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同床異夢のベーシックインカム論から共通性を見出す :BI導入シアン-22


安倍辞任で政治は変わるか

昨日自ら発表した安倍首相辞任を受けて、否が応でも新しい首相・内閣による政治体制のもとでの政治が、2020年9月から始まる。
まあ、自民党政治は変わらないので、現実的には、コロナ禍での社会経済対策がどうしても優先課題となり、かつ自民党の体質を考えれば、大きな変化などありようもないのは明らかだが。

最大の問題は、コロナでも明らかになった、従来の政治・社会システムが、望ましい形で機能しなくなっていることにある。
そして、そうした問題の大きさ、複雑さ、危うさに対する意識が、あまりにもなさすぎることが、そこに覆いかぶさっていることだ。

それらに対する認識は、政治的・行政的に責任ある立場にあればあるほど、危機感として持つべきなのだが、むしろそうした立場のものほど、視野が狭く、自己組織中心主義であることが、問題なのだ。
それは、与党だけならまだしも、野党も大同小異であるから、悲惨なのだ。

右は、懐古主義を本質とし、左は、単純に、与党反対主義の本質から脱却できず、同じような時間の浪費を繰り返している分、たちが悪い。
言うならば、「異床異夢」の政治だ。
民主主義政治には程遠い。

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コロナ禍で注目されたベーシックインカム、その理由


実は、今月8月15日付日経のあるコラムに、「ベーシックインカム 同床異夢」という小文が載った。
今回は、これを参考にメモ書きレベルを、と思う。

「最近日本のエコノミスト誌が、ベーシックインカムについて特集した。」
と書き始めている。

これは、先月7月16日に投稿した
◆ 週刊エコノミスト「ベーシック・インカム入門」で終わらせないために
で取り上げた週刊エコノミスト7月21日号特集『ベーシックインカム入門』
のことを言っている。

確かに、その特集は、コロナによる「10万円特別定額給付金」の給付をきっかけにしてのものだった。
しかし、あくまでも定額給付金は、1回だけのものであり、考え方として参考になったのは、国・政府が、国民全員に無条件でそうした給付を行ったという事実である。

「ああ、そういうこともできるんだ」「あり、なんだ」、という感覚だ。
そして、もしそれが一回ポッキリのことではなく、継続的に行われるとしたら、とか、ベーシックインカムというのは、ずっと死ぬまで続けてもらえる制度ということだが、実際に可能なのか、とつながっていく。

そこで、同紙筆者は、ベーシックインカムについてこう言う。

「国家の役割をより拡充し、個人や事業者のリスクを可能な限り肩代わりすることで、国民や経済社会に安心感を広げていくという政策の延長上に位置付けるならば、今後議論をしていくべき思想・考え方だ。」

日経紙では、その小文よりも先に、コロナ禍における定額給付金支給に関する記事の中で、海外の同様の動きも引き合いに出しつつ、ベーシックインカムについて論じていた。
だから、流れの中での本稿であって、突然問題提起したものでもなかったのだ。


同床異夢のベーシックインカム、思想的背景に大きな違い


そして、遡って、べーシックインカムについて、主張の源泉を見て「同床異夢」の性格を持つとする。
それは、ベーシックインカムを主張する以下の異なる性質の主体の存在が関係している。
・経済的な安定により人間らしさを取り戻す政策として提案する左派
・社会保障を極小化し自己責任による、小さな国家を目指す右派
・AIの発達に伴う失業者の増加や格差拡大への対応策を国が取るべきとする米シリコンバレーの勝ち組等新勢力




ベーシックインカム導入上の2つの課題

そして、加えて以下の2つの課題を挙げている。
1.最低限の生活が保障されれば誰もが嫌う職場は誰が支えるかなど、勤労に与える影響
2.1人当たり毎月8万円とすると必要な120兆円の財源対策

この問題に対しても、同床異夢をかこつ各主張派の考え方やレベルは、責任を持つものとみなすことも、一致点を見出すこともできないとする。

そこで求められるのは、個人では取り切れないリスクを国家がどうカバーし、温かい国家をつくるかということであり、よって立つ思想を統一しなければ、ベーシックインカムは政策論として一顧だにされない、と結んでいる。


見出すべき、ベーシックインカムの普遍性、共通理念

日経紙(氏?)が言わんとしていることは分かる。
しかし、コロナが発生し、問題が拡大・拡散しているからベーシックインカムの必要性が論じられるようになったわけではない。
そこから議論を出発させることは、ムダではないが、合理的な近道を通ることと単純に認めることに適切でもない。

コロナの類への備え・対応だけでなく、広く、目的や意義として認識しておくべき、また認識が可能な要素・要件を、一つ一つ取り出し、検証していくことが重要であり、欠かせない。

それが、政策上の共通点として認識され、まさに共有できるようになればと思う。
そのヒントになりそうな論述を、以下に加えた。

ベーシックインカム推進派学者の導入論

恒久的最低所得保障が社会の安定回復に寄与する 


先述の日経紙小文よりも少し前の同紙記事に、ベーシックインカム推進派学者である、ロンドン大ガイ・スタンディング教授へのインタビュー記事があった。そのエッセンスを参考にしておこう。

「コロナ前から所得格差の拡大や家計の債務の増加、それに伴うストレスなどで常に不安定な状態があった。」
「人と国家が脆弱になったところにコロナと経済の急速な悪化が襲い、世界はさらにもろくなった。我々や国家の安定を取り戻すには、社会が強靱性や復元力を持つ必要がある。その有効な手段が国民全員に一定の生活を保障するベーシックインカム。」

そのとおりである。
コロナは、ベーシックインカムの実効性を示すであろう一つのケースであり、そのためだけにベーシックインカムがあるわけ、必要なわけではない。
個々人毎に、何かしらの不安やリスクに遭遇する可能性が高く、それに備える有効な制度・政策は必要だ。


全員一律給付の理由

「受給資格のある低所得層をどの段階のどの収入で判断するのか。その特定は困難であり、行政効率も悪い。」
「所得が制限ラインを超えた時に、現金支給が止まったり減額されれば、より良い職に就いて生活水準を改善しようという動機づけが失われる。貯蓄基準も同様で、こうした線引きは人々を不安定な状態に固定化する『貧困のわな』をもたらす。」

ここにも合理性・公平性がある。



理想とするベーシックインカム財源


「制度の持続可能性を高めるにはノルウェーの年金基金のような国家ファンドや公的基金の構築が欠かせない。その基金の投資から得られるリターンで支給を賄うのが理想だ。」

私も、この考え方に賛成だ。
一見、一読、社会主義的考え方だが、私はこの考え方は、資本主義及び民主主義国家においてこそ、共有し、包摂し、制度・法律として具現化すべきものと考えている。

この基盤が形成・構築できるまでには、それなりに時間・年数を要するだろう。
従い、それまでの経過措置・経過制度として、所得税や相続税など財源に一部頼ることにすることは選択肢の一つだろう。
いわゆる所得の再分配政策であり、富裕層にも一定の理解は得られるのではないかと思う。

それとは別に、ベーシックインカムは、受給者だけが、国内社会経済でのみ利用できる特別の国内循環特定デジタル通貨とし、利用後日銀に回収され、消却する通貨とする方式も検討の価値があると考えている。

9月以降の一段レベルアップした議論・提案の中での課題とするつもりだ。


異なる政治思想・政策においてもベーシックインカムの共通理念・方針を見出す努力を

ごく一部の根幹になる課題について、共通認識をもつためのヒントを挙げてみた。
実際には、こうした基軸とフレームだけで制度が設計できるわけではない。
思想・方針として、社会保障制度全体をどう再構築するかという視点が起点になる。

そして、関連する社会保障制度が、ベーシックインカム制導入でどう変わるか、変えるべきか、詳細設計も当然必要だ。
共通理念・方針の統合・統一を図りつつ、全体体系をフレームとして形成する。
そしてその全体を形成する部分部分の制度の整備、改革案の策定を積み上げていく。
加えて、それらの施策の導入・展開スケジュールを長期・中期・単年度単位で作り込む必要があるわけだ。
情報システム改革も、セキュリティ重視で進めることになる。

創意工夫と熱意・誠意と忍耐がその作業を進める上で、大きな要素を占めるだろう。
不可能と思われる営為が、不可能と思われるコミュニケーション活動を通じて、脈々と、連綿と続けられ、形となっていくことを夢見ている。
もちろん夢が実現する正夢である。

<BI導入シアン>シリーズ

1.所得がある個人を別人格とみなす社会経済システム
2.現状の年金生活者もベーシック・インカム受給者のようなもの
3.中国がベーシック・インカム制を導入したら
4.公務員の給料の一部は、ベーシック・インカム性を持つ
5.働く人の格差是正と安心を目的としたベーシック・インカム
6.不測の事態に備え、機能するベーシック・インカム
7.夢のある人、夢の実現をめざす人のためのベーシック・インカム
8.高額納税者も当然の権利として受け取るベーシック・インカム
9.ベーシック・インカム制導入で国民年金制度は廃止へ
10.所得税を主財源とするベーシック・インカム制で所得税法改正へ
11.週刊エコノミスト「ベーシック・インカム入門」で終わらせないために
12.ベーシック・インカム制と同時に改革・導入する社会保障保険制度
13.ベーシック・インカム制導入に伴う厚生年金保険制度改革
14.ベーシックインカムは独自の電子通貨で支給・管理を
15.ベーシックインカムとは最低所得保障か
16.ベーシックインカムの適正額はいくらか
17.ベーシックインカム制は、大家族化・多子家族化を招くか
18.ベーシックインカム導入で予想される社会構造の変化
19.日本在住移民・外国人へのベーシックインカムをどうするか
20.ベーシックインカム導入で行なうべき雇用保険改革
21.MMT論から考えるベーシックインカム制

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2050 SOCIETY ベーシック・インカム論ラインアップ

◆ 憲法で規定された生存権と「社会保障」:全世代を対象とする社会保障システム改革-1
◆ ○○手当は○○年金!?:全世代が年金受給機会を持つ社会保障システム改革-2
◆ 所得者全員が年金保険料を!:国民年金の厚生年金統合による社会保障システム改革-3
◆ ベーシック・インカム制の導入を!
◆ ベーシック・インカム生活基礎年金の年間総額、216兆円
◆ ベーシック・インカム生活基礎年金はポイント制で
◆ ベーシック・インカム「生活基礎年金制度」続考
◆ 社会保障保険制度試論
◆ ヘリコプターマネーではなく、ファンダメンタルマネー:全国民受給のベーシック・インカム制へ
◆ 母子家庭の貧困、子育て世帯の不安、結婚し子どもを持ちたい人たち、すべてに機能するベーシック・インカム制の議論・検討を
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◆ ベーシック・インカムとは-1:歴史から学ぶベーシック・インカム
◆ ベーシック・インカムとは-2:リフレ派原田泰・前日銀政策委員会審議員から学ぶベーシック・インカム
◆ ベーシック・インカムとは-3:AIによる脱労働社会論から学ぶベーシック・インカム

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