活動の機会基盤の整備拡充と安全・安心な暮らしが持続できる社会を2050年までに形成します。
(個別重点政策)
1-1 社会保障制度体系改革
1)ベーシック・ペンション導入に伴う社会保障制度・福祉制度体系の再構築(~2040年)
2)社会保障制度改革:健康保険・介護保険制度統合、国民年金制度廃止・厚生年金制度改定、児童福祉・障害者福祉制度改正、生活保護制度対策他( 第一次~2030年、第二次~2040年、第三次 ~2050年)
3)労働政策・労働保険関連制度改革:労働基準法解雇規制改正、雇用保険法改正、非正規雇用転換制改正、最低賃金法改正、労災保険改正等 ( 第一次~2030年、第二次~2040年 、第三次 ~2050年 )
4)社会保険制度改革、世代間負担公平性対策、関連所得税等改革、その他社会保障制度体系再構築に伴う関連法律の改正改革( 第一次~2030年、第二次~2040年 、第三次 ~2050年)
1-2 ベーシック・ペンション導入及び関連各種制度・システム包括的改定
1)日本独自のベーシックインカム、専用デジタル通貨JBPCによるベーシック・ペンション生涯基礎年金制度導入(~2040年)
2)ベーシック・ペンション導入に伴う関連諸制度・法律の改正・改革
3)ベーシック・ペンション確立までのベーシックインカム段階的導入(第一次~2030年、第二次~2040年、第三次~2050年)
4)ベーシック・ペンション導入のための日本銀行改正、JBPC発行・管理システムの開発・運用化 (第一次~2030年、第二次~2040年、第三次~2050年)
1-3 社会保障・社会福祉行政改革(公的サービス事業公営化促進、公務員化)
1)ベーシック・ペンション導入、社会保障制度体系改革に伴う行政官庁再編、組織・業務改革 (第一次~2030年、第二次~2040年、第三次~2050年)
2)国・公営サービス事業再編:利益追求型社会サービス事業の一部国公営事業転換、社会福祉法人等の再編 (第一次~2030年、第二次~2040年、第三次~2050年)
3)社会保障・福祉資格制度の拡充、キャリアプログラム開発 (第一次~2030年、第二次~2040年)
4)社会保障・福祉関連職公務員制度改革 (第一次~2030年、第二次~2040年)
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