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有事を支えるのは平時の農業生産。逆行する米の減反政策:『日本が飢える!』から考える食料安保と農業政策-2

食料安保と関連しての農業政策について体系的に考察すべく、
◆ 山下一仁氏著『日本が飢える! 世界食料危機の真実』(2022/7/25刊:幻冬舎新書 )を参考にしてのシリーズを始めた。
ここまでは、以下のどちらとも序論的な2つの記事でスタート。
<序>:山下一仁氏著『日本が飢える!』から考える食料安保と農業政策(序)(2023/5/23)
<第1回>:元農水省官僚山下一仁氏の農政トライアングル批判の思いを知る:『日本が飢える!』から考える食料安保と農業政策-1(2023/5/27)

『日本が飢える!』から考える食料安保と農業政策-2

今回から本論に入り、<第1章 食料とは何か?>を取り上げる。
各項ごとに要約し、コメントを付け加える形で進めていきたい。

第1章 食料とは何か?>から

1)毎日消費する必需品、食料の特徴

・食料は、他の消費財と違って、人の生命・健康に不可欠な必需品で、ほぼ毎日消費が必要
・供給不足は、経済的・社会的・政治的不安や混乱を引き起こす
・危機になってから作付けや農地開発をしても、目前の飢餓の解決には間に合わない
・供給が途絶すると、備蓄を含め、今あるものしか食べられない
・鮮度・安全性、スペース等の条件の制約から、保存・備蓄が困難な食料が多い
・食の外部化に伴って、国民が支出する飲食料費の9割が加工・流通・外食に帰属している
・危機への対処や生命維持の技術等の観点からは、社会は退化している
⇒ 食料全般の抱える負の特性を取り上げたもので、すなわち、食料の安全保障に関わる課題を先ずざっと羅列されているわけだ。

2)供給減ですぐに値上がり:食料の価格非弾力性を活用した米の減反政策は国民に負担を強いている

・食料も価格が下がると需要量は増えるが、価格の変動に比例して売上が増えるわけではない価格非弾力性が特徴
・農家に補助金を出して米生産を減少させ、価格を引き上げることで農家の売上が上がり、JA農協も販売手数料と利益が増える
・米の減反政策は、国民に3500億円の補助金支出負担を負わせ、高い米価での消費負担も負わせる、国民の経済厚生水準を引き下げるやってはいけない政策
・農水省、自民党がこの政策を継続させ、農民サイドも政府援助が当たり前とし、野党も米価維持を農民保護の立場で支持する異常な状態が長く続いている
⇒ 常態化した米の減反政策がもつ意味合いを、国民は理解していない。単純に農家保護政策とみて、やむを得ないもの、という程度の認識だろうか。
一方、小麦についても、ほとんど輸入に依存しており、輸入小麦の全量を国が一括して価格を含めて管理している事情も、理解してるとは言い難い。
ウクライナ侵攻を起因とする輸入小麦高騰も、消費者にとっては値上げやむなしレベルの認識にとどまり、小麦の自給率向上が必要という発想にまでは及ばない。
農業の直接的な営みに参加する農業者の比率が圧倒的に低いこともその要因と考えてよいだろう。
産業構造と就労者・就業者構造の問題と認識することも、食料安全保障の観点から必要と考えるべきかと、ふと思う。

3.穀物、大豆、イモの重要性:食料不足未体験の日常における認識

・生きていく上で欠かせない三大栄養素は、炭水化物・タンパク質・脂質であり、脂質は体内で合成できるが、他の2つは食料から摂取するしかない。
・食料危機対処に重要な農産物は、米・小麦・トウモロコシの三大穀物に、大豆・イモを加えた穀物等
・野菜・果物・花などの農産物は価格が高く、農家は高い収益を上げているが、食糧危機時にはこれらの農産物で生存に必要なエネルギーを摂取できず、簡単に米などを作れるわけではない。
⇒ いわゆる生鮮3品のうちの一つ青果物は、スーパー・量販店において最も競争が厳しい品目にあたる。
毎日の生活において、それらが入手不能になったり、著しい値上げが行われたりすることはほとんどない。
従い、戦前・戦後の食料不足や配給制度などを体験していない現代の人々にとって、食料危機をイメージすること自体、非現実的といえよう。
1年以上続くウクライナ戦争とウクライナの人々が体験している日常生活そのものの危機と大変さに思いを馳せることはできても、その危機を明日のわが国のことと想定して、すぐに食料危機リスクを考え、対策を国民レベルで共有する行動を起こすことは、やはり簡単なことではない。
しかし、防衛上の安全保障に関する議論の必要性の高まりは、本来、食料安保に関しても同時であるべきだろう。
このとき、この項のような食料の根源的な知識とその保持のために必要な事項・政策についての理解も必要なのだが、どうにも切迫感は湧いてこない現実がある。

4)農作物生産は自然に左右され制約が多い:食料供給面の特徴

・生物を相手とし、自然や気象条件等の左右され、本来的に不安定であることが食料安全保障上の一つの課題
・米を除いて直接食用にできる農産物は少なく、小麦が製粉やパン・麺の製造など加工業が必要であり、そのためにエネルギーも必要
・小麦・トウモロコシ・牛肉等の輸入が途絶した場合、最低限1600万トンの米供給がないと必要エネルギーを確保できない
・現状700万トンにとどまる米生産状況では、必要な種籾と農地を確保できているという仮定でも(それ自体困難だが)作付け時期や収穫時期等の関係で、1年以上はその700万トンでしのぐ必要がある。
・畑作では、同じ作物を続けて植えると、土壌に含まれる微量元素に過剰・欠乏の発生や土壌中に特定病原体の増加を原因としての収量低下の連作障害(=いや地)があり、輪作や休耕で対応している
・米作では、森林から栄養分を蓄えた水が水田に送られ、水田の不要物を洗い流してくれることで、連作障害はなく、日本人は、3000年もの間、毎年米を作ってきた
⇒ こうした水田耕作と畑作の違いも、知らずに過ごしてきている人々が多いのが現実だろう。
単純に、農家の高齢化や零細化、後継者難という問題にのみ目を向けがちだが、農業の本質的特性を理解することで、農業・農政、そして食料安保問題に対する見方・考え方も少しは変わるのではと思いもする。


5)畜産は食料危機時、何ができるか?:牧草飼料酪農への転換は不可能か?

・日本の畜産は大型化が進んだが、飼料はほとんど海外依存であり、トウモロコシ等の輸入農産物の加工品といえ、工業と変わらない性質をもつ
・しかし、畜産は、エサの輸入が途切れる食料危機の際には壊滅し、国民への食料供給は果たせない
・穀物供給不足時に家畜を食用にすることは可能だが、冷凍保存にはエネルギーと倉庫が必要で、一時しのぎの対応に過ぎない
・家畜の糞尿も牛のゲップも温暖化ガスのメタンを発生させ、穀物栽培に還元しておらず、環境面でマイナス。飼料用穀物の輸入よりも牛肉・豚肉そのものを輸入した方がよい
・食料安全保障の観点からも、環境保護の観点からも、畜産保護の理由は存在しておらず、税金を課して、生産を縮小すべき
・世界で検討されているのは、植物活用による代替肉、細胞増殖による肉生産など、畜産の縮小
・しかし、日本では、畜産発展も反映して、与野党とも畜産業支援の方向が強まっている
⇒ 筆者の意見を極端なものと済ますべきではないのだろうが、報道される現状の酪農家の苦難・苦労を知ると、なんとも微妙な気持ちを抱いてしまう。食料としての牛・豚・鶏肉がまったくない生活はイメージできないし、全量海外産肉に依存することもどうかとやはり思ってしまう。
個人的には、穀物飼料に依存しない、牧草を飼料とする畜産に極力転換できないものかと期待したいし、少しでも安価で、健康によい質の肉の比率を上げてほしいとも思う。
米の減反政策の一大転換よりも難しい課題かもしれないが、日本ならではの畜産業・酪農業改革に取り組んで欲しいと・・・。
可能ならば、米の増産と品種改良で、米を酪農用飼料にできないものかとも。

6)農業の生産性と農地規模の関係:食料増産や輸出競争力の観点からの生産性向上法

・農業生産を構成する、BC(生化学的)過程とM(機械額的)過程
・BC過程は、種子が生長して実をつける、肥料や農薬が重要な役割を果たす過程であり、農地面積と無関係。
 M過程は、トラクター、コンバイン等機械を利用する過程であり、農場規模により、より効率的な機械を適正に利用ることで、生産性向上、規模の経済に働く
・穀物生産では、農場当たりの農地面積が大きいほどコストは減少。一方BC過程においては、農地面積が一定なら、肥料の増加に伴って追加的な肥料投入量当たりの増収量は減少する<限界生産力逓減の法則>がある。
・しかし、BC過程でも品種改良等の技術進歩により、規模に関係なく、肥料や農薬の投入を増やさず、単収の向上やコスト低減も可能
・従い、危機時には食味の良い品種ではなく、単収の多い品種の作付けの必要がある
⇒ この項は、農業生産を経済学的視点と経営的視点で見てみようとするものだが、食料危機時の対応として肥料・農薬等の投入に頼らずに単収向上をBC過程において実現することを提示している。

7)平時の農業生産が有事を支える:生産量を決める農地面積と単収に関する日本の農政の矛盾

・危機が起きた当初は、平時の農業の生産物を消費するから、平時と有事は連続している
・突然輸入が途絶しても対応可能に、平時における十分な食料生産が必要
・生産拡大には、農地面積と単収の増加が必要だが、農政トライアングルは、農地面積を大きく減少させ、単収向上も抑制してきた
・日本と数カ国による比較数値を挙げているが、米の生産量は唯一減少し、単収増加率は他に大きく遅れを取り、小麦の生産量も唯一減少している厳しい現状が示されている
⇒ 単収を引き上げるための肥料・農薬などのコストを決めてきたのがJA農協であり、むしろ高コスト農業を維持・拡大し、JA自体の利益確保を常に優先してきたわけだが、ここではそのことは触れていない。
それを認めてきたのが農水省であり政党・政治家ゆえ、農政トライアングルが日本の農業を歪めてきたわけだ。

8)気候・風土による影響と水・土の重要性:農業に不可欠で代替不能の生産要素、太陽光・水・土

・太陽光は資源的に無限と考えてよいが、地下水・土は再生産過程が長く、ほとんど再生不能な資源
・土地は、粘土質・砂質など土壌の物理的特性、水分・有機物含有量・肥料などの土壌成分、土中の微生物、傾斜や区画の大小など農地の形状など多種多様
・それらの条件により、土地の肥沃度等の特徴が単収や栽培可能品種の違いをもたらし、各国の農産物の生産や輸出量・金額に大きく影響している。決して規模だけが農業競争力の優劣を決めるわけではない
・(日本に多い)傾斜農地は、機械導入と大規模化が困難とされるが、斜めに作物が植えられ、平坦な農地よりも作物全体に太陽光が当たる。標高差の利用では昨期をずらせ、同じ労働者でも平地よりも多くの面積の活用が可能で、傾斜地でも大規模米作は可能
・日本の農地の特徴は、牧草地の割合が14%と低いが、生産力が高い水田が半分以上を占める
・ゆえに、農業生産を縮小する政策を取り続けているのは「もったいない」というしかない
⇒ 農地面積に恵まれた農業が重要産業である海外諸国のデータも示されるが、日本以外の多国間の比較も用いられており興味深い。
しかし、この項で最も重要なのは、日本の農地の特性と単純に大規模化だけがめざす方向ではないということと捉えたい。

9)農業は技術革新の固まり

・作物や家畜は、食料生産に都合のよいように長年手を加えて改良してきたもの
・農地面積がほとんど変わらない中、世界の穀物・食料生産は人口の額発的増加を上回って拡大してきたのは、品種改良を柱とする単収の増加。家畜についても技術開発等に負う
⇒ この項ではこのレベルの記述で終わっており、食料安全保障の観点からの指摘は間接的にしか読み取ることができないのがやや不自然に感じられた。

10)食の量的確保と安全性確保:グローバルレベルでの食料安保と日本独自の食料安保事情

・食料危機発生時に、生命を維持するために、いかに必要なカロリーを供給できるかが問題
・海外から小麦も牛肉も輸入できなければ、現状の食生活維持は不可能
・食料品の需要は価格非弾力的で、供給が少し減少しただけで価格は高騰する
・食料安全保障といっても、国防などの公共財と異なり、通常の財と同様、市場で供給される
・日本では、戦後の食料不足不安が解消されると、食の安全確保に関心が移行してきた
・しかし、シーレーンが破壊されて輸入が途絶すれば、国内市場にのみ頼らざるを得なくなる
・世界の食料供給は世界の人口を養うに十分だが、先進国では多くの人が肥満になる一方、途上国には食料品を購入できる所得がない人など、8億人の飢餓人口が存在する
・国連食料農業機関(FAO)による食料安全保障とは、貧しい途上国の人々が食料を十分購入できない状態を改善することを意味する
⇒ この章の最後に、筆者は、国連食料農業機関による食料安全保障の定義を持ち出してきた。
どういう思いでのことか、明確に読み取ることができなかったが、少なくとも先進各国の農業政策が、すべて国連レベルの食料安保を基準として取り組まれているわけではないことが、以降の展開の中で述べられている。
ただし、その中にあって日本のこれまでと現状の食料と農業に関する政策が異常であることは、ここまでの概述で明らかになっているといえるだろう。

<第1章>まとめ

この章で最も重要な問題提起は、米の「減反政策」を推し進めてきた「農政トライアングル」批判と「平時の農業生産が有事を支える」という点だろう。
さらりと聞き流しがちな内容であるが、本書の主張の原点・起点がここにあると受け止めている。
この第1章は第2章と合わせて、本書全体の<起承転結>の(起)に当たる部分であるといえるだろう。
後述した本書全体の構成から、章立て部分のみ以下に取り出した。

第1章 食料とは何か?(起①)
第2章 貿易から見える世界の食料事情(起②)
第3章 真実をゆがめられた日本の農業(承①)
第4章 ”食料自給率”というまやかし(承②)
第5章 持続可能な日本の水田農業(転①)
第6章 食料危機を作る農政トライアングル
(転②)
第7章 食料危機説の不都合な真実
(結①)
第8章 日本が飢える ー 餓死者6000万人(結②)

ここで、先の各項のテーマが、この各章のテーマに直結していることも確認できる。
以降の当シリーズの展開を、第1章と第2章を(起)①②、第3章と第4章を(承)①②、第5章と第6章を(転)①②、第7章と第8章を(結①②)と位置付けて進めていきたいと考えている。

次回<第2回>は、上記に沿い、(起)の②としての<第2章 貿易から見える世界の食料事情>を確認する。

参考:『日本が飢える! 世界食料危機の真実』目次

 はじめに
 第1章 食料とは何か?
 ・毎日消費する必需品である食料の特徴
 ・供給減ですぐに値上がりする
 ・穀物、大豆、イモの重要性
 ・農作物の生産は自然に左右され制約が多い
 ・畜産は食料危機のとき何ができるか?
 ・農業の生産性と農地規模の関係
 ・平時の農業生産が有事を支える
 ・気候・風土による影響と水や土の重要性
 ・農業は技術革新の固まり
 ・食の量的確保と安全性確保
 第2章 貿易から見える世界の食料事情
 ・先進国の農業問題、途上国の食料問題
 ・緑の革命と限界
 ・戦時中から1995年まで統制管理された日本の米
 ・先進国の農業保護と途上国の農業搾取
 ・日本だけ生産減少の道へ
 ・途上国は何を輸出しているのか?
 ・米の貿易構造は小麦やトウモロコシと異なる
 ・2008年に米の輸出を禁止したインドの事情
 ・アメリカは穀物の輸出制限をするか?
 ・先進国は価格上昇を許容できる
 ・アメリカが失敗した輸出制限
 ・輸出制限をめぐる国際規律の限界
 ・穀物価格と原油価格の連動
 ・農作物全体では上位の輸出国と輸入国がほぼ同じ
 ・安価な穀物と高価な野菜・果物、畜産物
 ・自動車の好みが多様なように食の好みも多様
 ・国内の穀物市場は政府によって国際市場から隔離される
 ・自国を優先するのが食料の国際事情
 第3章 真実をゆがめられた日本の農業
 ・農村から離れた日本人
 ・農村のほとんどは農家ではない
 ・「平日はサラリーマン」を可能にした農村の工業化
 ・1960年以降に起きた農業の激変
 ・高い農作物と農家の所得増加
 ・米農家だけ零細のまま温存
 ・国会に参考人として招致されたときのあきれと驚き
 ・農家にとって農地は生産要素ではなく資産
 ・農地改革の果てに潰された農地
 第4章 ”食料自給率”というまやかし
 ・食料安全保障と多面的機能に反する農政
 ・危機対応を無視した日本の米政策
 ・自らが掲げた目的を損なう農政
 ・食料安全保障は誰のためか?
 ・食料自給率を犠牲にしても守りたい国内の高価格
 ・農政の問題を民間のボランティアが解決している
 ・最も成功したプロパガンダ ー 食料自給率の虚構
 ・まやかしの地産地消とフードマイル
 ・農政が下げた食料自給率と消えた麦秋
 ・国産米イジメ、輸入麦優遇政策
 ・独り負け状態の米
 ・農政トライアングルの亀裂
 ・米の輸出こそ食料危機対策
 第5章 持続可能な日本の水田農業

 ・日本が守ってきた水田
 ・キング教授「東アジア四千年の永続農業」
 ・世界の畑作農業の非持続性
 ・持続可能な水田農業
 第6章 食料危機を作る農政トライアングル

 ・「農は国の基本」と言いながら米の生産を減らす農政
 ・農政トライアングルが守りたい利益とは?
 ・戦前の農政の構造
 ・食糧管理法を利用した地主制の弱体化
 ・農地改革の政治的意味と万能なJA農協の成立
 ・政治に翻弄され続ける農政
 ・植民地米の流入と減反の提案
 ・堂島米市場の閉鎖で米に自由はなくなった
 ・食糧管理法を生産者保護政策として活用
 ・赤字でも米作りを止めない農家の事情
 ・減反が唯一の米価維持政策
 ・2007年にJA農協は農家からの米集荷を拒否した
 ・安倍首相によるフェイク”減反廃止”
 ・世界的に特殊・異常な日本の農業保護方法
 ・食料安全保障や多面的機能からの望ましい政策
 第7章 食料危機説の不都合な真実

 ・食料危機は突発的に起こる
 ・作られた食料危機説
 ・ロシアのウクライナ侵攻の影響
 ・ウクライナ侵攻を農業保護に利用する人たち
 ・ファクトに反する農業界の主張
 ・なぜNHK食料シンポジウムでエサ米振興が叫ばれるのか?
 第8章 日本が飢える ー 餓死者6000万人
 ・食料安全保障の二つの要素
 ・ウクライナで起きている食料危機
 ・最低限必要な食料生産はどれくらいか?
 ・危機による被害の程度
 ・危機が長期間継続する場合
 ・危機への対応は平時の国内生産の拡大と輸出
 ・食料危機対応の提案
 ・平時の輸出が備蓄の代わりになる
 ・日本は農産物で積極的な貿易交渉を
 ・今こそ食料有事法制を検討すべき
 おわりに

 <参考:山下一仁氏による各章の狙い>
 第1章 食料とは何か?/第2章 貿易から見える世界の食料事情:食料という財の特性や食料・農産物の特徴等について、食料安全保障の観点から必要な知識を紹介
 第3章 真実をゆがめられた日本の農業:
国民の通念や常識が、農家は高い所得を得ているなど、今の農業・農家・農村の実態と大きく異なっていることを提示
 第4章 ”食料自給率”というまやかし:
食料自給率向上の裏に隠されている農政トライアングルの本当の狙いと、彼らが食料自給率を低下させる政策をとり続けているファクトを明らかに
 第5章 持続可能な日本の水田農業/第6章 食料危機を作る農政トライアングル:
米農業は世界で最も持続可能なものであるにもかかわらず、どうして農政トライアングルは、これを抹殺しようとするのか、彼らの真の狙いと利権の構造を明らかに。 
 第7章 食料危機説の不都合な真実/第8章 日本が飢える ー 餓死者6000万人
: 日本で起こらない危機と起こりうる危機を解説し、日本で起こる未曾有の危機を乗り越えるためのなすべき政策を提案
 おわりに

<参考>:【山下一仁氏プロフィール】
(略歴)・1955年生
・1977年東京大学法学部卒、農林省入省
・2005年東京大学農学博士
・農水省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農水省地域振興課長、農村振興局次長等歴任
・2008年農水省退職、経済産業研究所上席研究員
・2010年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
・2020年東京大学公共政策大学院客員教授
(著書)
・『日本農業は世界に勝てる』(2017/7/20刊・日本経済新聞出版社)
・『国民のための「食と農」の授業 ファクツとロジックで考える』(2022/3/17刊・日本経済新聞出版)
・『日本が飢える! 世界食料危機の真実』(2022/7/25刊:幻冬舎新書 )他多数

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